こんな記事を拾いました。
菅政権のコロナ対策がワクチン中心であることを徹底的に非難しています。
アメリカ等の例を挙げて「ワクチンで集団免疫は作れない」と言い、デルタ株始め変異株の出現を理由に「水際対策が甘かったので多くの人命が失われた」と言い、そして最後は
>これまでのデータを精緻に分析して、国民に対して真に正しい生活様式を示してほしいところです。
と、締めくくっているのです。
どうやらこの人は水際対策を徹底し、「真に正しい生活様式」をすればコロナは防げると思っているようです。
「真に正しい生活様式」ってどんな生活様式でしょうね?
そういう生活様式があるとして、全国民にそれを強制することができるのでしょうか?
ワクチン接種は接種会場へ往復も含めて一回数時間で終わります。
それでも意味不明の陰謀論に煽られて「ワクチン怖い」と騒いでいる人が多数います。 この人達に強制するのは無理でしょう。
それでは「真に正しい生活様式」を全国民が守る事は可能でしょうか?
生活様式となると数時間の話ではないのです。 24時間365日、何年も続くのです。
その為に今まで生活様式・生活習慣を全部変えなければなりません。
こんな事は超全体主義国家でも不可能でしょう。
そもそも首相が「真に正しい生活様式」を示したら、全国民がそれに従う国って怖すぎませんか?
それどころかもっと簡単そうな「水際対策の徹底」だって不可能です。
これは現在、ニュージーランドやオーストラリアにデルタ株が入り、感染が拡大している事実を見ればわかります。
ニュージーランドは昨年コロナパンデミックが始まった当初から、全国で数人の感染者が出たら、全国ロックダウンという極めて厳しい対応を行って、コロナ感染者や死者を世界最低レベルに抑え込んでいました。
勿論、水際対策も徹底してました。
そしてこの春には、コロナ克服を宣言しました。
ニュージーランドは地理的に孤立した島国で、しかも日本とほぼ同じ広さの国土で人口が北海道と同じ500万人、主要産業は農業という国です。
だからロックダウンによる経済へのダメージも限られているのです。
また日本でも農業主体の人口密度の低い県は、感染者は非常に少なかったです。
それでロックダウンまでやったのですから、感染が抑えられたのは当然でしょう。
しかしデルタ株はニュージーランドにも入りました。
先日デルタ株の感染者が一人出たので、ニュージーランド政府はまた速攻で全土ロックダウンに入ったのですが、現在感染者は175人まで増えています。
オーストラリアもロックダウンを中心にしての感染防止に努めてきました。
それでデルタ株が入った直後から、また厳しいロックダウンに入りましたが、国民がブチ切れて大規模デモが起きてしまいました。
それでオーストラリア政府は、ロックダウンによるコロナ対応を諦めました。
しかし今後、オーストラリアもニュージーランドも大変でしょうね。
だってこの両国はこれまで感染者が少なかった事で、ワクチン接種が遅れています。
だからこれで感染者が増えると阿鼻叫喚になってしまいます。
だからこそニュージーランドもオーストラリアも、一人の感染者でロックダウンという強硬政策に出たのですが、しかしこの経過を見る限り、デルタ株はロックダウンでは観戦拡大防止は難しいようです。
いずれにせよこの両国を見る限り、現代の国際社会で水際対策による感染の完全防止なんて不可能なのです。
防疫対策を厳しくすれば、ウィルスが入るのを遅らせる事はできるけれど、しかし遅れても必ず入ってくる。 そして一旦入れば、蔓延する。
これは第一次世界大戦のころに確立した疫学の基本原理だそうです。
この記事が指摘しているワクチンに頼ったコロナ対策の問題点は、概ね事実なのですが、しかしこの記事は著者の意図とは逆にワクチンを中心にした菅総理のコロナ対策は正しい事の証明を証明しています。
なぜならこの記事で著者が提案する方法は、全て実現不可能な物なのです。
だから今、アメリカやイギリスやフランスなど、ワクチン接種の進んだ国々は、コロナ対策をやめて、コロナ以前の生活を取り戻す事にしました。
今日はドイツもそれに加わりました。
主要な先進民主主義国家が揃ってワクチン頼りで、コロナを克服し、そしてコロナ対策をやめる事にしたのです。
勿論、この記事の著者が指摘する通り、これらの国々では感染者も死者もまだまだ多いのです。
それどころか人口比では死者など日本の10倍以上です。
また変異種は今後も定期的に出てくるので、ワクチンもいつまで効くはわかりません。
でも人間には無限の忍耐はないし、国家には無限の予算はありません。
そしてコロナウィルスが近いうちに消える可能性もありません。
だったら今後の感染爆発のリスクはリスクとして、そのリスクに対応できる体制、例えば病床の確保や医師の動員体制などを作ったうえで、生活を元に戻し、経済活動を再開するしかないのです。
今菅政権はブースター接種のワクチンを確保する一方で、医師会の尻を蹴飛ばして病床の確保に当たっています。
実は現在の感染爆発、つまり第5波はそろそろピークアウトします。 今後暫く重症者は増えますが、これは1~2週間前のピーク時に感染した人が重症化しているのです。 だからもう暫くしてこの人達が回復すれば、また病床に余裕が出るでしょう。
つまり菅総理が行っている病床確保は、もっと将来の見据えての対応でしょう。
菅総理もワクチン接種が終わる10月ぐらいを目途に、コロナを事実上の5類扱いにして、国民生活を元に戻すつもりではないでしょうか?
しかしコロナウィルスが消えるわけではないし、また新しい変異株は定期的に出てくるので、それを前提に病床の確保など、恒久的なコロナ対応ができる体制を作っていく心算なのでしょう。
医師会は未来永劫コロナ診療から逃げたいようですが、そうはいかないのです。 だから医師会にも全面的にコロナ診療をやらせる体制を作ろうというのでしょう。
いずれにせよ「真に正しい生活様式」の強制とか、鎖国とか、ロックダウンなどでの防疫は不可能なのですから、菅政権としては実現可能な対策を取りながら、国民生活を元そうとしているのでしょう。
ところで今日、他にも面白い記事を拾いました。
もしも鎌倉幕府に教養があったら、日本はモンゴルに襲われなかっただろう
上のキャプションは2ちゃんのスレッドのタイトルですが、リンク先の元記事が言っているのは、全くこのタイトル通りです。
この記事の著者は東大教授なのですが、鎌倉武士がいかに無教養で野蛮だったかをきちんと歴史的事実をあげて解説し、国書も満足に読めないからモンゴルの要求を蹴飛ばし、それでモンゴルに襲われたというのです。
鎌倉武士が無教養で野蛮だったのは、その通りだと思います。
この記事の著者は鎌倉幕府がモンゴルの冊封関係を受け入れた攻められる事はなかったというのですが、だったらベトナムはどうでしょうか?
ベトナムは長く中国との冊封関係を持ち続けた国で、冊封関係の意味は熟知しています。 そしてそのような歴史から支配層は中国式の教養は非常に豊かなのです。
またモンゴルがベトナムを侵略する価値も皆無です。
しかしベトナムは三度もモンゴルに襲われて、その都度撃退したのです。
モンゴルの支配を被ったユーラシア大陸の国々の支配者は全て無教養だったんでしょうか?
サマルカンドとかブラハとか、随分と華やかな文化を誇った都市が幾つもモンゴルの猛攻を受けて大虐殺を被っています。
これらの中央アジア諸都市は文化レベルが高いばかりではなく、遊牧民の脅威は知り尽くし、彼等との交渉にたけていたはずなのに、モンゴルン攻撃を外交では防げず大虐殺を被ったのです。
なるほど鎌倉武士が無教養であった事と、モンゴルが襲来したという事実だけを並べると、鎌倉武士が無教養だからモンゴルが襲来したという説も成り立ちます。
しかしベトナムは三度の元寇を被り、ユーラシア大陸の諸国の大半がモンゴルに襲われ支配されました。 そして陥落した都市の多くでは、日本人の想像を絶するような虐殺が起きたという事実を考えると、この説は意味がありません。
鎌倉幕府の対モンゴル政策の話と、菅政権のコロナ対策では、全然話が違います。
しかしワタシは実はこの記事は、最初に紹介した記事と全く同類・同質だと思うのです。
つまり二つとも日本の政策の問題点だけをあげて、日本の対応を非難しています。
ここでこの二つの記事がそれぞれあげる日本の政策の問題点は、それ自体事実です。
そしてその政策上の問題点だけを理由に「日本政府が対応を誤ったから悲劇が起きた」と結論するのです。
しかし二つともそれでは諸外国の場合はどうなっているのか?という視点がありません。
なるほどコロナ対策でもモンゴルとの外交でも、日本の政策には問題点はあるのです、しかしその問題点を克服して成功した国はないのです。
モンゴルとの外交についていえば、日本は攻撃はされたけれども、とにかく防衛に成功したのだから、ユーラシア大陸の過半を占める国々よりも優秀だったと言えます。
だってユーラシア大陸の殆どがモンゴルに征服支配されました。 そしてその過程で多く国々が大虐殺を被ったのですから。
そしてコロナ対策でいえば、日本は感染当初から最低限の行動制限で済ませながら、死者も感染者の世界最低レベルに抑え込んできました。
にも拘らず、オリンピックを口実にしたんだかかなんだか、凄い交渉をやって驚異的な量のワクチンを確保して、迅速に接種しました。
お陰でデルタ株の蔓延が本格化する前に高齢者のワクチン接種はほぼ終了したので、死者は最低レベルに抑え込まれています。
これってモンゴルを撃退したの同じぐらいの大成果でしょう?
ワタシはこの二つの記事は、パヨク論理、或いはマスコミ論理の典型だと思います。
なるほどモンゴルの襲来は外交で防げた方がよかったし、コロナだってワクチンなんぞなしで感染防止できるのが理想です。
そこでパヨクやマスコミは縷々、それができない政権を非難し、無能扱いするのです。
しかし世界中の国々が政権がどこもできない事は、日本の政権だってできないのです。
ワタシは日本人だから、日本人は優れた民族だと思いたいし、その日本国民なら他国より遥かに優れた政策が可能と思いたいです。
でも日本人が魔法を使えるとか、神様(日本人は神様の子孫だけれど、でも日本の神様って一神教の神様みたいに全知全能には程遠い神々ですから)だとは思えないので、他国ができない事は、できないと思わざるを得ません。
平均点が70点のテストなら90点は取りたいです。 でも平均点が30点のテストなら50点取れば立派なモンでしょう?
でもパヨクは常に100点でない事を非難し続けるのです。