思ったよりもさらに地味な展開で、人を選びそうですが、ゲーム感覚で楽しめる方には良いのでは。 まおゆう魔王勇者 第2話 『わたしたちをニンゲンにしてください』 のレビューです。
1話の様子からして、経済の概念を取り入れることで、いかに戦争や征服を効果的に遂行するか、という話かと思っていました。 でもそうではなくて、まずは教育によって合理的な思考を普及させ、その上で農業生産を効率化して食料生産力を増やすという、地味な国づくりからはじめるのですね。 しかも領主というわけではなく、あくまでアドバイザーとして進める立場のようです。 地味すぎるけど大丈夫か!
僕はといえば、楽しめています。 そもそも『シヴィライゼーション』とか好きですから。 『シヴィライゼーション』というシミュレーションゲームがありまして、プレイヤーは文明の指導者なのですが、最初は原始的な農業をしたり、探検したり、蛮族と戦争するくらいしかできません。 でも農業生産に余力ができると、教育施設などを作ることができて、それによって貯まったポイントでテクノロジー(最初は青銅器とか車輪とか)を開発し、その効果で生産性や軍事力を高めることができます。 テクノロジーは下図のようにツリー状に発展します。
まさに、魔王と勇者はこれをやろうとしているように見えますね。 国を富ませて人々を幸せにするため、教育を普及させてテクノロジーを導入し、土地からの生産性を上げる。 今のところ、勇者が役に立っていないのは気になりますが、本人も気にしていて、やはり戦争になってからが彼の本領なのでしょうか。
シヴィライゼーションも軍事は重要で、戦争によって資源やテクノロジーを奪うことができるので、こつこつ文明を育てるよりも手っ取り早いですが、やりすぎると文明全体の幸福値が下がるシステムになっています。 幸福値が下がると、生産性やテクノロジーの発展速度などが落ちるので、幸福値を上げるために資金や資源が必要で、そのためにさらに戦争をして、というスパイラルに入りがちです。
これこそまさに、魔王が問題視し、打破しようとしているシステムでしょう。 こうして見ると、この原作はシヴィライゼーションに影響を受けているのではとも思えますね。 シヴィライゼーションをプレイしながら、どうすれば文明を発展させつつ、人々が幸せになれるのか、魔王の身になって考えるのもオツかもしれません。
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あと、魔王と勇者という存在は魔族vs人間という構図の象徴なので、魔王と勇者という肩書きに表向き頼ってはいけないという理由もあります
魔王の理想を実現するには彼女達は裏方に徹する必要があり、表舞台を引っ張るのは別の者達でなくてはなりません
彼女の理想実現はメイド姉妹や子弟達の成長にかかっていると言っても過言ではなく
この小さな実績をテコに、次第に世界を大きく動かしていくのであれば、興味深い展開になりそうです。
「魔王」というのが、この世界でどういう存在なのかいまいち分からないのですよね。神話的なものなのか、あるいは実在する具体的な敵なのか。今のところ、わりと軽いノリの存在のようにも見えてしまうのですが。。
ほぼ会話のみで進行する原作と比較しながら視聴すると、ある種記号のような登場人物にうまく肉付けが施されて、素晴らしく映像映えしていると感じました。
演出もキャストも良好で、これは楽しみな作品ですね。
どうやら魔王はたいした魔法を持っていないようなので、知識一辺倒の魔王と戦闘一辺倒の勇者が協定を結ぶことは、論客と剣客が手を取り合うようなものでしょうか。
傍目から見るとほとんど駆け落ちなのですが、まず戦争により経済が廻っている不健全を正そうという、ファンタジーの王道から外れた展開に脱力してしまいました。
そのうちインフラ整備にも着手しそうな勢いですが、そもそも魔王や勇者のやる仕事じゃないですよね。
このノリが続くなら熱い展開になりようがない気もしますが、どうやら主人公は複数存在するようで、魔王と勇者のカップリングが象徴するように、最終的には魔族と人間が共存する世界になるかと、今のところは予想しています。