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ライブレポート

ライブレポート:Hostess Club Weekender@新木場Studio Coast

2月16日、第6回目の開催となるHostess Club Weekenderの2日目公演に行ってきました。

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HCWに行くのは2012年2月の第1回、6月の第2回に次いで1年8ヶ月ぶり。その時の会場である恵比寿ガーデンホールは、日が差し込む明るいロビーや座って休憩できるスペースがあったりと、くつろげる上に開放感があって好きだったけど、Zepp Diver Cityを経て今回は新木場Studio Coastに。あそこは周りが殺風景過ぎて(あと寒いので)あまり好きではないですが、出演メンツの豪華さを考えたらキャパ的には最適だったと思います。

今回は2日間とも魅力的なメンツが揃ったと思うし、日割り次第では2日間行くつもりでいました。でも自分の希望通りに分かれてくれて。もちろんMogwaiも観たかったけどすでに複数回観ているし、The Nationalは観たことなかったので迷わず2日目のみを選択しました。というわけで、以下アーティストごとに。
※セットリストはsetlist.fmより転載



Buke And Gase
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今回のHCW出演をきっかけに知った男女ギターデュオ。どっちがビュークさんでどっちがゲイスさん?と思ったら本人の名前じゃないんですね。どうやら自作の楽器名のことらしい。女性の方はEd Sheeranみたく小さなギターを演奏。歌声はとても力強くて伸びやかでした。男性の方はギターを弾きながらペダルでバスドラムも演奏。タンバリンの鈴なのか金属製の何かがカスタマイズされてるようで、叩くと「ドスッ」と「ピシャン」が混ざったような音が出る。

曲調は少しマスロックっぽくて、St. Vincent、Dirty Projectors、Battlesなんかを思い出させた。二人は夫婦なのかな?それとも恋人?ペアルックでした。しかも地味な、上下とも黒っぽくてファスナーがやたらと付いた作業着みたいなやつ。

■Setlist
Houdini Crush
Hiccup
Misshaping Introduction
Fussrate
My Best Andre Shot
Split Like a Lip, No Blood on the Beard
Sleep Gets Your Ghost
Cyclopean


King Krule
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現在19歳のアーチー・マーシャルによるプロジェクト(クルールなのかクルエルなのかクルーなのかカナ表記統一しろ)。音源ではジャズ、ブルース、ヒップホップをベースにダブステップ以降の音響処理を施した感じだったので、ライブはどんな感じなのかとても気になっていた。アーチーの他には、やたらと高い位置で弾くギタリスト、長髪を結ったあんちゃん系ベーシスト、そしてジャズ仕込みのドラマーを加えたフルバンド編成。

アーチーはもっとナードな雰囲気のがきんちょをイメージしていたのだけど全然違っていて、赤毛・蒼白・痩せぎすなせいかちょっとヤバそうな(シンナー吸ってそうな)田舎のヤンキーみたい。前半はギターを弾いて歌っていたけど中盤はギターを置き、ヒップホップMCのようにノシノシと歩きながらヤバイ目つきでがなるように歌う姿はとてもパンク風情が漂っていてかっこよかった。音源で感じられたような密室性とかスモーキーな感じはライブでは薄く、ダブステップ的なムードもほぼ皆無。代わりにジャズやフュージョンの即興性(これは例のドラマーによるところが大きい)と、ネオアコの叙情性に満ちたライブだった。

それにしても彼がシャツの第二ボタンにぶら下げていたオレンジっぽいマスコット人形が何だったのか気になる(ピーポくんのようにも見えた)。

■Setlist
Has This Hit?
Ceiling
Ocean Bed
A Lizard State
The Krockadile
The Noose of Jah City
Baby Blue
Rock Bottom
Easy Easy
Out Getting Ribs


Youth Lagoon
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HCW史上初となるリピート出演。前回出演時はサポートのギタリストを加えた2人編成だった(デビューアルバム「The Year of Hibernation」は確かに2人でも十分に再現し得る作品だったと思う)。しかし今回はアルバム「Wondrous Bughouse」のサウンドから予想していた通りフルバンド編成でのライブ。ところで僕は第1回目HCWのライブレポートで、Youth Lagoonについてこのように書いたのでした。

「彼にとって、その『頭の中で鳴っている音楽』を、CD音源よりも忠実に描けるのが『ライブという空間』であるような気がした。まさか、彼の音楽や歌声を『パワフル』という言葉で形容することになるとは思いもよらなかった(中略)おそらく『The Year~』の高い評価によって得た資金面でのバックアップにより、次回作はフルバンドを携えて彼の頭の中を100%描ききった、壮大で美しい作品になることだろう」

確かに前回のライブを観た時、音源から想像していたよりも遥かに力強くてビッグなサウンドに驚かされた。だから彼のセカンドアルバムはきっと壮大なバンドサウンドになると期待できたし、まさにその通りの傑作を作って、より壮大でパワフルなライブになるだろうと。今回はセカンドからの選曲がほとんど(ファーストからは「Cannons」「July」をプレイ)だったけど、このライブメンバーからしたら当然のセットリストだったと思う。トレバー君は相変わらず猫背でキーボードを弾き、たまに卓上のサンプラー?かなんかをガツンと叩いたり、マイクを持ってステージ前方に出てきては虚空を見つめて歌いながらも、終始表情を変えることはなく、まるで何かが憑依しているかのようだった。でもパワフルな演奏とトレバー君の危うげな緊張感と曲の多幸感がいい具合にミックスされた素晴らしいライブだったと思う。

ひとつ欲を言えば、バックにサイケデリックでヴィヴィッドな映像を流してくれたら最高だったと思う。ハッスルしすぎなドラマーによってエネルギッシュなライブではあったけど、それが全面に押し出されすぎたせいで「Wondrous~」が持つ極彩色のトリップ感が薄まってしまったように感じられた。次は視覚と聴覚を刺激し異世界にトバしてくれるようなステージを期待したい(もしかして今回は会場の都合でできなかっただけかな?)。

■Setlist
Mute
Sleep Paralysis
Through Mind and Back
Cannons
Pelican Man
Raspberry Cane
July
Daisyphobia
Dropla


Warpaint
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リリースされたばかりの新作「Warpaint」を聴いて、正直今回のライブは期待と不安が入り混じっていた。エレクトロニクスの部分をどのように演奏するのか・・・。序盤は音のバランスも悪く、サンプラーパッドに頼りすぎなせいか彼女たち本来のグルーヴが生み出せていなかったように思う。豪快なドラミングが個人的に大好きなステラ(ちなみにライブ中の9割はステラの手を見つめていました)も、一定の強さでパッドを叩く姿が機械に合わせられている感じでどこかぎこちない。でも4曲目「Composure」辺りからは本来のグルーヴが取り戻せていたかな。

2枚のフルアルバムと最初のEPからバランスよく選曲されたセットリストだったけど、やっぱり白眉だったのはラスト「Elephants」。後半のジャムパートはライブバンドらしい彼女たちの魅力がしっかり打ち出せていた。しかしどうしてもセカンドの曲はライブ映えしない感じがした。「Disco//Very」の四つ打ちビートはもちろんフロアをがっつり踊らせていたけど、スリリングな展開とか4人全員から生まれる不穏なグルーヴはファースト期の曲の方が勝っていたと思う。

■Setlist
Intro
Keep It Healthy
Hi
Composure
Love Is to Die
Biggy
Disco//Very
No Way Out
Undertow
Elephants (+ jam)


The National
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そしていよいよ本日のトリ。アルバムは「High Violet」しか持っていなくて、一応かつては現在よりも激しい曲調だったということは情報として把握していたけど、「High Violet」以前の曲を聴くのは今回初めて。なので想像以上の疾走感とVo.マットによるスクリーモばりの叫びには驚かされた。宣教師みたいなグレーのスリーピース・スーツでめかし込んだマットが、マイクスタンドにしがみつくように激しくシャウトしたらマイクスタンドがガクッとなったのには笑ったけど。

トランペットやトロンボーンも加えた編成によるバンドアンサンブルは壮大で叙情的。しかしマットは喉の調子が悪いのか(あるいはいつもそうなのか知らないけど)何度か調子が外れていたし、出だしでいきなり音を外してわざとらしく咳きこんで曲をやり直したり、ちょっと残念。

メンバーが一旦ハケてアンコール待ちの間に、僕は後方の階段上がったところに移動して観ていたんだけど、その後マットが客席に乱入。もみくちゃになりながらなんと自分の目の前まで来た!肩をお触りしてみたら、何ともがっちりしたパンパンの肩でした・・・。その後ステージに戻ったマットは、赤ワインをボトルごと最前列のオーディエンスにドボドボと注いでステージにビンを投げつけ。これはそこらの酔っ払いよりもタチ悪い(笑)。引いてる人と熱狂する人で場内のテンションがカオスと化したところで、ラストはアンプラグドの「Vanderlyle Crybaby Geeks」でしっとりと大団円。いやートリの風格ありました。最新作「Trouble Find Me」はもちろんだけど、「Alligator」や「Boxer」も聴いてみたいと思った。

■Setlist
Don't Swallow the Cap
I Should Live in Salt
Sorrow
Bloodbuzz Ohio
Sea of Love
Hard to Find
Afraid of Everyone
Squalor Victoria
I Need My Girl
This Is the Last Time
Abel
Slow Show
Pink Rabbits
England
Graceless
Fake Empire

Encore:
Mr. November
Terrible Love
Vanderlyle Crybaby Geeks


以上、今回のHCWの2日目は、個人的にはHCW史上最強のメンツでかなり大満足でした。次回6月もStudio Coastでの開催ということで、誰が来るのか非常に楽しみ。一応予想書いておきます。

【ヘッドライナー】
Beck / Kaiser Chiefs

【中堅~準新人枠】
Cloud Nothings
Maximo Park
Bombay Bicycle Club
St. Vincent
Howler
Real Estate
Wild Beasts

【新人枠】
Circa Waves
SOHN
Lo-Fang

ヘッドライナーがちょっとアンバランスかも・・・。Beckはフジかな?
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