初聴きディスクレポート |
11月に買った&借りたアルバムの「いちばん最初に聴いたとき」の感想まとめです。そろそろ年末ということで、ちらほら年間ベストが発表されていますね。今年の買い逃しを早く入手したいところです。
<★の解説>----------------------
★★★★★年間ベストアルバム20位以内確実
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆標準レベルの良作
★★☆☆☆若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
----------------------------
それでは11月の「Album of The Month」の発表です。
<★の解説>----------------------
★★★★★年間ベストアルバム20位以内確実
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆標準レベルの良作
★★☆☆☆若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
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それでは11月の「Album of The Month」の発表です。
【Album of The Month - Godspeed You! Black Emperor / 'Allelujah! Don't Bend! Ascend!】
★★★★★
原宿アストロホールで行われた彼らの単独ライブを観たのが2000年11月(もう12年も前だと…!)。その時の記憶としては、小さなステージ上にところ狭しと並んだ総勢10名以上ものメンバーにはロクに照明も当たらず、バックに映し出されたモノクロの8mmフィルム映像の上にメンバーのシルエットが浮かびあがるというものだった。ときおり「HOPE」という殴り書きのような文字が映し出されていたのもしっかりと脳裏に焼き付いている。音に関しては当時の最新アルバム「Lift Yr. Skinny Fists Like Antennas To Heaven!」(2枚組全4曲、全曲がほぼ20分)に収められている楽曲を中心に、不穏さと狂気と静寂、そして一瞬だけ差し込む希望(=HOPE)の光を表現したような、何とも言えない異次元感覚に満ちたものだった。
その後彼らに対する熱も冷め、バンドの活動休止も2010年の再始動も特に気に留めていなかったのだけど、新作リリースが報じられた際にTwitter上で20代前半の若い世代までもが歓喜しているのを見て、古い写真でも眺めるような軽い気持ちでWEB試聴したところ…想像を遥かに超えた音の威力に衝撃を受けた。物悲しいストリングス、呪術的かつトライバルなパーカッション、轟音ギター、爆裂ドラム。12年前のライブがフラッシュバックするかのような音の臨場感と、以前よりさらに強度を増したバンドアンサンブルはただただ圧倒されるばかり。そして何より驚きなのは、同時にこれまでにはないポップな部分が出ていて非常に聴きやすいこと。20分超えの曲も、無駄な反復がなく起伏に富んでいるので冗長に感じさせない。彼らが本来持つ魅力を強化させつつ、これまで以上に「聴きやすさ」も付加されていることを考えると、本作は彼らの最高傑作と呼べるのではないだろうか。
Godspeed You! Black Emperor - "Mladic"
Crystal Castles / (Ⅲ)
★★★★★
2作目だった前作はメロディアスな一面とノイズ/アヴァンギャルドな一面をともに強化した作品ではあったものの、基本的には1st路線を踏襲しており、個人的にはバンドとしてのクリエイティビティの限界を感じたのも事実。要はマンネリ感によって、「2作目はギリギリ聴けたけど、同じ路線なら3作目は聴かないな」と思っていた。
しかし本作では見事に裏切られた。もちろんいい意味で。「大成長」というとセルアウトしたようなニュアンスが感じられるので使いたくはないけど、これまでもエレクトロやチップチューンの枠に収まらずに孤高の存在という印象だった彼らが、チルウェイヴとかダークウェイヴとかウィッチハウス(ジャンルの定義は自分でもよくわからないけど、とにかくそういったインディー・エレクトロのサブジャンル)といった「流行」に寄り添い、かつそれらを単に模倣するのではなく自分たちのフィルターを通したオリジナルなサウンドを作り上げたことで、とても新鮮でエキサイティングなアルバムに仕上がっている。四つ打ちで押し切るのではなく、アップテンポからダウンテンポに至るまで個性的かつバラエティに富んだビートも大きな魅力。それでいてメロディーも前作以上に洗練されているし、激シャウトの代わりに美しく神秘的なアリスのボーカルが存分に堪能できる作品。
Crystal Castles - "Affection"
California Wives / Art History
★★★★★
シューゲイザーやニューウェイヴをさらりと通過した良質のギターポップ。四つ打ちのダンサブルな曲も多く、Phoenixの「Wolfgang Amadeus Phoenix」が好きな人にも強くオススメしたい。流麗なシンセのフレーズや清涼感溢れるボーカル、美しいメロディーラインなど、日本人好みな感じ。バンド名に入っている「California」からイメージされるサーフ的なものよりも北欧ポップに近い。
California Wives - "Purple"
Taylor Swift / Red
★★★★☆
「カントリー」という要素を随所に散りばめながらも、その枠から大きく飛び出したポップ・アルバム。浮遊感たっぷりなギターがU2っぽさも感じさせる雄大なオープニング「State of Grace」からして瑞々しいメロディーと美しい歌声が素晴らしいのだけど、その後もオルタナカントリーな「Red」、さりげなくダブステップ風のつんのめったビート感覚が添えられた「I Knew You Were Trouble.」、一度聴いたら頭から離れないほど強烈なフックを持つ「We Are Never Ever Getting Back Together」など、シングルとしてハイクオリティな楽曲がいくつも並ぶのに加え、エド・シーランやギャリー・ライトボディ(スノウ・パトロール)とのデュエット曲も共作者の個性とテイラー自身の魅力がバランスよく活かされていて素晴らしい。個人的には素朴な牧歌的カントリー「Stay Stay Stay」もシングルカットされてほしい。
The Bilinda Butchers / Goodbyes EP
Regret, Love, Guilt, Dreams EP
★★★★☆
マイブラのメンバーの名前を冠してはいるもののシューゲイザーではなく、チルウェイヴとネオアコをうまく昇華したドリームポップといった感じ。特筆すべきはキラキラしたシンセの音のチョイスで、懐古的になりすぎない程度にノスタルジックな雰囲気を醸し出すのは意外と難しいのだけど、それをさらりとやってのけている。チルウェイヴやらドリームポップはもうお腹いっぱいになりつつあった中で出会った思いがけない良作。これら2枚のEPは彼らのbandcampにてname your priceでDL可能。
Jason Lytle / Dept. of Disappearance
★★★★☆
Grandaddyのボーカリストによるソロ二作目。前作と同様に、グランダディ好きなら聴かないのはもったいないほどに「まんまグランダディ」なアルバム。今回は少し暗くて内省的な曲が多く、プログレ的な複雑な展開を持つ曲もいくつかあるので、どことなくGrandaddyの名盤「The Sophtware Slump」を思わせる。相変わらずの涙腺崩壊級泣きメロとファニーなシンセ、そしてどこまでも繊細なボーカルの組み合わせはやはり最高。ジャケは再考(韻踏んだ)の余地あり…。
The Wannadies / Be A Girl
★★★★☆
先月「Bagsy Me」と2枚同時購入したうちの1枚。どちらも彼らのファンの中で同じくらい人気が高かったので両方買ったのだけど、自分は断然こっち派。路線の違いはないものの、各曲のメロディーやコーラスワークだったり、疾走感ある曲とメロウな曲とのバランスや曲順の流れなど、アルバムのトータル的な完成度でみてもこちらの方が優れていると個人的には思う。
Ringo Deathstarr / Mauve
★★★☆☆
前作収録の「So High」ような、多幸感に満ちたシューゲ・ギターポップはない代わりに、マイブラの「Isn't Anything」に収録されていそうな(あるいは「You Made Me Realise」のような)性急なパンクナンバーが大部分を占めるセカンド。特に前半のたたみ掛けるような展開は圧巻。中盤少し緩やかな展開を挟みつつ、ボーナストラック含め後半は再びアッパーなチューンとグルーヴを重視した曲が続く。これはたぶん、前作の印象や「シューゲイザー」という観念を捨て去った方がよく聴こえると思う。前作路線を期待してしまうと肩透かしを食らうかもしれないけど、グランジやガレージパンクの粗い音にハマっている人にはオススメ。初聴き時の感想なので星3つにしたけど、聴くたびに好き度が増して現時点での評価は星5つに上昇。ちなみに国内盤ライナーノーツには当ブログの特集のことが書かれています。
Jesse Ruins / Dream Analysis EP
★★★☆☆
東京出身の3人組サイケデリック・シンセポップ・バンド。今にも消え入りそうなほどかすかな囁きボーカルながら、メロディーがしっかりしているためか不思議なくらい歌心を感じさせる。ベースラインとドラムがシンプルなのもメロディーを引き立たせている要因だろう。ほとんどの曲で同じような音色なのだけど、全8曲を通して聴いても不思議と飽きがこないのは、表現するサウンドコンセプトが一貫しているためにひとつの長い曲のように聴けるからだろうか。来年リリース予定というフルアルバムにも期待。
Flying Lotus / Until The Quiet Comes
★★★☆☆
LAビート・シーンとか、この辺のアーティストは全然詳しくないのだけど、本作は非常に聴きやすかった。1曲が短いので曲単位での印象としてはあまり残らないものの、作品全体からコズミックでスモーキー、そしてスピリチュアルな雰囲気が感じられ、まさにアートワークのイメージのごとく漆黒の中にカラフルな色彩が感じられるようなサウンド。トム・ヨークがボーカルで参加しているのだけど、あまりにさりげなさすぎて、いつも気付くとその曲が終わっていたりする。トリップできる音楽。
Lana Del Rey / Paradise EP
★★★☆☆
MVが先行公開されていた「Ride」や、歌詞が話題となった「Cola」を含む全8曲(iTunes版は9曲)のEP。多数のサンプリングボイスが加えられオーバープロデュースとも揶揄されたデビューアルバム「Born To Die」のプロダクションが不満だった人はこちらの方がオススメかもしれない。自分はどちらも好きだけど、やはりアレンジが幾分シンプルになったので、メロディーの美しさや声(高低を自由に行き来する歌唱法含む)の良さが引き立っている。
Letting Up Despite Great Faults / Untogether
★★☆☆☆
The Postal Serviceやスーパーカーのように、「優しげなボーカル、グッドメロディー、ダンスビート、流麗なシンセ音」の組み合わせが好きな自分としては最大の評価を与えたいバンドではある。でも、このバンドはミックスとマスタリングがどうも好きになれない。もっとクリアで立体的な音像にすれば魅力も引き出せると思うのだけど、ビートは悪い意味で古臭いし、シンセやギターもレベルが振り切れ気味で音割れしている。さらにイコライジングも中音域を強調しながらボーカルのレベルを抑えているので、全体的にこもった感じの音になってしまっているのが残念(前作も結局そこが難点で購入に至らなかった)。音使いとソングライティングのセンスに長けているのだから、次回作では優秀な外部プロデューサーを付けて、大傑作を生み出してほしい。
Freelance Whales / Diluvia
★☆☆☆☆
2009年のデビュー作「Weathervanes」がフォークやエレクトロニカを内包した良盤だった彼ら。セカンドとなる本作は「Spitting Image」のようなアッパーなアンセム曲もあるものの、全体的にはおとなしめで壮大な曲が多い。そのためかオープニングからラスト曲に至るまで、ほぼ全曲がクライマックスのような雰囲気になってしまい、メリハリがなくなってしまっている。曲単位ではいい曲も多いだけに残念。
★★★★★
原宿アストロホールで行われた彼らの単独ライブを観たのが2000年11月(もう12年も前だと…!)。その時の記憶としては、小さなステージ上にところ狭しと並んだ総勢10名以上ものメンバーにはロクに照明も当たらず、バックに映し出されたモノクロの8mmフィルム映像の上にメンバーのシルエットが浮かびあがるというものだった。ときおり「HOPE」という殴り書きのような文字が映し出されていたのもしっかりと脳裏に焼き付いている。音に関しては当時の最新アルバム「Lift Yr. Skinny Fists Like Antennas To Heaven!」(2枚組全4曲、全曲がほぼ20分)に収められている楽曲を中心に、不穏さと狂気と静寂、そして一瞬だけ差し込む希望(=HOPE)の光を表現したような、何とも言えない異次元感覚に満ちたものだった。
その後彼らに対する熱も冷め、バンドの活動休止も2010年の再始動も特に気に留めていなかったのだけど、新作リリースが報じられた際にTwitter上で20代前半の若い世代までもが歓喜しているのを見て、古い写真でも眺めるような軽い気持ちでWEB試聴したところ…想像を遥かに超えた音の威力に衝撃を受けた。物悲しいストリングス、呪術的かつトライバルなパーカッション、轟音ギター、爆裂ドラム。12年前のライブがフラッシュバックするかのような音の臨場感と、以前よりさらに強度を増したバンドアンサンブルはただただ圧倒されるばかり。そして何より驚きなのは、同時にこれまでにはないポップな部分が出ていて非常に聴きやすいこと。20分超えの曲も、無駄な反復がなく起伏に富んでいるので冗長に感じさせない。彼らが本来持つ魅力を強化させつつ、これまで以上に「聴きやすさ」も付加されていることを考えると、本作は彼らの最高傑作と呼べるのではないだろうか。
Godspeed You! Black Emperor - "Mladic"
Crystal Castles / (Ⅲ)
★★★★★
2作目だった前作はメロディアスな一面とノイズ/アヴァンギャルドな一面をともに強化した作品ではあったものの、基本的には1st路線を踏襲しており、個人的にはバンドとしてのクリエイティビティの限界を感じたのも事実。要はマンネリ感によって、「2作目はギリギリ聴けたけど、同じ路線なら3作目は聴かないな」と思っていた。
しかし本作では見事に裏切られた。もちろんいい意味で。「大成長」というとセルアウトしたようなニュアンスが感じられるので使いたくはないけど、これまでもエレクトロやチップチューンの枠に収まらずに孤高の存在という印象だった彼らが、チルウェイヴとかダークウェイヴとかウィッチハウス(ジャンルの定義は自分でもよくわからないけど、とにかくそういったインディー・エレクトロのサブジャンル)といった「流行」に寄り添い、かつそれらを単に模倣するのではなく自分たちのフィルターを通したオリジナルなサウンドを作り上げたことで、とても新鮮でエキサイティングなアルバムに仕上がっている。四つ打ちで押し切るのではなく、アップテンポからダウンテンポに至るまで個性的かつバラエティに富んだビートも大きな魅力。それでいてメロディーも前作以上に洗練されているし、激シャウトの代わりに美しく神秘的なアリスのボーカルが存分に堪能できる作品。
Crystal Castles - "Affection"
California Wives / Art History
★★★★★
シューゲイザーやニューウェイヴをさらりと通過した良質のギターポップ。四つ打ちのダンサブルな曲も多く、Phoenixの「Wolfgang Amadeus Phoenix」が好きな人にも強くオススメしたい。流麗なシンセのフレーズや清涼感溢れるボーカル、美しいメロディーラインなど、日本人好みな感じ。バンド名に入っている「California」からイメージされるサーフ的なものよりも北欧ポップに近い。
California Wives - "Purple"
Taylor Swift / Red
★★★★☆
「カントリー」という要素を随所に散りばめながらも、その枠から大きく飛び出したポップ・アルバム。浮遊感たっぷりなギターがU2っぽさも感じさせる雄大なオープニング「State of Grace」からして瑞々しいメロディーと美しい歌声が素晴らしいのだけど、その後もオルタナカントリーな「Red」、さりげなくダブステップ風のつんのめったビート感覚が添えられた「I Knew You Were Trouble.」、一度聴いたら頭から離れないほど強烈なフックを持つ「We Are Never Ever Getting Back Together」など、シングルとしてハイクオリティな楽曲がいくつも並ぶのに加え、エド・シーランやギャリー・ライトボディ(スノウ・パトロール)とのデュエット曲も共作者の個性とテイラー自身の魅力がバランスよく活かされていて素晴らしい。個人的には素朴な牧歌的カントリー「Stay Stay Stay」もシングルカットされてほしい。
The Bilinda Butchers / Goodbyes EP
Regret, Love, Guilt, Dreams EP
★★★★☆
マイブラのメンバーの名前を冠してはいるもののシューゲイザーではなく、チルウェイヴとネオアコをうまく昇華したドリームポップといった感じ。特筆すべきはキラキラしたシンセの音のチョイスで、懐古的になりすぎない程度にノスタルジックな雰囲気を醸し出すのは意外と難しいのだけど、それをさらりとやってのけている。チルウェイヴやらドリームポップはもうお腹いっぱいになりつつあった中で出会った思いがけない良作。これら2枚のEPは彼らのbandcampにてname your priceでDL可能。
Jason Lytle / Dept. of Disappearance
★★★★☆
Grandaddyのボーカリストによるソロ二作目。前作と同様に、グランダディ好きなら聴かないのはもったいないほどに「まんまグランダディ」なアルバム。今回は少し暗くて内省的な曲が多く、プログレ的な複雑な展開を持つ曲もいくつかあるので、どことなくGrandaddyの名盤「The Sophtware Slump」を思わせる。相変わらずの涙腺崩壊級泣きメロとファニーなシンセ、そしてどこまでも繊細なボーカルの組み合わせはやはり最高。ジャケは再考(韻踏んだ)の余地あり…。
The Wannadies / Be A Girl
★★★★☆
先月「Bagsy Me」と2枚同時購入したうちの1枚。どちらも彼らのファンの中で同じくらい人気が高かったので両方買ったのだけど、自分は断然こっち派。路線の違いはないものの、各曲のメロディーやコーラスワークだったり、疾走感ある曲とメロウな曲とのバランスや曲順の流れなど、アルバムのトータル的な完成度でみてもこちらの方が優れていると個人的には思う。
Ringo Deathstarr / Mauve
★★★☆☆
前作収録の「So High」ような、多幸感に満ちたシューゲ・ギターポップはない代わりに、マイブラの「Isn't Anything」に収録されていそうな(あるいは「You Made Me Realise」のような)性急なパンクナンバーが大部分を占めるセカンド。特に前半のたたみ掛けるような展開は圧巻。中盤少し緩やかな展開を挟みつつ、ボーナストラック含め後半は再びアッパーなチューンとグルーヴを重視した曲が続く。これはたぶん、前作の印象や「シューゲイザー」という観念を捨て去った方がよく聴こえると思う。前作路線を期待してしまうと肩透かしを食らうかもしれないけど、グランジやガレージパンクの粗い音にハマっている人にはオススメ。初聴き時の感想なので星3つにしたけど、聴くたびに好き度が増して現時点での評価は星5つに上昇。ちなみに国内盤ライナーノーツには当ブログの特集のことが書かれています。
Jesse Ruins / Dream Analysis EP
★★★☆☆
東京出身の3人組サイケデリック・シンセポップ・バンド。今にも消え入りそうなほどかすかな囁きボーカルながら、メロディーがしっかりしているためか不思議なくらい歌心を感じさせる。ベースラインとドラムがシンプルなのもメロディーを引き立たせている要因だろう。ほとんどの曲で同じような音色なのだけど、全8曲を通して聴いても不思議と飽きがこないのは、表現するサウンドコンセプトが一貫しているためにひとつの長い曲のように聴けるからだろうか。来年リリース予定というフルアルバムにも期待。
Flying Lotus / Until The Quiet Comes
★★★☆☆
LAビート・シーンとか、この辺のアーティストは全然詳しくないのだけど、本作は非常に聴きやすかった。1曲が短いので曲単位での印象としてはあまり残らないものの、作品全体からコズミックでスモーキー、そしてスピリチュアルな雰囲気が感じられ、まさにアートワークのイメージのごとく漆黒の中にカラフルな色彩が感じられるようなサウンド。トム・ヨークがボーカルで参加しているのだけど、あまりにさりげなさすぎて、いつも気付くとその曲が終わっていたりする。トリップできる音楽。
Lana Del Rey / Paradise EP
★★★☆☆
MVが先行公開されていた「Ride」や、歌詞が話題となった「Cola」を含む全8曲(iTunes版は9曲)のEP。多数のサンプリングボイスが加えられオーバープロデュースとも揶揄されたデビューアルバム「Born To Die」のプロダクションが不満だった人はこちらの方がオススメかもしれない。自分はどちらも好きだけど、やはりアレンジが幾分シンプルになったので、メロディーの美しさや声(高低を自由に行き来する歌唱法含む)の良さが引き立っている。
Letting Up Despite Great Faults / Untogether
★★☆☆☆
The Postal Serviceやスーパーカーのように、「優しげなボーカル、グッドメロディー、ダンスビート、流麗なシンセ音」の組み合わせが好きな自分としては最大の評価を与えたいバンドではある。でも、このバンドはミックスとマスタリングがどうも好きになれない。もっとクリアで立体的な音像にすれば魅力も引き出せると思うのだけど、ビートは悪い意味で古臭いし、シンセやギターもレベルが振り切れ気味で音割れしている。さらにイコライジングも中音域を強調しながらボーカルのレベルを抑えているので、全体的にこもった感じの音になってしまっているのが残念(前作も結局そこが難点で購入に至らなかった)。音使いとソングライティングのセンスに長けているのだから、次回作では優秀な外部プロデューサーを付けて、大傑作を生み出してほしい。
Freelance Whales / Diluvia
★☆☆☆☆
2009年のデビュー作「Weathervanes」がフォークやエレクトロニカを内包した良盤だった彼ら。セカンドとなる本作は「Spitting Image」のようなアッパーなアンセム曲もあるものの、全体的にはおとなしめで壮大な曲が多い。そのためかオープニングからラスト曲に至るまで、ほぼ全曲がクライマックスのような雰囲気になってしまい、メリハリがなくなってしまっている。曲単位ではいい曲も多いだけに残念。
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