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年間/半期ベスト[2017年]

2017年 年間ベスト・アルバムTOP50

2017bestalbums.png


2017年の年間ベスト・アルバムTOP50です。対象は2017年1月1日から12月31日までにリリースされたアルバム/ミニアルバム/EP/ミックステープ/コンピレーションで、購入(フィジカル/デジタル)またはレンタルした作品、あるいはフリーで配布された作品。例年通り、ストリーミングで聴いただけのものは含めていません。

年間ベスト・アルバム関連の記事では2015年以降やっている「for fans of」を今回も記載しました。これは「これが好きならこれもオススメ」とか「傾向の近いアーティスト」という意味よりも、「この作品の良かったポイントと共通の魅力を持ったアーティスト」的なニュアンスで捉えてもらえればと思います。と同時に、見た人にとって「これ知らないけど、どんな音楽なんだろう?」という"取っ掛かり"にでもなればいいなと。

また、これも例年通りですが各作品についてのレビューや試聴リンクはありません。総括コメントは記事の末尾に記載しました。良かった曲については「2017年 年間ベスト・ソングTOP30」の方にSpotifyのプレイリストを埋め込んでいるのでぜひそちらも見てもらえればと思います。

▼ついでにこちらも宣伝。
2017年下半期 旧譜ベストアルバムTOP40
2017年上半期 旧譜ベストアルバムTOP60






No. 50 TLC / TLC
TLC - TLC
for fans of : SWV / Sabrina Claudio



No. 49 Japanese Breakfast /
Soft Sounds From Another Planet

Japanese Breakfast Soft Sounds From Another Planet
for fans of : Beach House / The Cardigans



No. 48 Weezer / Pacific Daydream
Weezer Pacific Daydream
for fans of : Panic! at the Disco / All Time Low



No. 47 藤原さくら / PLAY
藤原さくら PLAY
for fans of : YUI / Gabrielle Aplin



No. 46 Alice Glass / Alice Glass
Alice Glass Alice Glass EP
for fans of : t.A.T.u. / Grimes



No. 45 Cornelius / Mellow Waves
Cornelius Mellow Waves
for fans of : METAFIVE / salyu × salyu



No. 44 Chelsea Wolfe / Hiss Spun
Chelsea Wolfe Hiss Spun
for fans of : Esben And The Witch / Myrkur



No. 43 KYO / I Music
Kyo I Music
for fans of : The Haxan Cloak / Lust For Youth



No. 42 ・・・・・・・・・ / 『 』
dots.jpg
for fans of : For Tracy Hyde / BiS



No. 41 Midnight Sister / Saturn Over Sunset
Midnight Sister Saturn Over Sunset
for fans of : Stereolab / Mr Twin Sister



No. 40 Arcade Fire / Everything Now
Arcade Fire Everything Now
for fans of : ABBA / Blondie



No. 39 At the Drive-In / in•ter a•li•a
At the Drive-In in•ter a•li•a
for fans of : PUP / Knuckle Puck



No. 38 Amber Coffman / City of No Reply
Amber Coffman City of No Reply
for fans of : Dirty Projectors / Kimbra



No. 37 Ibeyi / Ash
Ibeyi Ash
for fans of : Jamila Woods / School of Seven Bells



No. 36 LCD Soundsystem / American Dream
LCD Soundsystem American Dream
for fans of : David Bowie / The Juan MacLean



No. 35 Rapsody / Laila's Wisdom
Rapsody Lailas Wisdom
for fans of : Kendrick Lamar / Speech Debelle



No. 34 Depeche Mode / Spirit
Depeche Mode Spirit
for fans of : Editors / SCHAFT



No. 33 Grandaddy / Last Place
Grandaddy Last Place
for fans of : Pavement / Weezer



No. 32 Slowdive / Slowdive
Slowdive - Slowdive
for fans of : Tape Waves / Ride



No. 31 Beach House / B-Sides and Rarities
Beach House B-Sides and Rarities
for fans of : Japanese Breakfast / Midnight Sister



No. 30 欅坂46 / 真っ白なものは汚したくなる
真っ白なものは汚したくなる
for fans of : 乃木坂46 / 山口百恵



No. 29 Sampha / Process
Sampha Process
for fans of : James Blake / SBTRKT



No. 28 The xx / I See You
The xx I See You
for fans of : Rhye / How To Dress Well



No. 27 Kelela / Take Me Apart
Kelela Take Me Apart
for fans of : FKA twigs / Future Brown



No. 26 RAT BOY / Scum [Deluxe Edition]
RAT BOY Scum
for fans of : Beastie Boys / Blur



No. 25 SZA / CTRL
SZA CTRL
for fans of : Alessia Cara / Sabrina Claudio



No. 24 Alvvays / Antisocialites
Alvvays Antisocialites
for fans of : Best Coast / Beach Fossils



No. 23 Kehlani / SweetSexySavage
Kehlani SweetSexySavage
for fans of : Aaliyah / TLC



No. 22 Kelly Lee Owens / Kelly Lee Owens
[Deluxe Edition]

Kelly Lee Owens Kelly Lee Owens
for fans of : Kedr Livanskiy / Aphex Twin



No. 21 Fergie / Double Dutchess
Fergie Double Dutchess
for fans of : The Black Eyed Peas / Rihanna



No. 20 Ivan Ave / Every Eye
Ivan Ave Every Eye
for fans of : MNDSGN / Toro y Moi



No. 19 mei ehara / Sway
mei ehara Sway
for fans of : キセル / 坂本慎太郎



No. 18 For Tracy Hyde / he(r)art
For Tracy Hyde he(r)art
for fans of : M83 / Teenagers in love



No. 17 Vince Staples / Big Fish Theory
Vince Staples Big Fish Theory
for fans of : Danny Brown / Kanye West



No. 16 Phoenix / Ti Amo
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for fans of : Air / Cut Copy



No. 15 ONE OK ROCK / Ambitions
OOR Ambitions
for fans of : Linkin Park / From First To Last



No. 14 MINAKEKKE / TINGLES
MINAKEKKE TINGLES
for fans of : Blonde Redhead / Mazzy Star



No. 13 yule / Symbol
yule_jk.jpg
for fans of : Sóley / Passion Pit



No. 12 King Krule / The Ooz
King Krule The Ooz
for fans of : Tom Waits / Mount Kimbie



No. 11 Cloud Nothings / Life Without Sound
Cloud Nothings Life Without Sound
for fans of : Jimmy Eat World / The Get Up Kids



No. 10 London Grammar /
Truth Is a Beautiful Thing

London Grammar Truth Is a Beautiful Thing
for fans of : Birdy / Daughter



No.9 Ryuichi Sakamoto / async
Ryuichi Sakamoto / ASYNC - REMODELS

ryuichi_sakamoto.png
for fans of : Aphex Twin / Oneohtrix Point Never



No. 8 Charlotte Gainsbourg / Rest
Charlotte Gainsbourg Rest
for fans of : Daft Punk / M83



No. 7 Perfume Genius / No Shape
Perfume Genius No Shape
for fans of : Arca / Parenthetical Girls



No. 6 Arca / Arca
Arca Arca
for fans of : Björk / Perfume Genius



No. 5 Björk / Utopia
Bjork Utopia
for fans of : Arca / Kate Bush





No. 4 Sabrina Claudio / About Time
Sabrina Claudio About Time
for fans of : H.E.R. / Mariah Carey



No. 3 Jane Birkin /
Birkin/Gainsbourg : le symphonique

Jane Birkin Birkin_Gainsbourg le symphonique
for fans of : Serge Gainsbourg / Charlotte Gainsbourg



No. 2 yaeji / Yaeji EP
yaeji / EP2

yaeji.png
for fans of : Kelly Lee Owens / Floating Points



No. 1 Speech Debelle / tantil before i breathe
Speech Debelle tantil before i breathe
for fans of : Rapsody / Alicia Keys





以上、2017年の年間ベスト・アルバムTOP50でした。

あ、まず一つ説明しないといけないですね。今回ちょっと、同一アーティストによる複数作品の同順位ということをしてみました。9位の坂本龍一のニ作はともに2017年で最後に購入したアルバム。もともとは『ASYNC - REMODELS』の方に興味があったけどこれはいわゆるリミックスというかリワークの類なので、オリジナルの方も聴いてこそだよなと思い同時購入。どちらも好きだけど強いて言うならやはり『REMODELS』の方が好きで、ただこの二作はどうしても切り離して考えられないのでこのような形になりました。

次に2位のyaejiは2017年に2枚のEPを出してますが、『EP2』がリリースされてからは両方を一つのプレイリストにまとめてフルアルバム的にしか聴いていないので、これもやはり切り離せないなと。


■上位作品について
1位のSpeech Debelleは2009年にデビュー・アルバムでマーキュリー・プライズを受賞した社会派女性ラッパーだけど、3作目にしてデジタルオンリーのセルフリリースとはなかなか考えさせられるものがあります。そんなわけで多分あまり話題になっていないみたいだし。

とはいえ、これまでの彼女の作品も素晴らしかったですが、これはもう文句の付けようがないほどに最高傑作だと言えるでしょう。ビートは凝っているけどいわゆる流行りの感じとは全然違っていて、ラップ主体だけどとてもメロディアスかつエモーショナルなヴォーカルに、ピアノ、ストリングス、サックスなど生楽器を主体とした美しい音色で構成されています。

3位のJane Birkinは既発曲のリアレンジ版だけど、これも素晴らしかったです。本作に伴う来日公演で、このオーケストラ・サウンドを生で体験できて本当に感激しました。

4位Sabrina Claudioは実はSOUND OF 2017企画でもピックアップするほどアルバムのリリースを心待ちにしていたシンガーなわけだけど、期待以上の出来。R&B系女性シンガー百花繚乱の時代が到来している中、歌声もサウンドも今のところ彼女がベスト。

5位から9位までの間にArca関連作が3つということで、2017年はArcaの年だったとも言えそう。とはいえ自分は以前は苦手意識を抱いていたんだけど、フジロック以降、そして彼のアルバムを聴いて以降、本当にこの妖艶で幽玄なサウンドにハマりました。

10位のLondon Grammarは、先日の「2017年 年間ベスト・ソングTOP30」では1位を獲得しているトリオ。やはり全体的に、ベスト・ソングで上位になってるアーティストはアルバムの方でも上位なことが多いです。


■近年稀にみる豊作ぶり
ここ数年、年間ベストの総括で「あまり豊作ではなかった」みたいに書くことが続いてましたが…。もちろん良い音楽にはたくさん出会えたけど、全体的な量として2012年を超えるレベルではないなってくらい「2012年の壁」が厚くて。2012年というとCrystal Castles『(Ⅲ)』、Soko『I Thought I Was An Alien』、Beach House『Bloom』、Cloud Nothings『Attack On Memory』なんかがあった年ですね。

でも2017年は、これを超えるレベルで好きな作品がたくさんありつつ、それぞれの「好き度」平均点も高いっていう、豊作指数が非常に高い年だったと思います。


■「ブラック・ミュージック」の波
今回の並びを見てみると、R&B、ヒップホップ、ソウル、ゴスペル、ジャズ、ブルーズといった広義の「ブラック・ミュージック」の影響下にある作品が目立つなあと。僕自身はもともとはルーツが西洋的なエレポップやハウスなので、これまでブラック・ミュージックの類はそこまで思い入れがなかったんですね。Kanye Westの『Yeezus』が好きと言っても、それはヒップホップ/ラップの作品としてというよりはエレクトロニック・ミュージックとしてだったし。

でも2016年にAlicia Keys『Here』やSolange『A Seat at the Table』なんかを聴いて、ようやく「ブラック・ミュージック」が自分の嗜好の一部に組み込まれた感じがして。それらをきっかけに、2017年はSpeech Debelle、Sabrina Claudio、King Krule、Vince Staples、mei ehara、Ivan Ave、Fergie、Kehlani、SZA、Kelela、Sampha、Rapsodyなど、(もちろん人種的な意味でなく)「ブラック・ミュージック」の影響下にある作品・アーティストがたくさんランクインしました。


■期待値の高かったアーティストは…
ただ、そんな豊作年において、2017年に新作が出る!と報じられてテンションの上がったアーティスト…Lorde、LCD Soundsystem、Arcade Fire、Cloud Nothingsなどは、いずれも期待値を超えるものでなかったのがちょっと残念ではありました。いや、もちろん年間ベストにも入れてるくらいなので(Lordeだけ圏外でしたが)良かったことは良かったです。Cloud Nothingsなんて11位と高順位だし。ただ、あまりに期待値が高すぎて、「良かったけど前作ほどではないな」という感じですね。特にCloud Nothingsは前作と前々作は年間ベストの1位・2位レベルだったので。


■結局2017年は世間的に何が評価高かったのか
2017年は振り返ってみると、全然音楽メディアを直接見に行かなかったんですね。Twitter経由ではいくつか音源チェックしたけど、これまでよりはだいぶ減りました。その代わり、YouTubeの「あなたへのおすすめ」とかで掘ったりしてて、気になったものはSpotifyでチェックして、良ければ購入という感じ。

音楽メディアの年間ベストを一切見ないぞ!と宣言もしていたんですが、結局実際rockin'on以外は全く見ていません。というのも、毎年メディアの年間ベストを見ても特に意味がないと思っていて。セールス的なトレンド、つまりヒット・チャートというのは情報として常に把握しておきたいなとは思っているけど、音楽メディアが作る価値観、「これが最先端のサウンド!」「これが今はクール!」「これからはこれが流行る!」的なものって無意味だと思うし、自分には正直関係がないなと。なので2017年、結局何が評価高かったのか…は、全くわからないです。自分の年間ベストがそれに寄り添っているのか、乖離しているのかも。でも、多分これまで以上に乖離してるんじゃないかな。まあそういうのも楽しいかなと。


■2018年は…
2018年は僕自身に関しては、多分これまで以上にSpotifyを活用するようになって、音楽メディアはほぼ見なくなるように思います。世間的にもそれが加速して、「メディアの作る価値観」が完全に崩壊するんじゃないでしょうか。すでにそれは2017年に始まっているようにも感じています。もちろんこれを個人的には、とてもポジティブなこととして捉えていますが。


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