北朝鮮がミサイルをバカスカ撃っています。 この前の核実験から箍が外れたようです。 ところで北朝鮮の原爆はどうなっているのでしょうね?
北朝鮮原爆の情報は実に不可解です。 4月の始めには、「北朝鮮、核爆弾の小型化技術獲得に成功か 米国防情報局」:イザ!などと言うニュースが出ました。
ところがこの前の実験以来その話は消えてしまいました。
北朝鮮の原爆とは本当はどのような物なのでしょうか?
ここでsonoranoneさんの卓見があります。
誰に対する宣戦布告か 北の脅威では無く「驚異」
つまりsonoranoneさんは北朝鮮は原爆なんか作れない、でもそのウソに皆で乗っているだけだと仰るのです。
この説を取ると、アメリカの異様な弱腰が実に簡単に理解できます。 だからワタシもこの説は正しいのではないかと思います。
でも一応問題もあります。 つまり前回の実験が20キロトン規模の爆発であったと言う点です。 20キロトンはTNT火薬を2万トン爆発させなければなりません。 本当に20キロトンの爆発であれば、これは難しいでしょうね。
尤もこれが本当に20キロトンだった言う証拠も無いのですけど。
でも20キロトンとして北朝鮮でも作れる原爆モドキの可能性を探ってみましょう。

さてその前に原子爆弾 - Wikipediaとは何か? 原爆を作るにはどのような技術的問題があるかを考えてみましょう。
原爆は原子核爆発による爆弾です。 原子核爆発は、放射性物質が臨界量に達した時に起きます。
つまり小分けにしたウラン235やプルトニュウムなどを、一定量以上一緒にすると原子核爆発が起きるのです。 この臨界量は放射性物質の純度や形状や圧力によって変わります。
ここで1999年に起きた東海村JOCの臨界事故を思い出してください。 (よくわかる原子力 - 東海村JCO 臨界事故)


東海村のJOCの工場内で、作業員が原子力発電の燃料であるウラン化合物の溶解作業をしていました。
作業中に臨界量のウラン化合物を一緒にしないように、マニュアルでは化合物をチビチビチョボチョボ少しづつ専用の容器を使って混ぜるようになっていました。 しかし作業員達には臨界量と核爆発の事を教えていませんでした。
そこで作業員達はこの時間のかかる作業を端折って、バケツでドバッと入れてしまったのです。 その為、容器の中に臨界量を超えたウランが入ってしまったのです。
そして原子核爆発が起きてしまいました。 結果は作業員2人が死亡、1人が重症と言う惨事になりました。
勿論これはウラン化合物が極少量で純度も低かったので、惨事と言ってもこれだけで済んだのです。

これを大量のウランやプルトニュウムでやってしまうのが、原爆なのです。
だから原爆を作る上での問題は、ウラン235やプルトニュウムを手に入れる事と、この物質を臨界量にするための装置を作る事になります。
北朝鮮は一応原子力発電所を持っていますから、ある程度の濃度のウラン235やプルトニュウムは持っています。
後は臨界量にするために装置です。 これは後述しますが、結構大変です。
しかしこの臨界事故を思い出せば、兵器としてはともかく、地下核実験と言う事にして、とにかく核爆発だけさせれば良いのなら、結構簡単にできるのではないかと思います。
そこで最も安易な方法として、臨界事故方式とでも言うものを考えてみました。
まず大きなタンクを用意します。 そして大勢の人がバケツにウラン溶液を入れて、その回りを囲みます。 そして「金正日将軍マンセ~~!!!」の掛け声の元、一気にバケツの中身をタンクに開けるのです。
かくてウランは臨界量を超えて核爆発が起こります。 これはあまり原発で使用できる程度のウランで簡単に核爆発が起こせて、殆ど工学的な技術を必要としません。 お金もかかりません。
ただしバケツ部隊の人達は、全員死亡する事になります。 しかし将軍様はそんな事をお気になさらないでしょう。
これを多少工夫すれば、結構大きな規模の核爆発を起こせるかも知れません。

しかしこれでは核爆弾にはなりません。 原爆と言うのは飛行機やミサイルに乗せて、好きなところに持って行ってそこで爆発させることができなければ困ります。
その為に考案された起爆装置には、砲身方式とと爆縮方式の2種が公開されています。
広島原爆が砲身方式ですが、恐ろしく単純な構造です。 しかし大量の高濃縮ウランが必要で、しかも図体がやたらに大きくなる言う事で、現在使われていないようです。
一方爆縮方式は長崎原爆に使われました。 そして現在も使われています。 しかしこれは爆縮レンズと言うのを作らなければなりません。 これは結構技術が要ります。
そしてこれでも広島原爆では直径137センチ、重量は5トンにもなったようです。
しかしB29に積むならともかく、これではミサイルには搭載できません。 ミサイルに搭載するには、これを遥かに軽量小型化し、さらにミサイル発射時の衝撃に堪えなければなりません。 そして長距離ミサイルなら一旦大気圏を抜けますから、大気圏に再突入する時に発生する高熱にも堪えなければなりません。
さてこんな物を北朝鮮が作れるのでしょうか?

ワタシは北朝鮮は今の所、核爆発は起こせても、核兵器は作れないのでは無いかと思います。 アメリカでも砲身方式、爆縮方式それぞれの最初の原爆を作るのに何回もの実験を繰り返しています。 そしてその後も限りない核実験を繰り返して、小型原子爆弾を作ったのです。
ソ連はなんと爆縮レンズの設計図を、アメリカの科学者から手に入れて作ったのですが、それでもやはり核実験は繰り返したのです。
北朝鮮がたった2回の実験でいきなり、核爆弾の製造に成功するのは不可能でしょう。 まして小型化など遥かに難しいのです。
でもやっぱり油断する事もできません。 やはりもう半世紀以上も前に確率した技術です。 研究を続け繰り返し実験を続ければ、やがて作るのは明らかです。
そしてもっと深刻な問題があります。 つまり中国は本物の核爆弾を搭載したミサイルを数百基日本に向けているのです。 日本攻撃用のミサイルを常備しているのです。
さらに今後そこそこに工業力を付けた国々が、次々と原爆を作ると言う事です。
日本はこの北朝鮮の原爆モドキを、機会に日本の安全を日本国民が考えるようにするべきだと思います。