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2018-05-30 19:24

怠惰を肯定する

 昨日から札幌も大分初夏らしい天気になりました。

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 昨日は夜になってもストーブを焚かずに済んだし、今朝もストーブを焚きませんでした。

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 気候が快適になったお陰か、我がタイチョウ殿もすっかり機嫌がよくなりました。

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 それでこの数日、溜っていた用事を次々と片づけました。

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 そして今日もまた昨日のペースで働く心算でした。

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 そして今日も午前中までは、予定通りでした。

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 しかし午後になって遂にタイチョウ殿がブチ切れました。

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 図に乗るのもいい加減にしろ!!

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 ワタシはタイチョウ殿から往復ビンタを食らいました。

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 これで午後からダウンしました。

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 泣いたって仕方ありません。
 毎度のことです。

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 病持ちになってからン十年、ずうっとこういうことが続いているのです。

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 少し調子のよい日が続くと、このままドンドンよくなることを期待して、色々計画を立てるのです。

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 しかしそれもつかの間、またヘタレるのです。

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 昔はその度に落ち込んで自分を責めました。

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 しかし今は落ち込むのは止めて、1日でも2日でもタイチョウ殿のご機嫌が良かっただけ儲けものだと思う事にしました。

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 糠喜びでも喜べたのだから良いのです。

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 それ気が楽になり明るく暮らせるようになりました。

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 その代わり自分を叱咤激励することはなくなりました。

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 それで以前よりダウンする期間が増えたか?それとも減ったのか?

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 それはわかりません。

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 でも自分を叱咤激励ばかりしていると、楽しく過ごす事ができません。

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 そしてやたらに怒りっぽくなって、世を呪い人を呪うようになります。

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 だからと言って、それで病気が治るわけでもないのです。

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 これでは何も良い事がないではありませんか?

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 それでも少し調子が良くなると糠喜びすることは止められません。

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 そこで糠喜びでも喜んだだけ儲けものと割り切る事にしたのです。

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 それでもうくよくよすることも、怒りっぽくなることもなく、楽しく暮らせるようになりました。

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 これはしかし一種の敗北主義ですから、ホントに良い事かどうかはわかりません。

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 本物の努力家で根性のある人なら根性と努力で病気だって克服したかもしれませんから。

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 しかしワタシは本当の努力家からは程遠い人間なので、これで行くことにします。

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 よもちゃんもそれで良いと言ってくれます。

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 猫の気質ならそういうに決まっていますが。
  1. 札幌の四季
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2018-05-30 11:02

無限の権力 共産主義雑感

 少し前のことになりますが、中国政府がマルクス生誕200周年を祝ってマルクスの生誕地にマルクスの巨像を贈りました。

 そして中国政府は今後も共産主義を守り続けると宣言しました。

 中国は、90年代に市場経済を導入して以降、世界史上でも稀なほどの経済成長に成功しながら、その結果の貧富の差の拡大には、驚くほど無関心でした。

 何しろこの国は義務教育の無償化さへ2015年を目標にしていたぐらいです。 2015年と言えば3年前なので、書類上は達成しているようなのですが、未だ有名無実のようです。

 中国より遥かに貧しい他の途上国は皆独立当初からこれを実現しました。
 また共産主義国家は義務教育だけでなく、大学や芸術やスポーツなどの英才教育まで無償化しているのです。

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 そういう国が未だ共産主義を看板にしているのは、何とも違和感があります。

 しかし中国の歴史と現政権の立場を考えたら、彼等が共産主義に執着するのは当然だと思います。

 なぜ中国政府は共産主義に執着するか?

 それは近代思想の中で、共産主義だけが現中国政権の欲する無限の権力を保障するからです。

 近代政治思想が提案した体制は、共産主義と資本主義=民主主義しかないのですが、しかし民主主義にすれば現中国政権は、権力を放棄するしかありません。

 一方、共産主義は無限の権力を保障してくれるのです。

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 しかし中国はなぜこの体制を維持できるのか?
 それは中国古代から天命思想の為でしょう。

 先日短足おじさんが中国の天命思想についてエントリーしてくださいました。

天命思想とは、天が森羅万象の主ではあるけれども、人間世界を直接支配しないで、代理人に命じて統治させる。その代理人が天子すなわち皇帝です。しかも、皇帝の一族は代々その地位を受け継ぐことができる、という考え方です。

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 この天を神に変えたらイギリス国王チャールズ二世等絶対君主が唱えた王権神授説になります。

 この王権神授説によりチャールズ二世は、イギリスの絶対的な権力者と君臨する事が神から与えられた使命と確信していました。

 しかしこれには大問題がありました。 なぜなら同じ神を信仰する人々が、神はこの王には支配権を与えてるとは、考えていなかったのです。 それどころか王の信仰は間違っており、間違った信仰を持つ王に従う事はできないと考えたのです。

 結果清教徒革命が起きて、チャールズ二世は断頭台の露と消えました。

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 西欧にはこうした王の他に、「神の代理人」と呼ばれる人がいます。 
 それがローマ法王で、法王は神により地上でキリスト教徒を指導する役割を与えられた事になっています。

 ところが神様は代理人に軍事力を与えなかったので、信者への指導は精神的な物に限るしかなく、現実の権力は限定的でした。

 しかも近世になると法王が神の代理人である事に疑問を持つ人々が出てきて、彼等は法王の下を離れそれぞれ自分達の教会を作ってしまいました。

 キリスト教の神は唯一絶対であり、しかも人々の信仰心は非常に篤かったのですが、しかしそれでも、いやそれ故にこそ、神に与えられた権力と言うのは、限定的な物なのです。

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 ところが天は神ではないので、天を信仰する人はなく、その為ヨーロッパで起きたような法王と王権、法王と新教徒のような対立はなく、天命を受けた皇帝は無限の権力を持つ事ができます。

 なぜなら天は信仰の対象でないため、法王庁や清教徒のように、自分もまた神の意思を知っているとして、皇帝に対抗しようとする組織や信者が出てこないからです。

 ところで共産主義はこの「天」を「労働者・農民」に変えた物ではありませんか?

 「天」と「労働者・農民」の共通点は、どちらも全く無力で、権力に対抗する発言権を持たない事です。

 しかし共産主義はこの発言権を持たない人々の代理人を僭称することで、全ての権力、無限の権力を掌握することができる思想です。

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 近代以前の西欧史は、王権と教会の血みどろの権力闘争でした。
 絶対君主と雖も、神に従わねばらず、神に従わない王は、斬首されるのです。

 ところが中国史にはこのような教会や信仰が存在せず、歴代中国王朝で皇帝は西欧史上の絶対君主も望んで得られない程強大な権力を持ち続けました。

 そうした皇帝の権力を正当化してきたのが天命思想であり、その天命思想を体系化したのが儒教です。

 中国の皇帝は科挙により儒教教育のエリートを選りすぐって官僚にし、彼等に強大権限を持たせる事で、強力な中央主権体制を維持してきたのです。

 こういう歴史を千数百年生き続けてきた人々、他の体制を全く経験したことのない人々にすれば、共産主義以外の近代政治思想が理解できないのは当然ではありませんか?

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 ワタシは以前、レジナルド・ジョンストンの「紫禁城の黄昏」を読んだ時に、この中で著者ジョンストンが「孫文は民主主義を理解できない」と書いているのを見て驚きました。

 彼は共産主義者にはなりませんでした。 しかし実際に民主主義を理解できないからこそ「三民主義」などと言うヘンな物を作りだしたのでしょう?

 孫文は元々貧農の生まれで、中国式の教養人として育っていません。 それでも自分と同様の貧農が、参政権を持つ制度など理解できなかったのです。

 それでは中国式の教養人として、幼い頃から四書五経、漢詩漢文を読まされて育った人にすれば、民主主義なんて猶更理解不能ではありませんか?

 彼等はそもそも自分達士大夫階級が一般国民と同等と考えた事もないし、また一般国民が政治に参加するなどと言う事は、全く想定できないように教育されているのです。

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 一方共産主義は近代西欧思想ではありますが、結局「天」を「労働者・農民」に変えるだけで済みます。

 そして皇帝を共産党に変えれば、皇帝が持っていた権力を、そのまま共産党が得る事ができるのです。

 だったら彼等が共産主義に飛びついて、絶対に手放さないのは当然ではありませんか?

 そもそも共産主義と儒教はどう違うのでしょうか?

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 ワタシが共産主義と言う言葉を知ったのは、小学校高学年のころです。 そのころはまだ冷戦真っただ中だったので、テレビニュースにも殆ど毎日共産主義とか共産圏と言う言葉が出てきたのです。

 それでワタシはある日父に聞いたのです。

 「お父さん、共産主義って何?」と。

 すると父は共産主義について、資本の国有化とか共産主義の基本理念を教えてくれました。
 それでワタシはまた父に聞いたのです。

 「お父さん、それ凄く良い事ではないの?」

 すると父は「人間が皆神様みたいに良い人だったら、良い事だけれど、でも人間はそんな良い人ばかりではないから上手く行かない」と答えました。

 しかし当時のワタシは何でそれがうまく行かないのか全くわかりませんでした。

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 その後学校で歴史を習うようになると、日本や中国に嘗て班田収授の法とか均田制と言う、資産の国有化と強制分配の制度があった事を知りました。

 そこで思ったのです。

 これは共産主義はないの?

 そのうち中学生になり、高校生になり、班田収受の法や均田制にも更に詳しく習うようになりました。
 
 また共産主義についても学校でちゃんと習いました。
 それに自分でも父が買い込んでいた中国史の本など読むようになり、歴代中国王朝の創立と破綻の物語をいろいろ知るようになりました。

 そしてその後も歴史に興味をもって人並の読書をしてきました。

 しかしワタシは未だに過去の中国の歴代王朝の行った農地の強制分配と、共産主義の違いがわかりません。

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 勿論、高学歴の共産主義者の人達に言わせれば、こうした古代奴隷制と共産主義を一緒にするなんてトンデモだというでしょう。

 しかしどんなに小難しい理屈をつけても、暴力で政権を得た人間が、全く無権利となった人民を支配し、私有財産権までも完全に剥奪して、無限の権力を握る体制であることに全く変わりはないではありませんか?

 劉邦の野心と毛沢東の野心はどう違うのでしょうか?

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 こういう野心家の希望を叶えてくれる近代思想は、共産主義以外にないでしょう?

 そして実際に自分が王朝を作った以上、その権力を絶対に手放したくはないのです。
 そうなるといつまでもどこまでも共産主義を守り続けるしかないのです。

 だって共産主義は無限の権力を与えてくれるのです。

 共産主義には個人の権利も神もなく、個人の資産は勿論、肉体も精神も全て権力に従わせる事ができるのです。

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 11世紀のヨーロッパでカソリック教会の権威が最高潮に達しようしていたころ、聖職者の中に「国家の修道院化」を夢見る人々が現れました。

 修道院では修道士は長上の人々に絶対服従して、祈りと労働の日々を送ります。

 彼等は国家が全体がそのようになる事を夢見たのです。

 こうなれば、法王を頂点に聖職者達は絶大な権力を持つ事になったでしょう。

 しかしこれは勿論夢のまた夢に終わりました。

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 ところが共産主義国家と言うのは、まさにこの聖職者を共産党と共産党員に置きかえた物で、しかも彼等には従うべき神はいないのです。

 以前佐藤優が「共産主義と言うのは、ある種の人々に非常に美しい夢を与える」と書いていましたが、それは全くその通りだと思います。

 神さへも放逐して為政者に無限の権力を与えてくれるのが共産主義です。

 権勢欲の強い人間にとってこれほど魅力的な制度はないでしょう?

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 そして中国共産党はこの制度を実現して、無限の権力を握っているのです。 だったらこれを手放す事など考えるわけもないのです。

 しかもこれは中国史上連綿と繰り返された事なので、一般中国人にとっても抵抗のある制度ではありません。

 中国と西欧では古代が違うのですから。

 恐ろしい事ですが、日本の隣国はこういう国なのです。
 だから日本人はこの現実を直視し、自分を守る方策を立てるしかないのです。
 
  1. 特亜
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2018-05-29 12:38

快適な季節とタイチョウ殿

 一昨日は素晴らしい快晴でした。

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 五月もいよいよ残り少なくなり、本州では梅雨が始まる頃ですが、北海道には梅雨はありません。

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 むしろ連日天気の良い日が続きます。

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 それどころか春霞も消えて、吸い込まれるような青空が続きます。

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 そして6月になるとさすがに寒い日もなくなります。

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 だからこれから7月一杯ぐらいまでが、一年で一番快適な季節です。

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 但し花の爆発は終わりました。

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 アズキナシやシュウリザクラが慎ましくも清楚な花を咲かせていますが、爆発の頃の華やかさはなくなりました。

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 代わりに緑がますます深くなりました。

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 これまで芽吹いていなかったニセアカシアやムクゲもここに至って漸く芽吹き始めました。

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 リンゴの花は散り始めました。

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 散り際になると、蕾の頃の濃い紅色は完全に消えて、純白になります。

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 そして八重桜も殆ど散っています。

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 増毛ではまだ満開だったのに。

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 こうして札幌と比べるとやっぱり雄冬の春は遅いのだと思います。

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 また野菜の無人販売所に向かうとタモノキが芽吹いていました。

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 花の季節は緑の季節に変わりつつあるのです。

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 それで気づいたのだけれど、この頃タイチョウ殿のご機嫌がバカに良いです。

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 5月中、天気さへ良ければ必ず自転車で駆け回り、天気が悪い日は家事を片付けていました。

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 前々からやろうと思って先延ばしにしていた縫物も大分片づけました。

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 このまま体調が良ければ、他に作りたかた物もいろいろ作れます。

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 考えてみると4月半ば過ぎからタイチョウ殿が「休め」の命令を出だなくなったのです。

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 冬の間、タイチョウ殿がやたら「休め」を連発するので、ワタシはやるべきことを大方先延ばしにせざるを得なかったのです。

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 つまりは気候が良く、また快晴の美しい日が続いたので、タイチョウ殿もようやく機嫌を直したのでしょう。

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 5月中も結構寒い日が続き、散歩に出て凍えて帰る日も多かったけれど、それでもやっぱり5月は5月だったのです。

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 何とか6月と7月もこの調子で行きたいです。

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 このままずうっと通年、この調子で行くのが理想ではあります。

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 しかし今までの経験で、そこまで期待するのが無理なのは重々わかってます。

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 余りに過大な期待をするとタイチョウ殿がまたブチ切れて、「休め」の連発を始めますから。

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 ところで無人販売所の方ですが、野菜は殆ど売り切れで買う物がありませんでした。

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 この季節はまだ出ている野菜が少ないうえに日曜で快晴ですから、客が多かったのでしょう。

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 しかしこの青空の下を駆け回る事ができたのだから、文句を言う筋合いではないでしょう。

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 いらざる不満を言うと、またタイチョウ殿が不機嫌になりますから、野菜の件は文句は言わない事にします。

  1. 札幌の四季
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2018-05-28 11:50

「春」の増毛

 一昨日は「春」の増毛に行ってきました。

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 あと数日で6月だというのに何で「春」?

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 だって一昨日増毛に行ったのは、増毛で「春の味まつり」と言うイヴェントがあったからです。

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 だから増毛は「春」なのです。

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 「春の味まつり」では、エビをはじめ増毛の海産物がいろいろ売られ、また屋台でこうした海産物が食べられます。

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 妹達はエビを買うのが目的だったので、エビを買うための行列に並びました。

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 これが大変な大人気なので、順番待ちも大変です。

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 ワタシはエビは良いので、増毛の街を見物しました。

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 そして待ち合わせ場所を「丸一本間」と言う増毛の古い呉服店にしました。

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 そこでワタシはとりあえずこの丸一本間に行ってみると、中を見学できるという事なので、見学する事にしました。

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 明治に作られた建物なので、道内では珍しい純日本式の建築です。

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 店舗部分は歌舞伎や時代劇に出てくる呉服商そのままです。

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 とても美しいです。

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 但し純日本建築だから当然なのですが、火鉢ぐらいしか暖房の手段がありません。

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 だから室温と外気温は年中ほぼ同じでしょう。

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 これは客間や主人夫婦の居間も、また住み込みの使用人達が暮らす店の二階の大部屋も、そして店舗も同じでしょう。

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 店の経理事務を行う帳場の天井には明り取りの窓がありました。
 しかしこれもまた室内を寒くするでしょう。

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 昔の生活は厳しいです。

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 因みにこの日増毛の最高気温は12℃です。
 これだと初夏と言う感じはしません。
 これで初夏と言ってしまうと、夏になっても全然暖かくならないようで切ないです。

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 ワタシが丸一本間の写真を撮り終わる頃、妹達モエビをゲットしたので、また合流しました。
 そして日本酒を試飲したり買ったり、また屋台のお弁当を買って食べました。
 海産物を豊富に使ったお弁当はとても美味しかったです。

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 しかし冷たい風がビュービュー吹くのには閉口しました。
 実は増毛は日本一風の強い町なのです。
 だから町の周りには風力発電の風車が目立ちました。

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 そして八重桜が満開です。
 桜が満開なのだらやっぱり「春」ですよね?

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 増毛港の港内の水面を見ると、小魚が沢山泳いでいるのが見えます。
 なるほど豊な海なのです。
 だからこんなに厳しい気候でも、多くの人々が暮らしていけるのです。

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 しかし妹達は目的のエビもゲットしたし、お弁当も食べたし、それに寒くてたまらないから札幌に帰る事にしました。 
 もしも友人知人に髪を増やしたい方がいたら、是非とも増毛神社によってお札かお守りを買っていくべきなのですが、今のところそういう方もいませんし。

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 帰り道にみた山の緑は札幌より2週間遅れの、浅く柔らかい萌えはじめばかりの緑でした。
 これだとやっぱり「春」としか言えません。
 だから増毛の町民から言えば、これはどうしても「春の味まつり」とするしかないのです。
 
 増毛には前々から行ってみたいと思っていました。 但し何か特に見たいものがあったわけではありません。
 でも石狩湾の向こうに聳える雄冬連山の麓の世界、冬は陸の孤島と言われた世界なので、是非行ってみたかったのです。

 しかし今は増毛へ行く鉄道は廃止されてしまい、ワタシが一人でいくなら路線バスを乗り継ぐしかありません。
 だから今回妹達の「春の味まつり」に便乗できたのはラッキーでした。

 お陰で増毛の「春」を満喫できました。


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2018-05-25 22:31

近畿財務局はなぜ値引きしたのか? 森友交渉記録

 5月23日、NHKが財務省が破棄したと言っていた近畿財務局と森友学園の交渉記録の要約を報道していました。

 森友問題 交渉記録の詳しい内容は

 かなりの長文ですので全文は貼りません。

 しかし結局内容はまた小川榮太郎氏の著書「徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪 (月刊Hanada双書)」で書かれていたこと、またこれまでの国会やその他の論戦から想像されていたことが、全部そのまま出てきたとでもいうべきものです。
 
 そしてこれを読む限り、近畿財務局がなぜ敷地の大幅値引きの応じたのか? またなぜこの交渉記録を隠蔽しようとしたかも良くわかります。

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 安倍昭惠氏やその秘書官谷査恵子氏の財務省への問い合わせ、また自民党の代議士達の話も、値引きには何の関係もなく、また近畿財務局側もまた隠蔽しなければならないような対応は一切していません。

 籠池理事長は交渉中繰り返し安倍昭惠氏や、自民党代議士達の名前を出しているのですが

ただ、記録では、昭恵氏や政治家の名前が出たことによって財務局が学園側の要求を受け入れたり譲歩したりしたような記述はありません。

 また籠池氏に頼まれて口をきいた代議士秘書達にも、毅然として対応しています。

 これらは隠蔽するどころか胸を張って自慢できるほどの対応です。

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 それでは近畿財務局はなぜ丸一年大騒動になる程の値引きをしたのでしょうか?
 そしてなぜこの交渉記録を隠蔽しなければならなかったのでしょうか?

 まず「ゴミ埋め戻しの検討」です。 
 以下の青地が、NHKの「森友交渉記録の詳しい内容」からの引用です。

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 交渉記録には、国有地の売却前に行われた土壌改良工事で出たごみが混ざった土の埋め戻しを近畿財務局と工事業者などが検討していたことが記されています。

学園に国有地が売却される前の年の平成27年7月から12月にかけて地中にある汚染物質などを撤去する土壌改良工事が行われ、地主の国が工事費およそ1億3200万円を負担する契約になっていました。

平成27年9月4日に近畿財務局と大阪航空局の担当者と工事業者が今後の工事の進め方について打ち合わせを行った際の記録には、財務局の担当者が「発生土の場内処分について他の方法も含めて良い方法がないか検討いただきたい」と業者に発言したと記されています。

そして、打ち合わせ結果の概要として「建物建築時に掘削した発生土の処理については、建築に問題を生じないレベルのものは埋戻しによる場内での処理を検討。対応が困難な場合には改めて協議することで合意」とか、「工事進捗を停滞させることはできないので今回問題となった箇所は一旦埋戻しの上、工事を続行させることにした」と記されています。

ごみの混ざった土の埋め戻しについて、これまで財務省は国会で「近畿財務局が依頼した事実はない」と全面的に否定していました。

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 これは2017年3月4日産経新聞他、朝日、毎日等ほぼ全ての大手紙が報道していました。
 そしてこの報道に先立つ2月24日、このゴミ処理に関わった男性の証言を毎日新聞が報道し、また同日の国会で、何と玉木がこれについてい質問しています。

 ところが近畿財務局側はこれを全否定しました。

 そりゃするでしょう?
 だってこのゴミ処分法って違法ですから。
 
 国の機関が違法なごみ処分なんかやっちゃダメでしょう?
 国の機関が組織ぐるみで違法なゴミ処分なんかしたのがバレたらセクハラどころじゃない大問題でしょう?

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 しかしゴミが出たらまた埋めるなんてことをしても、校舎建設工事が始まって、敷地を掘り返したら出てくるに決まってるでしょう?

 ええ、出てきたのです。

 その結果が「8億円値引きの経緯」に書かれています。

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23日に公表された財務省の交渉記録からは、国有地の売却前の土壌改良工事で出たごみが混ざった土の埋め戻しを近畿財務局などが検討し、その事実が学園側に伝わっていなかったことが、その後の大幅な値引きのきっかけになったことがうかがえます。

国有地の地中にある汚染物質などを撤去する土壌改良工事は、学園に国有地が売却される前の年の平成27年7月から12月にかけて行われました。

平成27年9月4日の記録では、近畿財務局と大阪航空局の担当者と工事業者が今後の工事の進め方について打ち合わせを行った結果として、「掘削した発生土の処理については、建築に問題を生じないレベルのものは埋戻しによる場内での処理を検討」とか「工事進捗を停滞させることはできないので今回問題となった箇所は一旦埋戻しの上、工事を続行させることにした」と記されています。

これについて、おととし3月11日の学園側との応接記録には、籠池前理事長が「業者から伺ったが、ゴミが地中に残っているのは財務局から全部取るなという指示が出たと聞いている。ゴミを撤去する費用がかかり、更に工期が伸びてしまう。どういうことだ」と問い詰めていたことが記されています。

その3日後の3月14日の応接記録では、籠池前理事長が「工事を進めているが、ゴミが大量に出てきている。業者が作成した9月4日の打ち合わせの議事録を見ると、財務局が産廃の場内処分を指示したとされている」としたうえで、「6月には棟上式を行う予定であり、内閣総理大臣夫人も来ることとなっている。そのスケジュールを現在調整中であり、工期が遅れたら大変なことになる。どうしてくれるのか」などと対応を迫っていました。

これについて、2日後の3月16日、財務局側が「去年9月の業者との打ち合わせ結果が正確に学園に伝わっていなかったことが問題だったと考えている。その点はおわびする」と述べたのに対し、籠池元理事長が「国が廃棄物を埋め戻せという指示をしたからこうなったのではないか。訴訟するべき話になるかもしれないぞ」と迫っています。

そして、3月24日には、学園側の弁護士が「事業を中止して損害賠償を請求する方法もあるが、理事長はリスクを背負ってでも事業を実現したいとの強い意志を持っている。安価な土地価格を提示していただくことで問題解決する方法はとれないか」などと財務局側に初めて土地の買い取りを打診していました。

そして、3月30日の記録では、学園側の弁護士がごみの撤去費用として売却価格の減額を検討するよう求めたほか、籠池前理事長が再び昭恵氏に触れたうえで「6月の棟上げ式には首相夫人を招待するスケジュールを組んでいる。これが出来なければ切腹する覚悟」と迫っていて、財務局と航空局の担当者が「ここで国が何もしないとして立ち止まるわけにはいかないと考えている。解決策がある限りは検討したい」と応じていたことが記されています。

さらに、学園の弁護士が「早期の価格提示をお願いしたい」と求めると、財務局と航空局の担当者が「今、考えられる唯一の解決策であることは認識しているため協議して検討したい」と応じたことが書かれていました。

財務局はこうしたやり取りの3か月後のおととし6月、鑑定価格の9億5600万円からごみの撤去費用などとしておよそ8億2000万円を値引きし、1億3400万円で学園側に国有地を売却していました。

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 建設工事中に湧いてきたゴミに籠池理事長は怒り狂って、近畿財務局に怒鳴り込み、例によって安倍昭惠氏の名前も出して威嚇しました。

 またこの後の部分でも籠池夫人の恐怖の交渉術が描かれています。

 でもこれどう考えても悪いのは、ゴミのことを籠池氏に隠蔽した上、違法に埋め戻した近畿財務局なのです。 
 こんな事をしたら籠池夫妻でなくても怒るでしょう。
 
 だからこれで籠池氏が近畿財務局を告訴してこれが公になれば、近畿財務局側は絶対絶命です。

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 そしてこの時点では、ゴミの処分費用がホントにいくらかかるか? またその処分にどの程度の時間がかかるか?は、誰もわかっていないのです。 だって最初に土地改良事業でゴミが出た時に、ちゃんと調べずにまた埋め戻すようなことをしちゃったんだから。

 しかしゴミの処分費用を正確に算定するために、調査に時間をかけるわけにもいきません。 そしてゴミの処分費用に関する交渉に時間をかける事もできません。

 だってこれに時間をかけていて工事が遅れたら、校舎完成が開学に間に合わないので、今度はその賠償金がかかる事になります。

 だから森友学園側の言い値で土地を売る事にして、「告訴だけは堪忍しておくれやす」とするしかないのです。

 そして近畿財務局としては、大幅値引きをする代わりに、土地改良事業で出た地表近区から出たゴミはなかった事にして、代わりにそれよりはるかに深い所からゴミが出た事にしてもらったのです。

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 これで近畿財務局も森友学園も、ハッピーに終わるはずでした。

 ところが2017年2月9日になって朝日新聞が、これを「安倍昭惠さんの関与で不当な値引き」と騒ぎだしました。

 そこでこの土地は全国の注目を浴びて、マスゴミは押し寄せるわ、上空には事故率最大の報道ヘリが飛び回るわで、大騒ぎになりました。

 この時、彼等はこの土地を少し掘ると、アンモニア臭がするとか言っていました。

 つまりゴミが出たわけです。 
 しかも地表近くに。

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 そして2月24日に玉木がこのゴミの件で国会質問をしています。
 更に3月4日には業者を呼んでゴミを埋め戻しの相談をした話が報道されています。

 そこで近畿財務局は国会ではこれを否定するとともに、この交渉記録を隠蔽することにしたのです。

 これは佐川元近畿財務局長の国会証言との齟齬を誤魔化すという目的もありました。 でもそれは佐川元局長一人の問題ではなく、違法なゴミの埋め戻しなんてことは、近畿財務局全体の問題ですから、近畿財務局全部で必死に隠すしかないのです。 

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 しかし2017年3月4日時点で、マスコミは皆この違法なゴミの埋め戻しを報道しているのです。

 だから野党もこれを追求していれば、ほどなく森友問題は解決していたのです。
 少なくとも丸一年騒ぎ続けるような話ではありませんでした。 

 でもマスコミの野党も、何とかこれを安倍夫妻の関与にしたいので、間もなくこのゴミの話は全く報道されなくなりました。

 そしてこの交渉記録が発表されてからも、まだ「安倍昭惠さんの関与」と騒いでいる連中もいます。
 
 なるほどマスゴミと野党ってこんな連中だったわけです。

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 因みにワタシは実はこの話を4月12日「近畿財務局は何を隠したかったのか?」としてエントリーしてます。

 その時、これまでの報道から推理したことが、そのままこの交渉記録に出ていましたので、とりあえず今回再度エントリーしました。


  1. 安倍
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2018-05-25 13:22

昔はよかった・・・・・

 5月もあと数日しか残っていません。
 札幌は相変わらず肌寒い日が多いのですが、それでも花は次々と咲き続け、よもちゃんの外出も多くなりました。


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 さあ、今日もパトロールしなくちゃ。

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 なんだか全然初夏らしい気温にならないのに、チューリップさんも八重桜さんも散ってしまったわ。

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 そして今年も半分終わってしまったのよ。

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 ツツジさんこんにちわ。 綺麗に咲きましたね。

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 こんにちわ。 よもさん。
 パトロールご苦労様です。
 チューリップさんと八重桜さんが散って、私のターンになりましたので、よろしくお願いします。

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 どういたしまして。 
 務めですから。

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 ツツジさんは礼儀正しく謙虚だわね。
 ああやって一言感謝の言葉をもらえるって、ホントにうれしいわ。 
 それを考えれば、自衛官や海上保安官に対して、感謝や敬意を持つ事が大切だって、実感するわね。

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 そうは言っても、寂しいわ。
 だってワタシ、一猫ぼっちになっちゃったんだから。
 モモちゃんは天寿を全うするし、ちびちゃんは肥満で外出不能になるし、そしてパトカーさんも往ってしまわれたのだから。

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 そりゃお花さん達は綺麗だし、いろいろいい所もあるんだけれど、でも猫は猫の友達が欲しいのよね?
 
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 ・・・・・。

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 ??

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 玄関にいる猫、何だか怪しいわねえ・・・・・。
 誰かしら?
 首の赤いのを見ると、野良じゃないわね。
 あれママとお姉ちゃんが言っていた近所の貧乏人の飼い猫かしら?

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 チョッと、アンタ誰よ?
 何見てんのよ?
 そうやってヘンな目で見るって感じ悪いのよ。
 話があるなら出てきなさいよ!!

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 アタシはスモモよ。
 この家の子よ。
 アンタこそ他人の家の前で何しているのよ?
 ママはアンタみたいな怪しいのがうろつくから、外へ出てはダメっていうのよ。
 だから外になんか出ないわ!!
 外をうろつくなんて野良猫だけよ。

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 それじゃ、アナタがモモちゃんの後釜ね。
 それにしてもモモちゃんに比べて礼儀がなってないわね。
 モモちゃんは長幼の序なんてやかましく言う典型的なお局様だったけど、言葉使いは無類に丁寧で、教養豊かだったのに。
 アナタはただ糞生意気なだけね。

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 な、なによ!!
 ママもお姉ちゃんも「スモモはモモと同じぐらい可愛い。」って言ってくれるわよ。
 だからママもお姉ちゃんもアタシを大事にしてくれるのよ!!
 アンタみたにな半野良とは違うわ!!

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 ダメだこりゃ!!
 過保護の半猫前じゃ相手にするだけ無駄だわ。

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 あら、礼儀とかなんとか言っておいて、自分は挨拶もしないで行ってしまったわ。
 だから年寄りって嫌いなのよ。

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 何だろう? あの甘ったれと自惚れは?
 あれがモモちゃんの後釜だなんて。 モモちゃんが見たらどんなに嘆くだろうか?
 「昔はよかった」なんて年寄り臭い事は絶対に言いたくなかったけれど・・・・・。
 でもああいうの見ると、言わずににいられないわ。

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 これだとこれからもワタシが一猫で、この町内を守るしかないんだわ。
 エドワード・ルトワックは有効な同盟こそ安全保障の要だと言ったけれど、これじゃワタシが町内の安全保障の為に、同盟を組める相手はいないじゃない?

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 米軍が日本の憲法改正を切望する気持ちがわかるわ。


 よもちゃんの責任は重いようです。
 そしてまた孤独と寂寥も深くなったようです。
 
  1. 猫の生活
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2018-05-24 13:40

増税原理主義と科挙秀才

 先日、高橋洋一の「官僚とマスコミは嘘ばかり」と読みました。
 内容の多くはこれまで高橋洋一自身が書いてきた記事や、出演番組で言ってきた事と被ります。

 しかしこの本では「官僚とマスコミは嘘ばかり」とのタイトル通りに、官僚がいかにマスコミを利用して情報操作を行うかを、高橋洋一自身の体験を交えて克明に描いています。

 これを見る限り日本のマスコミの言う「権力を監視する」など言うのは、全く虚偽である事がわかります。
 
 「権力を監視する」というのは嘘であるどころか、官僚の指示に従ってプロパガンダを行う機関とさえいえるのではないでしょうか?

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 日本は民主主義国家で議会制民主主義ですから、内閣は国民の意思によって選ばれます。 そしてその内閣は選挙で公約した政策を実行しなければなりません。
 各省庁に所属する官僚は、総理大臣が任命した大臣に従って、この公約の実現に努力するべきなのです。

 しかし現実には官僚達は官僚達の意思があり、また彼等が代々確保してきた利権がありますから、素直に内閣の命令などには従わないのです。

 それどころか自分達の不都合な内閣はつぶそうとするのです。

 その為に彼等が利用するのが、マスコミであり、更に大学など所謂「反権力」「権力を監視をする」という人達なのです。

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 やり方はシンプルです。
 自分達が職権で得ている情報で、内閣に不都合な物をマスコミにリークするのです。
 
 するとマスコミは官僚から与えられた情報を「大スクープ」として大騒ぎをはじめ、倒閣世論を作るのです。

 官僚も内閣も権力であることには変わりないのに、何で「権力を監視する人々」が官僚には従ってしまうのか?

 だって徴税権や許認可権などを直接握っているのは、官僚であって内閣ではないのです。 

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 因みにモリカケ騒動でマスコミが安倍総理を叩いているのは、「官僚が安倍総理に忖度した」ことです。 忖度することさへ大問題として丸一年以上騒ぐぐらいですから、個別案件に政治家が口を出すなんて不可能なのです。

 だからマスコミは官僚に従って内閣を叩くのです。

 一般国民は新聞やテレビ以外に情報源のないので、反権力を標榜する人々が権力の悪を糾弾しているのだと信じてしまいます。

 すると国民から選ばれた内閣が、国民から選ばれたわけでもない官僚によって倒されて、官の意思や利権が国家の運命を決める事なります。

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 何のことはない、これでは反民主主義、官僚制その物です。
 しかしこの反民主主義官僚制を生んでいるが、官僚とマスコミの連携です。

 高橋洋一によるとこうした官僚の内でも最も強力なのが財務官僚だそうです。 なぜなら財務省は予算を握る事から、全ての省庁の情報を握っています。
 そしてどの官庁の予算は欲しいので財務省には逆らいにくいのです。

 また徴税権握り、税務査察を行う権限を持つ事から、税金に関して欠片でも怪しい事をやっている人間は、財務省には逆らえません。
 
 脱税がばれたら、政治家は即落選です。
 新聞社やテレビ局だって大変でしょう?
 所謂言論人だって同じです。

 財務省はこの20年余、このようにして得た権力を駆使して、増税と緊縮財政の維持に邁進し続けたのです。

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 なるほどどんな組織でも、財布を握る人間、金庫番がある程度の権力を持つのは当然でしょう。
 そして金庫番とすれば、金庫の中の金を減らさないように努力するのは当然です。

 しかし金庫の金を減らさない事が、組織の最大の目的となると、組織そのものの活動が萎縮し衰亡するしかありません。

 だから健全な組織ではそんなことにならないのです。 金庫番は金庫の金が無駄遣いされないように見張るけれど、上司に命令されたら必要な金は出すのです。 金庫の金を見張るのも、必要な時に必要な金が出せるようにするためです。

 ところが日本、この金庫番が金庫の金を増やすために、社長をクビにする事を繰り返してきたのです。

 そしてマスコミはそれを「権力を監視する」「反権力」と呼んでいたのですから、何とも滑稽な話です。

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 それにしても、何で財務省はここまでやるのか? 
 できるのか?

 徴税権から税務査察権や、職権を通して得らる情報など、財務省が潜在的に持つ力は大きいのですが、しかし持てる権力をどこまで生かすかは、その権力を持つ者の能力次第です。

 ところが財務省の官僚達はこの能力が抜きんでているのです。

 財務省の官僚の殆どは大学受験の最高峰東大法学部卒です。 その法学部卒の中でも特に優秀な人達が財務官僚になるのです。

 だから頭が良くて、しかも勤勉であることにおいては、全ての日本人の中でも最高レベルの人達なのです。

 そういう人達なので、自身の権力を保持し拡大し、更にそれ使って目的を遂行するのには、有効な手段を幾らでも思いつくし、またいかなる労も惜しまないのです。

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 但し法学部卒なので、経済学には知識はありません。 
 そこで彼等が目指す唯一の政策は、財政規律の維持だけになります。 

 また彼等は所詮役人でなので、自分の権限の範囲だけが関心事のすべてですから、常にこれを最優先にして行動します。
 
 そこで彼等はまさに倹約家の専業主婦と同じレベルで、国家財政を管理することに熱中するのです。

 怖いのはこの倹約家専業主婦が大秀才であることです。 そしてこの専業主婦はあまり家族を愛していません。

 だから彼等は食費も教育費も家の補修費も削り、ありとあらゆる手段を尽くして倹約し続けるのです。

 つまりマスコミの情報をリークして増税に不都合な政治家を潰すとか、財務査察をチラつかせて、政治家や言論人を操るとか、一流大学の経済学部を全部増税派に都合のよう経済学者で固めるとか、できる事は何でもやるのです。

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 しかも彼等はこれを何十年も組織を挙げて営々と続ける事ができます。 何しろ彼等は終身雇用で、しかも権力維持のノウハウを代々伝授し続けるですから。

 一方、国民の代表である国会議員は、衆議院議員は任期が4年で解散あり、参議院議員は6年です。 
 そして内閣はこの国会により選ばれます。
 
 これだと憲法で内閣の権力が保障されても、内閣が簡単に官僚を従わせるわけにはいかないのです。
 
 だってこんなに限られた期限内で官庁内の膨大な実務に精通するのは難しいし、一方官僚がつむじを曲げて実務が滞れば、たちまち国政が混乱します。

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 更に言えば、経済が悪化して状況が悪くなればなるほど、内閣は弱体化します。 だから益々官僚の力が強くなります。

 これだと財務省が、緊縮財政と増税に邁進すればするほど、財務官僚の権力は増大するのだから、絶対に緊縮を辞めるにはならないでしょう。

 いや、もうため息しか出ません。

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 そしてこの財務省の権力と、そしてその結果の経済学的を無視しての緊縮財政推進を見ていて、前々から疑問が一つ解けました。

 前々からの疑問。

 それは「科挙制度を持つ中国はなぜ発展しなかったか?」です。

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 中国は隋の時代から学力試験による官僚採用制度、科挙を始めました。

 これは人類史上画期的な話で、ヨーロッパが官僚の採用に学力を問い始めたのは19世紀半ば以降です。

 科挙は皇帝が行う官僚採用試験で、中国人の男性でありさへすれば身分や出自を全く問われる事なく受験できました。

 そして合格すれば直ぐに高級官僚となり、強大な権力を得る事ができました。 

 しかも極めて厳正な試験で、あの賄賂文化の中国でも、こればりは賄賂も全く通用しないし、また親族に高級官僚や有力者がいるからと言って有利になる事もなかったのです。

 その意味でも申し分なく公正な制度なのです。

 だから科挙制度を知ったヴォルテールは言いました。
 「東方の理想社会では、知識があればる程金持ちになれる。」と・・・・・。

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 その為でしょう、その後の中国王朝は延々とこの制度を引き継ぎます。 また中国だけでなく、朝鮮やベトナムなど中華文明圏でも行われるようになります。

 因みにホー・チ・ミンの父親はベトナムの科挙の秀才(秀才というのは元来科挙合格者を指す言葉でした)でした。 そこで息子のホー・チ・ミンも科挙を目指す教育を受けたのでしょう、彼の漢詩・漢文は超一流です。

 彼の漢詩・漢文を見れば、科挙の秀才なる人々がどんな人々だっかを想像できます。

 ところがこの素晴らしい制度の下で、中国もまた科挙制度を取り入れた中華文明圏諸国の社会も、延々と停滞し続ける事になるのです。

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 中国政府は中国が衰退したのは、アヘン戦争以降、列強の侵略を受けたからで、それまでの中国は世界で最も豊かで優れた文明国であったと宣伝しています。 そしてまた欧米でも日本でもそのように信じている人が少なくありません。

 しかし現実に中国の国民一人当たりのGDPを調べてみると、14~15世紀にはヨーロッパ諸国に抜かれているのです。 
 つまりアヘン戦争の起きた近代ではなく、中世末期或いは近世初頭には、既にヨーロッパ文明が中国に優越しているのです。

 そして国家統治のシステムは隋と全く変わらないままでしした。

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 これは誰が考えても非常に不可解なことでした。
 
 世界で初めて全ての国民から能力だけで官僚を採用するという素晴らしい制度を始めたのだから、他の国々をはるかに凌ぐ優れた統治をおこない、ますます発展するはずではないのか?

 しかし高橋洋一の著書を読み、東大法学部卒の財務官僚という現代日本の科挙の秀才のやる事を見ていたら、中国の科挙の秀才達が中国社会を停滞させた理由もわかります。

 日本の財務官僚は法学、しかもカルトと言われて久しい日本の憲法学を含む東大の法学だけしか学んでいないのです。
 だから簿記も知らないまま、国家の財政を運営しているのです。

 その為にひたすら緊縮財政だけに執着しているのです。
 
 そしてそれにより自らの権力を維持拡大することだけに執心しているのです。

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 では中国の科挙の秀才達はどうでしょうか?
 科挙の秀才の受験科目は、儒教中心にして詩文と漢文でした。 

 儒教的価値観では古代に存在したと言われる三皇五帝の統治が理想でした。
 これは要するに一人の君主が、その卓抜した人徳により全ての人民を支配するという社会です。
 
 これなら儒教試験で最高成績を挙げた人々が、目指すのが封建諸侯が割拠する封建社会だったり、まして民主社会であるはずもないのです。

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 そしてまた儒教では経済発展には極めて否定的だし、国防にもそれほどの関心はありません。
 なによりも皇帝の徳と慈悲により国家が安定する事を重視します。
 
 そしてそれはまた皇帝の官僚である官僚自身の地位と権力の安定と直結します。

 しかし科挙の秀才は皇帝と違い、所詮は役人なのです。
 だかから国家に対して全責任を負うという意識はありません。 その為、国家よりも自身の保身や利権を優先させてしまいます。

 これでは彼等が経済発展や社会の進化を望むはずはありません。 それどころか経済の発展や社会の進歩は、社会変革を生み、自分達の権力基盤を弱体化させますから、全力で阻止するのです。

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 そして恐ろしい事に、こういう事にかけて彼等は極めて勤勉で有能だったのです。 だって大変な難関試験を自身の頭脳と努力だけで突破してきた人々なのですから、努力家であり頭が良い事にかけては、中国最高の人々なのです。

 国中で最高に頭がよく、しかも勤勉で努力家の人々が、強大な権力を持ち、団結してその権力を利権を守ろうとするのでは、金城鉄壁ではありませんか?
 
 このような人々が一致団結して国家の経済発展や社会の進歩を阻害するのですから、経済や社会が進歩発展するわけもないのです。

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 勿論権力を保持している人々が、自身の権力保持の為に社会の進歩や経済の発展を阻害するのは、世界中どこでも同じでしょう。

 しかし西欧や日本で権力を握っていた貴族や大名は、ただ世襲でその権力を得ただけの人々なので、そんなに頭がいいわけではありません。 そして権力を得る為に苦労するとか、努力するという発想さへないのです。

 これでは科挙秀才達に適うわけもないのです。 
 科挙の秀才に可能なことも、彼等には不可能だったのです。

 そしてそれが結局これらの国々を発展させたのです。

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 しかし日本は明治以降、また欧米諸国でもフランス革命以降辺りから、学力による官僚採用を始めました。

 民主主義により身分制度を廃止すれば、官僚を採用するには、能力試験を課すしかありません。
 しかし仕事をした経験のない若者に能力試験を課すとなれば、結局学力試験になるしかないのです。

 皮肉なことに科挙がなかった事により民主主義体制を作る事の出来た国々が、皆民主主義により科挙を採用することになってしまったのです。

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 その結果、日本ではそれが財務省の緊縮原理主義となって、日本経済の発展を阻止することなっています。
 これは大変恐ろしい事です。

 日本はこの科挙の弊害を克服する方法を考え実行しない限り、日本は衰亡に向かうではないでしょうか?
  1. 古本
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2018-05-23 14:22

特等席

 この数日、似たような写真ばかりアップしています。

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 毎日同じ場所をウロウロしてるから、同じような写真になるのです。

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 というのも今はリンゴの花の季節で、ワタシの好きな場所が一番美しい時期だからです。

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 そこは発寒川が二股に分かれる辺りの川岸の公園で、川岸のリンゴの木が数本並んでいるのです。

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 そのリンゴの花が今満開なのです。

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 リンゴの花はリンゴの香りがします。

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 そのリンゴの木陰のベンチで、お昼を食べるのが最高なのです。

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 家からパンとサラミソーセージとそれにワインを持って行って食べるのです。

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 パンは山の上のパン屋さんの安売りのパンです。

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 サラミは近所の激安店で売っている、サラミの切れ端ばかり集めて安売りしている物です。

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 ワインは一番安い紙パック入りのワインを、空き瓶に詰めていきます。

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 それにこの日は奮発してサラダを持っていきました。

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 適当にちぎったレタスとトマト半分、汁の漏れない容器に詰めてポン酢を掛けた物がサラダと言えればですけれど・・・・・。

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 そしてデザートはリンゴの香りです。

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 しかしこの貧困食もこの特等席で食べると、最高に美味しいのです。

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 瓶の中のワインを半分程飲んだところで、幸福感がこみ上げてきます。

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 神様有難う!!

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 いつもワタシの為にこの席を整備してくれる札幌市にも感謝しています。

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 ワインを飲み終わると、しばらく酔い覚ましに辺りを歩きます。

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 自転車でも飲酒運転は避けるべきですから。

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 食事が終わってもリンゴの香りは気前よく空気を満たします。

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 この日は結構暖かくて、フリースを着ていれば全然寒くありませんでした。

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 ワタシの特等席の空調もようやく機能し始めたのです。

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 こうして食事を終えた後は、少し運動をしなければなりません。

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 お昼が遅かったのと、酔い覚ましに時間をかけすぎたので、自転車に乗った頃には日が傾いていました。

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 遊歩道ではアズキナシの花が満開です。

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 慎ましいけれど、美しい花です。

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 太陽の光は金色になって、あたりを照らします。

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 さてこれから琴似まで買い物にいかねばなりません。

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 夕食のデザートにする果物がないのです。

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 琴似の市場では果物が安いのです。

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 今度また特等席に来るときには、琴似の市場で買った果物を持っていきます。


  1. 札幌の四季
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2018-05-22 19:34

ローマ人は人間ができてる ギリシャとローマ

 燻製にしんさんが古代ギリシャとローマに関してエントリーしていらっしゃいました。

 ローマはなぜ帝国をつくり、なぜ滅んだのか

 古代ギリシャとローマを比べると、ギリシャの方が圧倒的先進地域でした。 学問も芸術も民主制も現代の西欧分かの基礎となるものは全てギリシャで生まれました。
 
 そればかりかオリンピックや音楽祭、演劇祭と言ったイベントと、ギリシャが起源です。

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 ところがギリシャはペロポネソス戦争の終戦後も、混乱を続け、アレキサンドロス大王の帝国も王の死後間もなく崩壊し、結局ローマの軍門に下りました。

 そしてその後、ギリシャ人達は「自分達はギリシャ人である」というアイデンティティさへ喪います。

 ローマ帝国分裂で生まれた東ローマ帝国は、実は完全のギリシャ人の国家であったにもかかわらず、皇帝も市民も皆「自分達はローマ人」と認識していたのです。

 ギリシャ人が「自分達はギリシャ人」と思うようになるのは、何と18世紀末のオスマントルコ帝国から独立後、それもバイロン卿のようなイギリス人に焚きつけられて事です。

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 一体何でギリシャ人がこんな為体になったのか?

 何で後進国ローマは大帝国を築くことができたのに、ギリシャはその軍門に下ったのか?

 だってローマ人の方が遥かに人間ができてるもの!!

 そりゃギリシャ人は知性や創造性では、ローマ人なんかより遥かに上だけれど、とにかく自己中で、無責任で感情的だもの。 

 こんな奴らが民主制で権力を我が物としたら、自分達の得た権利の確保しか眼中になくなるから、余程有能な指導者が出ない限り、政局は混乱状態になるのは当然だわさ。

 それに比べたら、ローマ人は人間が違う。
 彼等はいかに苦しい時でも、自分の感情で政治判断はしないもの。

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 典型的なのは第二次ポエニ戦争でのカンナエの戦いでの惨敗後の対応です。

 第二次ポエニ戦争ではカルタゴの将軍ハンニバルがアルプスを越えて、イタリア半島に侵攻しました。 当時のローマにはこの希代の名将に勝てるような将軍はいませんでした。

 しかし自国領に攻め込んだ敵とは戦わないわけには行きません。 ローマ軍は敗戦に敗戦を重ね、ハンニバルの軍隊は好き放題イタリア半島を荒らしまわりました。

 こうした中、ローマの執政官でローマ軍の指揮官だったファビウスは情けない決断をします。

 「自分達にはハンニバルに勝つ能力はない。 だからとにかくハンニバルに負けないようにするしかない。」

 ファビウスはハンニバル軍との決戦を避けながら、しかしハンニバル軍を追走し、彼等が食料その他の物資を得らえないように邪魔をするという消極戦法を取ったのです。

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 しかしこれはローマ人にとっては耐え難い苦痛を伴いました。 
 ローマ人は元来農耕民で、ローマ市民と言われる人達の多くは小規模自作農なのです。 

 農地は戦乱になっても隠すことも避難させることもできません。 これは自分達の大切な農地をハンニバル軍が荒らすがままにするという作戦なのです。

 ローマ人は元来、愛国心も公徳心も非常に強く、また忍耐力のある人々でした。 しかしそれだって限界があります。

 そして人々はファビウスを「ぐず」「のろま」と罵り始めました。

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 こうした中では当然のこととて「ハンニバルに決戦を挑み、一発で倒すべきだ。」という声が上がり始めました。

 そしてこれを扇動したのが、ヴァロという男です。 
 彼は平民出身で、百人隊長に選ばれたこともなかったようですから、軍事の実績も全くなかったのですが、しかし敗戦に次ぐ敗戦で絶望したローマ市民は彼の扇動に乗りました。

 そしてファビウスの執政官としての任期が切れると、このヴァロともう一人貴族出身の決戦派を執政官に選んでしまいました。

 こうして執政官としてローマ軍を率いる事になった二人は、8万人の軍勢を率いてハンニバルに挑んだのです。
 
 結果は歴史的惨敗でした。



 カンナエの戦いは、今も世界中の士官学校で教えられいると言います。
 取るべき作戦を取った優れた指揮官の例としてハンニバルが。
 取ってはいけない作戦を取った取った最低の指揮官の例としてヴァロが。

 結果はハンニバル軍の死傷者5700に対して、ローマ軍の死傷者6万人、捕虜1万人。 

 無事の戦場を逃れたのはローマ軍8万の内たったの1万人でした。

 そしてヴァロはこの一万人と一緒に生きて戦場を逃れたのです。

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 この惨敗に衝撃を受けたローマ市民は、直ぐにこの手の積極戦法を諦めます。 そして再度ファビウスを復職させて、彼の消極戦法を続ける決断をしたのです。

 ではヴァロは?

 この責任を取って処刑?

 イヤ、ヴァロは執政官の地位は失いましたが、それ以上の責任を問われる事はありませんでした。 それどころかその後もローマ政権内で活動し続けました。

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 一方ファビウスは地道に消極戦法を続けて、ハンニバルを追い続けました。

 そしてこの戦法でローマ軍が頑張り続けると、名将に率いられた軍隊も次第に弱っていきました。
 
 だって敵地で全く補給もないまま何年も戦い続けるのですから、結局ジリ貧になっていくしかないのです。

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 ハンニバルの戦略は元来、ハンニバル軍がイタリア半島を荒らしまわり、ローマ軍が敗戦を重ねる事で、イタリア半島内のローマの同盟国や属領をローマから離反させることでした。

 そしてこれらがハンニバル側に寝返れば本国からの補給がなくても、ローマと戦い続ける事ができ、最後にはローマを倒せるでしょう。 

 しかしローマの同盟国も属領も、どんなにローマが惨敗を続けても、ローマから離反することはありませんでした。

 そしてついにハンニバル側は矢尽き刀折れて、イタリア半島を逃れるのです。 
 このハンニバルの止めを刺したのがスキピオ・アフリカヌスです。

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 それにしてもカンナエ惨敗後のローマ人は凄い!!

 これに比べたらギリシャ人はホントにダメ!!

 ローマ人だって忍耐力に限界がありますから、敗戦が続いて追い込まれると、ついヴァロのような男の扇動にのってファビウスを解任し、ヴァロに軍隊の指揮権を与えたのです。

 この辺りまではギリシャ人とそう変わりません。 ペロポネソス戦争時のアテネでも、戦況が悪くなると、乾坤一擲の大勝負を扇動する人間が必ず出てきました。

 それどころか休戦や終戦のチャンスが出てきても「こんなんで終戦するんだったら、今までの苦労は何のためだ?」と煽り、そのチャンスを潰す奴も必ず出ました。

 そしてアテネ市民は常にそれに乗せられたのです。

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 しかしこうして主戦派を指揮官にして戦っても、負ければ市民たちはたちまち怒り狂い、そいつを処刑したのです。

 いや、いかなる理由があろうとも、アテネ市民は敗軍の将を許さないのです。
 これは以前エントリーした「民主主義の暗黒面」でも紹介しましたが、アテネ市民があのマラトンの戦いの英雄三ルティアデスさへも、わずかの被害で終わった作戦の失敗を許しませんでした。

 だれであろうと、どのような理由であろうとも、敗戦した指揮官は絶対に許さないのです。 

 だからアテネの指導者は一度戦争で失敗すれば終わりです。

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 でもやっぱり敗戦の責任はとるべきだろう?
 指導者が厳しく責任を問われるというのは良い事では?

 なるほどね。
 確かに指揮官には敗戦の責任があります。

 でもその指揮官を選んだの誰?
 その指揮官の任命責任者は責任を取るのかい?

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 古代ギリシャでも、また共和制時代のローマでも、戦争指揮官は市民が民会で選びました。
 市民が皆で広場に集まって、そこで候補者達が演説をして、それを聞いた後に多数決で指揮官を選んだのです。

 だから任命責任者は市民自身なのです。

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 ローマ人はこの自分達の任命責任を自覚し、重く受け止める人達でした。
 だからヴァロを指揮官にして同胞を大量に戦死させた責任を、ヴァロ一人に問わなかったのです。
 そのような人々だから、ファビウスを解任した過ちも認めて、彼を再任させることができたのです。

 一方ギリシャ人は指揮官の責任は非常に厳しく問いましたが、そういう指揮官を選んだ自分達の責任を顧みる事はありませんでした。

 だから戦争に負けたら、戦況が悪化すれば、それは常に指揮官の責任なのです。 だから簡単にそいつを処刑して、次を選ぶのです。

 当然ですが、こんなことを続けていれば、戦争が続けば指揮官になる人材は減るばかりです。
 そしてファビウスのような作戦は最初からとる事ができません。

 しかし最大の問題はこのように敗因をすべて指揮官一人に押し付けてしまえば、自分達の抱える本当の問題について反省し、それを改める事が出来ない事です。

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 ギリシャ人とローマ人の違いは他にもいろいろとあるのですが、ともかく国家や社会への責任感、誠意、愛国心と言った問題では、ローマ人圧勝なのです。

 ワタシは塩野七生さんの「ローマ人の物語」を最初から最後まで楽しんで読んだけれど、その中で常に驚嘆するのは、今から二千年も前なのに、古代の話なのに、常に極めて明確な国家意識とその国家への強い責任感を持つ人たちが出てくることです。

 それはユリウス・カエサルとかハドリアヌス帝のような歴史的名君や英雄に限りません。 
 いや、こうした天才や卓抜した指導者だけを比べれば、ギリシャだって負けないのです。

 しかしローマ人について驚嘆するのは、英雄でも天才でもないむしろ才能にも知性にも恵まれない至って凡庸な人々でも、国家への責任感や誠意では、こうした英雄や天才に負けない事です。

 例えばワタシが同病相哀れむクラウディウス帝などその典型でしょう。 

 ハンニバルが侵攻してイタリア半島内で暴れまわっても、最後までローマの同盟国や属領が離反しなかったのは、実はローマ人のこうした誠実さ故なのです。

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 これに比べるとギリシャ人はホントにダメです。

 学問や芸術ではローマ人が足元に及ばない程の才能を見せるし、知性や創造力でも圧倒しているのに、イザとなるとただもう自分が可愛い。

 だから常に自分が第一でどのポリスでもポリス内での権力闘争が絶えません。
 
 そして権力闘争に負けてポリスから追放される、或いは逃亡すると、皆必ずと言ってよいほど敵国に亡命し、そして自分自身の復讐の為に敵の力を借りるのです。

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 ローマ人だって権力闘争はしないわけじゃないし、時に内戦になったけれど、それでも絶対に敵国をその内戦に引き込むようなことはしないし、またローマ人はそういう事をする人間は絶対に許しません。

 こうしたことを一つ一つ比べるときりがないのですが、しかし国家を作り守る事に関わる特性は、どれ一つとってもローマ人が圧勝と言わざるを得ないのです。

 だからギリシャの諸都市が全てローマの軍門に下ったのも当然だと思います。

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 しかしなんでこうなのか?

 勿論これにはいろいろな説があります。

 でもワタシはこれはローマ人が農民で、ギリシャ人は商人だからだと思っています。
 
 近代以前の共和制国家は、実は皆商業国家です。
 裕福な商人たちが自分達の富を、封建領主に奪われない為に、国を作り自分達で自治をするのです。

 ところがローマだけは例外で、農業国だったのです。 そして市民の多くは小規模自作農でした。

 だからローマ人のやる事なすこと、なにやら野暮臭い百姓丸出しみたいなところがあるのですが、しかし現実に即して誠実に生きるとそういう事になるのではないかと思います。
 
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2018-05-22 12:07

紫丁香花(むらさきはしどい)

  ワタシがライラックの花を始めてみたのは、中学2年の時です。

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 中学二年の時、我が家は父の転勤で、名古屋から札幌に引っ越しました。

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 始めて札幌に来た時は3月末で、まだ雪が沢山残っていました。

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 引っ越先の家から見える山々は真っ白で、そこに黒々とした枯れ木が生えていました。 それは毛深い人の肌と体毛のようでした。

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 年中緑に覆われた山しか知らなかったワタシには、それが実に異様に思われました。

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 4月末になってその山々がようやく緑になり、梅と桜が一緒に咲き終わっても、肌寒い日が続きました。

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 そして肌寒いまま5月も半ばすぎた頃、近所の家々にライラックが咲き始めました。

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 大通り公園では「ライラック祭」なるものをやっていました。

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 しかし行ってみると、一体何がどうお祭りなのかわからない祭でした。

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 それでもライラックの花は沢山咲いていました。

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 寒く暗い日で、大通り公園には人気もなかったけれど。

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 このように初めて見たライラックは、まさに北海道その物におもえました。

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 品種は様々あって、白から薄紫、濃紫、濃厚な赤紫などの花が咲きます。

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 しかし白か紫系の花だけなので、どちらかと地味な感じです。

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 しかし洗練された清楚な感じが、いかにも西欧風です。

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 実際この花はヨーロッパ原産で、明治以降北海道に持ち込まれたのです。

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 この花の日本名が紫丁香花(むらさきはしどい)だと言うのを知ったのは、今年の冬でした。

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 冬のある夜、寝る前にベッドの中で青空文庫でチェホフの短編を読んでいると、田舎地主の屋敷の庭に咲く花々が描かれていました。

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 その花々は皆、ワタシの馴染みの花々で、なるほど北海道とロシアは似た気候なのだと思いました。

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 しかし一つだけ、紫丁香花(むらさきはしどい)と言うのがわかりませんでした。

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 実はこの紫丁香花という名はロシア文学の他の作品でも何度か見た事がありました。

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 そして美しい語感が気になっていました。

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 ところがネットができる前は、それが実際にどんな花かを調べるのは、結構大変だったのです。

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 だからワタシもどんな花か気になりながらそのままになっていました。

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 しかしi-padでの読書中なら話は別です。

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 そこで「ムラサキハシドイ」を検索すると、それが他ならぬライラックだとわかったのです。

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 なるほど初夏のロシアの地主屋敷の庭に咲くわけです。

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 それで今年のライラックは、チェホフの世界を想わせてくれるようになりました。

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 今年の札幌は気温が低いので、ライラックの花は漸く開いたばかりです。

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 だからまだライラックはまだ十分香りません。

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 しかしもう少し待ては丁香花の名に相応しく香り始めるでしょう。
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