推奨:英語初心者🔰~
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公開:2022-08/04
関連:TOEIC初心者 / 英検準1級 / オンライン英会話初心者
初心者は「ジャンルを絞って」勉強しよう
なぜ英語力は伸びにくいのか?
↑この図にある3つの円は、それぞれ
● ネイティブの英語力
● 英検1級に合格した直後の人の英語力
● TOEIC 900点を取得した直後の人の英語力
の範囲のイメージです。あくまでも僕の主観です。このイメージに科学的根拠はありません(笑)。
とりあえず、ネイティブの円が、英検1級やTOEIC 900点の円よりも、非常に広いということをつかんでいただきたいのです。
ところで、ネイティブの語彙力がどれくらいあるかご存知ですか?
成人の英語母語話者は20,000程度の英単語を知っていると言われています……(P. 3)
英語学習の科学
中田 達也・鈴木 祐一・他9名
研究社
2022-04/25
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一方、2012年にTOEIC 900点、2016年に英検準1級を取り、2018年にTest your English vocabularyで測った僕の語彙力は、たったの8,300でした。
※Test your vocabのサイトは今は運営者が替わったっぽい。
つまり、「英語力が高い」と考えられているTOEIC 900点ホルダーですらネイティブの半分未満の語彙力しかないと推測されるわけです。
それくらい英語の範囲というのは非常に広いんですね。
ジャンルによって単語・構文・文法は全然違う
また、応用言語学者の白井恭弘教授によると、ジャンルが違うと、単語・文法・構文が全然異なるそうです。ここ数十年のコーパス言語学研究や、ジャンル分析などの結果、英語といっても、ジャンルによって使われる単語や構文は全然違ってくることがわかってきました。
たとえば、アナウンサーがテレビでしゃべっているときと、家で子供に向かってしゃべっているときでは、単語も文法もかなり違うものを使っています。(P. 78)
実際、TOEICと英検も、被る部分はある程度ありますが、どちらも高得点を取ろうと思うと、それぞれに必要な語彙力は異なってきます。
また、オンライン英会話においても、
● 自分の仕事や趣味の話
● ディスカッション
● 写真描写
それぞれで、必要になる単語・文法・構文は違うなと痛感しています。
加えて、映画・ドラマ、ネイティブYouTuberの動画などで勉強・トレーニングしてきましたが、これらもまたけっこう異なる英語力が必要とされるんですよね。
最初から幅広くやると伸び悩む
つまり、英語初心者🔰の方が、● いろんなジャンルのテキストを同時並行する→未知語の割合が増える
● TOEIC(or英検)と英会話を同時進行する→3~4技能を同時に勉強する必要がある
ため、どれだけ勉強しても一向に「上達しない」「スコアが上がらない」「話せるようにならない」となってしまう可能性が高くなります。
【関連】TOEICスコアが伸びない人によくある9パターンとその対策
【関連】オンライン英会話はTOEICに効果があるか?
初心者はまず得意分野を作ろう
応用言語学者の白井恭弘教授は、学生時代、ジャンルを絞って大量のインプットをされたそうです。分野をしぼって大量にインプットする
大学時代にどんなことをやったかというと、簡単に言えば「大量のインプットと少量のアウトプット」です。
このころは、「第二言語習得」なんていうのはまったく聞いたこともなかったわけで、自分でいいと思うことをやったら、「たまたま」こういうふうになっていたわけですけれども、あとから第二言語習得について勉強して、そのときの学習法が正しかったことが分かりました。
具体的にどういうことをやったかというと、「分野をしぼったインプット」です。(P. 63)
また、脳研究者の池谷裕二教授は著書で、得意分野を作ることを勧めておられます。
1つの分野をマスターすると第2、第3の分野が比較的早くマスターできるようになるというのも、脳の特徴の1つです。これを「学習の転移」といいます。
「学習の転移」は脳が「方法記憶(方法や考え方を体で覚える記憶)」を使うことで起こります。
1つ目の分野をマスターしたときに習得した「理解のしかた」や「考えかた」を使って、第2の分野をより早く、効率的に勉強できるようになります。
このしくみをうまく利用するには、あれこれ同時に習得していくのではなく、まず1つ「これだけはだれにも負けない!」という得意分野を作ることです。そうすれば、ほかの分野も効率的に学ぶことができます。(P. 70)
東大教授が教える!
デキる大人の勉強脳の作り方
池谷裕二
日本図書センター
2021-01/20
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この「学習の転移」は、英語学習者にとっても非常に重要だと思ったんです。
ただ、SNS時代においては、あらゆるジャンルで超優秀な人たちが見つかってしまうので、「これだけは誰にも負けない!」というメンタリティだと、永遠に得意分野を作れないことになってしまいそうです(笑)。
そこで、
● 自分が好きなこと・興味あること
● 自分のあらゆるスキルの中で比較的に得意だと感じること
に絞る、と考えたほうが精神衛生上いいと考えています。
管理人の「学習の転移」
サボりまくり期
僕の「学習の転移」のケースをご紹介しておこうと思います。まず、2007年にやり直し英語を始めた頃は、これらのことは全く分かっていなかったので、ジャンルも絞らず、いろんなテキストを同時並行して勉強していました。
当然、なかなか上達しないので、何度も挫折するわけです(笑)。
【関連】TOEICリスニング満点の僕が2年勉強しても10点しか上がらなかった頃の話
第1の分野 - TOEIC
ですが、2010年の夏頃に
「今の会社は将来性がなさ過ぎる。辞めたい」
→「転職しようにも、学歴も人脈もスキルもキャリアも何にもない」
→「英語に本気で取り組もう」
→「TOEICは実用的っぽいな」
→「TOEIC 900点あると転職に強そう」
→「すでにTOEIC 900点持ってる人から best practice(最善のやり方)を学ぶべきだな」
→「なるほど、TOEICスコアを上げるためには、TOEIC対策本をメインにしないといけないのか」。
というわけで、TOEICに特化して勉強するようになりました。これが奏功し、2012年にTOEIC 900点が取れました。
上述した白井教授によると、英語学習において特化して勉強することは「ESP (English for Specific Purposes)」と呼ばれるそうです。
このような違い(ジャンルによって使われる単語や構文は全然違ってくること)を意識して考え出されたのが、ESP (English for Specific Purposes) です。
例をあげれば、薬剤師のための英語とか、看護師のための英語とか。当然、使う単語や、表現などは恋愛映画のそれとは相当異なります。
ですから、TOEFLなら、TOEFLに特化した学習をしたほうが効率はよいのです。(P. 78)
【出典】英語は科学的に勉強しよう
第2の分野 - 英会話
TOEICのお陰で、特化して勉強することの重要性が分かったので、2013年からはオンライン英会話に特化しました。池谷教授が仰るように、1つ目の分野(TOEIC)をマスターしたときに習得したリスニング力と瞬間英作文スキルのお陰で、第2の分野(オンライン英会話)で、最初からある程度聞き取って話すことができたんです。
また、オンライン英会話では、まずは「自分の趣味・興味あること・仕事について英語で説明できる」を目標にしました。
自分のことについてある程度話せるようになってきたら、今度はさまざまなトピックで意見が言えるようにするために「ニュース記事ディスカッション」を、また、文法力と流暢さ向上のために「カランメソッド」を始めました。
【関連】オンライン英会話 初心者が撃沈しないために準備すべき5つのこと
【関連】オンライン英会話3000回に到達したので効果と現在の課題をまとめてみた
第3の分野 - 英検
ある程度英語が話せるようになってきたので、2015年からは英検準1級の勉強を開始し、2016年に英検準1級に合格できました。
TOEIC勉(第1の分野)で身につけた語彙力・精読スキル・再読スキルのお陰で、英検の語彙問題や読解問題はわりと易しく感じました。
また、オンライン英会話(第2の分野)で社会問題のディスカッションをやってきたことで、英検準1級(第3の分野)のライティングと2次試験(スピーキング)に役立ちました。
このように、僕はジャンルを絞って勉強し、2~3年浸ってから次のジャンルを始める、という感じで徐々に英語力を広げてきました。
というわけで、現在伸び悩みを感じておられる方は、まずは何かの分野に特化して勉強・トレーニングすることをお勧めします(・∀・)b
何かご質問・感想があれば、コメントかメッセージぜひ!
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