TOEICリスニング満点の僕が2年勉強しても10点しか上がらなかった頃の話

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対象:英語初心者/TOEICスコアが伸び悩んでいる/リスニングが苦手
推奨:全レベル
読了:約7分(4052字) 
公開:2022-06/25
更新:2022-06/27 部分的に加筆・修正
関連:TOEIC 600点 / 700~800点 / 900点 / スコアが伸びない - 2年で10点 / 最後まで解けない / アビメL - アビメR

お陰様で2017年にTOEICリスニングで初めて満点が取れたんですが、僕はリスニングに苦手意識があり、ずっと試行錯誤してきました。

先日TOEIC公式認定証を眺めていて改めて気づいたのですが、2008年05月に初めて受けたTOEICが560点で、2回目に受けた2010年07月のTOEICが620点だったんですね(上の画像参照)。

2年も勉強していたのに、リスニングが10点しか伸びてなかったんです。10点なんて誤差の可能性もありますしね…。僕は2年間何をしてたんやと(笑)。

当時の勉強記録を見返してみて、いろいろ思い出してきたので、読者さんにとって僕の失敗が他山の石になるかもしれないと思い、記事にすることにしました。

ちなみに、最近の記事や「TOEICスコアが伸びない人によくある9パターンとその対策」をお読みいただいている方にとっては重複内容が多いのでご了承下さい。

それでは参りましょう!Let's take a look!
 

TOEICリスニングが伸び悩んだ6つの原因

【原因1】サボり倒してた

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久しぶりに、当時の自分の勉強記録を見返したのですが、月50時間くらい勉強する月もあれば、まったく勉強しない月もありました。驚くほどサボってたなと。

これがリスニングが伸びなかった一番の原因です。

● ジェット機理論

ジェット機の離陸時の速度ってだいたい時速300kmらしいんですよ。

つまり、揚力(↑)が重力(↓)を超えて飛行機が上昇していくためには、時速300kmくらいの速さが必要というわけです。

英語力もこれと似ていて、英語の単語や発音を覚えるスピード(↑)が、忘れるスピード(↓)を超えて英語力が上昇していくためには、少なくとも1日2~3時間は必要だと感じています。

科学的根拠はありません(笑)。


● めざせ2万時間

ただ、同時通訳者の関谷英里子さんは、著書で過去に2万時間勉強したと仰ってます。

また、多聴多読学習者のYukoさんは2014年に「字幕なしで観ることのできる映画がかなり増えてきた印象」というレベルに到達されてますが、この時点で多聴のみで4000時間費やされています。

僕も今まで約1万5千時間近く英語を学んできました。2022年現在は毎日5時間、月150時間以上を維持するように心掛けています。でないと、英語力が転げ落ちていくんですよね(遠い目)。

正直なところ、上級者をめざすなら1日5時間でも足りないです。今までいろんな上級者さんと話してきましたが、英語力の高い人ほど、1日に英語に触れる時間が多いと痛感しています。

1日30分~1時間だと、上達を感じにくい(→挫折しやすい) and/or 初級レベルで止まってしまうんですよね。

実際、2008年05月から2010年07月の間、約800時間くらい勉強してた計算になります。平均すると1日約1時間。

しかも常に毎日コツコツ勉強していたわけではなく、途中1~2か月くらいやらない時期とかあったりします。サボると当然ながら英語力は下がっていきます。Use it or lose it. 使わない知識は錆びる。

英語を勉強すればするほど、関谷英里子さんの次の言葉の重みを感じます。


英語はいったん使えるようになったらそこで終わりではありません。英語をツールとして使いこなせるようになっても、しばらく触れないでいると、またもとに戻ってしまいます

つまり、いつでも自由に使いこなすツールにするためには、継続的に使わなければならない、ということです。

「英語を始める」というのは「英語のある人生を選ぶ」ということ。(P. 旧版211)




【原因2】TOEIC本ではない教材を使っていた

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これも大きな原因の1つです。2009年頃、なぜかTOEIC対策本以外のテキストでトレーニングしていました。なんでだろう。

高校生の頃、バドミントン部の連中はテニスの授業でもそこそこうまかったので、バドミントンをやれば、同じラケットのスポーツであるテニスのスキルも伸びるんだなと。

とは言え、似て非なるものですよね。テニス選手になるつもりであれば、バドミントンのコートと羽とラケットで練習はしないはず。

TOEICも同じです。TOEICスコアを上げることが最優先事項なのであれば、TOEICによく出る語彙やトピックに親和性の高いテキストで勉強したほうが時間対効果は高いです。


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【参考】TOEIC参考書多すぎ!僕が900点獲るのに役立った参考書まとめ

TOEICでよく出てくる場面は、ビジネス以外には、英語圏に旅行したり、住んだときによくある場面がメインです。

ですが、英検のように夫婦・親子・学生同士の会話はまず出てこないですし、「一緒にアイスを食べない?」と誘ってくる妻に、「僕が減量中なの、君は知っているだろう?!」とキレる夫も、どう聞いてもオッサン声なのに頑張って大学生っぽい声を出すナレーターも出てきません。

リーディングでは、「タコにも個性がある」「ペスト菌は将来また蔓延する可能性がある」といったアカデミックな英文も、TOEICでは基本的に出てこないです。

【参考】TOEICでは身につきにくい、英検で獲得できる6つの英語力

英検も多少偏っていますが、TOEICはさらに偏った英語力を測る試験だと感じています。

【関連】英語やTOEICで伸び悩んでいる?科学研究「ジャンルを絞って勉強しよう」


【原因3】速度を落とさなかった


今から考えると信じられないなと思うのですが、当時の自分のリスニングのトレーニングは、速度を一切落とさず、最初からオリジナルスピードのままで練習していました。
※当時は音声の速度を変更する手段があんまりなかったので、裁判官、情状酌量の余地を求めます。

言わば、ピアノ初心者がいきなりオリジナルスピードで「剣の舞」 を練習する、野球初心者がいきなりバッティングセンターで130 kmで練習するようなもんです。

いきなりそんな速さでは、正確なトレーニングができるわけがないですし、ミスしても原因をつかみにくいです。

TOEICに出てくるナレーターが話す速さのレンジは、160~200wpmくらいですが、例の早口なオーストラリア人男性は200wpmを超えるときもあります。

ディクテーションシャドウイングなどをやっていて「速すぎる」と感じたら、ICレコーダーや、無料アプリ語学プレーヤーなどの速度変更機能が付いているものを使い、0.5~0.8倍速に落として、自分が正確に発音できるスピードから始めましょう。

【参考】科学研究「初めてやる練習は”速さ”よりも”正確さ”を重視しよう」


【原因4】ディクテーションしなかった

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これもいろんな記事で触れてますが、英語の勉強を始めた頃は、ディクテーション(音声のみを聞いて書き取る)をやっていませんでした。

ディクテをやると、「何が聞き取れていないのか」や「読むと分かるのになぜ聞き取れないのか」の原因が分かるようになるんですよね。実はけっこう簡単な英語が聞き取れていないことに衝撃を受けるはずです。youはshock

また、「音的に聞き取れないのか」それとも「音は聞き取れるが、意味的に理解できないのか」も区別しやすくなります。

ディクテをやった上で、シャドウイングし、聞き取れなかった箇所と発音が苦手な箇所を重点的にリピーティングし、毎日反復練習していくことで、英語の発音音変化を覚えていけるようになり、聞き取れる割合が増えていくわけです。

応用言語学者の白井恭弘教授もディクテーションを勧めておられます。


……「音の変化」に慣れる方法としておすすめしたいのがディクテーションです。

……さらに、同じ材料を使って、音読や、シャドウイングをするとより効果的でしょう。これをさまざまな音声材料で繰り返していけば、音の変化に慣れてきます。(P. 150~151)




あのとき、ディクテの効果を知って、正しいやり方で実践していれば、もっと早く上達していただろうなーと非常に悔しい思いをしています。

今でもディクテをやっています。シャドウイングの前に、紙には書き取らず音声をただ聞いて脳内でディクテーションします。

僕は特に冠詞、前置詞、「L/R」、「S/TH/T/D」は聞き間違いが多いので、よく聴いて脳内ディクテしてから、答え合わせ的に英文スクリプトを見るようにし、間違えたところをリピーティングで、5~10回反復するようにしています。

TOEICリスニング400点英検準1級が取れるレベルになると、おそらく紙に書き取らなくても、脳内でディクテはできるようになるはずです。


【原因5】英文を見ている時間が多かった

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リスニングを伸ばしたければ、英文スクリプト(&和訳)を見る時間をなるべく減らすことをお勧めします。

当時の僕は、”スクリプトを見ずに”音声を聞いて少し遅れて発話するシャドウイングではなく、”スクリプトを見ながら”発話するオーバーラッピングばかりやっていました。

一番最初は見てもいいんです。分からないときに見返すのもOK。

でも、ずっとスクリプトを見ながらだと、リスニングの上達速度は鈍化します。耳から聞こえてくる音声情報よりも、目から入ってくる文字情報に頼って理解してしまうからです。

「リスニングを伸ばしたい」「リスニングが苦手」なのなら、”スクリプトを見ずに”書き取るディクテーション、”スクリプトを見ずに”発話するシャドウイングリピーティングの時間をなるべく増やして下さい。

そうすれば、当時の僕よりもずっと早くリスニングが上達していくはずです。

僕がこのことに気づくのは随分あとになってからなので、もっと早くにこのことに気づいていたら、長い間抱えていたリスニング対する苦手意識はもっと早く払拭されていただろうなと( ´д`)=3

【参考】シャドウイングで伸びないと感じる人に試して欲しい6つの処方箋


【原因6】毎日反復練習しなかった

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これも今から思うと不思議で仕方ないのですが、その日勉強したところを翌日以降復習トレーニングしなかったんですよね。

「今日はChapter 1」「明日はChapter 2」「明後日はChapter 3」という予定を組むのはいいのですが、昨日やったところは復習しない、みたいな感じでした。当時の僕は1日で完全に覚えられると思っていたようです(笑)。


一気に集中して勉強するのと、勉強時間を「分散」するのとでは、覚える量は同じでも、脳にとどまる時間がずっと長くなるのだ。(P. 97)

勉強時間を分散させるからといって、勉強時間は増えない。より多くの努力が必要になるわけでもない。にもかかわらず、覚えたことをより長く記憶にとどめておけるようになるのだ。(P. 98)




よく言われることですが、英語学習には、勉強的な側面と、スポーツや楽器の習得のようなトレーニング的な側面があります。

例えば、テニスでバックハンドで打てるように、ギターで速弾きを弾けるように練習するとします。無意識にパッとできるようになるためには一定期間毎日何度も反復練習して、体に覚えさせる必要がありますよね(「手続き記憶」と呼ばれます)。

リスニング(&スピーキング)もこの感覚と同じで、英語の発音音変化無意識にパッと聞き取れる(&言える)ようにするためには、一定期間毎日何度も反復練習して、耳と口に覚えさせる必要があります。

今は「今日やったところは、それから連続で20日間毎日反復練習する」みたいな感じでトレーニングしています。20日間連続でやると定着度はかなり向上しますよ。

【参考】言語学者「勉強スケジュールは分散したほうが効果的やで」分散学習




 
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