丸山議員の発言について色々なコメントを頂きました。
丸山議員の発言への賛否の根底にあるのは、北方領土問題をどう解決するかと言う事でしょう。
そこでワタシの私見を述べていきたいと思います。
ワタシはロシアとの交渉での北方領土返還は、絶対不可能だと確信しています。
なぜなら北方領土は、現在ロシアの安全保障上、死活的に重要だからです。
どの国でも安全保障は絶対的に経済に優先します。
だから日本が幾ら経済支援をすると言っても、ロシアはここを手放す事はないでしょう。
またソ連は北方領土以外でも盛大に火事場泥棒を働いています。
そして帝政ロシア時代の侵略により獲得した領土も膨大なのです。
だから殆ど全ての周辺国との間に領土問題を抱えています。
だからロシアからすれば、一旦日本に領土問題で譲歩すれば、それが蟻の一穴になって、周辺国全てと領土問題が顕在化して、収拾不能になるという危険があるのです。
ロシアだって経済は低迷したままで、ジリ貧一方ですから、日本の経済協力はのどから手が出る程欲しいでしょう。
でも北方領土返還は、ロシア側の負うリスクが多き過ぎるのです。
ワタシがロシアの大統領だったら、絶対に返さないでしょう。
一方、日本側も今、北方領土を返されたらどうなるのでしょうか?
ワタシは断言するけれど、北方領土に移住する日本人は皆無だと思います。
元島民だって殆どは帰らないでしょう。
そもそも現在北海道では札幌以外の都市の人口がどんどん減っている状況です。
道東の過疎化も深刻です。
この状況で態々北方領土に移住する人はいないのです。
そして自衛隊も海上保安庁も、現在の日本の領土領海を守るのに手いっぱいです。
北方領土が返還されたとして、その守備に回す余力はあるのでしょうか?
しかしそこを空っぽにすれば、直ぐにでも中国人や中国漁船が入り込み、不法移民として住み着く事になるでしょう。
中国が厄介なのは、ロシア人と比べてやたらに人口が多く、どこにでも直ぐに大量に入り込み定着する事です。
北方領土返還
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中国人不法移民大量流入
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中国人不法移民が北方領土の独立を要求
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北方領土の中国編入
なんて悪夢もあり得るのです。
イヤ、現在の中国共産党政権なら、絶対にこれを意図して、中国人の不法移民を送り込むでしょう。
だったらこのまま当分ロシアに持たせておいた方がマシでしょう?
しかし北方領土問題の解決が期待できなくても、日本にとってロシアとの良好な関係を持つ事は重要です。
特に対中防衛を考えると、ロシアが中国側に行くのは絶対に困ります。
ロシアが信用できる同盟国になる事はあり得ないのですが、しかし完全に中国に取り込まれる事だけは阻止しなくてはなりません。
そして現在のロシアは米中対立、中国の尖閣諸島・沖縄への露骨な領土的野心などの問題を十分に知った上で、日米と中国の間に立って、いかに自分を高く売りつけるかを考えて行動しているのです。
当然の事ですが、この状況でロシアが日本に領土問題で譲歩する事などあり得ないのです。
しかしながらロシアだって中国は怖いわけで、本気で中国を信じて一緒に日米と戦う気もないでしょう。
だから日本としては常にロシアの腹を探っておき、決定的に中国に取り込まれる事だけは防止するべきなのです。
その為には口実を設けてプーチンと安倍総理が、繰り返し会談をし、プーチンの真意を知っておくのは重要です。
また現在ロシアはクリミア問題でアメリカから制裁を食らい、ヨーロッパ諸国との関係も険悪です。
しかもアメリカのメディアがトランプ大統領のロシアゲート事件をデッチアゲて騒ぎまくった為に、トランプ大統領はプーチンに近づけない状態です。 (近づくとまた「ロシア疑惑が~~!!」と言って騒がれますから。)
その為、現在西側諸国の首脳でプーチンと直接話し合って腹を探れるのは、安倍総理一人、ロシア政府側と公式に対話ができるのは、日本政府の実と言う状況です。
この関係はアメリカや欧州にとっても重要だし、ロシアにとっては死活的に重要です。
イザとなれば双方が日本の仲介を期待するしかないのです。
これは日本の外交資源ですから、日本はこれを大切にするべきです。
但しそれは日本側が不必要に平身低頭するという事ではありません。
なぜなら日本との関係はロシアにとっても死活的に重要なのす。 だからこれを守るために日本だけが譲歩する必要はありません。
何よりロシアにとって日本は、ロシア経済が破綻した時、或いは対中関係が危機的になった時、頼れる唯一の国です。
対中関係が悪化してアメリカの軍事支援を求める時も、日本に仲介を頼むしかありません。
だから幾ら北方領土の問題で踏ん反り返っていても、日本を蔑ろにできるわけはないのです。
だからプーチンだって何度も安倍総理と会談するのです。
それなのにしなくてよい謝罪などしたら、ロシアに侮られてしまいます。
外交はサービス業の苦情係じゃないのですから、やたら腰の低い人は馬鹿にされるだけです。
そうなれば日露関係も悪化するだけです。
このように日本と国際社会全体の状況を見れば、現在の日露関係は、日本にとって悪いとも言えません。
それどころか日本にとって現実的に考えうるベストな状況と言えるでしょう。
しかし北方領土を諦める必要はありません。
中国共産党政権が未来永劫続くわけではありません。
共産党政権が倒れれば中国は必ず混乱して、他国を侵略するどころではなくなります。
また中国は現在、猛烈な勢いで高齢化しています。 そして今後20年内には、超高齢化社会になります。
だから中国の国力も衰退に向かうでしょう。
一方ロシアも事実上プーチンの独裁体制です。
このままではロシアの経済発展もないだろうし、しかもプーチンだって未来永劫生きるわけではありません。
独裁国家は独裁者の死で必ず混乱するのです。
だから日本としては、中国が弱体化し、ロシアが混乱した時を狙って、奪還すればよいのです。
日本はその時に備えて国力と、そして北方領土奪還の正当性を保持し続ける努力を続けるべきなのです。