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年間/半期ベスト[2018年]

2018年 年間ベスト・アルバムTOP30

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2018年の年間ベスト・アルバムを30作品選びました。対象は2018年1月1日から12月31日までにリリースされたアルバム/ミニアルバム/EP/ミックステープ/コンピレーションのうち、購入(フィジカル/デジタル)またはレンタルした作品、あるいはフリーで配布された作品。例年通り、ストリーミングで聴いただけのものは対象外です。

2015年以降やっている「for fans of」を今回も記載しました。これは「これが好きならこれもオススメ」とか「傾向の近いアーティスト」という意味よりも、「この作品の良かったポイントと共通の魅力を持ったアーティスト」的なニュアンスで捉えてもらえればと思います。「これ知らないけど、どんな音楽なんだろう?」という糸口にでもなればいいなと。

また、これも例年通りですが各作品についてのレビューや試聴リンクは付けません。総括コメントは記事の末尾に記載しました。良かった曲については「2018年 年間ベスト・ソングTOP30」の方にSpotifyのプレイリストを埋め込んでいます。






No.30 パソコン音楽クラブ / DREAM WALK
パソコン音楽クラブ DREAM WALK
for fans of : tofubeats / マクロスMACROSS 82-99



No.29 あっこゴリラ / GRRRLISM
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for fans of : Cardi B / STUTS



No.28 The Smashing Pumpkins / Shiny & Oh So Bright Vol.1: No Past, No Future, No Sun
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for fans of : Oasis / Ash



No.27 Let's Eat Grandma / I'm All Ears
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for fans of : SOPHIE / Cults



No.26 Beach House / 7
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for fans of : Slowdive / Blouse



No.25 Iceage / Beyondless
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for fans of : Idles / Preoccupations



No.24 Tinashe / Joyride
tinashe joyride
for fans of : Jhené Aiko / Kehlani



No.23 DAOKO / 私的旅行
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for fans of : CHARA / きゃりーぱみゅぱみゅ



No.22 Superorganism / Superorganism
Superorganism.jpg
for fans of : The Go! Team / Cibo Matto



No.21 cero / POLY LIFE MULTI SOUL
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for fans of : Caetano Veloso / VIDEOTAPEMUSIC



No.20 Mourn / Sorpresa Familia
Mourn Sorpresa Familia
for fans of : Savages / Iceage



No.19 Lily Allen / No Shame
Lily Allen No Shame
for fans of : Kali Uchis / Camila Cabello



No.18 Pale Waves / My Mind Makes Noises
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for fans of : For Tracy Hyde / The 1975



No.17 Christina Aguilera / Liberation
ChristinaAguilera Liberation
for fans of : Katy Perry / P!NK



No.16 teto / 手
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for fans of : 銀杏BOYZ / andymori



No.15 Cloud Nothings / Last Building Burning
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for fans of : Wavves / Japandroids



No.14 Jorja Smith / Lost And Found
Jorja Smith Lost And Found
for fans of : Alicia Keys / Birdy



No.13 Muse / Simulation Theory
Muse_Simulation Theory
for fans of : Depeche Mode / SOFT BALLET



No.12 Jamie Isaac / (04:30) Idler
jamie isacc
for fans of : King Krule / João Gilberto



No.11 FLOWER FLOWER / スポットライト
FLOWER FLOWER
for fans of : YUI / SEBASTIAN X



No.10 Oneohtrix Point Never / Age Of
OPN_Age Of
for fans of : Arca / Yves Tumor



No.9 神聖かまってちゃん / ツン×デレ
神聖かまってちゃん ツン×デレ
for fans of : リーガルリリー / BLANKEY JET CITY



No.8 宇多田ヒカル / 初恋
宇多田ヒカル 初恋
for fans of : 小袋成彬 / Radiohead



No.7 三浦大知 / 球体
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for fans of : Seiho / M83



No.6 The 1975 / A Brief Inquiry Into Online Relationships
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for fans of : Jon Hopkins / Robert Glasper Experiment



No.5 First Aid Kit / Ruins
First Aid Kit Ruins
for fans of : Lana Del Rey / The Lumineers



No.4 Grace Carter / Why Her Not Me
Grace Carter_Why Her Not Me EP
for fans of : Jorja Smith / Rihanna



No.3 中村佳穂 / AINOU
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for fans of : 柴田聡子 / Dirty Projectors



No.2 きのこ帝国 / タイム・ラプス
きのこ帝国 タイム・ラプス
for fans of : the brilliant green / Cocco



No.1 佐藤千亜妃 / SickSickSickSick
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for fans of : SUPERCAR / CHARA




以上、2018年の年間ベスト・アルバムTOP30でした。総括コメントは以下にまとめます。


■邦楽がアツかった
2018年の年間ベスト、まずこれまでと比較すると大きな変化があった。それは邦楽タイトルの多さ。ここ数年のTOP30内とTOP10内における邦楽の数をまとめてみると

2015年…TOP30内7作品、TOP10内2作品
2016年…TOP30内7作品、TOP10内1作品
2017年…TOP30内6作品、TOP10内0作品 ※坂本龍一は含めず
2018年…TOP30内12作品、TOP10内6作品


これまで邦楽は一定の割合を保っていたけど、2018年に急増したことがお分かりいただけると思う。TOP10に限っては半数以上が邦楽となった。

これは単純に、個人的に今現在のモードが邦楽だから。邦楽とはつまり、「邦楽らしい歌詞(=日本語)」、「邦楽らしいメロディ」、「邦楽らしい歌いまわし」、「邦楽らしいミックスバランス」のことで、これらは「洋楽」とは明らかに異なるものだ。定義や境界が曖昧だろうと、その違いというのは確かにあると思う。例えば海外のアーティストが日本語で歌うと少し違和感があるように、日本人には日本人にしかできない歌いまわしの表現というのがあるし、ONE OK ROCKやBABYMETALが日本盤と海外盤でミックスを分けていたりするのもつまり「耳なじみの良い音の感覚」が異なるからだと思う。そして、その邦楽特有の表現や質感そのものに惹かれたことで今回のモードに至ったのだけど、このモードを生んだキッカケこそが1位の『SickSickSickSick』と2位の『タイム・ラプス』なのだった。


■2018年の"顔"
というわけで、2018年を象徴するのは間違いなくきのこ帝国のVo.佐藤千亜妃さん。ソロ&バンドで年間ベストのワンツーを決めてくれたわけだけど(ちなみに旧譜ベストでもきのこ帝国の2013年のEPが2位にランクイン)、この2作品は相互補完のような関係でその魅力を高め合ったと言える。

もともと先に『タイム・ラプス』を初めて聴いた時、そこまで良いとは思わなかった。とてもシンプルで、「自分がロックを聴き始めた頃に聴いていた90年代末~00年代初頭のJロック/Jポップ」という印象が強かった分、新鮮味には欠けると感じた。

一方、『SickSickSickSick』は5曲入りのEPでありながら、佐藤千亜妃のヴォーカリストとしての魅力、ソングライターとしての魅力が詰まった大傑作だ。本作のプロデューサーを務めた砂原良徳はかつて電気グルーヴに在籍し、その後『LOVEBEAT』という名盤を生んだりSUPERCARの「YUMEGIWA LAST BOY」のプロデュースを手掛けたことでも有名だが、美しいサウンドスケープとインテリジェンスを感じさせるエレクトロ・サウンドによって、クラブ・ミュージックと歌モノのポップ・ミュージックのどちらにも才能を発揮できる人だ。ここに収められた5曲はSUPERCARやCHARAからの影響が窺えるものだったり、あるいはきのこ帝国によるアーバン・ソウル曲「クロノスタシス」や「LAST DANCE」路線をさらに推し進めたかのような曲などそれぞれに異なる魅力があり、5曲でありながらフルアルバムを聴いているかのような満足感があった。

そしてこの『SickSickSickSick』を聴いた後では、『タイム・ラプス』は以前と全く異なって聞こえて、シンプルがゆえの「心地よさ」「安心感」みたいなものに、歌詞やメロディも含めてグイグイと引き込まれていき、いつの間にか毎日何度もリピートしていた。

しかもこの人、以前やっていた弾き語り系のソロ名義「クガツハズカム」まで活動再開させちゃって、一体どうなってるんだ。とにかく今後もますます目が離せない人である(けっして見た目がいいからではない)。


■その他の邦楽含め、共通しているもの
邦楽モードの中で聴いた神聖かまってちゃんやFLOWER FLOWER、tetoと言った所謂「バンド・サウンド」の作品についても、メロディ重視のシンプルな曲とかなり尖った曲が混在(あるいは一曲の中でどちらも内包)していて、全部ひっくるめて「ポップ」と言わざるを得ない作品であり、そんなところが評価のポイントになっている(まあFLOWER FLOWERの「コーヒー」の歌詞とか読むと、ポップだとか言っちゃうのも気が引けるんだけど)。

その一方で、中村佳穂、宇多田ヒカル、三浦大知らの作品はエレクトロニックなサウンドを中心に据えながらも、歌詞の深さやトータル・コンセプト、歌唱に込めたエモーションによってその魅力を爆発させることに成功している。TOP20内に入っている邦楽は皆、スタンスや曲調などはバラバラでも、僕が惹かれた要素としては共通していると言えるだろう。


■洋楽はどうだったのか
超個人的な見解だが、2018年は洋楽においては「これは!」という超名盤が例年よりも少なかったと思う。ただ、単に自分が邦楽モードになったことでそう感じただけかもしれないし、世間的にどうだったのかはわからない。2018年の半ばからスイッチも完全に切り替わって邦楽モードに入ったので、後半の洋楽に関してはそこまで熱心に追っていないわけだし。

また、数年前から続いていた「ブラック・ミュージック熱」が、2017年をピークにひと段落ついたというのもある。もちろん、一口に「ブラック・ミュージック」と言ってもあまりに奥が深すぎるので、これからも面白いアーティストはたくさん出てくるだろう。でも一旦自分の中では落ち着いたので、トレンドに沿ったR&Bやファンク、ヒップホップでは今後よほどでない限り激ハマりしないかもしれない。そういう意味においては、The 1975によるブラック・ミュージックへのアプローチは結構楽しめた。


■EPについて
自分はEPやミニアルバムというのが好きではない。音楽を聴くうえでアルバム(=複数の曲の集合体で、その起承転結の流れに魅力を感じる)という枠組みそのものを重視しているからだ。これまで、お気に入りではあるけどEPやミニアルバムだったせいで年間ベストから漏れたものはいくつもある。

でも2018年は、上位4位以内にEPが2作も入っている。これはとても稀なことだし、EPが1位を取ることも初めてだ。この2作品はどの曲もクオリティが高く曲順などもしっかり練られていて、5曲とか7曲を聴き終えたときにアルバム一枚聴き終えたのと同じくらいの満足感を得ることができた。


■ストリーミングとの付き合い方
2018年は例年よりも選定数が少ない。なぜなら購入枚数が少ないからだ。とはいえ、ストリーミングも含めれば聴くアルバムの枚数はそれほど変わっておらず、ストリーミングで聴いた中で特に気に入ったものだけを買うようにしている。この「買う」という行為は自分でも謎で、つまり買わなくても聴けるのになぜ買うのかは自分でもわからない。でも単に昔ながらの考えというか、コレクション的なこだわりなんだと思う(アーティストに対する応援やお布施みたいな気はさらさらない)。

ストリーミングで聴いただけのアルバムを年間ベストの対象にしないのは、こういう理由からでもある。つまり対象にしたところで、良かったアルバムはCDなりiTunesなりで買っているのだから、ランク外になることは明白だからだ。あとやはり、ストリーミングだと履歴として管理しづらく漏れやすいので、そこはきっちり分けたい。今後もこの姿勢で行くんだろうなーという気はする。


■2019年の展望
まだまだ邦楽熱は続くと思う。個人的にはヴォーカリストが変わった途端に興味がわき始めた赤い公園や、神聖かまってちゃんの作品に参加していたリーガルリリーに注目している。あと、今年最大の奇才っぷりを見せた中村佳穂の今後や、彼女に呼応してNao Kawamuraや小林うてな、吉澤嘉代子といったひと癖もふた癖もある女性アーティストたちがどう動くかも楽しみ。あと佐藤千亜妃には、引き続き砂原良徳プロデュースによるソロでのフルアルバムと、クガツハズカム名義での作品リリースに期待したいなと。

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