フリートーク |
先日、音楽制作活動の引退と、DAAK. DAYZ名義でリリースした3作品について書きましたが、今回はその全曲解説です。
ところが実際、「アーティスト自身による曲解説」っていうのが大嫌いなんですよね。アート作品というのは受け手が個々に意味やメッセージを感じ取ったり解釈したりするものなのに、表現者自身が答えを出してどうする!って思うんですよ。でも自分ではやっちゃうんだなあこれが!まあ、こういうのやるのも楽しいので。
2018.12.31 Release Debut Album 『ねんまつ』
全曲まとめてダウンロード(FREE)
1. みんなニュータイプ
仮タイトルは「Love Me Harder」。Ariana Grande feat. The Weekendの同タイトル曲にインスパイアされ、「ミディアムテンポの四つ打ち+16ビートのベースライン」な曲として制作された。元々はBPM190の高速ガバ・テクノ曲にするつもりだったピアノのフレーズをそのまま使い、BPMを半分の95に落としている。
タイトルの「ニュータイプ」とは「機動戦士ガンダム」に登場する用語で、第六感的な能力を持つ進化した人類を指すが、人類のほとんどがニュータイプになった後に起こるであろう「オールドタイプに対する排除や迫害」への警鐘をテーマにしており、これは「遺伝子操作による"適正者"と"不適正者"の選別」を扱った97年のSF映画『ガタカ』にインスパイアされている。
ボーカル(のようなもの)は、米ブロンクスの某ラッパーのライブMCのサンプリングにハーモナイザーをかけたもの。
2. Jungfrau 2 feat. 死すてぃま, 更枕くらん
タイトルの「ユングフラウ」はアルプス山脈にある山の名称であり、 「乙女」「処女」という意。Rihanna feat. Mikky Ekkoの「Stay」のような、8ビートを刻むピアノが入った美しい曲が作りたくてできた曲。
女性の声で2つのフレーズがサンプリングされているが、そのうちの一つが「ユングフラウ」と歌っているように聞こえる(実際は全く別のワード)ことからこのタイトルが付いた。末尾の「2」は、作成ファイルを別名保存する際に適当に付けたものだが、My Bloody Valentineの「Wonder 2」みたいでかっこいいのでそのままタイトルにした。
3. ギンヌンガガプ (Ginnungagap)
「ギンヌンガガプ」とは北欧神話に登場する「世界の創造の前に存在していた巨大で空虚な裂け目」の意。英ブリストルの某グループのピアノフレーズと、トランスの有名曲のボーカル(の逆再生)をサンプリングしている。チルR&B的なビート曲が作りたくてできた曲。
4. いきなりディストピア
たまにはハードコアな曲を、と思い初期衝動のみでガーッとできた曲。日本の某グループとアメリカの某パンク・バンドの曲をサンプリングしている。
元々「○○ディストピア」という曲名にしようと思っていたが、アルバムの曲順を決める段階で冒頭3曲はミディアム~スローテンポ曲で固め、4曲目からこの曲でいきなり雰囲気を変えようと思ったことからこのタイトルが付けられた。
5. 2058
数年前に海外のネット掲示板に現れ話題となった未来人「ジョン・タイター」が来たとされる2058年の世界をテーマにしている。「みんなニュータイプ」のアレンジ変更によってボツになったガバ・テクノに再チャレンジした曲で、英グラスゴーの某バンドの曲をサンプリングしている。
6. The Oregon Vortex
オレゴン・ヴォーテックスとは、オレゴン州に実在する「超自然現象の起こる地」とされるミステリー・スポット。DAAK. DAYZ.としては最も古い曲で、2014年に別の曲を制作中に煮詰まり、息抜きのために適当に弾いたフレーズがきっかけで生まれた。そこから4時間ほどでイッキに完成、その後は一度も手を加えられていない。
Aphex TwinやSquarepusherに代表される「ドリルンベース」のビートが取り入れられ、ピッツィカート奏法による弦楽器音はAphex Twinの「Girl / Boy Song」が元ネタ。また、オレゴン・ヴォーテックスを案内するガイドの声と歩く音がサンプリングされている。
7. 遊星"X" (You Say "X")
3連リズムのダークなエレクトロ曲をと思い制作。タイトルは、ジョン・カーペンターによる82年のSFホラー映画『遊星からの物体X』を元ネタにしているが、X JAPANがライブ定番曲「X」を演奏するときにオーディエンスがXジャンプを決める姿ともリンクさせたパロディである。
8. Fata Morgana (蜃気楼)
「Fata Morgana」とは蜃気楼を意味するドイツ語。The Horrorsの「Moving Further Away」のシンセ・フレーズにインスパイアされ制作されたが、同じくThe Horrorsの曲で「Mirror's Image」を「Mirage (=蜃気楼) Image」と勘違いしていたことからこのタイトルが付けられた。
コード進行に関してはColdplayの「Lovers In Japan」がベースとなっている。
9. -人類終了のおしらせ-
数年前に浮かびずっと頭から離れなかったフレーズを元に、「Aphex Twinの『Drukqs』に入ってそう」というイメージでアレンジした曲。15拍子のフレーズを少しずらしながら単調なビートに乗せ、拍子の「アタマ」の部分を錯覚させるようにしている。
このアルバムを通して、遺伝子操作によりニュータイプ(適正者)の人間ばかりとなった世界がディストピア化し、かつて未来人が警鐘を鳴らした2058年を迎えた後、人類が終了する過程を描いている。また、人類の歴史を一年に見立てた場合に人類が終焉を迎える日=大晦日ということで『ねんまつ』というタイトルが付けられているが、これは「つまんね」のアナグラムでもある。
2019.1.11 Release 2nd Album『ねんし』
まとめてダウンロード(FREE)
1. わたしが幽霊になっても
もともとはSweetboxの97年のヒット曲「Everything's Gonna Be Alright」にインスパイアされ、99年頃にヒップホップのビートとクラシックっぽいストリングスをミックスして作った曲が原型。その曲のストリングスのメロディをそのまま用い、行進曲のようなドラムロールやフルート、トロンボーンなどの音を加えて童話のようなメルヘンチックなアレンジにした。タイトルはもちろん、森高千里の「私がオバさんになっても」のパロディ。
2. 東京Dizzy Land feat. 睦峰宗光 [Mutsumine Munemitsu]
猛暑が続く真夏に某テーマパークで行列を作っている人たちの姿をニュースで観て生まれた曲。ヒートアイランド現象により都会がディジー(眩暈がする)な状態になることを歌っている。
歌詞にある「My Hometownは東京じゃない」とは、千葉県出身である自らが抱く「東京」の名を冠した某テーマパークに対する皮肉が込められているが、「キャプテンE・O 手を伸ばした」という歌詞では初めての3D映像に感激した幼少期の思い出も描かれている。ネット配信により人気を得た日本の某バンドのビートのほか、洋邦問わず様々な曲がサンプリングされているが、鉄琴のような音はCDレンズクリーナーの再生中に流れるジングルのサンプリングである。また、チアリーディングの声をサンプリングすることでThe Go! Teamっぽい雰囲気を演出している。
むつみねむねみつ…なんて言いにくい名前だ。
3. TRILITHOИ + MEИHIR / U.F.O.V.H.S.
イギリスにある世界文化遺産でありミステリー・スポットであるストーンヘンジ(実際に行ったこともある)がテーマになっており、「トリリトン」とはその中の門型の組石、「メンヒル」とはその周囲の立石のこと。Portisheadの「Machine Gun」に触発され、インパクトのあるドラムビートを作りたいというアイデアで生まれた。ボーカルはフランスの某女優/女性シンガーソングライターの曲をサンプリングしている。
また、後半パートの「U.F.O.V.H.S.」は『Dummy』の頃のPortisheadにインスパイアされており、いくつかのジャズ・ナンバーがサンプリングされている。現代においては映像クオリティの進化によってUFOや心霊といったオカルト映像が少なくなっており、VHSや8mmなどアナログなフォーマットならではの産物でもあったことから転じて、「科学技術の発展によってリアリティを奪われたもの」を象徴している。ストーンヘンジがUFOの着陸地であるという言説に関連し、この2曲は組曲になっている。
4. 三次元仮想世界
フランスの某ロック・バンドの楽曲をサンプリングし細かく切り刻んで制作された曲。ビートとボイス以外はほぼすべてネタ曲の音で構成されており、ビートはJuke/Footworkとダンスホール・レゲエのミクスチャーをコンセプトにしている。
5. Fantasy Black Channel feat. ぼくのぎみっくのびょうよみ
某ドゥーワップ・グループの曲をサンプリングした、ポエトリー・リーディングを取り入れた曲。サンプリングネタのグループに関連して、かつて彼らがやっていた「ブラック・フェイス」と、初期のグループ名を掛けてこのタイトルとなった。
強いディレイによってポエトリー・リーディングの内容は不明瞭だが、師匠への感謝の思いと某週刊誌への痛烈な批判が込められている。
6. Homeopathy
「ホメオパシー」とは1796年にザムエル・ハーネマンが提唱した「その病気や症状を起こしうる薬(やもの)を使って、その病気や症状を治すことができる」という原理のこと。Jon Hopkins「Breathe This Air」にインスパイアされ、美しいピアノの旋律を取り入れたクラブ・ミュージックというコンセプトで制作された。フランスの某シンガーの声がサンプリングされている。
7. DAAK. FASCINATION. feat. Robert Burns
2008年頃にYouth of Euphoria名義で制作された曲に手を加える形で、10年越しで再完成させた。
80年代のニューウェーヴやニュー・ロマンティクスをイメージして作られたこの曲は、もともとは間奏部分にMGMT「Kids」のシンセ・フレーズが引用されていたが、耽美さとダークさを増すためにここでは重厚なピアノが加わった間奏に差し替えられた。フィーチャリング・ボーカルは、The CureのRobert SmithやDead or AliveのPete Burnsの影響を受けたRobert Burnsなる人物が担当している。また、イントロではThe VaselinesによるDivineのカバー「You Think You're a Man」も引用されている。
タイトルにはアーティスト名と同じく「DAAK.」の文字が入っており、このプロジェクトの名刺代わりとも言える存在。
8. たあへるあなとみあ feat. 沓掛見聞録
正確には覚えていないがおそらく2000年頃からあった短いデモ曲を15年以上ぶりに完成させたもの。強めのエフェクトとボーカルを加えることでシューゲイザー、というよりはFlipper's Guitarの「アクアマリン」の雰囲気をイメージした。タイトルは杉田玄白の「解体新書」の元になった書物「ターヘル・アナトミア」から取られているが、小学生時代にクラスメートが「たあへるあなとみあ」と平仮名表記したのを気に入っていたためその名を付けた。
なお、フィーチャリング・ボーカルの「沓掛見聞録」は「くつかけけんぶんろく」と読むが、「シューゲイザー=靴を見つめる人」から着想を経たステージ・ネームのようである。
9. 保護色ガール feat. 美咲エリモ
保護色とは、生物が体の色によって背景と見分けがつきにくくなっている状態のことを指すが、これは流行りに乗るばかりで周囲と同化することによって個性を失い、集団の中に埋もれる存在を皮肉った曲である。Aメロ部分などはEllie Gouldingの「Little Dreams」からインスパイアされている。
この曲のアレンジは90年代のユーロダンス調だが、これは自身が曲作りを始めた頃の作風のセルフ・パロディである。かつては和音の知識も曲構成のセオリーも持たずユーロダンス曲を作っていたが、次第にそれらの知識を身に着けつつも、ユーロダンス調のものは作らなくなっていった。しかし敢えて今、ユーロダンス曲を作ることで、20数年前の曲とどれだけクオリティの差が出るだろうか?そこにこそ自分の成長度合いがわかるのでは?という思いで制作された。
歌詞の「ここから始まって ここで終わる」というのはつまり25年間の音楽制作がこのようなジャンルの音楽からスタートしたことと、DAAK. DAYZのオリジナル曲としてはこの曲がラスト・アルバムのラスト曲であるという意味が込められている。
2019.1.18 Release 『波 EP』
まとめてダウンロード(FREE)
1 Fata Morgana (Motorik 75 Version)
17分を超える「Fata Morgana (蜃気楼)」のセルフ・リミックス。Neu!をイメージしてハンマー・ビートを取り入れている。ハンマー・ビートは海外では「Motorik Beat」と呼ばれており、Neu!の傑作3rdアルバム『Neu! 75』とともにリミックス・タイトルの由来となっている。
13分台からこの曲の逆再生バージョンがクロスフェードされている。
2 Robert Miles - Children (Cover)
2017年に亡くなったハウス/テクノ/トランス/アンビエント系のプロデューサーRobert Milesの代表曲のカバー。ちなみにオリジナル曲はユーロ・ホット100チャートで13週連続1位という記録を持っており、リリース当時はここ日本でも非常にヒットした。
Disclosureにインスパイアされ、アーリー90'sっぽいディスコ・ハウス曲を作ろうという試みの中でこの曲のフレーズをサンプリングするアイデアだったが、あらためて原曲を聴くとあまりに素晴らしい曲だったため結果的には「カバー」という方向となった。Trap系のサンプリング音源集からいくつかサンプリングしている。
3 t.A.T.u. - 30 Miles (DAAK. DAYZ. Remix)
2002年に大ブレイクを果たし日本でも「Mステドタキャン~ミッシェル代打演奏事件」が半ば伝説となっているロシアの女性デュオt.A.T.u.の曲のカバー。メロディラインがカナダのCrystal Castlesっぽく感じたことからそれを意識したアレンジとなっている。
t.A.T.u.の原曲はピッチを落としてそのまま使用され、その上にビートやベースラインを重ねている。イントロはフリー音源のゴスペル・クワイアをサンプリングしている。
4 Weezer - Across The Sea (Cover)
2012年頃にカバーした音源を、主にビートとボーカル部分で新たに手を加えたもの。音楽制作を始めて、最初はあまり歌メロやコードに拘りがなく、音色の厚みでもって緩急を付けていたけど、そんな自分が曲を作る上で「メロディ」に重きを置くようになったのはWeezerのお陰である。ボーカルは「歌ってみた」系の動画からサンプリングしている。
5. (Bonus Track)
※EPをダウンロードすると聴けます
デュオ解散時期に依頼を受けたリミックス・ワークで、かつてのソロ名義で制作したもの。よって厳密にはDAAK. DAYZ.名義ではないが、今回ボーナス・トラックとして収録。他人の曲のリミックスは初めてだったが、すでにメロディや各パートの音素材が揃っている状態で自由にアレンジや音の足し引きの実験が行えることがとても楽しく、このままリミキサー専門にでもなろうかと思ったほど。
全曲まとめてダウンロード(FREE)
1. みんなニュータイプ
仮タイトルは「Love Me Harder」。Ariana Grande feat. The Weekendの同タイトル曲にインスパイアされ、「ミディアムテンポの四つ打ち+16ビートのベースライン」な曲として制作された。元々はBPM190の高速ガバ・テクノ曲にするつもりだったピアノのフレーズをそのまま使い、BPMを半分の95に落としている。
タイトルの「ニュータイプ」とは「機動戦士ガンダム」に登場する用語で、第六感的な能力を持つ進化した人類を指すが、人類のほとんどがニュータイプになった後に起こるであろう「オールドタイプに対する排除や迫害」への警鐘をテーマにしており、これは「遺伝子操作による"適正者"と"不適正者"の選別」を扱った97年のSF映画『ガタカ』にインスパイアされている。
ボーカル(のようなもの)は、米ブロンクスの某ラッパーのライブMCのサンプリングにハーモナイザーをかけたもの。
2. Jungfrau 2 feat. 死すてぃま, 更枕くらん
タイトルの「ユングフラウ」はアルプス山脈にある山の名称であり、 「乙女」「処女」という意。Rihanna feat. Mikky Ekkoの「Stay」のような、8ビートを刻むピアノが入った美しい曲が作りたくてできた曲。
女性の声で2つのフレーズがサンプリングされているが、そのうちの一つが「ユングフラウ」と歌っているように聞こえる(実際は全く別のワード)ことからこのタイトルが付いた。末尾の「2」は、作成ファイルを別名保存する際に適当に付けたものだが、My Bloody Valentineの「Wonder 2」みたいでかっこいいのでそのままタイトルにした。
3. ギンヌンガガプ (Ginnungagap)
「ギンヌンガガプ」とは北欧神話に登場する「世界の創造の前に存在していた巨大で空虚な裂け目」の意。英ブリストルの某グループのピアノフレーズと、トランスの有名曲のボーカル(の逆再生)をサンプリングしている。チルR&B的なビート曲が作りたくてできた曲。
4. いきなりディストピア
たまにはハードコアな曲を、と思い初期衝動のみでガーッとできた曲。日本の某グループとアメリカの某パンク・バンドの曲をサンプリングしている。
元々「○○ディストピア」という曲名にしようと思っていたが、アルバムの曲順を決める段階で冒頭3曲はミディアム~スローテンポ曲で固め、4曲目からこの曲でいきなり雰囲気を変えようと思ったことからこのタイトルが付けられた。
5. 2058
数年前に海外のネット掲示板に現れ話題となった未来人「ジョン・タイター」が来たとされる2058年の世界をテーマにしている。「みんなニュータイプ」のアレンジ変更によってボツになったガバ・テクノに再チャレンジした曲で、英グラスゴーの某バンドの曲をサンプリングしている。
6. The Oregon Vortex
オレゴン・ヴォーテックスとは、オレゴン州に実在する「超自然現象の起こる地」とされるミステリー・スポット。DAAK. DAYZ.としては最も古い曲で、2014年に別の曲を制作中に煮詰まり、息抜きのために適当に弾いたフレーズがきっかけで生まれた。そこから4時間ほどでイッキに完成、その後は一度も手を加えられていない。
Aphex TwinやSquarepusherに代表される「ドリルンベース」のビートが取り入れられ、ピッツィカート奏法による弦楽器音はAphex Twinの「Girl / Boy Song」が元ネタ。また、オレゴン・ヴォーテックスを案内するガイドの声と歩く音がサンプリングされている。
7. 遊星"X" (You Say "X")
3連リズムのダークなエレクトロ曲をと思い制作。タイトルは、ジョン・カーペンターによる82年のSFホラー映画『遊星からの物体X』を元ネタにしているが、X JAPANがライブ定番曲「X」を演奏するときにオーディエンスがXジャンプを決める姿ともリンクさせたパロディである。
8. Fata Morgana (蜃気楼)
「Fata Morgana」とは蜃気楼を意味するドイツ語。The Horrorsの「Moving Further Away」のシンセ・フレーズにインスパイアされ制作されたが、同じくThe Horrorsの曲で「Mirror's Image」を「Mirage (=蜃気楼) Image」と勘違いしていたことからこのタイトルが付けられた。
コード進行に関してはColdplayの「Lovers In Japan」がベースとなっている。
9. -人類終了のおしらせ-
数年前に浮かびずっと頭から離れなかったフレーズを元に、「Aphex Twinの『Drukqs』に入ってそう」というイメージでアレンジした曲。15拍子のフレーズを少しずらしながら単調なビートに乗せ、拍子の「アタマ」の部分を錯覚させるようにしている。
このアルバムを通して、遺伝子操作によりニュータイプ(適正者)の人間ばかりとなった世界がディストピア化し、かつて未来人が警鐘を鳴らした2058年を迎えた後、人類が終了する過程を描いている。また、人類の歴史を一年に見立てた場合に人類が終焉を迎える日=大晦日ということで『ねんまつ』というタイトルが付けられているが、これは「つまんね」のアナグラムでもある。
2019.1.11 Release 2nd Album『ねんし』
まとめてダウンロード(FREE)
1. わたしが幽霊になっても
もともとはSweetboxの97年のヒット曲「Everything's Gonna Be Alright」にインスパイアされ、99年頃にヒップホップのビートとクラシックっぽいストリングスをミックスして作った曲が原型。その曲のストリングスのメロディをそのまま用い、行進曲のようなドラムロールやフルート、トロンボーンなどの音を加えて童話のようなメルヘンチックなアレンジにした。タイトルはもちろん、森高千里の「私がオバさんになっても」のパロディ。
2. 東京Dizzy Land feat. 睦峰宗光 [Mutsumine Munemitsu]
猛暑が続く真夏に某テーマパークで行列を作っている人たちの姿をニュースで観て生まれた曲。ヒートアイランド現象により都会がディジー(眩暈がする)な状態になることを歌っている。
歌詞にある「My Hometownは東京じゃない」とは、千葉県出身である自らが抱く「東京」の名を冠した某テーマパークに対する皮肉が込められているが、「キャプテンE・O 手を伸ばした」という歌詞では初めての3D映像に感激した幼少期の思い出も描かれている。ネット配信により人気を得た日本の某バンドのビートのほか、洋邦問わず様々な曲がサンプリングされているが、鉄琴のような音はCDレンズクリーナーの再生中に流れるジングルのサンプリングである。また、チアリーディングの声をサンプリングすることでThe Go! Teamっぽい雰囲気を演出している。
むつみねむねみつ…なんて言いにくい名前だ。
3. TRILITHOИ + MEИHIR / U.F.O.V.H.S.
イギリスにある世界文化遺産でありミステリー・スポットであるストーンヘンジ(実際に行ったこともある)がテーマになっており、「トリリトン」とはその中の門型の組石、「メンヒル」とはその周囲の立石のこと。Portisheadの「Machine Gun」に触発され、インパクトのあるドラムビートを作りたいというアイデアで生まれた。ボーカルはフランスの某女優/女性シンガーソングライターの曲をサンプリングしている。
また、後半パートの「U.F.O.V.H.S.」は『Dummy』の頃のPortisheadにインスパイアされており、いくつかのジャズ・ナンバーがサンプリングされている。現代においては映像クオリティの進化によってUFOや心霊といったオカルト映像が少なくなっており、VHSや8mmなどアナログなフォーマットならではの産物でもあったことから転じて、「科学技術の発展によってリアリティを奪われたもの」を象徴している。ストーンヘンジがUFOの着陸地であるという言説に関連し、この2曲は組曲になっている。
4. 三次元仮想世界
フランスの某ロック・バンドの楽曲をサンプリングし細かく切り刻んで制作された曲。ビートとボイス以外はほぼすべてネタ曲の音で構成されており、ビートはJuke/Footworkとダンスホール・レゲエのミクスチャーをコンセプトにしている。
5. Fantasy Black Channel feat. ぼくのぎみっくのびょうよみ
某ドゥーワップ・グループの曲をサンプリングした、ポエトリー・リーディングを取り入れた曲。サンプリングネタのグループに関連して、かつて彼らがやっていた「ブラック・フェイス」と、初期のグループ名を掛けてこのタイトルとなった。
強いディレイによってポエトリー・リーディングの内容は不明瞭だが、師匠への感謝の思いと某週刊誌への痛烈な批判が込められている。
6. Homeopathy
「ホメオパシー」とは1796年にザムエル・ハーネマンが提唱した「その病気や症状を起こしうる薬(やもの)を使って、その病気や症状を治すことができる」という原理のこと。Jon Hopkins「Breathe This Air」にインスパイアされ、美しいピアノの旋律を取り入れたクラブ・ミュージックというコンセプトで制作された。フランスの某シンガーの声がサンプリングされている。
7. DAAK. FASCINATION. feat. Robert Burns
2008年頃にYouth of Euphoria名義で制作された曲に手を加える形で、10年越しで再完成させた。
80年代のニューウェーヴやニュー・ロマンティクスをイメージして作られたこの曲は、もともとは間奏部分にMGMT「Kids」のシンセ・フレーズが引用されていたが、耽美さとダークさを増すためにここでは重厚なピアノが加わった間奏に差し替えられた。フィーチャリング・ボーカルは、The CureのRobert SmithやDead or AliveのPete Burnsの影響を受けたRobert Burnsなる人物が担当している。また、イントロではThe VaselinesによるDivineのカバー「You Think You're a Man」も引用されている。
タイトルにはアーティスト名と同じく「DAAK.」の文字が入っており、このプロジェクトの名刺代わりとも言える存在。
8. たあへるあなとみあ feat. 沓掛見聞録
正確には覚えていないがおそらく2000年頃からあった短いデモ曲を15年以上ぶりに完成させたもの。強めのエフェクトとボーカルを加えることでシューゲイザー、というよりはFlipper's Guitarの「アクアマリン」の雰囲気をイメージした。タイトルは杉田玄白の「解体新書」の元になった書物「ターヘル・アナトミア」から取られているが、小学生時代にクラスメートが「たあへるあなとみあ」と平仮名表記したのを気に入っていたためその名を付けた。
なお、フィーチャリング・ボーカルの「沓掛見聞録」は「くつかけけんぶんろく」と読むが、「シューゲイザー=靴を見つめる人」から着想を経たステージ・ネームのようである。
9. 保護色ガール feat. 美咲エリモ
保護色とは、生物が体の色によって背景と見分けがつきにくくなっている状態のことを指すが、これは流行りに乗るばかりで周囲と同化することによって個性を失い、集団の中に埋もれる存在を皮肉った曲である。Aメロ部分などはEllie Gouldingの「Little Dreams」からインスパイアされている。
この曲のアレンジは90年代のユーロダンス調だが、これは自身が曲作りを始めた頃の作風のセルフ・パロディである。かつては和音の知識も曲構成のセオリーも持たずユーロダンス曲を作っていたが、次第にそれらの知識を身に着けつつも、ユーロダンス調のものは作らなくなっていった。しかし敢えて今、ユーロダンス曲を作ることで、20数年前の曲とどれだけクオリティの差が出るだろうか?そこにこそ自分の成長度合いがわかるのでは?という思いで制作された。
歌詞の「ここから始まって ここで終わる」というのはつまり25年間の音楽制作がこのようなジャンルの音楽からスタートしたことと、DAAK. DAYZのオリジナル曲としてはこの曲がラスト・アルバムのラスト曲であるという意味が込められている。
2019.1.18 Release 『波 EP』
まとめてダウンロード(FREE)
1 Fata Morgana (Motorik 75 Version)
17分を超える「Fata Morgana (蜃気楼)」のセルフ・リミックス。Neu!をイメージしてハンマー・ビートを取り入れている。ハンマー・ビートは海外では「Motorik Beat」と呼ばれており、Neu!の傑作3rdアルバム『Neu! 75』とともにリミックス・タイトルの由来となっている。
13分台からこの曲の逆再生バージョンがクロスフェードされている。
2 Robert Miles - Children (Cover)
2017年に亡くなったハウス/テクノ/トランス/アンビエント系のプロデューサーRobert Milesの代表曲のカバー。ちなみにオリジナル曲はユーロ・ホット100チャートで13週連続1位という記録を持っており、リリース当時はここ日本でも非常にヒットした。
Disclosureにインスパイアされ、アーリー90'sっぽいディスコ・ハウス曲を作ろうという試みの中でこの曲のフレーズをサンプリングするアイデアだったが、あらためて原曲を聴くとあまりに素晴らしい曲だったため結果的には「カバー」という方向となった。Trap系のサンプリング音源集からいくつかサンプリングしている。
3 t.A.T.u. - 30 Miles (DAAK. DAYZ. Remix)
2002年に大ブレイクを果たし日本でも「Mステドタキャン~ミッシェル代打演奏事件」が半ば伝説となっているロシアの女性デュオt.A.T.u.の曲のカバー。メロディラインがカナダのCrystal Castlesっぽく感じたことからそれを意識したアレンジとなっている。
t.A.T.u.の原曲はピッチを落としてそのまま使用され、その上にビートやベースラインを重ねている。イントロはフリー音源のゴスペル・クワイアをサンプリングしている。
4 Weezer - Across The Sea (Cover)
2012年頃にカバーした音源を、主にビートとボーカル部分で新たに手を加えたもの。音楽制作を始めて、最初はあまり歌メロやコードに拘りがなく、音色の厚みでもって緩急を付けていたけど、そんな自分が曲を作る上で「メロディ」に重きを置くようになったのはWeezerのお陰である。ボーカルは「歌ってみた」系の動画からサンプリングしている。
5. (Bonus Track)
※EPをダウンロードすると聴けます
デュオ解散時期に依頼を受けたリミックス・ワークで、かつてのソロ名義で制作したもの。よって厳密にはDAAK. DAYZ.名義ではないが、今回ボーナス・トラックとして収録。他人の曲のリミックスは初めてだったが、すでにメロディや各パートの音素材が揃っている状態で自由にアレンジや音の足し引きの実験が行えることがとても楽しく、このままリミキサー専門にでもなろうかと思ったほど。
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