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2024-07-04 13:32

円安雑感

 昨日「キッシー大嫌い」のコメントでも指摘してくださる方がいましたが、円安を「国力が低下した」と騒ぐマスコミが少なくありません。
 ワタシはこれが大変不思議です。
 現在の円安が始まったのは2022年からです。 最初は1ドル140円ぐらいで収まるかと思っていたのですが、これが意外に進んで今日は161円を超えました。
 2012年2月には80円割れだったのですから、これと比べると円の価値は半分以下になったと言えます。

 しかしそれを「国力低下の為」と言う報道は理解できません。
 だって前記のように円安が始まったのは2022年からです。 それが現在161円になっているのは「国力が低下したから」と言うなら、日本の国力はこの2年に激減したことになりますが、しかし円ドルレート以外にそのような兆候はあるのでしょうか?

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 そもそも円ドルレートは数年単位の短期間では、殆どが日米金利差で決まります。 そして長期間では日米の貨幣流通量で決まります。 
 「国力」なんて指標は何処にもないのです。 
 実際、円安が本格化したのは、2022年から欧米でのインフレ率が非常に高くなり、アメリカFRB,ヨーロッパ中央銀行などが、インフレ退治の為に利上げを繰り返したからです。

 何でアメリカや欧州の利上げで円安になるのか?
 貿易は関係ないのか?

 確かに貿易をして、外国と物を売買するには、円をドルなど外貨に交換する必要がありますから、貿易も関係ないわけではありません。 
 しかし70年代から貿易の為の外貨との交換を、投資の為の外貨の交換量が圧倒するようになりました。 その為、為替レートを左右するのは、貿易ではなく金利差になっていったのです。
 そしてこれは逆に言えば、世界中の投資家から見て日本のように国力が安定している国の場合、円を買うか売るかは、金利差だけを考えて、金利の安い方を売り、金利の高い方を買えば済むからです。

 勿論、幾ら金利が高くても、トルコとかブラジルのように、インフレ率が60%超え、自国民だって自国通貨の貯金なんかできないような国の場合は、単純に金利差だけで為替レートが決まるわけではありません。

 しかし日本とアメリカのような場合を考えると、ホントに単純です。
 日本人からすればアメリカの金利が上がったらドル建て債券やドル預金をしたら、円建ての債券や預金をするよりはるかに高い金利がもらえるのですから、円で貯金をしたり円建ての社債などを買う代わりに、ドル建て社債や米国債を買う、或いはドル預金をすれば、金利差分だけ儲かる事になります。
 米国債もドル建て社債は個人でも買えるし、また金融機関や年金資金も買っています。
 勿論買っているのは日本だけではありません。 
 それでなくてもドルは基軸通貨なのだし、それで金利が上がるとなると、世界中の投資家が喜んで買うのです。

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 それでは何でアメリカFRBやヨーロッパ中央銀行が利上げをしたかと言えば、アメリカやヨーロッパのインフレが非常に深刻だったからです。 今だって日本よりはるかに深刻です。
 インフレの原因はまずはロシアのウクライナ侵略戦争です。 ロシアのウクライナ侵略で、アメリカもヨーロッパ諸国もロシアに厳しい経済制裁を科しました。
 これでアメリカもヨーロッパもロシアからの石油・天然ガスが輸入できなくなりました。 その為エネルギー価格が跳ね上がったのです。
 特にヨーロッパ諸国の場合は、天然ガスをロシアからのパイプラインに頼っていたのに、この供給が止まったのですから大変です。
 現在の先進国では全ての物の生産には、エネルギーを使用することになるので、エネルギー価格の高騰は全ての物価高騰に繋がります。 勿論、電気代やガス代などの光熱費も跳ね上がります。
 
 更にアメリカの場合、コロナ預金の使用が加わりました。
 コロナパンデミックの間、アメリカでは失業保険給付金を大幅に拡大しました。 また一人当たり1200ドルの直接給付金を配布しました。
 アメリカのコロナ禍よりはるかに深刻で死者数も日本より二けた多く、そのため大都市の多くでロックダウンが行われました。

 それで多くの人が失業する羽目になったのですが、しかし政府が手厚い給付金を出したおかげで、経済的に困窮する人はいませんでした。
 それどころかコロナでロックダウン中は、外出もできず、そのため貰った給付金は貯金するか、株など金融商品を買うしかなかったのです。 
 それでこのパンデミック中に株も上がったし、貯金も増えたのです。

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 しかし2022年になってコロナパンデミックも完全に終焉すると、このお金を外食や旅行などコロナパンデミック中ずうっと我慢させられてきた娯楽につぎ込むようになりました。
 一方中国は延々とゼロコロナ政策を続けるなどしましたから、世界中の流通生産が混乱して物不足になりました。
 その為、深刻なインフレになったのです。

 そこで2022年からアメリカ連邦銀行・FRBは利上げに乗り出しました。
 それでも最初のうちは少し利上げしたらインフレは収まると思われたのですが、現実には利上げしても利上げしても、インフレは収まりません。
 その為、アメリカの金利はドンドン上がって、今は米国債で金利5%弱ぐらいです。

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 一方日本もエネルギー価格上昇の影響でインフレにはなりましたが、それでも元々日銀のインフレ目標だった2%を超えるかどうかというレベルです。
 だから今年の4月まで日銀も完全な緩和政策、つまり金利をできる限り低く抑える政策を続けていました。 そして最近漸くこの緩和政策を少しずつ切り替え始めたところです。
 それで現在の日本では10年物国債金利でも1%に及びません。

 2022年からこの状況ですから、当然円を売ってドルへ投資する人が増えるのです。 そしてそれが円安ドル高を招いているのですが、しかしそうなると益々ドルが有利になります。
 それで銀行も「ドル預金」の宣伝などを盛んにやっています。

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 つまり円安ってこういうメカニズムなのです。
 これって低学歴ネトウヨのワタシでも十分理解できるメカニズムなのです。
 だって前記のように円ドルレートが日米金利差で決まるというのは、もう何十年も前から決まっている事ですから、普通に経済ニュースを見ていれば誰でもわかるのです。
 大変不思議なのは、にもかかわらず大手マスコミやテレビが、円安を「国力の低下!!」「日本は輸出競争力を失った」などと騒ぐことです。

 大手マスコミやテレビで記事を書いたり、番組を作ったりしている人たちは、ワタシよりはるかに高学歴で、しかも文系出身者です。
 それなのに何で円ドルレートについて最低限の知識もなく「国力が~~!!」なんて馬鹿な事を言うのか?
 唯々不思議です。

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 これは彼等が高学歴マスコミ関係者がホントに経済知識がないのか?
 或いは経済知識はあるけれど、意図的に金融緩和政策を妨害するために虚偽の報道をしているのか?
 このどちらかとしか思えません。
 そしてワタシはこのどちらかを判定できません。
 
 なぜなら大手マスコミやテレビの称賛する政治家達の経済知識もまた信じがたくお粗末で、殆どトンデモ論と言える物だからです。
 例えば菅直人、仙谷由人、枝野幸男など旧民主党政権の幹部たちは「金利が上がると景気が良くなる」と信じていました。 これはもう完全なトンデモ論なんですが、しかしこのトンデモ論を推奨する「経済学者」がいて、その経済学者が民主党の経済ブレーンでした。 
 こういう政治家が存在して、それをマスコミが推奨している以上、マスコミの脳内経済学もこのレベルだと思うしかありません。

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 一方知識はあるけれど金融監査政策を妨害・阻止するために、虚偽の報道をしているという説も否定できません。
 なぜならテレビも新聞も国から様々な優遇を受けています。 国が優遇するという事は、監督官庁の官僚が彼等の生殺与奪を握っているという事です。
 一方、財務官僚始め日本の官僚達は何としても緊縮政策を続けたいのです。 つまりできる限り国民から収奪し、官庁が収奪した国富を管理することで自分達の権限を拡大したいのです。
 だから円安を攻撃することで緩和政策を阻止したいのです。

 更に銀行各社は新聞やテレビの広告の重要な顧客です。 銀行にすれば金利は高い方がもうかります。 だか等何として金利を上げてほしい、だから円安はできるだけ悪く宣伝して、円安の原因である金融緩和政策を止めさせたいのです。

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 だからマスコミが円安について正確な報道をしたくないホントの理由はわかりません。 
 しかし逆に言えば、マスコミからすれば正確な報道したくない理由は一つではない、沢山あるという事です。
 これが日本のマスコミの現実です。

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2024-06-06 11:20

円安で国富流出?!?! 大丈夫キッシー??

 「円安で国富流出?!?!
 これホントに政府が言っているんですか?

 燃料高騰リスクに警鐘 円安で国富流出―エネルギー白書:時事ドットコム (jiji.com)
 2024年6月4日

 政府は4日の閣議で、2023年度版のエネルギー白書を決定した。液化天然ガス(LNG)などの価格高騰や、円安進行に伴って燃料の輸入金額が増加し、「国富」の海外流出が拡大していると指摘。「国際情勢によっては、より一層の価格高騰に陥ってしまうリスクや、エネルギーの安定供給に大きな支障が出るリスクも十分に考えられる」と警鐘を鳴らした。

 20年に11.3兆円だった化石燃料の輸入金額は、22年には33.7兆円と約3倍に急増。23年も27.3兆円と高止まりした。輸入量に大きな変動はなく、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰や円の下落基調が直撃した形となっている。

 また白書は、世界各地で相次ぐ紛争や災害により、エネルギー安全保障が脅かされていることへの懸念を表明。化石燃料への過度な依存から脱却する必要性を強調した。その上で、再生可能エネルギーの導入拡大や最大限の原発活用などにより、「エネルギー自給率向上に向けた取り組みを、一歩一歩、進めていくことが求められている」との認識を示した。

政府は4日の閣議で、2023年度版のエネルギー白書を決定した。液化天然ガス(LNG)などの価格高騰や、円安進行に伴って燃料の輸入金額が増加し、「国富」の海外流出が拡大していると指摘。

 マジにこれホントに「政府」が言ったんですか?
 中学公民の経済知識でも理解できないんですけど・・・・・。

 記事を読むとわかりますが、ここで言う国富流出とは、石油・天然ガスなどエネルギー資源の輸出価格がロシアのウクライナ侵略戦争などの影響で高騰しその支払い代金が円換算で激増したと言う事だけです。

 日本は石油・天然ガスなどのエネルギー資源を殆ど全部輸入に頼っていますから、エネルギー資源が高騰するとその支払い代金も高騰しました。
 こうしたエネルギー資源の輸出入はドルで決済しますから、円安になればドルでの支払い代金を円換算では更にそれが高騰します。
 しかしワタシの記憶にある限り、この円換算での支払額増加をもって「国富流出」などと言うは初耳です。

 だってこうしたエネルギー資源は家庭にとっての光熱費みたいなもので、絶対必要なモノです。
 その支払いの為のドルを日本は十二分に持っています。
 だからロシアのウクライナ戦争による高騰分だけは支払いが増えたのですが、それを円に換算する意味はありません。

 これは個人でも同じです。
 今は個人でも外貨預金や外貨MMFなどを持っている人がいます。 その人が個人輸入や海外旅行の代金を代金をドルで支払うのに、手持ちの外貨預金や外貨MMFから支払う場合「円安になったから、支払いが増えた」と言う事にはなりません。
 それどころか外貨預金や外貨MMFを持っている人は、円安で円換算の資産が増えます。

 例えば一万ドルのドル建ての外貨預金をドル預金を持っていた人が、1000ドル分の支払をしたとします。
 1ドルが120円なら、この人のドル預金は円換算で120万円でした。 そして1000ドルの支払いは、円換算で12万円です。
 それが円安で1ドル・155円になると、この人のドル預金は円換算で155万円、支払いは15万5千円になります。
 なるほど円安で支払いは3万5千円増えてしまいました。
 でもドル預金の円換算分は35万円も増えているのです。
 これでこの人の「資産が減った」「円安で資産が流出した」というべきでしょうか?

 円安でも円高でも支払ったドルは同じなのですから、ドルで決済する限り支払額は変わらないし、一方円換算でのドル資産は増えるのです。
 そして前記のように日本の外貨準備高は世界一です。 また対外純資産も世界一です。 
 その上、外為特会つまり日本政府が急激な為替変動に対応するために備蓄しているドル資金だけでも、1兆3千億ドルほどあります。 因みにこれはドル札を金庫にしまっているのではなく、米国債を買っているのです。 だからアメリカ政府が利息を払ってくれます。 去年FRBつまりアメリカ中央銀行は盛大に利上げをしたので、その分日本政府が受け取る利息も増えました。

 因みに現在の円安の直接原因は、このFRBの利上げです。 この利上げでドル建て債権の金利は5%に迫っています。 だから皆んな高利を得られるドルが欲しいのです。 それでドルが上がるのです。 
 現在外貨売買の大部分がこうした金利等の利益を狙った物で、輸出入の決済代金では無いのです。 それで日米金利差が円ドル為替レートに強烈な影響を持つ事になったのです。

 そしてこの1兆3千億ドルは、1ドル120円なら156兆円です。
 しかし円安で1ドルが155円になると、202兆円になります。 つまり円換算では46兆円も増えた事になります。
 あらら、この政府の外為特会の為替差益だけで、日本のエネルギー資源の輸入代金27.3兆円の殆ど倍じゃないですか?
 
 ドル建てのエネルギー資源の輸入代金の円換算での増加分を「国富の流出」と言うなら、米国債で持っている外為特会の円換算での増加分は「国富の流入」と言うべきでしょう?
 そして日本の国富の中の外為特会と言うほんの一部だけを見ても、円安による国富の増加は、円安による国富の流出に比べてはるかに大きいのです。
 
 円安による国富の流入はこれだけではありません。
 例えば一台2万ドルの自動車を輸出した場合、1ドル120円なら240万円ですが、1ドル155円なら310万円です。 これだけで日本の自動車会社など輸出企業の利益は爆上げしています。
 だからトヨタ自動車など輸出企業が空前の利益を出しています。
 
 でも、日本の輸出企業は海外に工場移転しているから‥‥円安でも輸出なんか増えないのでは?
 と、言う人もいます。
 しかし海外に移転した工場の利益は日本の本社に入ります。
 アメリカ工場が100万ドルの利益を上げた場合、1ドル120円なら日本の本社の受け取る利益は1億2千万円です。 しかし1ドル155円なら1億5千5百万円です。
 
 だから工場を海外移転させている企業の利益も増える、勿論輸出による利益も増える、つまり「国富の流入」が増えるのです。
 
 通貨安で苦しむ国、国富が流出する国は、元々外貨準備や対外資産が少なく、しかも外貨による借金をしている国だけです。 
 しかし日本は前記のように対外資産純資産世界一、外貨準備世界一の国で、外貨建ての借金などほとんどないので、円安で借金の支払いが苦しくなるなどと言う事はありえないのです。

 それでも自国通貨が安くなると、輸出や観光客の誘致には圧倒的に有利になりますから、自国通貨安政策は「近隣窮乏策」と言われます。 だって近隣諸国が輸出や観光で不利になるのですから。

 それで驚くのが最初に上げた記事です。

政府は4日の閣議で、2023年度版のエネルギー白書を決定した。液化天然ガス(LNG)などの価格高騰や、円安進行に伴って燃料の輸入金額が増加し、「国富」の海外流出が拡大していると指摘。

 これホントに岸田内閣の閣議で言ったのでしょうか?
 それとも財務省の差し金で時事通信が勝手に書いたのでしょうか?
 これホントに岸田内閣の閣議で言ったのなら、岸田内閣が完全に経済音痴だという事ですが、大丈夫でしょうか?

 因みに岸田内閣がホントにエネルギー資源の輸入代金を心配しているなら、さっさと原発を稼働させたらよいのです。 
 それから再エネ賦課金を撤廃したらよいのです。 これでこれまで毎年5兆とか7兆とか言われるお金が海外、特に中国や韓国流れていました。 
 これこそ完全な「国富の流出」です。
 再エネ賦課金を廃止して、原発を稼働させたら、石油と天然ガスの輸入代金分全額の「国富の流出」を賄えます。
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2023-10-06 10:11

医療待機者750万人 イギリスの不思議

 この2日間体調が悪くて、またiPadを抱えて寝込んでいました。
 で、こんな動画をみました。

 

 イギリスの医療待機者が750万人!!
 2023年のイギリスの総人口は6800万人強ですから、人口の1割以上の人が医療待機状態だと言う事です。
 つまり病気や怪我をしても、直ぐには医者に診てもらえない状態だと言う事です。
 深刻なのは癌患者など、重篤な病気を抱えた人が、手術や検査に数か月待たされると言う事です。

 これは深刻です。
 ワタシの両親はどちらも癌で死んだのですが、両方とも発見から死亡まで4カ月余りでした。 あれを思い出すと、癌の疑いが出てから、検査や手術に数か月待たされると言うのは、患者や家族にとって地獄でしょう?

 また救急車を呼んでも直ぐには来てくれないとも言います。
 直ぐに来ないのでは救急車じゃないでしょう?

 実はワタシは「イギリス毒舌日記」と言うイギリス在住日本人のブログを読んでいます。 イギリス人と結婚した日本人女性の日常雑記なのですが、医療に関しては上に貼った動画で、毒舌日記さんの記述に納得がいきます。
 
 イギリスの医療は原則全額国費で無料なのですが、しかし診察の予約を取るのが大変なのです。
 子供が痛みで泣き続けても、予約がないと診察してもらえない。 
 体調不良で検査の予約をとっても、それが何カ月も先になる。
 などなど・・・・・。

 ワタシは病持ちなので、始終病院に行くし、ドジなので救急車の厄介になった事も何度かあります。 夜間救急医療センターにも何度か厄介になっています。
 怪我をすれば直ぐ救急車が来てくれる、休日でも深夜でも、対応してくれる病院がある。
 ワタシはこれが当たり前だと思ってきたので、日本以外の先進国でも同様だと思って来ました。
 ところがイギリスはそうじゃないのです。 

 それにしても一体イギリスは何でこんなことになったのか?
 ワタシが物心ついた1960年代、イギリスは「揺り籠から墓場まで」と言う高福祉国家でした。
 高福祉=高負担は国民の労働意欲を削ぎ、1970年代には経済危機に陥りました。
 それでサッチャー政権が福祉負担を大幅に見直し、それによって危機を乗り越えました
 
 それでも医療は福祉の中でも死活的な分野ですから、医療制度その物は抜本的には変えられななかったのでしょう。
 しかしその医療の質が劣化を続けているのです。

 動画のウプ主モハPさんは「イギリス政府には予算がなく、医療費を賄えない」と言います。 しかしこれも不可解なのです。
 そもそもなぜイギリス政府に予算がないのでしょうか?
 
 バブル崩壊から安倍政権成立まで日本は喪われた30年を過ごしました。
 緊縮財政と金融引き締めを続けた事で、経済成長は世界最低レベルに留まり、賃金もほとんど増えていません。
 企業利益も増えず、株価は下落を続けました。
 だからGDP、賃金、株価などの経済指標を見る限り、正に「喪われた30年」だったのです。
 
 更に悪い事に、賃金が上がらない上、雇用も悪く「就職氷河期」まで起きたお陰で若者の婚姻率が下がり、少子化が深刻化する一方で、高齢化率も深刻化しています。
 お陰で現在日本の高齢化率は世界一なのです。
 高齢化すれば医療費負担は否応なしに大きくなります。

 一方イギリスは、こうした問題とは無縁でした。
 リーマンショックなど大きな経済危機も、大胆で合理的な金融政策で乗り切り、GDPも賃金も順調に上がっています。
 また移民もドンドン入れた為に、少子化や高齢化も日本程深刻ではありません。

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 勿論、インフレは進んでいます。 特に昨年からは10%前後の狂乱物価状態が続いています。
 しかし税金は個人の所得税も、法人税も、消費税もみんな、名目所得、名目利益、名目価格からそのまま取るので、物価が上昇すれば、税収は増えるのです。
 更に物価が上昇すれば、国債など債務は額面で返せばよいので、物価上昇すれば債務負担は減るのです。

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 だったらイギリスの国家予算も物価上昇と共に順調に増えて、医療費ぐらいは十二分に出せるはずではありませんか?
 イギリスは一体どうなっているのでしょうか?

 実は「イギリス毒舌日記」などヨーロッパの生活状況に関する話を読みながらいつも不可解に感じていた事があります。
 賃金やGDPなどの経済指標を見る限り、イギリスは日本よりはるかに恵まれているはずなのに、経済指標の上昇率は日本を遥かに凌ぎ続けたのに、現実の生活レベルが日本と比べて恵まれているとも、ドンドン良くなっているとも思えない事です。

 一般国民の生活についていえば、賃金と同様物価も上がっているので、一般国民からすると生活が豊かになったと言う実感は持てないでしょう。
 これはわかります。

 ワタシは高齢者特権で高度経済成長時を体験しているのですが、この頃のマスコミは全て物価上昇への怨嗟で満ちていましたが、しかし賃金上昇率が物価上昇率を上回っていた事については殆ど報道されませんでしたから。
 けれども賃金の上昇が物価上昇を上回った事で、洗濯機・テレビ・冷蔵庫などの家電が一般家庭に普及し、大富豪だけの物であった自家用車や海外旅行も、特別なモノではなくなったのです。
 それどころか郊外住宅街や農村部の住民にとって車は必需品になりました。
 つまり物価高ばかりのマスコミ報道とは裏腹に、現実の国民生活はドンドン豊になっていったのです。

 で、ワタシが不思議なのは、この30年で日本に比べたら賃金水準が遥かに高くなっているなら、イギリスの国民生活は明らかに豊になっているはずじゃないですか?
 そして所得税・法人税・消費税などの税収は大幅に増えたはずなので、医療費のような死活的な福祉予算を必要なだけ出せず医療待機者が750万人!!、癌患者が手術や検査を長期間待たなければならない状況になるはずがない!!と思うのです。

 ところが現実には、贅沢品が普及するなど、以前に比べて豊になったと言う感じが全くしないのです。 スマホとかノートパソコンとかバブル以降開発されて普及した物もありますが、しかしこれは日本でも欧米に負けないだけ普及しています。
 
 そして日本では世界一の高齢化社会、長く続いた低成長率、賃金上昇率の低さなどの問題にも拘らず、医療水準は守り続けています。
 救急車は呼べば直ぐ来てくれるし、体調が悪くなれば直ぐに病院に行き、そこで異常があれば検査や治療を受けるのに待機と言う程待機する必要もありません。

 それじゃ、あの経済指標で比較した成長率とは何だったのでしょうか?
 ワタシはこれが非常に不可解なのです。

 実はワタシは以前「日本はこの30年間で先進国で唯一、実質生活レベルが上がった国」と言う一文を読んだ事があります。
 しかしその根拠となるデーターを見つける事ができなかったので調べようもなく、今はこの一文の出どころも忘れてしまいました。

 しかし一方で「この30年間で生活レベルが上がった」と言う話には、納得できる一面もありました。
 例えば賃貸の床面積は喪われた30年の間も順調に上がっているのです。

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 賃貸住宅と言うのは基本的に庶民の住居ですから、その面積が順調に増加していると言うのは、庶民の住環境が良くなっていると言う事でしょう?

 これはワタシも実感しています。
 ワタシは1998年に母が死んで一人暮らしになりました。 その時一人暮らしの為の家探しました。
 そしてその借家が老朽化したので、一昨年2021年に今の家に引っ越しました。
 
 その時驚いたのですが、最初の借家探しでは結構あった風呂・台所共用の賃貸の所謂木賃アパートが完全に無くなっていました。 
 一昨年の借家探しでは、家賃2万円代の最低レベルの賃貸でも風呂と台所は完備していました。
 また前の借家人が出た後、プロの清掃業者を入れて、完璧に清掃すると言う事が徹底していました。 それでどの賃貸も入った時の見栄えは新築同然になっているのです。
 1998年の借家探しではそういう事はなく、古い賃貸など入るのが怖いような無残な状態で新しい借家人を迎えていたのです。
 
 こうした経験からも、ワタシは少なくともバブル以降の30年で、日本の生活レベルが落ちたとは思えないのです。
 バブル後の最大の問題は、「就職氷河期」のような雇用問題だったと思っています。
 逆に言えば高度成長期のような生活レベルはあり得ない!!
 現在では奨学金とバイトだけで暮らす苦学生のような立場の人でも、風呂なしキッチン共同の賃貸などでは絶対に暮らせないのです。

 で、また元に戻るのですが、それではイギリスなど順調に経済成長を続け、賃金も上がり続けたはずの国の医療水準が何で下がっているのでしょうか?
 そもそもこうした経済指標には何かマジックがあるのでしょうか?
 非常に不可解です。
 
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2023-08-15 12:24

ブライダル補助金?? 公金チューチューで日本人絶滅計画

 ブライダル補助金と言うがネットで騒がれています。
 自民党の森まさこ議員がいこんなツィートをしたのが発端です。

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 このツィートを読むと、一般国民の結婚を支援する為の補助金と思ってしまうのですが、しかし中身が全く違います。
 この補助金は経産省からの物で、補助金を申請できるのは、結婚式場など結婚関連の業者です。
 結婚資金に困っているカップルではありません。

 ブライダル産業の回復、カギは訪日外国人!?
 2022年12月4日 ニュースイッチ

経済産業省はブライダル産業のインバウンド(訪日外国人)需要の開拓支援に乗り出す。インバウンドの受け入れ準備や海外への情報発信にかかる費用を補助する。少子化に伴う結婚式場の利用の減少や新型コロナウイルス感染症の影響で国内市場が縮小する中、インバウンド需要の取り込みを強化することでブライダル産業の収益力回復につなげる。

経産省は2022年度第2次補正予算案に12億円を計上し、ブライダル関連の事業者を支援する。インバウンド需要に対応するための費用の2分の1を補助する方針で、対象となる要件などは今後詰める。例えば、海外のブライダルイベントへの出展や外国人を受け入れる体制の整備などを想定している。

経産省によると、コロナ禍前から沖縄や京都など観光地での結婚式を希望する外国人が少なくなかったという。政府の水際対策の緩和によって今後もインバウンドの増加が見込まれており、国内で式を挙げる外国人が増えることが期待される。円安の恩恵も生かしながら外需を取り込み、ブライダル産業の回復を図る。

ブライダル産業は結婚式場の運営事業者のほか、装花業者や引き出物を取り扱う事業者、撮影業者など裾野が広い。一方、コロナ禍に伴う結婚式の規模縮小に加え、少子化により結婚式が減少する可能性がある。持続的な発展が課題となっていることを踏まえ、経産省はインバウンド向けサービスの創出を後押しする。

 要するにコロナや若年人口の減少から、ブライダル産業の需要が減り、業界の生き残りが厳しくなっているので、外国人の需要を取り込むなどして生き残る為に補助金を出すと言うのです。

 因みに補助金の上限は一件500万円です。 
 勿論、ブライダル補助金と言う以上、全く少子化に関係がないわけではありません。
 一応、以下のようなケースが優先されると言う事ですから。

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 しかしこれどうやって評価するんでしょうか?
 とりあえず結婚するカップルが増えれば、少子化対策になるのはわかりますが、結婚式場に補助金を幾ら出したら生まれる子供が何人増えるかなど全く評価不能でしょう?
 
 またそれ以外の項目でも、この中身を誰がどういう根拠で、評価して補助金を出すか出さないかを決めるんでしょうか?

 そして根源的な疑問ですが、そもそもブライダル産業がこれまでの規模で生き残る必要があるのでしょうか?
 結婚適齢期の若者の数は、25~35年前にわかっていたのです。 結婚適齢期の若者の数は彼等が生まれた年にはわかっていたのです。
 また結婚や結婚式に関する考え方だって突然変わったわけではありません。

 昔のように大規模な宴会場を借りて、大人数の披露宴をやるようなカップルは減っているのです。
 それどころかそもそも結婚式その物をやらないカップルも増えています。

 だから結婚式場などブライダル産業が苦戦するのは当然なのですが、逆に言えばこれは時代がそうした産業を必要としなくなったという事なのです。
 社会が必要としない産業を生き残らせる為に補助金を出す必要があるのでしょうか?
 
 これが高度や技術や伝統文化を持つ産業なら、それを維持する意味もありますが、しかし結婚式など別にそうした産業がなくてもできるモノです。 
 何でそれを態々維持する必要があるのでしょうか?

 それでも失業率が高く、ブライダル産業が潰れて失業者の行き所がないのなら、雇用維持と言う意味はあります。
 しかし幸い失業率は非常に低く、むしろ求人難なのです。
 結婚式場で働いていた人達なら、ホテル等接客業や飲食業に再就職するのは簡単でしょう?
 それどころか現在こうした業界は人手不足で「外国人を雇う」などと言っているのです。

 しかし呆れた事に経産省は、日本人の結婚式が減った需要を外国人で補う為に補助金を出すと言うのです。
 で経産省の説明だと、外国語のHPを作るとか、広告動画を作るとか勧めて、その為に補助金を使えると言うのです。



 何でこんなことに税金を与える必要があるのでしょうか?
 因みにこの補助金って一件の上限が500万円です。
 そしてこの申請書を書くと言う業者があるのです。
 
 【最大500万円】8/14(月)よりブライダル補助金の申請サポートを開始しました
 
 確かに幾ら経産省の「優良事例」に該当した業者でも、一般の業者が申請しても通らないないのかもしれませんね。
 だってホントにどうやったら優良事例なのか、誰がどう判断するのか全くわかりません。
 だから普通の業者が色々頑張って申請書を書いても絶対に申請は通らないのでしょう。

 だからこうした経産省の申請にやり方に通じた業者・・・・それって経産省の天下り職員?にでも頼まないと通る申請書は書けないのでしょう。

 それにしても上限500万円の申請書を業者を頼んで書いて貰って、結局幾ら残るんでしょうか?
 そしてその成果についての政策評価はあるのでしょうか?

 以前、Colabo問題が出た時、高橋洋一が「この種の少額補助金はどうしようもない」と言っていたのを思い出しました。
 Colabo問題も酷いのですが、しかしこのブライダル補助金の中身を見ると、無意味な補助金ってホントに多くて、Colaboなんかに構っていられないと言うのもわかります。
  
 それにしても酷い話です。 
 これってもう日本人絶滅計画でしょう?
 岸田政権はひたすら増税だけを考え国民負担率を増やし続けました。
 そんなに財源がないなら、こんな愚劣な補助金の類は全部廃止すればよいのに、態々新しい補助金を作って、ブライダル産業などと言う化石を生き残らせようとしているのです。
 そしてその為の財源が必要だからと増税するわけです。
 
 そんな事をされたら若者は結婚するどころじゃなくなるし、結婚したカップルもこれ以上子供を産む事などできなくなります。
 こんなことを続けていたら、日本経済は衰亡するばかりだし、人口だって減るしかありません。
 これじゃ完全に日本人絶滅計画としか言えません。

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2022-06-07 15:06

黒田日銀総裁バッシングの目的は?

 どうやら新聞とテレビは黒田日銀総裁のバッシングを始めました。
 
 家計の“値上げ許容”発言で波紋 日銀黒田総裁が釈明「強調しすぎたかも」

 新聞とテレビはこのところ「悪い円安」を煽っていたのですが、今度は物価高の原因を「悪い円安」の責任、そしてその原因は日銀の金融緩和政策の責任にして、黒田日銀総裁のバッシングを扇動し始めたのです。

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 しかし事実を言えばそもそも現在、日本のインフレ率は2%に過ぎません。
 IMFが予想する2022年度の世界的なインフレ率は7.4%、アメリカは8%です。
 円安で輸入品の価格が上がるのは日本だけなのにヘンですね?

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 世界的に物価が上昇しているのは、一つはコロナの影響です。
 欧米ではコロナ禍が事実上終わって消費が異常なほど増えたのに、中国のロックダウンは続いていて、未だに生産も流通も回復していません。
 またロシアのウクライナ侵略戦争でエネルギー価格が急騰しました。
 エネルギー価格も欧米のコロナ禍が終わる頃から上がり続けていたのですが、これにロシアのウクライナ侵略戦争が拍車を駆けました。
 それで世界的なインフレが懸念されているのです。

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 そして日本の場合、天候不順で野菜の値段が高騰しています。 特に最近は玉葱の値上がりが酷くてワタシも閉口しています。 
 これは最大の産地北海道が去年不作で、しかも他の産地の作柄もよくないので、爆上げしていまいました。
  そしてそれ以外の食料品や飲食店の値上げも増えてきました。

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 食料やガソリンなどは誰でも始終買うので、誰でもすぐに値上がりが気になるので「物価が上がった~~~!!」と言う感覚になるのですが、しかし前記のように日本の物価上昇率は2%過ぎないのです。
 2%と言うのは、元来日銀が政策目標としてきたインフレターゲットです。 
 日銀は第一次安倍政権発足直後から2%のインフレターゲットを目標に、長々と金融緩和を続けてきたのですが、漸くその目標値に達したのです。

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 しかし実はこれ不十分なのです。
 なぜなら日本の場合、物価上昇の主因が食料とエネルギー価格の上昇ですが、前記のようにこれは天候とかロシアのウクライナ侵略戦争とか、日本の経済活動に関係のない事での価格上昇なのです。
 本来なら食料価格やエネルギー価格はこのように国内の経済活動より、天候とか海外情勢とか変動するので、金融政策はこういうモノを外した物価指数コアコアCPIで論じるべきなのです。

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 で、そのコアコアCPIは0.8%しか上昇していません。
 これだと日銀総裁としては、まだまだ金融緩和を止めてはいけないとしか思えなでしょう。
 そして玉葱とかガソリンの値段について文句を言われても困るとしか言いようがありません。

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 因みにこのレベルの話をすれば、今後カツオの値段の暴落が予想されています。 千葉で今カツオが途方もない豊漁なのです。 4月の35倍も取れてしまったのです。 しかも大型で脂がのって凄く美味しいというのです。
 しかしそのため、5月の値段が半分になってしまいました。
 大変だ~!! 
 大デフレだ!!
 日銀はもっと金融緩和しなくちゃ!!

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 つまり本来の日銀の仕事、金融政策についていえば、黒田総裁のやっている事には、何の問題もないのです。 ところが新聞とテレビはひたすら「悪い円安」で黒田総裁を叩き、更に「物価高」で黒田総裁を叩こうとしてます。 
 物価上昇率が2%、コアコアCPIが0.8%で物価高と言うのも異常なのですが、玉葱とガソリンで叩くのです。

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 勿論、エネルギー価格が上がるのは困ります。
 ガソリンも灯油も、そして石油や天然ガスを使った火力発電の電気代も、全部上がるので、国民も企業もみんな困るのです。
 でもこれは日銀がどうにかできる事ではありません。
 むしろ叩くべきは政府でしょう?

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 電気代を下げるには、まずは原発の稼働を急ぐべきです。 これは価格に関係なく一刻も早くやるべきです。 だって夏に首都圏でブラックアウトなんてことになると3桁の人が死にます。
 またガソリン税を減税し、灯油やガスについては、石油元売りに補助金を出せばよいでしょう。
 太陽光発電の電力買取価格をほぼゼロまで下げるのもよい方法です。

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 野菜の値段はどうにもなりませんが、とりあえず食料品の消費税をゼロにするなどの方法があります。
 またロシアのウクライナ侵略戦争で小麦価格が上がっていますが、日本の場合、国内での小麦価格は政府が統制しています。 だから輸入価格の上昇分は政府が負担して、売渡価格を据え置きにすればよいのです。

 これらは日銀には絶対にできないけれど、政府の決断でできます。
 そしてこれを全部やれば、エネルギー価格の上昇分と食料価格の上昇分はほぼ完全に相殺できるのではないでしょうか?

 ところが大変奇妙な事に、新聞とテレビはできる事をしないで物価高を放置する政府・岸田首相は非難せずに、なぜか全く責任のない日銀総裁をバッシングしています。
 そしてこれに扇動されて黒田総裁をバッシングしている人達も結構います。

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 何で新聞とテレビは黒田総裁をバッシングするのでしょうか?
 これはワタシの推測ですが、まず黒田総裁はバッシングしやすい人間と看做されたのだと思います。

 だって日銀総裁は首相や財務大臣と比べて新聞やテレビに出る事は少ないです。 その為、一般国民向けに「配慮した発言」をすることにも慣れていません。 マスコミへの露出も少ない分、バッシングを受ける事もなく、バッシングされる事にも慣れていません。
 だから新聞とテレビが一斉に叩き、ボコボコにバッシングされたら、精神的にダウンする可能性も高いです。 

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 新聞とテレビは事実上財務省の広報機関なのですが、財務省は今も何とかアベノミックスを全否定して、緊縮増税路線を復活したいと望んでいます。
 そこで新聞とテレビはひたすら「アベノミックスは失敗した」とプロパガンダしています。
 その一つが「給料が上がらない!!」だったわけですが、この円安を機会に「悪い円安」を煽って金融緩和を止めさせたいのです。 
 その為には黒田総裁をバッシングして、2023年4月に黒田総裁の任期が切れたら、超緊縮派の人間を日銀総裁にしたいのではないでしょうか?

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 しかし恐ろし話です。
 アメリカ始め欧米諸国が日本を遥かに上回るインフレなのに、日本のインフレ率が低いのは、日本の消費が全然増えていないからです。
 日本もコロナによる行動制限は緩和し始めたのですが、それでもまだみんなマスクをしていて、コロナが終わったさあ遊ぼうなんて気分ではありません。

 日本は欧米に比べたら死者は二桁少ない状態で済み、ロックダウンのような過酷な行動制限もなく、失業者もほとんど増えませんでした。
 だから欧米式のリベンジ消費もその分少なくなるのは仕方ないでしょうが、しかしその分いつまで経ってもコロナへの用心を止められず、消費も増えないのです。
 それで経済もコロナを引き摺り続けているのです。 
 から生産力と消費量の差、つまりGDPギャップは30兆円分もあるのです。しかも政府はその分を穴埋めするような補正予算を組む気はありません。 

 こんな状態で日銀が金融緩和を止めたらどうなるのでしょうか?
 リーマンショックの後の3年間の超円高を思い出してください。
 あの時のどれだけ多く人が職を失い露頭に迷ったか?
 しかしそれでもひたすら黒田総裁をバッシングして、金融緩和を止めさせたいのが新聞とテレビ、そしてそれを操る財務省なのです。

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