メルクマール

普通に暮らしていた主人公が、異世界に召喚されて勇者として活躍する、というのは古典的なファンタジーのパターンです。このパターンの元祖は、マーク・トゥエインの『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』でしょうか。アーサー王時代にタイムスリップした主人公が、科学技術の知識を駆使して、戦いや国作りに奔走する話です。

このパターンの代表作は、エドガー・ライス・バロウズの『火星シリーズ』でしょう。南北戦争時代の軍人が、火星にテレポートして、美しい姫のために勇者として戦うお話。

『ゼロの使い魔』を連想する人も多いでしょうね。いずれにしても、このパターンでは、”元の世界では平凡な人物が、異世界では大活躍して、歴史を変える存在になる”ことがミソだと思えます。

そのためには、特殊能力が必要ですが、この作品の主人公の場合はどうでしょうか。アスレチックと棒術の選手ということで、この異世界の”戦争”にマッチした能力ではありますが、たぶんそれだけではないのでしょう。地球より重力が低いとか何とかで、筋力が異世界の住民より強い、というような設定がありそうです。敵が主人公のジャンプ力に驚くシーンがありました。

あとこのパターンでは、主人公は最初は元の世界に戻りたいと考えているが、次第に異世界に馴染んだり、恋人が出来たりして、戻ることの優先度は低くなる傾向があります。この作品はどうですかね。あの姫様とのラブストーリーになるでしょうか。

”戦争”は、スポーツかゲームのようですが、外交問題を解決する手段ではあるようです。となると、健全なだけで済むとは思えず、裏にはいろいろありそうですが、いずれはキナ臭い話になるのでしょうか。

まぁ、キャラがとても可愛くて、コミカルなストーリーがよく合っているので、ずっとこの調子でもいいのかもしれません。先が読めるような、読みにくいような、不思議な作品です。でもなんだか好きですね。

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