大分前ですが「
イスラム教の論理と倫理」という本を読みました。
著者は飯山陽さんと中田考さんで、二人の「書簡」という形のなっている本です。
飯山陽さんの著書については以前「イスラム教の教理」と「イスラム2.0」を紹介しています。
中田さんは何でも日本のイスラム研究の権威で、イスラム教徒で、しかもISの活動家だそうです。
つまり二人のイスラム教の研究者が、イスラム圏で起きている物事に、イスラム教という視点から書簡という形で議論するという事になっている本なのです。
しかし一読すればわかりますが、現実には議論になってないんですよね。
飯山さんは具体的な問題について、具体的な話をするんですが、中田さんの方はなんかやたらに故事来歴を持ち出して、何とも難解な文章を延々と書き綴って、話を明後日の方向に持って行ってしまうのです。
イヤ、実はね、ワタシがこの本を買って読む気になったのは、この本の最後の章、二人の最後の書簡が、ネットで公開されていて、それを読んだところ全文読みたくなったからです。
何で全文を読みたくなったかというと、飯山さんの書簡は、これまで読んだ飯山さんの二冊の著書と同じ調子で、極めて論理的、具体的な文章だったので特にどうという事もなかったのですが、中田さんには驚きました。
だってホントに難解で、とにかく次から次へと故事来歴や聖賢の書を引用しては、話を一般化、抽象化する方向に持って行くのですが、その抽象化や一般化の論理の根拠になる定理や法則はこの人の脳内にしか存在しない物らしくて、ワタシのような低学歴ネトウヨにはとてもついていけません。
ヒョッとして飯山さんが、中田さんをあんまりボコボコにやっつけたので壊れちゃったのかも?
実はこの最終書簡は、飯山さん、中田さんの順に出ていたのですが、この中で飯山さんは中田さんのこれまでの話を、前出の二著と同じ調子で、極めて具体的に論理的にボコボコにしていたのです。
そりゃ、大権威の大先生が、こんな小娘からここまでボコボコにされたら、壊れるよね?
しかしネットだけで読めるのは、この最終書簡だけですから、それまでのいきさつがわかるわけではありません。 だから全部読まないでそう結論するのはフェアではないのです。
だから大枚2090円をはらってこの本を買って全部読む事にしたのです。
それに丁度このころ、巷では菅総理の日本学術会議の会員任命拒否問題で、大騒ぎになっていました。
その任命拒否された大先生達と、中田さんのイメージが何かピッタリ重なったのです。
それでワタシは文系の碩学ってどんなモンだろうか?という好奇心に駆られたのです。
何しろワタシときたら、三流大学の工学部卒なもんで、文系の大碩学って実物を見た事がないのは勿論、著書だって読んだ事はないのです。
それで2090円を費やして勉強することにしたのです。
せめて著書から、文系の大権威というの方々を知ろうと思ったのです。
で、全文を読む限りは、中田さんの書簡も全体では最終書簡ほど難解でもグチャグチャでもなかったです。
しかし飯山さんの具体的な問題提起や問題の指摘に対して、中田さんの方がやたらに故事来歴や古今東西の名著やらを引っ張り出しては、意味不明の理論で話を抽象化、一般化しようとするというのは同じです。
なるほど中田さんが大変博覧強記で教養に溢れているのはわかりました。
この博覧強記振りはワタシが日ごろチャンネル桜で楽しみにしている内藤陽介先生と通じます。
因み内藤陽介先生も実は東大のイスラム研究室の出身で、飯山さんや中田さんと同門です。
東大文系って皆すごい博覧強記なんですね。
しかし内藤陽介先生と違って中田さんの話はすごく胡散臭くて信用できないのです。
だって中田さんは実にお粗末な詭弁を繰り返すんです。
最初に紹介した通り、この中田さんはただのイスラム研究者ではなく、イスラム教徒でしかもISの活動家なのです。
だから飯山さんはイスラム教の問題として度々テロ、特にISのテロに言及するのですが、それに対して中田さんはドストエフスキーやニーチェを引っ張り出して「テロはニヒリズムから生まれる。 だから日本でもオウムや相模原事件が起きた。」と言うのです。
或いは「ISが異教徒を殺せと扇動しているからテロが起きるというけれど、その扇動でテロが起きるなら扇動された人間はその場で手当たり次第、出会った異教徒を殺すはずだ。 しかしそんな事はしていない。 だからISがテロを扇動したとは言えない。」など言うんですね。
しかし一方でISが繰り返し「異教徒を殺せ」と扇動している事や、実際のテロが起きた時にISが犯行声明を出してきた事は、完全にスルーしているのです。
だから詭弁としても随分とお粗末です。
この人は愚民なら、この程度の詭弁で誤魔化せると思っているのでしょうか?
それとも自分自身、本気でこの詭弁を信じているのでしょうか?
この人の文章を読んでいると、常に人を小馬鹿にした調子で、共著者の飯山さんや読者を見下しているのがわかります。
極めつけは本の「あとがき」です。
中田さんは読者に向かって「私が書いた文章を読んで読者が理解したことは、私がこの文章を書くに当たって私が意図した事とは全く違う」と書いているのです。
だったらちゃんと自分の意図が伝わるように書けよ!!
読者がオマイの意図を理解できないのは、オマイの文章力が欠如しているからだ!!
でも中田さんはそう言われないように、その後延々と文章で真意を伝える事の難しさを説明するのです。
なんかもうこれだけで中田さんのお人柄が想像できてしまいます。
飯山さんは学生時代、こういう人達に囲まれて、散々なアカハラやパワハラを受けて苦労されたようですが、しかし中田さんの文章を読んでいると、なんで飯山さんが苛められかも、内藤陽介先生が東大をやめちゃっかもよくわかります。
しかし中田さんの文章を読んでいて思ったのですが、この人ホントにイスラム教徒なんでしょうか?
イヤ、ワタシはこの人が自身をイスラム教徒だと認識している事については全然疑っていません。
それどころかこの人は間違いなく御自分を非常に立派なイスラム教徒だと心から信じているでしょう。
でもこの人の文章を読んでいると、信仰を持つ人、神を恐れ敬う人の真摯さとか敬虔さというモノが欠片も感じられないのです。
尤もワタシは「人を見る目」というか、他人の気持ちを見抜く能力のようなモノは、非常にお粗末な人間なので、ワタシが直感で田中さんの信仰を語るのはフェアとは言えません。
しかしやっぱり奇妙なのです。
中田さんは安倍総理(この本は安倍さんが総理辞任前に出版されているので、本の中では安倍総理なのですが)や日本と日本人については、極めて否定的です。
それでそれぞれの書簡の中に必ずと言ってよい程、安倍総理、日本、日本人を非難する文章が出てきます。
勿論、それは構いません。
日本も日本人もそして安倍前総理も、それぞれ色々な欠点や問題がありますから。
しかしこの中田さんの安倍総理・日本・日本人の非難の内容が、100%パヨクなのです。
朝日新聞や赤旗からのコピペそのものなのです。
ISの活動家になるほど熱心なイスラム教徒であるなら、イスラム教徒の教理や価値観から日本を批判するのはわかります。
けれどもイスラム教の教理やイスラム教徒としての価値観からの日本や日本人や安倍前総理への非難はないのです。
この人の日本非難の理由は全て朝日新聞や赤旗の記事そのままなんです。
だからこの人の日本批判を読んでいると、この人はISのメンバーじゃなくて日本共産党員じゃないかと思ってしまいます。
この人は今60代で、ワタシと同世代です。
だからワタシと同様な戦後民主主義の教育を受けて育ったのでしょう。
ワタシ達の世代の人間の価値観は、学校で習った事と、新聞とテレビだけ信じていれば、中田さんと同じです。
しかしイスラム教に入信するという、ワタシと同世代の日本人としては極めて特異な選択をしながら、実は中身は戦後民主主義そのまんまっていうのは何でしょうね?
例えばこれは飯山さんがこの本の中でも散々指摘しているのですが、ISが再興しようとしているカリフ制など、実は民主主義とは全く違う価値観によるものです。
それを信奉する人が、しかし現在自分が暮らす国、自分の同胞、自分の祖国についての問題について、口を開けば戦後民主主義の価値観でしか語らないというのは、実に奇妙です。
でもこれは実は中田さんだけじゃないようです。
中田さんの師匠筋に
板垣雄三という文化功労者になった大先生がいますが、飯山さんによるとこの人は以下のような、板垣イデオロギーとでも言うべきモノを持っていました。
日本の「植民地主義、人種主義、軍国主義、男性中心主義という世界史の中での悪性腫瘍的な展開は、ような展開は欧米中心主義と重なり合っており「敗戦後の天皇制もまた欧米を真似た欧米中心主義的な天皇制でしかない。」
「日本は欧米と並ぶ近代世界の悪の元凶であり、イスラームによってのみそれを超克できる」
で、この板垣イデオロギーが、日本のイスラム学者の多くに脈々と受け継がれているのだそうです。
??
近代世界史上の悪性腫瘍的な展開が、植民地主義、人種主義、軍国主義、男性中心主義
って?
ヒョッとしてこの板垣大先生の神様って、実はアッラーじゃなくてGHQ?
GHQに沢山入り込んでいたという共産主義者?
こういうの見ていると、この人達は実は中身は戦後民主主義の優等生そのものでです。
それがイスラム研究を生業にしたので、イスラム教に媚びているだけかも?
或いは愚民に対して自分の優位を保障してくれる権威であれば、何でも良いのかも?
因みにこの人はISの活動家なので、ISがイラクを広範囲に占領した時には、仲間のISの人達からIS占領地への移住を薦められたそうです。
でも結局行かなかったのです。
「あるべきイスラム」とかなんとか色々理屈をつけて、要するに理想のイスラム世界が実現したら移住するけれど、まだその段階じゃないから・・・・・って断ったのですね。
これも共産主義者に似てますよね?
日本や欧米の民主主義国家の共産主義者って、ソ連や北朝鮮や中国を散々礼賛したのだけれど結局自分達は、絶対に共産主義国家へ移住せずに、資本主義社会を非難しながら実は資本主義国家で優雅に暮らし続けているのです。
で、日本や欧米で暮らす共産主義者達が、共産主義国家に行かない理由は「ソ連は(中国は、北朝鮮)は本物の共産主義社会ではないから。」というモノでした。
彼等がどのぐらい本気で共産主義を信じているかはわかりません。
でも彼等を見ているとわかります。
共産主義を信じている事にすると、共産主義という権威を借りて、自分達の同胞や自分に優雅な生活をさせてくれる祖国を罵倒できるのです。
中田さんのイスラム教も同じではありませんか?
中田さんは共産主義の代わりに、イスラム教徒の立場で自分の祖国と同胞を侮蔑し罵倒しているわけですが、そもそも主目的が祖国と同胞の罵倒と侮蔑だから、罵倒の中身が朝日新聞の受け売りでも何でもよいわけです。
ワタシはパヨクと言えば共産主義の発想が根っこにある連中だと思ってきました。
これはワタシと同類のネトウヨ諸君も同様だと思います。
しかしこうして中田さんを見ると、実はパヨクの根っこはそういうイデオロギーには関係ないのだとわかります。
パヨクの根っこって実は、
オレは低学歴の愚民とは違う!!
低学歴の愚民共がオレを尊敬しないのはケシカラン!!
オレが尊敬されない社会なんか滅んでしまえ!!
こういう選民意識からくる憤懣じゃないですか?
だから自分達を権威づけてくれるならGHQにでも毛沢東にでも、そしてアッラーにでもすがる連中じゃないですか?
普通のパヨクは共産主義者なんですが、中田さんはイスラム教徒ですから、中田さんはパヨクとしては珍種です。
然し珍種でも中身が完全にパヨクなのです。
だから逆にパヨクというモノの本質がよくわかりました。
というわけで2090円出してこの本を買ったのは大正解でした。
皆様もお正月の読書にいかがでしょうか?