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ライブレポート

ライブレポート:CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL

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10月4日に新宿の歌舞伎町で開催されたフリートレイル型イベント、CONNECT歌舞伎町に行ってきました。シネシティ広場に設置された野外特設ステージのほか5ヶ所のライブハウスにて開催され、それぞれのハコに馴染み深かったり、歌舞伎町という土地柄にマッチしてたりするアクトが70組近く出演しました。

こういった形式のフェスは「全部好きなやつだから全部観たい!」ではなく、本命で観たい数アクト(今回で言えば大森靖子、キノコホテル、Nature Danger Gang)以外のほとんどは名前だけ知っている程度とか、あるいは全然知らないようなアクトを観るのが正しい楽しみ方だと思っていて、今回も業界のスカウトマンの如く、知らないバンドのライブに潜入しては新たな発見を楽しんでいました。5,000円のチケット代(早割)でこれだけ遊べて大満足。この日観たアクトについては以下の通り。




■大森靖子 (シネシティ広場)
早めに会場に到着しリストバンド交換。近くのコンビニで飲み物を買ったところでステージから大森靖子の歌声が聞こえてきた。予定時刻よりも10分ほど早いので、リハかな?と思いながら観始めんだけど曲はフルで演っているし、予定の12時を過ぎてもそのまま続けていて「リハにしてはパフォーマンスが本気すぎるし、時間過ぎてるし、やっぱこれ本番だよな」と思いながら観た。

今年のフジロックでは同じ時間帯の出演だったBombay Bicycle Clubを選択したので、彼女のライブを生で観るのは初めて。でも噂に聞いていた以上に凄かった。アイドルばりの甘いロリ声で歌っていたかと思えば、突然早口でまくしたてたり、喉を震わすような嗚咽声を出したり、キチ○イみたく絶叫したりが同じ曲の中でも1フレーズ単位で目まぐるしく変わる。バンドセットでライブをやることも多いようだけど今回はギター弾き語りのステージで、それゆえにテンポも一定ではなく、彼女の感情表現に合わせて自由奔放に速くなったり遅くなったり。ギターも、時には掻きむしったり、時には優しく爪弾いたりと非常に表情豊か。そして何より、歌詞が痛いほど心に突き刺さってくる。

全ての曲を繋げて演奏したため途中でMCも拍手もなく、休日の真っ昼間だというのに異様な緊張感に包まれていて、集まったお客さんたちはただ茫然とステージの彼女を息をのむように見つめていたのが印象的だった。最後には「これからモーニング娘。を観にニューヨークへ行きます」と言って、予定よりも15分ほど早くステージを終えて足早に去っていった。





■SEBASTIAN X (SHINJUKU MARZ)
観るつもりではなかったけど、大森靖子が予定より早く終わったので会場の確認がてら行ってみた。ライブハウスに入ってまず、「あー、ここ大学1年の時にサークルのライブやったところじゃん!」と懐かしい気持ちに(あの時確か当時の部長が首にマイクのコードを巻きつけてガンズ歌ってたな)。

というわけでSEBASTIAN Xはピアノをメインとしたギターレスの男女4人組。10月にメジャーデビューが決まっているらしい。曲自体は特に好きな感じではなかったけど、メンバー全員がいい笑顔で演奏していて、とても楽しんでいる感じが伝わった。なぜか「スーダラ節」のカバーを披露。



■THE MAN (シネシティ広場)
お客さんの入りは若干寂しめだったものの、ステージに現れたメンバーは全員黒の衣装で統一、みんな背も高くてやたらとイケメン揃い。冷牟田さんがルックス重視でメンバー集めたのでは?と思うほど。でも演奏が始まると、ただ見た目がかっこいいだけではなく全員卓越した演奏テクニックを持っているメンバーばかり。スカナンバーを中心に、場内は早くもスカダンス祭り状態に。ハードなリーゼントと革ジャンでキメたバリトンサックスの青木さんは客席を練り歩いて演奏するなど、サービス精神も旺盛でライブを盛り上げた。



■ATLANTIS AIRPORT (SHINJUKU MARZ)
全く知らなかったバンドで、今年のROCK IN JAPANにも出演したらしい。清涼感溢れる女性Vo.擁するピアノポップな3人組。赤っぽいスカーフのようなものをひらひらと振りながら歌う姿が印象的だった。



■キノコホテル (シネシティ広場)
キノコホテルの実演会(ライブ)を観るのもすでに6度目。基本的に同じアーティストのライブは2、3年に1度観たら満足してしまうタイプなので、僕の中でこの頻度は過去最高レベル。でもそれだけ毎回エキサイティングだし、とてもかっこいいのです。

そんな中でも昼間の野外で観るのは初めて。正直彼女たちは暗くて狭いハコで観るのが最高だと思うので、白日に晒されたシラフな雰囲気と合っていなかったように思う。「なんか衣装すごいなあ、全員女の子だなあ」みたいな感じで様子見のお客さんが多かったのか、単独実演会ほどの盛り上がりはなく、支配人のマリアンヌ東雲もそんな雰囲気を察してか「普段こんな時間にやることはないのでまだ頭が起きてません。夜はもう少し楽しいです」みたいなことを言っていたけど、これは言い訳でも何でもなく本当にそう。

それでもキレッキレのガレージロックをたたみ掛け、次第にお客さんも盛り上がっていった。「Fの巡回」では、「これをみんなちゃんとやってくれないと、10分、20分、30分、いつまでもこの曲は終わりませんので。そうするとこの後のアーティストは観れなくなるので全員やるように」とダンス(勃起ダンスというらしい)を強要、真っ昼間だというのに老若男女問わずお客さんに「おっきくなーれ!」とか「太く!硬く!」と叫ばせていた。ラストの「ばら・ばら」ではキーボードをスタンドから引きはがして演奏し、ハイテンションのままに終了。やはり圧巻。

その後はMOTIONにて0.8秒と衝撃。を観るつもりだったけど、なんと入場規制で入れず。キュウソネコカミ夜の本気ダンスを観ようかと思ったけどお昼ごはんタイムにした。



■SuiseiNoboAz (SHINJUKU MOTION)
名前しか知らないバンドだったけど、最初の曲から引き込まれた。なんといってもベースが素晴らしい。ドラムも上手いし、やはりリズム隊が素晴らしいバンドのライブは最高。でも元のベースとドラムが今年の5月に脱退していたと後で知る。この日のメンバーが正式な後任なのか一時的なサポートなのかは不明ながら、とにかくライブがとてもかっこいいバンドだと思う。





■ZAZEN BOYS (シネシティ広場)
思いっきりナンバーガール世代な僕ですが、ZAZEN BOYSのライブは初めて。この頃には日も落ちかけて薄暗くなり、歌舞伎町のネオンも色鮮やかに灯り始めた。意外にも若い女性ファンが多く集まっている印象。

向井秀徳はナンバーガール時代と変わらず、ちょっと斜めの姿勢で読経するような顔で歌っているのだけど、グルーヴそのものはナンバーガールとは明らかに別次元。変拍子だらけのいわゆるマス・ロックで、他メンバーの3人が向井の細かい動きをじっと見つめ、一糸乱れぬ完璧なアンサンブルを繰り出すのにはただ驚嘆させられるばかり。珍妙な歌詞と向井ののらりくらりとした雰囲気、そしてバンド内に漲る緊張感のギャップが絶妙なバランスで、それがこのバンドの魅力になっていると感じた。

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■Yogee New Waves (SHINJUKU MARZ)
数曲聴いた限りではceroとかTaiko Super Kicksに近いイメージを持っていたYNW。ライブは思ったよりもアグレッシブで、特にハットを被ったVo.角館は軽やかなステップでダンスしながら歌い、ほどよくサイケで素朴な楽曲を熱く演奏する感じがとても良かった。



■NATURE DANGER GANG (新宿ロフト・BAR)
今回最も楽しみにしていたのがこのNDG。そのアナーキー過ぎるパフォーマンスはいろいろと噂には聞いていたけど、一体どれ程のものなのか想像つかなくて、何かヤバイものが観れるんじゃないかとドキドキ。ロフトのBARはステージもフロアもとても小さいスペースだけど、NDGのメンバーは8人~10人以上と言われているので一体どうなってしまうのか…。

会場に着くとすでにセーラー服の上に亀甲縛り姿のユキちゃんが豹のぬいぐるみを持って待機。その他お客さんだかメンバーだかわからない人たちでごった返している。開演時間になり、口元にスカーフを巻いたDJが高速BPMのジューク、ジャングル、ガバetc.を流し、複数のMCメンバーがラップ。ハットを被ったサックス奏者もいれば、お巡りさんのイラストが描かれたお面を付け、両肩にマネキンの頭部を付けてクラウドサーフするメンバーもいて、もはや誰が誰だかわからないほどの揉みくちゃ状態に。しかもマネキンの頭部の中から麺が出てきて、それを食べながらクラウドサーフしているし…。ユキちゃんは縄もセーラー服も脱いで最終的には(以下略)、mmeegg!!さんはめちゃくちゃかっこいいし、全体的にカオス過ぎて最高。

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■Orland (SHINJUKU MARZ)
中央にトライングル型に配したキーボード類、バックのスクリーンに流している古い洋画など、パフォーマンスの見せ方をわかっているバンド。モロ80'sなシンセの音色を使ったダンサブルな楽曲に、会場はディスコ化して大盛り上がり。「この曲知ってる?カバーなんだけど」と前置きして始まった横山輝一の「Lovin' You」にもリアルタイム世代としてはアガった。その後ゲストボーカルとして仮谷せいらも登場。



■石野卓球 (シネシティ広場)
ちょこっとだけ様子見。会場に向かう途中、さっきのYogee New Wavesのメンバーがはしゃぎながら会場へと走っていくのを見かけた。



■Fat Fox Fanclub (新宿ロフト・BAR)
女性4人組のポストパンクバンド。ボーカルが丸いサングラスかけていたりとファッション的にすごく昭和のサブカル臭がしたのけど、とにかく曲がすごくかっこよかった。ファンキーにうねるベースとペニャペニャorジャキジャキのギター、ダンサブルなビート、フリーキーなボーカルは、初期The RaptureとThe Slitsをミックスしたかのような感じ。かといってパンキッシュになりすぎることはなく、むしろポップに振り切れているところが良い。





■GEZAN (新宿ロフト・BAR)
以前フジロックにも出ていたので名前だけは知っていたバンド。曲だけで言えばハードコアパンク。真っ赤な衣装に黒髪長髪のボーカルが子供のようなふやけた高音で歌っていて、このギャップというか「気持ちの悪さ」が彼らの魅力の一つだと思う。



■溺れたエビの検死報告書 (SHINJUKU MARZ)
彼らのライブは先日のTHE BIG PARADEで観ることができたので今回はGEZANを選択したものの、やはりエビ観たくなったので途中で移動。かなり時間が押しているのか、始まって15分以上は過ぎている時間なのにまだ始まっていなかった。会場は2階も含め超満員で、かろうじてわずかながらに見える位置で観た。



■水曜日のカンパネラ (新宿BLAZE)
次のアーバンギャルドを観るつもりで会場に着くと、時間が押しているらしくまだ前アクトである彼女のライブ中。感想は自粛。



■アーバンギャルド (新宿BLAZE)
水曜日のカンパネラがようやく終わり前方に行くと、ところどころに赤白の水玉衣装に身を包んだ「水玉病」なファンが集まっている様子。アーバンギャルドのライブも初見で、シアトリカルで凝った演出のテクノポップというイメージがあったんだけど、オープニングからド派手なダブステップでメンバー登場、そしてイメージを180°覆すようなハードコアなバンドサウンドが始まってびっくり。さらに、2人のボーカル浜崎容子と松永天馬の決して交わらない世界観のコントラストが面白い。黒ブチ眼鏡に濃紺のスーツを着た松永天馬は割れんばかりのデカイ声で「近藤、向かってこーーい!!」などと絶叫してコンドームを投げたりメガネを投げたりしている間も、浜崎容子は無表情でシャボン玉を飛ばしていたり、後ろを向いて直立していたり。

自ら「トラウマテクノポップ」を標榜する彼らだけど、ライブは完全にバンド仕様でBPM高めの四つ打ち曲満載。それについて「我々はロキノン系ではなくロキソニン系です!」と自虐的なMCを挟みつつ、そんなバンドサウンドの要ともなるドラムの鍵山喬一はこの日がラストステージ。最後にドラムセットの上に立ち、「4年間ありがとうございました!」と挨拶して去っていった。幕が閉じた後も前方のファンが絶叫混じりに延々と鍵山コール。でも、再び幕が開くことはなかった。個人的には、ここで声援に応えて再びステージに戻ってくるようなら最初から脱退するなと思うので、彼の潔さは正しかったと思う。





というわけで12時前から22時過ぎまで10時間以上に亘って開催されたイベント終了。いろいろ発見があって面白かったし、何といっても出演アクトがどれもキャラが立っているというかアクが強くて、とても刺激を受けた。快適さや非日常を楽しむイベントも良いけど、こういった「日常の中にある混沌」を音楽を通して体験するというフェスも楽しいし、歌舞伎町というロケーションもばっちりハマっていたと思う。来年もぜひ開催してほしい。歌舞伎町の真ん中で音漏れタダ聴きも余裕、タダ観も可能だったので、たまたま通りすがりの人が「なんか面白い音楽が鳴ってる」ってチケット買って楽しんでくれるようなイベントになると良いなー。問題点は野外ステージ。この日は雨は降らなかったものの翌日は豪雨だったので、もしあの雨がイベント当日だったらヤバかったと思うので、次回開催する場合にはステージだけでも雨対策してもらいたい。


▼当日のタイムテーブル
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