初聴きディスクレポート |
2014年9月に初聴きした音源の感想まとめです。
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★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした
*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
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では9月のALBUM OF THE MONTHからいきます。
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★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした
*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
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では9月のALBUM OF THE MONTHからいきます。
■ALBUM OF THE MONTH■
Paramore / Paramore (2013)
★★★★★
結成時の中心メンバーの脱退を経てパワーダウンするどころか、USアルバムチャートで初の1位を獲得するなどこれまで以上の快進撃を見せている4作目。「トワイライト~初恋~」の曲「Decode」をはじめとするいくつかのシングル曲を知っている程度だったけど、歌の上手さや声量を過剰にアピールするようなヘイリーの歌唱があまり好きではなく、これまでのアルバムは全て未聴だった。
ビッグなギターサウンドを鳴らしつつマリンバの音が軽やかさを添えるポップ・ナンバー『Ain't It Fun』にハマったのがきっかけで本作を手にとってみたけど、以前とは明らかにヘイリーの歌い方が変わっていることにまず驚かされた。曲調によって時にはソフトに、時にはコケティッシュに、時には力強くといった風に歌い方を使い分け、表情豊かなヴォーカルを見せている。
曲調もこれまでのイメージと比べると軽くてポップ。重く陰のあるメロディーはここにはなく、それに代わってギターポップ/パワーポップ/カントリー/フォーク/オールディーズを基調とした、瑞々しくもエモーショナルなメロディーに満ちている。インタールード的に挿入された短い3曲もいい感じにリラックスした印象を与え作品をバラエティ豊かにしているし、何よりもイキイキとしたバンドの躍動感が楽曲全体に漲っている感じがたまらない。
Paramore - "(One Of Those) Crazy Girls"
Jack Peñate / Everyting Is New (2009)
★★★★★
Spincoasterの方にも書いたように、そもそものきっかけはJungleを聴いた時に本作収録の「Tonight's Today」を思い出したことだった。近年は表立った活動をしていない彼の目下最新作である本作が持つスモーキーかつソウルフル、グルーヴィーかつアーバンな空気は、リリース当時よりもむしろ今の方がタイムリーな輝きを放っていると思う。そして何よりも普遍性のあるポップなメロディーが魅力的。早く復帰して彼の「イマの音」が聴きたいところ。
Jack Peñate - "Tonight's Today"
Elvis Costello / This Year's Model (1978)
★★★★☆
コステロのセカンド作。前年リリースのデビュー作『My Aim Is True』(後述)と比べると格段に音がクリアに、そしてモダンになっている。メロディーメイカーとしての面目躍如とばかりに、ポップで親しみやすくアップテンポな楽曲がこれでもかと続く。随所でキーボードが大活躍していて、作品に色鮮やかな感じを添えているのも最高。
Thom Yorke / Tomorrow's Modern Boxes (2014)
★★★★☆
突如BitTorrent経由でリリースされたソロアルバム2作目。近年の彼の趣向からもっとダブステップ寄りな作風かと予測したけど、意外にもビート感は『The Eraser』に近い。ただ前作と異なる点といえば、『The Eraser』には一貫してヒンヤリとした無機質なムードがあったけど、今回はややヒューマンな感じ、温かみが感じられるところ。ノイズが多く、その粗さが宅録感を醸し出しているからかもしれない。ハッキリ言って断然『The Eraser』の方が好きだけど、これはこれで良い。
Macklemore & Ryan Lewis / The Heist (2012)
★★★★☆
「Thrift Shop」や「Can't Hold Us」といったシングル曲、そしてルックスのイメージからチャラめのヒップホップをイメージしていたけど、いい意味で期待を裏切る作品だった。ヒップホップの猥雑性や攻撃性の観点で見ると毒気がなさ過ぎて物足りないとは思うものの、全体的にメロディアスなので純粋なポップス作品としては非常にクオリティが高い。
ピアノとトランペットとトライバルなリズムをフィーチャーしたインスト「BomBom」、泣きメロ全開の「Make the Money」、音数を絞った「Thin Line」など、サンプリングネタやラップの勢いだけでグイグイ主張してくるヒップホップとは一線を画す、アーティスティックな意匠に満ちた作品。全米で大ヒットしたのも大いに頷ける。
Drake / Take Care (2011)
★★★★☆
2011年のリリース当時はメロウすぎて苦手だったけど、「Nothing Was the Same」を経て聴くととても良い。音数を絞ったビートにピアノの美しい旋律が絡む感じも好き。しかし80分超はさすがに長い…。曲数も多すぎるのがマイナスポイント。
David Bowie / Let's Dance (1983)
★★★★☆
7月のAlbum of the Monthに選んだLa Roux『Trouble In Paradise』の感想でも触れた「Let's Dance」が収録された同名のアルバム。数年前まで本作は、ボウイの最大のヒット作であると同時に駄作であるという見方が多かったように思う。それまでのカリスマティックで人間離れしたキャラクターを脱ぎ捨て、流行のディスコ・サウンドに乗せて人間的に踊るボウイには、熱心なファンであるほど本作を軽視しているようなイメージがあった。しかし本作を聴くと、あくまでプリミティブなダンス衝動に則った、都会的で洗練された作品であることがわかる。ハイトーンなウィスパーボイスで歌われる「Without You」やパーカッションの効いた「Ricochet」など佳曲揃い。
Talking Heads / The Name of This Band Is
Talking Heads (1982)
★★★★☆
Talking Headsの最高のアルバムは?と考えた時、結局ライブ盤が最高らしい。Talking Headsをもっとちゃんと聴きたいと思っていた僕はそんな情報を聞きつけて本作を手にしたけど、これ本当にライブ盤?と思うくらいにクオリティが高く、あらためて彼らは演奏力が非常に高いバンドであることを思い知らされた。ライブの熱気をしっかりと閉じ込めつつもパンク特有の粗さがなく、正確なリズムとバランスのとれた音量によって、緻密に音が構築されているのがわかる。しかもそれでいて「パンク」のアティチュードはしっかりと伝わってくるのがすごい。
ただ、このライブ盤を通して最終的に思ったのはやはり『Remain In Light』の曲、最高じゃん!ということだった(それしか聴いたことないクセにこんなこと言うのもアレだけど…)。
For Tracy Hide / Born To Be Breathtaken (2014)
★★★★☆
先月フリーDLしたEP『In Fear of Love』がとても良かったのでこの新作EPもデジタルで購入。『In Fear of Love』同様、3曲目がエレクトロっぽいインスト系の曲が挿入されている構成もとてもいいと思う。全体的には曲のクオリティは『In Fear of Love』の方が良かったものの、「Outcider」におけるモータウン・ビートは90年代Jポップみたいで本作の中でも白眉。
U2 / Songs of Innocence (2014)
★★★★☆
勝手にiTunesライブラリに入れられていたU2とかいうバンドのアルバム。オープニングはラモーンズのジョーイへのトリビュート的な内容で、曲は全然ラモーンズっぽくはないけど三連リズムのガレージロック感がかっこいい。「Song for Someone」におけるボノの艶のある伸びやかなボーカルは「With or Without You」にも通じる壮大さがあるし、「Iris (Hold Me Close)」におけるいかにもジ・エッジらしいディレイの効いたカッティングなど、U2の代名詞的な要素もいたるところに散見できる。ところでU2って誰?
Depeche Mode / Violator (1990)
★★★★☆
Depeche Modeの中でも最も人気が高いとされているアルバム。彼らの最近の曲を聴いても「思ってたイメージとちょっと違う…」という感じだったけど、これは自分が勝手に思い描いていたDMのイメージそのものな音で、初めて聴くはずなのに既聴感すら感じさせた。全体的に音圧が弱いような気もするけど、イメージがピッタリはまった分、彼らの持つダークで耽美な世界観が確立され、完成度の高い作品だと思った。
Elvis Costello / My Aim Is True (1977)
★★★☆☆
コステロのデビューアルバム。先述の『This Year's Model』と比べると音質はやや古臭いものの、中期ストーンズと初期ビートルズのいいとこ取りみたいな「Miracle Man」、ビートが弾む「Blame It On Cain」などキャッチーなガレージ・ロックンロールが並ぶ。そんな中でもやはり「Alison」は名バラード。
Rustie / Glass Swords (2011)
★★★☆☆
リリースされたばかりのアルバム『Green Language』がかなり良さげ(これから買う予定)だったこともあり、期待値が高かったグラスゴーのビートメーカーによるデビューアルバム。しかし結果からするとやや肩透かし。「Ultra Thizz」「All Nite」など良い曲もあるものの、特に前半の数曲では悪い意味でのチープさが感じられてしまった。
Shampoo / We Are Shampoo (1994)
★★★☆☆
90年代半ばに日本でもブレイクした女の子デュオ。一発屋なだけに中古屋では叩き売りされているけど、今聴くとチープでダサい感じが逆に良かったりする。女の子二人のユニゾンによるボーカルはIcona Popとの親和性があるし、ヤサグレ感溢れるサビと倦怠感いっぱいのラップを行き来するB級テイストなスタイルは最近Charli XCXが目指している方向にも近い気が。本作収録の代表曲「Trouble」はM.I.A.の2013年作『Matanghi』に収録されている「Double Bubble Trouble」の元ネタでもあるし、もしかしたらそろそろ再評価の波が来るのかも。昔懐かしいEast17「House of Love」のカバーも秀逸。
Christopher Cross / Christopher Cross (1979)
★★★☆☆
Destroyerの『Kaputt』(2011年)以降、インディーロック界隈でもよく聞かれるようになった「AOR」というキーワード。Boz Scaggs、Bobby Caldwell、Steely Danくらいしか聴いたことはなかったけど、「AOR」という言葉から勝手にイメージ付けている要素──伸びやかで透き通るような美声、コンガ、サックスorトランペット、ピアノ、ソウルフルなコーラス隊──といったものが見事に備わっていて、確かにこれはAOR以外の何ものでもない。AOR、もっといろいろ聴いてみたいと思った。
Aloe Blacc / Lift Your Spirit (2013)
★★★☆☆
Avicii「Wake Me Up」のフィーチャリングボーカルとして知られるシンガー。1曲目から「Wake Me Up」のアコースティックバージョンなのが、アルバムのコンセプトよりも売れること重視な感じがしてちょっと萎えた。途中から入るバスドラも低音過ぎて浮いているし…。2曲目以降は彼の特徴的な声質を活かした良曲が続き、ソウルフルなのに暑苦しさのない感じが良かった。
Yeti / Yume! (2007)
★★★☆☆
The Libertinesのゲイリー・ハッサールによるバンド。The Beatles、Bob Dylan、The Byrds、The La's、Neil Sedaka辺りをルーツに感じさせる音作りは面白かったけど、メロディーの観点ではフックが弱く、あまり印象に残らなかった。
Madonna / Music (2000)
★★★☆☆
思いっきりカウガールなジャケや「American Pie」が収録されていることからシェリル・クロウ的カントリーロックなアルバムかと思いきや、マドンナらしい従来通りのエレクトロ・ポップ作品。これまでと異なるのは随所でアコースティック・ギターの音が加えられていること。全体的に大人しくて、ダンサブルではあるけどキラーチューンがなく地味な印象。
Madonna / American Life (2003)
★★★☆☆
何だろう、このアルバムも『Music』もそうだけど、曲単位ではそこまで悪くないのにキラーチューンが無いのでアルバムとしてメリハリが無く、つまらなく感じる。この時期はマドンナにとっても低迷期なのでは。来月聴く予定の『Confessions on a Dance Floor』はキラーチューン「Hung Up」が収録されているので期待したい。
【番外編】
Nirvana / Nevermind (1991)
高校生の時に友人から借りて以来カセットで聴いていた本作をようやくCDで買い直し。当時はそこまでハマったわけではないけど、今あらためて聴くととてもメロディアスでポップだし音もかっこいい。
※初聴きではないので★は無し
Paramore / Paramore (2013)
★★★★★
結成時の中心メンバーの脱退を経てパワーダウンするどころか、USアルバムチャートで初の1位を獲得するなどこれまで以上の快進撃を見せている4作目。「トワイライト~初恋~」の曲「Decode」をはじめとするいくつかのシングル曲を知っている程度だったけど、歌の上手さや声量を過剰にアピールするようなヘイリーの歌唱があまり好きではなく、これまでのアルバムは全て未聴だった。
ビッグなギターサウンドを鳴らしつつマリンバの音が軽やかさを添えるポップ・ナンバー『Ain't It Fun』にハマったのがきっかけで本作を手にとってみたけど、以前とは明らかにヘイリーの歌い方が変わっていることにまず驚かされた。曲調によって時にはソフトに、時にはコケティッシュに、時には力強くといった風に歌い方を使い分け、表情豊かなヴォーカルを見せている。
曲調もこれまでのイメージと比べると軽くてポップ。重く陰のあるメロディーはここにはなく、それに代わってギターポップ/パワーポップ/カントリー/フォーク/オールディーズを基調とした、瑞々しくもエモーショナルなメロディーに満ちている。インタールード的に挿入された短い3曲もいい感じにリラックスした印象を与え作品をバラエティ豊かにしているし、何よりもイキイキとしたバンドの躍動感が楽曲全体に漲っている感じがたまらない。
Paramore - "(One Of Those) Crazy Girls"
Jack Peñate / Everyting Is New (2009)
★★★★★
Spincoasterの方にも書いたように、そもそものきっかけはJungleを聴いた時に本作収録の「Tonight's Today」を思い出したことだった。近年は表立った活動をしていない彼の目下最新作である本作が持つスモーキーかつソウルフル、グルーヴィーかつアーバンな空気は、リリース当時よりもむしろ今の方がタイムリーな輝きを放っていると思う。そして何よりも普遍性のあるポップなメロディーが魅力的。早く復帰して彼の「イマの音」が聴きたいところ。
Jack Peñate - "Tonight's Today"
Elvis Costello / This Year's Model (1978)
★★★★☆
コステロのセカンド作。前年リリースのデビュー作『My Aim Is True』(後述)と比べると格段に音がクリアに、そしてモダンになっている。メロディーメイカーとしての面目躍如とばかりに、ポップで親しみやすくアップテンポな楽曲がこれでもかと続く。随所でキーボードが大活躍していて、作品に色鮮やかな感じを添えているのも最高。
Thom Yorke / Tomorrow's Modern Boxes (2014)
★★★★☆
突如BitTorrent経由でリリースされたソロアルバム2作目。近年の彼の趣向からもっとダブステップ寄りな作風かと予測したけど、意外にもビート感は『The Eraser』に近い。ただ前作と異なる点といえば、『The Eraser』には一貫してヒンヤリとした無機質なムードがあったけど、今回はややヒューマンな感じ、温かみが感じられるところ。ノイズが多く、その粗さが宅録感を醸し出しているからかもしれない。ハッキリ言って断然『The Eraser』の方が好きだけど、これはこれで良い。
Macklemore & Ryan Lewis / The Heist (2012)
★★★★☆
「Thrift Shop」や「Can't Hold Us」といったシングル曲、そしてルックスのイメージからチャラめのヒップホップをイメージしていたけど、いい意味で期待を裏切る作品だった。ヒップホップの猥雑性や攻撃性の観点で見ると毒気がなさ過ぎて物足りないとは思うものの、全体的にメロディアスなので純粋なポップス作品としては非常にクオリティが高い。
ピアノとトランペットとトライバルなリズムをフィーチャーしたインスト「BomBom」、泣きメロ全開の「Make the Money」、音数を絞った「Thin Line」など、サンプリングネタやラップの勢いだけでグイグイ主張してくるヒップホップとは一線を画す、アーティスティックな意匠に満ちた作品。全米で大ヒットしたのも大いに頷ける。
Drake / Take Care (2011)
★★★★☆
2011年のリリース当時はメロウすぎて苦手だったけど、「Nothing Was the Same」を経て聴くととても良い。音数を絞ったビートにピアノの美しい旋律が絡む感じも好き。しかし80分超はさすがに長い…。曲数も多すぎるのがマイナスポイント。
David Bowie / Let's Dance (1983)
★★★★☆
7月のAlbum of the Monthに選んだLa Roux『Trouble In Paradise』の感想でも触れた「Let's Dance」が収録された同名のアルバム。数年前まで本作は、ボウイの最大のヒット作であると同時に駄作であるという見方が多かったように思う。それまでのカリスマティックで人間離れしたキャラクターを脱ぎ捨て、流行のディスコ・サウンドに乗せて人間的に踊るボウイには、熱心なファンであるほど本作を軽視しているようなイメージがあった。しかし本作を聴くと、あくまでプリミティブなダンス衝動に則った、都会的で洗練された作品であることがわかる。ハイトーンなウィスパーボイスで歌われる「Without You」やパーカッションの効いた「Ricochet」など佳曲揃い。
Talking Heads / The Name of This Band Is
Talking Heads (1982)
★★★★☆
Talking Headsの最高のアルバムは?と考えた時、結局ライブ盤が最高らしい。Talking Headsをもっとちゃんと聴きたいと思っていた僕はそんな情報を聞きつけて本作を手にしたけど、これ本当にライブ盤?と思うくらいにクオリティが高く、あらためて彼らは演奏力が非常に高いバンドであることを思い知らされた。ライブの熱気をしっかりと閉じ込めつつもパンク特有の粗さがなく、正確なリズムとバランスのとれた音量によって、緻密に音が構築されているのがわかる。しかもそれでいて「パンク」のアティチュードはしっかりと伝わってくるのがすごい。
ただ、このライブ盤を通して最終的に思ったのはやはり『Remain In Light』の曲、最高じゃん!ということだった(それしか聴いたことないクセにこんなこと言うのもアレだけど…)。
For Tracy Hide / Born To Be Breathtaken (2014)
★★★★☆
先月フリーDLしたEP『In Fear of Love』がとても良かったのでこの新作EPもデジタルで購入。『In Fear of Love』同様、3曲目がエレクトロっぽいインスト系の曲が挿入されている構成もとてもいいと思う。全体的には曲のクオリティは『In Fear of Love』の方が良かったものの、「Outcider」におけるモータウン・ビートは90年代Jポップみたいで本作の中でも白眉。
U2 / Songs of Innocence (2014)
★★★★☆
勝手にiTunesライブラリに入れられていたU2とかいうバンドのアルバム。オープニングはラモーンズのジョーイへのトリビュート的な内容で、曲は全然ラモーンズっぽくはないけど三連リズムのガレージロック感がかっこいい。「Song for Someone」におけるボノの艶のある伸びやかなボーカルは「With or Without You」にも通じる壮大さがあるし、「Iris (Hold Me Close)」におけるいかにもジ・エッジらしいディレイの効いたカッティングなど、U2の代名詞的な要素もいたるところに散見できる。ところでU2って誰?
Depeche Mode / Violator (1990)
★★★★☆
Depeche Modeの中でも最も人気が高いとされているアルバム。彼らの最近の曲を聴いても「思ってたイメージとちょっと違う…」という感じだったけど、これは自分が勝手に思い描いていたDMのイメージそのものな音で、初めて聴くはずなのに既聴感すら感じさせた。全体的に音圧が弱いような気もするけど、イメージがピッタリはまった分、彼らの持つダークで耽美な世界観が確立され、完成度の高い作品だと思った。
Elvis Costello / My Aim Is True (1977)
★★★☆☆
コステロのデビューアルバム。先述の『This Year's Model』と比べると音質はやや古臭いものの、中期ストーンズと初期ビートルズのいいとこ取りみたいな「Miracle Man」、ビートが弾む「Blame It On Cain」などキャッチーなガレージ・ロックンロールが並ぶ。そんな中でもやはり「Alison」は名バラード。
Rustie / Glass Swords (2011)
★★★☆☆
リリースされたばかりのアルバム『Green Language』がかなり良さげ(これから買う予定)だったこともあり、期待値が高かったグラスゴーのビートメーカーによるデビューアルバム。しかし結果からするとやや肩透かし。「Ultra Thizz」「All Nite」など良い曲もあるものの、特に前半の数曲では悪い意味でのチープさが感じられてしまった。
Shampoo / We Are Shampoo (1994)
★★★☆☆
90年代半ばに日本でもブレイクした女の子デュオ。一発屋なだけに中古屋では叩き売りされているけど、今聴くとチープでダサい感じが逆に良かったりする。女の子二人のユニゾンによるボーカルはIcona Popとの親和性があるし、ヤサグレ感溢れるサビと倦怠感いっぱいのラップを行き来するB級テイストなスタイルは最近Charli XCXが目指している方向にも近い気が。本作収録の代表曲「Trouble」はM.I.A.の2013年作『Matanghi』に収録されている「Double Bubble Trouble」の元ネタでもあるし、もしかしたらそろそろ再評価の波が来るのかも。昔懐かしいEast17「House of Love」のカバーも秀逸。
Christopher Cross / Christopher Cross (1979)
★★★☆☆
Destroyerの『Kaputt』(2011年)以降、インディーロック界隈でもよく聞かれるようになった「AOR」というキーワード。Boz Scaggs、Bobby Caldwell、Steely Danくらいしか聴いたことはなかったけど、「AOR」という言葉から勝手にイメージ付けている要素──伸びやかで透き通るような美声、コンガ、サックスorトランペット、ピアノ、ソウルフルなコーラス隊──といったものが見事に備わっていて、確かにこれはAOR以外の何ものでもない。AOR、もっといろいろ聴いてみたいと思った。
Aloe Blacc / Lift Your Spirit (2013)
★★★☆☆
Avicii「Wake Me Up」のフィーチャリングボーカルとして知られるシンガー。1曲目から「Wake Me Up」のアコースティックバージョンなのが、アルバムのコンセプトよりも売れること重視な感じがしてちょっと萎えた。途中から入るバスドラも低音過ぎて浮いているし…。2曲目以降は彼の特徴的な声質を活かした良曲が続き、ソウルフルなのに暑苦しさのない感じが良かった。
Yeti / Yume! (2007)
★★★☆☆
The Libertinesのゲイリー・ハッサールによるバンド。The Beatles、Bob Dylan、The Byrds、The La's、Neil Sedaka辺りをルーツに感じさせる音作りは面白かったけど、メロディーの観点ではフックが弱く、あまり印象に残らなかった。
Madonna / Music (2000)
★★★☆☆
思いっきりカウガールなジャケや「American Pie」が収録されていることからシェリル・クロウ的カントリーロックなアルバムかと思いきや、マドンナらしい従来通りのエレクトロ・ポップ作品。これまでと異なるのは随所でアコースティック・ギターの音が加えられていること。全体的に大人しくて、ダンサブルではあるけどキラーチューンがなく地味な印象。
Madonna / American Life (2003)
★★★☆☆
何だろう、このアルバムも『Music』もそうだけど、曲単位ではそこまで悪くないのにキラーチューンが無いのでアルバムとしてメリハリが無く、つまらなく感じる。この時期はマドンナにとっても低迷期なのでは。来月聴く予定の『Confessions on a Dance Floor』はキラーチューン「Hung Up」が収録されているので期待したい。
【番外編】
Nirvana / Nevermind (1991)
高校生の時に友人から借りて以来カセットで聴いていた本作をようやくCDで買い直し。当時はそこまでハマったわけではないけど、今あらためて聴くととてもメロディアスでポップだし音もかっこいい。
※初聴きではないので★は無し
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