簡単な英語なのに聞き取れない→1つの単語に複数の発音がある

準ネイティブレベルへの道-03

対象:リスニングが苦手/TOEICや英検は聞き取れるが実際のネイティブの英語が聞き取れない
推奨:英語初心者🔰~
読了:約7分(4218字)
公開:2022-07/22
更新:2022-07/28 タイトル変更、部分的に加筆・修正
関連:発音 / 音変化 / 聞き取れない音 ≒ 発音し慣れてない音

 

「簡単な英語なのに聞き取れない」の正体


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辞書アプリで聴ける発音は"一部"でしかない

僕はやり直し英語を始めた頃から、未知語や、発音に疑問を感じた単語は、「Cambridge Dictionary」のような、USとUK発音が聴けるサイトやアプリでチェックしてきました。

ですが最近は、気になった発音、特に音変化(音の連結や消失)は、YouTube上のネイティブの生の発音が聴けるYouGlish」でチェックするようにしています。

というのも、辞書アプリやオンライン辞書で聴ける発音以外の発音の仕方が実はけっこうあるからです。

TOEICや英検で学べる発音は限定的

TOEICリスニング満点でも映画やドラマの聞き取りが難しい7つの原因」という記事でも触れましたが、「発音(&音変化)のバリエーションは非常に多い」なと。

TOEICや英検で勉強されている方は、US(アメリカ)・UK(イギリス)・AUS(オーストラリア)などを含めて複数の accents(発音)があること自体はご存知だと思います。

そして、TOEIC 900点英検準1級を取ると、リスニングはある程度聞き取れるようになります。

ですが、これが意外と曲者かもしれません。

ある程度聞き取れるがために、今自分が認識している発音が絶対だと思い込んでしまい、僕はその後シャドウイングなどの精聴トレーニングをおざなりにしてしまいました。

これがTOEIC 900点&英検準1級取得後にリスニング力が伸び悩んだ原因の1つだと自己分析しています。

TOEIC・英検卒業後も「精聴」は続ける

音声知覚の運動理論と脳内処理研究から、リスニングで聞き取れない音 ≒ 自分が発音し慣れていない音だと考えています。

なので、上級者をめざすのであれば、TOEIC・英検卒業後も、ネイティブの生に近い英語音声(洋画・ドラマ・YouTubeなど)を使って、引き続きシャドウイングリピーティング「自分が聞き取れない音(≒発音し慣れていない音)」をつぶしていかないといけないんですよね。

【関連】多聴は効果あるか?700時間やって分かった2つの反省点



1つの単語に複数の発音がある


この数年間、ネイティブの生に近い英語に触れるようにしてきましたが、国別だけでなく、地域や人種や個人によっても発音(と音変化)はけっこう変わるんですよね。

最近見つけたのですが、「Accent Expert Gives a Tour of U.S. Accents」の動画を見ると、アメリカ1国だけでもかなりいろんな発音があることを知って驚きました。

ここ数年、実際のネイティブの発音においては、1つの単語(&音変化)に付き、最低でも3つの発音の仕方があると想定しておいたほうがいいなと思うようになってきました。

必ずというわけではないですが、「発音の仕方は複数ある」と想定しておくことで、聞き取れない音(&音変化)に出会ったら、何度も繰り返しリピーティングして脳のデータベースにストックしていくという心構えが生まれるんですよね。

それでは具体的に、1つの単語に発音が3つ以上ある例を見ていきましょう。

always

YouTube上にあるネイティブが話している中での発音が聴けるYouGlishで「always」をいくつか聴いてみて下さい。

多くのケースでは、お馴染みの「/'ɔːl·weɪz/(オールウェイズ)」という発音ですが、例えばこのUK女性の方の15分25秒に出てくる always。



「オウィズ」のように聞こえませんか。これはまだ聞き取りやすい部類だと思います。



このUS女性の always(6分54秒)は「I always」で「アオィズ」みたいに聞こえます。これもまだよくあるパターンだと思います。



このAUS男性の方の always(3分36秒) は「ウェイズ」のように聞こえます。前半の「オール」が消失して聞こえません。これは僕のレベルだと聞き取れない可能性が高いです。文脈次第。



このUS男性の方の always(19分34秒)は「オーズ」に近いかと。これも、文脈によっては厳しい気がします。



このAUS女性の方の always(4分01秒)は「オーヘイズ」と聞こえます。これは絶対聞き取れない自信があります(˜∀˜;)


who

「who /húː/」の発音って、日本語の「フー」に近いですよね。Cambridge Dictionaryで聴ける発音でも、USでもUKでも「フー」に近いかと。

ですが、次の動画に出てくる who に注意して聴いてみて下さい。



この who(3分27秒) は、ほぼ「」に聞こえません?

この発音パターン、TOEIC・英検ではあまり聞かない気がしますが、ネイティブの実際の会話ではよく出てくるパターンだなと。

音変化のルールでもお伝えしているように、「h」の音はわりと消失しやすいです。なので、「who /húː/」の「h」も前の単語の子音や母音によっては消失するケースがあります。



この女性の who(13分21秒)も、/húː/の「h」の音が消失して、さらにその前の「one /wʌ́n/」の「n」の音と連結して「/wʌ́nú/ ワヌ」と聞こえます。このパターンもわりと多いです。初めて聴いたときは、僕の耳がイカれているのかと思いました。



最近練習している歌なのですが、この女性の one who(1分57秒)も、「/wʌ́nú/ ワヌー」に聞こえます。

2022年07月現在、英語の歌を12曲練習してきました。
洋楽はこういった激しい音変化の割合が多いので、英語の生のリアルな発音や音変化を練習するのに最適なマテリアルだと感じています。

【参考】英語の歌で練習すれば発音とかリスニングとかいろいろ良くなる


schedule

TOEICや英検を勉強されている方は、「schedule」はUS発音なら「/skédʒuːl/(スケジュール)」、UK発音なら「/ʃédʒuːl/(シェジュール)」のように習うかもしれません。



このUK男性の schedule (13分07秒)は確かに「シェジュール」に近いですよね。ですが……



UK女性のLucyさんですが、「スケジュール」に近い発音です。

実際、YouGlishで「schedule」でUK発音で探してみると、「スケジュール」と発音しているUKの方は意外と多いです。



引き続きLucyさんですが、「schedule」と次の「in」が連結して「スケジュリン」みたいに聞こえます。

2つとも知っている単語であっても、連結するとまるで別の1つの単語のように聞こえるので、初めて出会ったときはほぼ確実に聞き取れないんですよね(˜∀˜;)



1つの音変化にも複数の発音がある


複数の単語からなるフレーズでも、複数の発音の仕方があります。

didn't you

例えば「didn't you」はどう発音しますか?

最もよく聞くのは、おそらくこの動画のオバマ大統領の didn't you (24分54秒)ではないかと。


「t」と「y」が連結して、「ディドゥンチュー」と聞こえます。TOEICや英検でも最もよく聞くパターンかと。



このUK女性の方の didn't you (06秒)は「ディドゥンユ」に近いですよね。このパターンもよくありますし、付加疑問文だと気づけるので、かなり聞き取りやすいと思います。



このUS女性の方の didn't you (12分20秒)は、2つめの「d」が消失して、「ディンチュー」みたいに聞こえます。初めてこの「why didn't you」の発音パターンを聴いたときは、「why don't you (ドンチュー)」と聞き間違えました。



このUS男性の方の didn't you (8分42分)は、2つめの「d」と「t」が消失し、「t」の前の「n」と、「you」の「y」が連結して「ディンニュー」と聞こえます。TOEICや英検で出てくる頻度は下がる感じがします。



上のUS男性同様、このUK男性の方の didn't you (9分49秒)も「ディンニュー」に聞こえますね。洋画・ドラマ・YouTubeでネイティブの英語を聴いていると、この発音パターンはかなり多いです。



このUS男性の方の didn't you は「ディンユー」と聞こえますね。2つめの「d」と「t」は消失してますが、「n」と「y」は連結していません。



このUK男性の方の didn't you (19分44秒)は「ディンユ」みたいな感じですが、「you」もかなり弱くて聞き取りにくいです。ディクテーションしてたら一発で聞き取れないヤツ。



このAUS男性の方の didn't you (1分57秒)は「ディンニャ」のように聞こえます。アメリカ南部とかにも、「you」を「ya (ヤ)」のように発音する人たちがいたりします。


こういった音変化(音の連結・消失)にはいくつかのパターンがありまして、「リスニングのコツがつかめる発音・音変化ルール」で詳しくまとめたのでぜひ!

また、僕自身はこういった音変化は、脳機能研究を専門にされている森田勝之教授の映画・ドラマCD本で反復練習して学びました。


「これ1冊でネイティブの英語が聞き取れるようになる」ということはないですが、さまざまな音変化のパターンを学び、練習できます。

初心者にはお勧めしません。「雑音や効果音がうるさい」と感じる方にもお勧めしません。

TOEIC 900点英検準1級は持ってるけど、ネイティブの実際の生の英語が難しい」
「徹底的に繰り返しシャドウイングするのに最適な、ネイティブのリアルに近い会話が聴けるマテリアルを探している」
「雑音や効果音の中でも、正確に聞き取れるリスニング力を身につけたい」

という方のみお勧めします。詳しくは「「映画・海外ドラマを字幕なしで」への第一歩に最適な本」でレビューしています。



 
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