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公開:2012年
更新:2022-06/28 部分的に加筆・修正
関連:参考書の選び方 / 公式&模試 / 単語帳 / リスニング / Part 5・6 / Part 7
2008年に初めてTOEICを受けたときは560点でした。それから今まで49回受けてきました。現在は950点(L495/R455)がベストです。
購入したTOEIC本は100冊以上ありますが、そのうち50冊くらいの問題集をやり込んできました。僕は1冊1冊じっくりと【 精聴 】【 精読 】しながらやり込むタイプなので、長年TOEICをやってる人の中では問題集の数は少ないほうだと思います。
新形式に対応した模試は13冊解きました。この記事では、自分がトライしてみて「本当にいい」と思った問題集だけを選んで紹介し、勉強とトレーニングのやり方を解説しています。
また、新形式の対策と勉強法については「新形式TOEIC 対策と勉強法まとめ リスニング編 / リーディング編」をご覧下さい。
1. 公式問題集と模試の違い
● 本試験に最も近い『公式問題集』

公式問題集は、TOEICのテストを作成しているアメリカのテスト開発期間「ETS」が作った問題集なので、音声や英文(会話・トーク・文書)が本番に限りなく近いというのが最大のメリットです。
なので、公式問題集の音声・英文を使って、ひたすらトレーニングをすると、
が身につきます。つまり、TOEICに必要な英語力を効率的に身につけることができるわけです。
ただ、問題の解き方や、勉強のやり方、新形式のノウハウなどは記載されていないので、その点は後述する『模試』や『パート別の問題集』で学ぶ必要があります。
公式問題集は他の模試よりも高く、ETSのマッチポンプな感じもしますが(笑)、問題も英文も丁寧に作られていると感じています。
● ノウハウが学べる『模試』
模試には、公式問題集よりも解説が丁寧なものが多く、勉強のやり方や問題の解き方といった、TOEICに必要なノウハウも学べるのが大きなメリットです。ただ、模試やパート別の問題集はアヤシイ本も多いです。
本屋さんに行ったら、見たことない本は片っ端からチェックしていますが、
「この著者、本当にTOEIC受けたことあるんかな?」
「TOEIC頻出?いやいや、こんな単語、まず出えへんし!」
「古いタイプの問題が多いな。この著者、最近のTOEIC受けてないのでは?」
「このノウハウが通じたのはもう数年前の話ですよ…」
と感じる本が、書店でしれっと平積み(目立つところに配置)されていたりします。書店には、売れている本ではなく、出版社からの意向で平積みされていることもあるので、購入前にAmazonでレビューをチェックするクセをつけましょう。
【参考】失敗しない!TOEIC参考書・教材の選び方 8つの注意点
● 旧形式の公式問題集・模試はまだ使えるか?
公開テストは2016年05月から、IPテストは2017年04月から新形式に移行しています。新形式で新たに加わった問題は多く、また問題や英文の質も変わってきているので、少しでも早く800~900点を取りたいのであれば、新形式に対応した問題集を使ったほうが時間対効果は高いと考えています。
【参考】TOEICスコアが伸びない人によくある9パターンとその対策
2. 公式問題集
『公式 TOEIC Listening & Reading 問題集』
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上述したように、公式問題集は他の模試に比べると割高なのですが、その分問題と英文の質が公開テスト(本試験)に最も近いと感じています。
なので、Part 3・4で暗唱し、リーディングパートで再読トレーニングすれば公開テストでもデジャブ感を味わえます。
また、なるべく最新の公式問題集を買うのをお勧めします。
公開テストは毎回徐々に問題の質が変わり続けるものなので、最新のTOEIC本ほど最近の公開テストに近いものになります。
例えば、最近は「公式TOEIC L&R問題集8」の音声と英文でトレーニングしているのですが、Netfli◯やYou◯uberを彷彿とさせる、昔のTOEICにはなかった話(≒語彙)が出てくるんですよね。
また、この「公式8」に登場するイギリス人女性は、アクセント(発音)は聞き取りやすいのですがわりと早口な方なので、1.2倍速シャドウイングでトレーニングしておけば、公開テストの早口なナレーターに強くなるはず。
600~700点くらいならそこまでシビアにならなくてもいいですが、800~900点をめざす方は、なるべく新しいものをやったほうが900点を超える確率は上がるはずです。
3. 模試
『至高の模試600問』
毎回TOEICを受け続けておられる講師・ヒロ前田先生とテッド寺倉先生の模試です。『公式問題集 新形式対応編』とこの『至高の模試600問(旧・非公式問題集)』の2冊だけでリスニング475点が獲れたわけではないですが、新形式の問題に慣れることができたのは間違いなくこの2冊のお陰です。
僕が解いた模試の中では、問題・英文のクオリティがもっとも本試験に近いと感じました。僕の英語力・TOEIC力だと、もしこの模試のテストを本番に出されたとしたら、気づかないと思います。
新形式のノウハウ、問題の解き方、問題傾向についてもたくさん載ってるのでとても勉強になりました。
あと、特典音声に、Part 2の「問題文→正解の応答文のみ」という音声があるのですが、これはPart 2の正解のデータベースを増やすトレーニングに最適なので超おすすめです。また、Part 5の読み上げ音声もありますよ。
旧版(非公式問題集)では、解答解説編が別冊になっていなかったので勉強がしづらく、そこが不満点だったのですが、新版(至高の模試)では別冊になったので、勉強しやすくなりました。Test 3の問題はいい感じの難易度です。
『新形式精選模試』
東京にある「エッセンス イングリッシュスクール」というTOEICの専門学校の講師の方々が作成されている模試です。
実は2010年(旧形式)の頃、この学校の講師の方々が出していた『TOEICテスト リスニングBOX/リーディングBOX』という模試をやったことがあるのですが、失礼ながら、質があまり高くないと感じたので途中で解くのを止めました。
なので、最初はこの模試に対して懐疑的だったのですが、信頼できるTOEICkerの方々が賞賛していたのでトライしてみたところ、けっこう良かったです。
ただ、800点前後はあったほうがいいと思います。
まず、Part 3・4・7の【 言い換え 】の割合が多く(=難易度が高く)、めっちゃ間違えました。不正解の選択肢も巧みに作られていて、思わず選んでしまうものが多かったです。
公式問題集ほどではないですが、語注はそこそこあって親切です。
不正解の選択肢がかなり巧妙にできているのですが、他の模試や問題集と同様に、その解説がないものも多いので、リーディング800点くらいないと、「なんでこれが不正解になるのか分からん!」でモヤモヤすることがあるかもしれません。
少し残念だったのは、音声が全体的に若干ゆっくりめな点です。最近のTOEICを受けている方は気づいておられると思いますが、最近の本試験のナレーターは、速いときはかなり速いです。200 wpmを余裕で超えるときもあるかと。
なので僕は、【 脳内ディクテーション 】で聞き慣れてきたら、1.2~1.5倍速で【 速聴 】していました。
また、「解答・解説」編のTP(トリプルパッセージ:3文書問題)の英文が小さいので、ご年配の方は見づらいかもしれません。
4. 公式問題集・模試の効果的な使い方
この章では、前半は「目標スコア別 勉強の進め方」、後半は「パート別の勉強・トレーニング」のやり方について解説しています。
ここではシンプルな説明に留めましたので、詳しい勉強法については、各項目にあるリンク先の記事をご覧下さい(・∀・)b
公式問題集・模試の真の役割

公式問題集・模試は、解いて答え合わせをして「あーこれくらいのスコアレンジかー。へこむなー。」で終わり。それは、フレンチレストランに行って、食前酒だけ飲んで帰ってくるようなものです。
また、「模試を何度も解く」という人もいますが、「模試をただ何度も解くだけ」という行為は、前菜すらまだ出てきていないのに、食前酒を何度もお分かりしている感じです。それではいつまで経っても、仔牛のヒレステーキ フォアグラ添えにはたどりつけませぬぞ、殿。
公式問題集・模試は、むしろ解き終わってから、本当の勉強が始まります。
確かに、TOEICの本試験では、公式問題集の問題・英文がそのまま出るわけではないです。しかし、TOEICに出てくる問題・英文の多くはパターン化されているんですよね。
ご存知の方にはよく分かっていただける例えだと思いますが、TOEICは「トルネコの大冒険」や「風来のシレン」に似ています。
ダンジョンに入る度に(受験する度に)、毎回フロアの構成、モンスターやアイテムの出現パターン(問題・会話・トーク・文書のパターン)は変わるけど、出てくるモンスターやアイテム(出てくる語彙や表現)はほぼ決まっている感じ。
トレーニングし終えたテキストが増えれば増えるほど、リスニングで聞き取れる音声、リーディングで正確に読める英文、解ける問題の割合が増え、その結果、高得点が獲れるようになってきます。
予想スコアよりも「なぜ間違えたか?」が大切
模試を解くときは、時間をきちんと測り、マークシートも使って解いて下さい。ただ、答え合わせをした後の予想スコアは、正直、僕はあんまり参考にしていません。まず、受けているときの緊張感が違いますし、予想スコアは本試験並みに正確なスコアが出るわけではありません。
ですので、もしスコアが低くても落ち込まなくてOK。模試のスコアが悪いということは、「汝、我から多くを学び給へ」という模試からの啓示です(笑)
予想スコアよりも、「なぜ間違えたのか?」を分析することが大切。
などがあります。そういったことを1つ1つ分析し、日々のトレーニングに反映させていくことで、英語力が向上し、問題の解き方も身についてきます。
【目標スコア別 勉強の進め方】
● 600点をめざす → テスト2~3回分
英語初心者の方や現在600点未満の方は、まずは公式問題集(模試)1冊分(テスト2回分)の音声と英文を使ってトレーニングしていきます。詳しくは「パート別の勉強のやり方」でお伝えします。僕自身もそうでしたが、公式問題集(模試)1~2冊を徹底的にやり込むことで、600~700点を超える方が多いです。徹底的にやり込むと具体的な勉強のやり方については次の記事をお読み下さい。
【参考】TOEIC初心者が確実に600点取るための6つの戦略と勉強法
● 700~800点をめざす → テスト4~5回分
600点を超えてきたら、さらにテスト2~3回分の模試の音声と英文を使ってトレーニングすることで、700~800点台に到達できるはずです。なぜなら、上述したように、トレーニングし終えた模試・問題集が増えれば増えるほど、TOEICによく出る語彙、問題のパターン、Part 3・4の会話・トークのパターン、Part 6・7の文書パターン、言い換え・ヒッカケのパターンを自動的に覚えてくるからです。
また、700~800点を突破できるかどうかは、多くのTOEICkerが苦手とするPart 3・4とPart 7のスコアを上げられるかどうかがカギになります。詳しくは次の記事で(=゚ω゚)ノ
【参考】TOEIC 700~800点を確実に獲る!6つの戦略と勉強法
● 900点をめざす → テスト10~20回分

▲2012年に910点(L445/R465)獲ったときのアビメ
900点を獲るためには、約9割は正解する必要がある = 苦手パートをなくす必要があるということになります。
また、リスニングで450~満点を獲る人は、Part 3・4のリスニング全体で7割以上は聞き取っています。
逆に言うと、Part 3・4で半分くらいしか聞き取れない人は、450点以上獲れないということです。そんなわけで、Part 3・4は7~9割聞き取れるようになるまででトレーニングする必要があります。
リーディングは、満点ブロガーのTommyさん のアドバイスで、Part 5・6だけで合計1000問を解きました。
また、模試10回分のPart 7の英文を【精読】した上で、10~20回【通読】したことで、465点が獲れました。
大学受験のときに「英語はそこそこ勉強した」という方は、文法力・語彙力・読解力があるので、おそらく模試のテスト10回分をやり込むだけで900点は超えると思います。
ただ、「学生時代、英語はサボった…」「10年以上、英語に触れてない」といった方は、模試のテスト15~20回分くらいはやり込む必要があると思います。
【参考】TOEIC 900点を確実に獲る!6つの戦略と勉強法
【パート別の勉強のやり方】
Part 1・2

リスニングにおいては、「流暢に発音できる音 = 瞬時に聞き取れる音」になります。
なので、Part 1・2はまず、【 ディクテーション 】で聞き取れない発音を明確にした上で、【 オーバーラッピング 】で、なめらかに言えるようになるまでトレーニングすることで、聞き取れる"音"が増えてきます。
おそらくこのディクテーション&オーバーラッピングだけでも、模試のテスト2~4回分をこなせば、リスニング300点は超えてくるはずです。
ただし、オーバーラッピングだけだと「"音"は聞き取れるけど、"意味"がつかめない」という問題が残り、多くの方は300点台で伸び悩み始めます。
これを解決してくれるのが【 瞬間英作文 】です。
瞬間英作文で「日本語訳を見て、英語でスラスラ言えるようになる」まで何度もやると、オーバーラッピングでは獲得しにくかった「音から意味がつかめない」「文頭から瞬時につかめない」「何度か聞かないと理解できない」を解決できます。
オーバーラッピングと瞬間英作文で、どちらもスラスラ言えるようになるまでトレーニングしたPart 1・2の音声と英文が増えてくると、文頭から瞬時に、一発で聞き取れる問題が増えていきます。詳しくは次の記事をお読み下さい。
【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 1・2編
Part 3・4
Part 1・2がそこそこ聞き取れるようになって、消去法を駆使しながらでも正答率が上がってくると、リスニングでは300点を超えてきます。しかし、Part 3・4は「ほとんど聞き取れない」状態だと思います。Part 3・4のトレーニングの進め方に関しては、Part 1・2のステップとほぼ同じなのですが、瞬間英作文をやった後に、【 暗唱 】をやることで完成します。
暗唱し終えたPart 3の会話・Part 4のトークのストックが増えれば増えるほど、聞き取れる割合が増え、会話・トークの流れが瞬時につかめるようになり、ストーリーの展開を予測できるようになっていきます。
暗唱は、ぶっちゃけ面倒くさいのですが(笑)、時間対効果がもっとも大きいトレーニングだと感じています。リスニング300点台で暗唱をやり始めた読者さんで、半年以内にリスニング400点台に到達した読者さんをたくさん見てきたんですよ。
「少しでも早く800~900点取りたい!」という方は、ぜひ暗唱を取り入れてみて下さい。
【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 3・4編
【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!
Part 5・6

僕自身は、Part 5・6に関しては、公式問題集や模試よりも、『文法特急・単語特急シリーズ』などの新書サイズのPart 5・6対策本をメインで勉強しました。
理由は小さくて薄い = どこでもサッと取り出して勉強しやすい&薄いので読破(解く破?)しやすいからです。
ただ、公式問題集・模試のテスト10回分のPart 5・6は、それぞれ3回解き、10回通読はしました。
Part 5・6を解いて通読し終えた問題集が増えれば増えるほど、
→ Part 5・6を解くスピードも向上
→ Part 7により多くの時間を回せる
ようになります。
公式問題集・模試をメインにするか、Part 5・6対策本をメインにするかは、好みで決めるといいと思います。
いずれにせよ、上述したように、700~800点をめざすなら500問、900点をめざすなら1000問解くする必要があります。
【参考】TOEIC Part 5・6・文法 攻略法&おすすめ問題集まとめ
【参考】TOEIC スコアもリーディング力も向上する勉強法 Part 5・6編
Part 7
上述しましたが、2010~2011年にかけて、公式問題集2冊分(テスト4回分)のリーディングパートのすべての英文を【精読】した上で、20回【通読】するトレーニングをしたことで、リーディングは400点近くをコンスタントに獲れるようになりました。その後、さらに模試のテスト6回分を「精読→10回通読」することで、465点に到達しました。
※「Part 5・6の1000問ノック」も含む。
テスト1回分の「精読→10~20回通読」をやるのに、最初は2ヶ月くらいかかるかもしれないですが、このトレーニングをこなせばこなすほど、語彙力が芋づる式に身につき、英文を読むスピードが上がってくるので、トレーニングにかかる期間は徐々に短くなります。
テスト10回分の「精読→10回通読」こなすと、Part 7はスラスラ読めるようになり、問題もサクサク解けるようになるので、ゲーム感覚になります。
【参考】TOEIC リーディング465点が獲れたPart 7勉強法「通読トレーニング」
● 初心者~600点/700~800点
● 900点/990点満点
【 おすすめ参考書・問題集 】
● 参考書の選び方 8つの注意点
● 900点獲るのに役立った参考書まとめ
● 公式問題集・模試/単語帳/文法書
● Part 1~4/Part 5・6/Part 7
【 リスニング対策 】
● 新形式リスニング対策
● 勉強法:Part 1・2編/Part 3・4編
● Part 2:間接応答・距離が遠い問題
● Part 3・4:先読み/キーワード400
● 発音/音の連結・消失/ディクテーション
● オーバーラッピング&シャドウイング
● 瞬間英作文/暗唱/速聴
【 リーディング対策 】
● 新形式リーディング対策
● 勉強法:Part 5・6編/Part 7編
● 精読(英文解釈)/通読/速音読
● キーワード400/言い換え
【 問題解決 】
● 英語学習の継続のコツ
● 各スコアに必要な勉強時間&問題数
● スコアが伸びない9パターン
● 時間が足りない対策:Part 5・6編/Part 7編
● アビメの見方:リスニング/リーディング

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