推奨:英語初心者🔰~
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公開:2022-08/08
関連:TOEIC初心者勉強法 / 700~800点勉強法 / 900点勉強法
2012年にTOEIC 900点を超えたので、2013年からEnglishTalkというオンライン英会話スクールでレッスンを開始しました。
その後、2017年にTOEICリスニング満点(トータル950点)、2021年にオンライン英会話は3000回(1250時間)に到達しました。
この記事では、自分の経験に加えて、なるべく脳科学、心理学、第二言語習得的に根拠のある、リスニングとスピーキングを同時に伸ばす勉強法をご紹介していきたいと思います。
とは言え、魔法の杖みたいな「超真新しい画期的な勉強!」ってことはないです(笑)。
うちのブログの他のTOEIC系記事を読み込んでいただいている方からしたら重複内容が多いです。
ただ、過去記事よりも説得力のある内容にはなっている(と思う)ので、実践するモチベは上がるかと!
TOEICと英会話の両立は難しい
(1) TOEICで高得点を取るのに必要なリスニング力とリーディング力
(2) 英会話に必要なスピーキング力とリスニング力
この2つは、基礎単語・文法など被る範囲は確かにあるのですが、被らない範囲のほうが非常に広いと感じています。
なので、1日2~3時間くらいしか英語に費やせない場合、TOEICとオンライン英会話を同時進行でやると、TOEICスコアも英会話力もどちらも向上しにくい→勉強するモチベを維持しにくくなるので、あまりお勧めではありません。
800点台の頃に、「やっぱり英会話もやらないとダメだよな」という焦燥感に駆られて、オンライン英会話を始めたのですが、結局どちらも中途半端になって伸び悩んだので、いったん辞めました。
※TOEIC学習者あるある。
「オンライン英会話はTOEICに効果があるか?」でご説明したように、英会話には終わりがないことを考えると、900点を超えてから英会話にスイッチする、というのが精神衛生上いいと考えています。
【関連】英語やTOEICで伸び悩んでいる?科学研究「ジャンルを絞って勉強しよう」
TOEICスコアとスピーキングを同時に伸ばす勉強法
ですが、例えば現在すでに英語を使って仕事をされていたり、近々海外に出張する予定があるなど、何らかの理由で、
「TOEICスコアも英会話力(スピーキング)もどちらも早急に伸ばしたい」
「TOEIC 900点取得後はすぐさま英会話を始めたい」
という方もおられると思います。
そういった欲張りな上手な方にお勧めしたいトレーニングが、次の3つです。
暗唱:リスニング時の「意味的に理解できる割合」が増える/スピーキング向上(特に正確さ・自然さ)
瞬間英作文:リスニング時の「意味的に理解できる割合」が増える/スピーキング向上(特に文法・構文)
そしてこの3つはどれも、長期記憶に残りやすいトレーニングでもあります。1つずつ説明していきますね。
シャドウイング
脳内処理研究と音声知覚の運動理論から、「リスニングで聞き取れない音 ≒ 自分が正確に発音できていない音」だと考えています。
なので、シャドウイングで正確に発音できる音が増えるほど、リスニングにおける「音的に聞き取れる割合」が増えてきます。
また、脳科学者の篠原菊紀教授によると、シャドウイングをやると記憶の定着率が高まるそうです。
人の脳には、ブローカ野といって発話、つまり、ことばをしゃべるための中枢があります。またウェルニッケ野といって、ことばを理解するための中枢があります。
……そして、このブローカ野とウェルニッケ野の連動、弓状束と呼ばれる神経の束による連動が、ワーキングメモリの音韻ループ、音による記憶を支えています。
ですから、音の記憶と言っても、聞くだけでなく言う、頭の中ででもよいので再生することが大事です。
外国語の学習では昔から「シャドーイング」といって、外国語を聞いたらそれを言い直してみる、書いてみる、たとえば外国語の映画を見るときも、意味まで分からなくてもので、頭の中でリフレインする、そういう学習法が推奨され、その効果も示されてきました。
シャドーイングはまさに、ブローカ野、ウェルニッケ野、弓状束のネットワーク賦活(ふかつ)、音韻ループを「直後」に賦活させることで、記憶の定着率を高める方法なのです。(P. 36~37)
また、シャドウイングは発音とスピーキングの向上にも一定の効果があります。
英会話では、発音が間違っていると聞き返されてしまいます。その時間はやはりモッタイナイんですよね。
加えて、リスニング時にも脳内では音声が再現され、聞こえてきた音との照合作業が行われることが分かっています。
つまり、間違った発音→照合作業に失敗する確率が高い→聞き取れない可能性が高いわけです。
ネイティブレベルの発音をめざす必要はないですが、リスニング・スピーキング双方のために、通じる発音はめざしたほうがいいと考えています。
【関連】シャドウイングとオーバーラッピングの違い、効果的な学習方法と注意点
暗唱
暗唱と瞬間英作文の2つは、想起(思い出す)系のトレーニングになります。
そして、人間の脳というのは、思い出せば思い出すほど、記憶が強化される仕組みになっています。
ルール1:覚えようとするな、直後に思い出せ
「覚える」ために必要なのは、「思い出す」こと。覚えた直後に思い出すと、よりよく記憶できます。「覚える⇔覚えておく⇔思い出す」は一方通行ではなく双方向のつながり。覚えた直後に思い出すことが、このつながりを強化し長く覚えておくコツになります。(P. 12)
記憶に深く関係する海馬は、思い出したり、使ったりすると、それが自分にとって大事なことだと判断するらしく、しっかり覚えようとしてくれるのです。入力より出力。インプットよりアウトプット。(P. 15~16)
【出典】脳科学が教えてくれた覚えられる忘れない!記憶術
この思い出す練習のことを、心理学の世界では検索練習・自己テストと呼ばれます。
そして「暗唱」は、Part 3・4のようなある程度の長さのある会話やトークを、英文スクリプトを見ずに、登場人物になりきって、スラスラと言えるまで暗唱するトレーニングです。
言語学者の方々が著書で、次の3つの効果があると説明されています。
複数の研究によると、英会話の約7割は決まり文句(チャンク)でできているそうです。
なので、例えばPart 3・4で暗唱をやれば、Part 3・4によく出る決まり文句が身につくわけです。
リスニングでは「意味的に聞き取れる割合」が増え、スピーキングで使える決まり文句も身につくというわけです。一石二鳥。
また、TOEICによく出る話の流れのパターンも身につくので、暗唱したものが増えてくると、会話・トーク・文書の流れを予測できる確率も高まってきます。
詳しく知りたいという方は、次の記事をご覧下さい。
【関連】言語学者「英語学習の暗唱(例文暗記)には3つの効果があるよ」
瞬間英作文
Part 1・2・5のような比較的短めの英文は、瞬間英作文がお勧めです。
言語学者の方々が勧められている点は次の2つです。
(2) 「使える文法」が身につく
個人的には、自分の苦手な(使えない)文法や構文を含む英文を瞬間英作文でこなせばこなすほど、「英語で何と言えばいいか分からない」「どの文型・文法・構文を使えばいいかが分からない」が減ってきました。
また、「アウトプットの正確さの向上」という点では、暗唱に軍配が上がりますが、Anki/AnkiDroidなどのフラッシュカード(単語カード)アプリを使うことで、
● 単語単位・フレーズ単位・1文単位でも覚えていける
● 自分の苦手なものだけを効率的につぶしていける
という、暗唱にはない大きなメリットがあると感じています。
【関連】言語学者「瞬間英作文は"使える文法"と"決まり文句"の習得に効果的だよ」
というわけで、暗唱や瞬間英作文をやると、TOEICによく出る決まり文句(チャンク)と実践的な文法が身につきます。
結果、リスニングにおいては「意味的に理解できる割合」が増え、スピーキングにおいては「使える決まり文句&文法」が増えることになります。
パート別勉強法
基本的にどのパートも、
というのが流れになります。
自己流の変な発音を身につけてしまうと、上述したように、リスニングで自分が聞き取れない・相手に聞き取ってもらえない原因になります。
なので、先にシャドウイングでネイティブの正確な発音をインストールすることをお勧めします。
Part 1・2・5
Part 1・2・5は、比較的英文が短めなので、基本的には瞬間英作文がお勧めです。上述したように、まずはシャドウイングで、音声通りにスラスラ言えるまでやり、その後瞬間英作文をやります。
Part 1で瞬間英作文をやると、現在形・現在進行形・現在完了形を強化できます。また、写真描写のトレーニングにもなるので、目に映ったものを英語で表現する練習にもなります。
Part 2は時制・文型・疑問文・応答のバリエーションが豊富なので、瞬間英作文をやると、それらをインストールして会話で使えるようになります。
一方、Part 1・2と比べると、Part 5の英文は少し長くて複雑なので、瞬間英作文をやるのは最初は非常に骨が折れます。
ですが、関係詞・修飾句・接続詞を含む文を作る練習になります。
複雑な料理が作れる→他者が作った複雑な料理の調理法や使われている調味料が分かるのと同様、複雑な英文が作れる→複雑な英文が読めるようになります。
結果、Part 5はもちろん、Part 6・7の英文も正確に読みやすくなります。
瞬間英作文のやり方
Part 1・2・5で瞬間英作文をやる方法の1つは、英文を「しおり」か何かで隠して、日本語訳を見て英文を言う方法。こちらはテキストだけですぐに始められるのでお手軽です。ただ、「自分の苦手なものだけ練習する」というのがやりづらく、レイアウト的にも瞬間英作文がやりにくいです。
もう1つの方法は、フラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki/AnkiDroid」などを利用し、表に和文、裏に英文を入力して瞬間英作文をやる方法。
こちらは、最初のカード登録作業は手間ですが、自分の苦手なものを効率的につぶしていけるので、長期的に見ると時間対効果は高いと感じています。
また、レイアウトを日英サイトラ的すれば、主語・動詞・目的語・補語・修飾句が認識しやすくなり瞬間英作文がかなり快適にできるようになります。
どちらも試しましたが、最終的に僕はアプリ「Anki/AnkiDroid」を使って瞬間英作文をやるようになりました。
Part 3・4
Part 3・4はけっこう分量があるので、さすがに瞬間英作文はしんどいなと(˜∀˜;)なのでシャドウイングで詰まらずにスラスラと言えるようになった後は、英文スクリプトを見ずに、登場人物になりきってスラスラと言えるまで暗唱するのがいいと思います。
Part 3・4で感情を込めて暗唱をやっていくと、上述したように決まり文句(チャンク)が身につくので、リアルで似たような会話の流れになったときに、暗唱で覚えた英語が自然と口から出てくるようになります。
Part 3・4の暗唱については、「TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!」で詳しく解説しているのでぜひ。
Part 6・7
Part 6・7は英文がかなり長いので、さすがに暗唱は厳しいと思います。※もちろん「この説明は仕事に使えそう」と思った箇所があれば暗唱するといいです。
最近の公式TOEIC L&R問題集はリーディングパートも音声がある(ダウンロードできる)んですよね。
なので、英文スクリプトを見ずに、スラスラとシャドウイングできるまでやるというのがいいかなと。
脳研究者の池谷裕二教授が「聞くと記憶に残りやすい」と仰ってるので、Part 7は再読(繰り返し音読)の前にシャドウイングもやったほうが効率的に覚えていけるかもと思い始めています。
コツ・注意点
シャドウイング・暗唱前の「精読」は必須
どのパートにも言えることですが、英文を正確にしていないと、シャドウイングや暗唱の効果は非常に薄くなります。「最初の頃は精読が甘かったようで、きちんとやるようになってからスコアが上がりました」というご報告をよくいただくんですよね(^_^ゞ
なので、事前に「精読」で知らない単語・苦手な文法・文構造などを徹底的にチェックして、できる限り英文を正確に理解した上でシャドウイングや暗唱をして下さい。
【関連】TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法
苦手なものはフラッシュカード瞬間英作文
僕は、Part 1・2だけでなく、Part 3~7でも、● 聞き取れる・読めるけど、会話で使えていない英文
● 英会話で使えるようにしたいと思った英文
に出会ったら、上述したフラッシュカードアプリ(Anki/AnkiDroid)に入れて瞬間英作文で回しています。
シャドウイングや暗唱と比べて、瞬間英作文は日本語の助けがある分より正確に英文を理解しやすくなるというメリットがあります。
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