『人工知能の反乱』というのは、SF界では流行のテーマだったりします。もちろん昔からありますが、昨今のネット技術や、シンギュラリティの思想を取り入れてリバイバルしている感じですね。『そらかけ』はその流行に乗っているようにも見えました。
コロニーを制御するために作られた人工知能は、本能的に住人を必要としていて、箱詰めされた住人は箱の中で満ち足りて暮らしている、という設定も面白いし、社会問題化している引きこもり問題を反映してもいました。
人工知能は精神的に不完全な、人間で言えば思春期くらいのメンタリティーであり、同じく悩み多い思春期の少女とペアを組むことで、お互いに成長していくというテーマも、掘り下げることが期待されました。
でも、それらのよさそうな設定が、ストーリーの本筋にほとんど生かされなかったのが残念なんですよ。たとえばマクロスであれば、「文化を持たない戦闘種族が、人類の文化(歌)に触れることで衝撃を受ける」という設定が、ストーリー全体の骨格になっているます。SFというのはそのように、まず設定があり、それに絡んだストーリーがあるべきなのです。
人間関係は、さらに場当たり的でしたね。敵方の神楽があっさり寝返り、レオパルドが唐突に暴走し、秋葉とナミの姉妹の確執は解決しないまま。秋葉たち3人娘の友情ストーリーも、ごく薄味でした。いっそ百合っぽい要素でも入れてくれればスパイスになったかも。
『宇宙活劇物』にしたかったのは分かるし、その心意気は買いたいところです。ワクワクさせてくれるところもありました。だからこそ残念なんですね。
美術の良さも美点で、未来都市や宇宙の描写は良かったと思います。いろいろ文句を書きましたが、楽しませてくれた作品ではありました。
久しぶりの感想。だんだん面白くなってきたのではないでしょうか。宇宙をかける少女 第16話 『わだかまる宇宙』 の感想です。
ずっと観てはいたのですが、いまいち乗れないなと思っていました。宇宙が舞台のSFで、可愛い女の子も出てくるというのになぜだろう。いろんな事件は起こるけれど、登場人物は流されているだけなので、ピンチを脱しても感慨に欠けるからでしょうか。 せっかく女の子がたくさん出てくるのに、いまいち人間関係が淡白に感じるからでしょうか。
でも今回、秋葉といつきが初めて本音でぶつかったのは、よい傾向だと思います。友情ストーリーになることを期待したい。
ナミがいい感じになってきたのも、面白く感じる理由でしょう。ネルバルに対して、全く臆さないところがいいですね。ああいう病んだキャラは好きなので、活躍を期待しています。
木星から地球まで5年かかる、というのがちょっとひっかかりました。30年前のボイジャーでも、木星まで2年で行ってます。あのボアシップ(宇宙艇)は大気圏離脱能力は無いものの、それなりに運動性があるように見えましたし。月まで往還する能力もあるようです。
仮にボアシップが、0.1g加速を1週間継続できる燃料があるとすると、地球まで3週間くらいで帰れる計算になります。減速のことは考えていませんが、ボアシップを捨ててQTアームズで減速してもいいでしょう。
説明をつけるとすれば、ボアシップはエネルギー元や推進剤を非常用しか搭載していなくて、通常は外部からのエネルギー供給で動いているのかもしれません。レーザー推進とかマイクロ波供給とか、可能性はいろいろあります。だから地球圏ではかなりの機動力があるが、外宇宙では手足をもがれたようになってしまうとか。
だとしても、DSN(ディープスペースネットワーク)に向けて救難信号を送るとか、いろいろ手はありそうですが、そこはそれ、パニック心理で気づかなかったということで。なにはともあれ、レオパルドの本体を使って地球に戻れるようです。
レオパルドが本体に戻るのを怖がっているのはなぜでしょうか。ネルバルたちと戦うのが嫌なのかな。レオパルドと秋葉の関係はストーリーの鍵なのでしょうけれど、いまだに薄い関係にとどまっていて、今後どうなるのか気になるところではあります。
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ペタベタのスポ根ものパロディであり、ここまでやると潔くはあるかな。宇宙をかける少女 第9話 『Q速∞』 の感想です。
想像ですけど、最初は
「学園モノだから、日常エピソードでスポーツでもやらせては。」
という話から始まり、
「ならば野球はどうか。QTを使った魔球を投げるとか。」
「魔QT! となると、鉄バットで特訓とか、ピッチャーの肩が限界とか、そういうエピソードも入れないとな。」
と発展して、結局は番外編になったんじゃないかと。 スター・システム(同じ登場人物で別の作品をやる)は舞-Himeシリーズでお得意ですし。
1話にスポ根もののエッセンスを詰め込んで、それなりにまとまっているのは凄いです。爆発オチはいまいちで、ボロボロになった二人が肩を抱き合うようなエンディング(バックはもちろん夕日)のほうが良かったと思えますが。
本編でも、QT能力者に対する差別がほのめかされていましたが、番外編ではさらに露骨で、ほとんど排斥されています。やはり本編でも”能力者と非能力者の対立”がテーマになるのでしょうか。
秋葉は番外編ではQT能力者ですが、本編でも覚醒することになるのでしょうね。それが『宇宙をかける少女』の素質なのか。
ほのかがキャッチャーというのは、うまい設定だと思いました。魔球の弱点は、往々にしてキャッチャーなんですよね。絶対打てない魔球はキャッチャーも捕れないわけで、試合では使えません。そしてキャッチャーが捕れるならば、その魔球は打てるはず、ということになります。魔QTを捕るには、キャッチャーも高度な能力者であることが必要でしょう。
というわけで、まぁ面白かったのですが、こういうのが求められているのかはちょっと疑問。 息抜き回をやるなら、ギアスの学園祭回みたいなドタバタエピソードでよかった気がしますが、普段がそのノリなので、違うことをしたいというのはあったのでしょう。
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いわゆるシンギュラリティものなのでしょうか。宇宙をかける少女 第8話 『暗闇へのいざない』 の感想です。
コンピュータの反乱というのは、古典的で使い古されたテーマではありますが、近頃のSF界では『シンギュラリティもの』の要素として流行しているようです。
『シンギュラリティ』とは、この場合『技術的特異点』と訳されます。ここ数十年、科学技術において画期的な進歩はあまり無かったのですが、近いうちに爆発的に進歩する時があり、そこから先に文明がどうなるかは予測不能のカオス状態になる、という考え方です。
その”爆発的進歩”のキッカケになるのは、AI(人工知能)の進化か、脳の強化(コンピュータへの接続)とされています。それらは生身の人間よりも遥かに優れた思考力を持つ存在なので、科学技術が一気に進歩するはず、という理屈。
前者の、AIが進化するという考え方の作品としては、ケン・マクラウドの『ニュートンズ・ウェイク』や、チャールズ・ストロスの『シンギュラリティ・スカイ』が有名です。両方とも、人類がAIに支配された未来を描いていますね。
シンギュラリティものの特徴としては、”おもちゃ箱のようなハチャメチャっぷり”があります。なにしろ科学がものすごく進んでいますから、ほとんど魔法みたいなことが可能になっていて、ドラえもんの秘密道具のようなガジェットが次から次へと登場します。そういうところが僕は好きですね。
で、この作品ですが、コロニーを制御するための大規模なAIを作ってみたら、AIが自己学習するうちに予想外に進化してしまい、シンギュラリティが発生した、ということなのかなと。
レオパルドやネルバルは、ワープ(時間転移?)のようなオーバーテクノロジーを持っているようですし、内部はかなりのカオスっぷりで、シンギュラリティっぽいと言えます。いつきの専門の、いわゆる”怪奇現象”も、彼女たちがそう理解しているだけで、実はオーバーテクノロジーの産物ではないでしょうか。
かなりガチャガチャした印象もありますが、そういう雰囲気を楽しむべきなのでしょう。さらにSFなフレーバーを出してくれると、SFファンとしては嬉しいところですが。
いつきの悪霊退治のシーンは良かったですね。悪霊をテクノロジーで退治する描写は、サイレントメビウスを思い出しました。
あのモンスターは舞-HiMEのカグツチかと思いましたが、色が似てるだけでした。子供を叱ったらキレるとは、これがモンスターペアレントって奴か。
今回、いくつかの謎が明らかになりましたが、ほのかの存在はまだ謎ですね。風音もほのかのことを知っているようですし。最近出番が少ないので、ほのかを掘り下げる回を期待しておきます。
”宇宙をかける少女”の意味についても、まだ不明です。レオパルドが反乱軍側についた理由とも、関係があるのでしょう。
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桜の『多世界解釈』うんぬんのセリフは、この物語のSF的な世界観を表しているのか、そうでもないのか。宇宙をかける少女 第7話 『神々の闘い』 の感想です。
以下は桜が言ったこと(の翻訳)ですが、大部分は意味がないと思っています。
ネルヴァルは、局所宇宙の多世界解釈に基づく水素と酸素分子に偏在に対するシェーンブルク補正により、氷の時間的安定同位体の存在確立を確定。これは同時にベドノルツ効果による位相の転移現象を引き起こし、その結果として時間的安定同位体は理論上、無限大の強度を持つんだぁ。
”シェーンブルク補正”や”ベドノルツ効果”はたぶん架空の(未来の)理論で、雰囲気を出しているだけでしょう。(ベドノルツという物理学者は実在しますが) ”確立”は”確率”の間違い?
桜が言いたいことは、要するに、「ネルバルの凍結攻撃は普通の氷ではなく、氷の”時間的安定同位体”だから、とっても強いんだぁ。」といったところでしょう。
”安定同位体”とは”放射性同位体”の対義語で、単に”安定な原子”という意味ですが、ここではたぶん違う意味で、”時間的”というのがミソだと思えます。
”時間”というキーワードに着目すると、まず思いつくのが前々回に出てきた『タキオンソード』という武器です。タキオンは光より速い素粒子で、時間を逆行するとも言われ、タイムマシン・テーマではよく使われるSFネタです。
あと、1話で特に描写されていましたが、レオパルドがワープした?場所には、古いモノ(乗り物とか家具とか)が散乱していました。これは何を意味しているのでしょうか。
予想なのですが、レオパルドはタイムマシンなんではないかと。少なくとも過去に行って、戻ってくる能力があるのでは。 ワープしているように見えるのは時間転移だと考えます。
ネルヴァルもワープ(転移?)していたので、同じ能力を持つのでしょう。だとしたら、『人類の敵』と呼ばれるのも理解できます。タイムマシンは最強の兵器ですからね。負けた戦争を勝ったことにすることも、敵が存在しないことにするのも思いのままです。もちろん、何らかの制約はあるのでしょうけれど。
「神々の闘い」という大げさなサブタイトルですが、時間(因果律)を操る存在であれば、神と呼んでもいいかもしれません。
桜の言う”時間的安定同位体”とは、”どの時間にも存在する物質”というような意味じゃないかな。タイムマシンであるレオパルドは、時間転移することでいつでも逃げられるのだけれど、"時間的安定同位体”による攻撃からは逃げられない、という設定ではないでしょうか。
時間的に安定ということは、時間が経っても変化しないわけで、つまり理論上は無限に強い、ということでもあるのでしょう。レオパルドは、何らかの力でそれをキャンセルしたようですが。
高嶺の戦闘シーンが、とてもカッコよかったですね。QTアームズの戦闘よりむしろこちらのほうが…。月面で、何の装備も付けずに活動していたように見えますが、それは能力者だからか、あるいはサイボーグだからか。
獅子堂家は、ネルヴァルに対抗するために超法規的な権限を与えられているようです。カークウッドコロニーのミラーを勝手に制御する描写は、彼らの権力を表すうまいエピソードでした。なかなかスペクタクルでもあり。
獅子堂家が、SFによくある『時間監視官』的な存在だとしたら、その性質上、世襲制というのもありそうな話です。『宇宙をかける少女』の称号も世襲なのでしょうか。秋葉は正式に襲名したようですが。
獅子堂家とネルヴァルが対立関係にあるとして、公安はどうなのでしょうか。ネルヴァルのことを知っているのかどうか。単純な善玉悪玉の構図では無い気がして、今後の展開が楽しみです。
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秋葉とレオパルドの自分探しのお話。いつもより分かりやすい展開でしたが、伏線はまだ拡散中です。宇宙をかける少女 第5話 『鋼鉄の乙女』 の感想。
秋葉はエネルギッシュな娘で、今はそれをもてあましていますね。何かやりたいのだけれど、やることが見つからないという焦り。そんな彼女にとって、レオパルドやほのかに必要とされて、能力を発揮できる状況は心地良いようです。「自分に何か特別なものがあるかもしれない」という期待感もあるのでしょう。
秋葉はまだ17才なので、現代であれば「とりあえず大学に行って、そこでやりたいことを見つければいいや」って感じでしょう。この時代はもしかしたら、教育システムが効率化されていて、大学に相当する教育を18才くらいで終えてしまうのかもしれません。学園祭の様子を見ても、高校というよりは大学風でしたし。いつきも17才で公務員ですね。
未来なので、テクノロジーによる教育の効率化はあるでしょう。宇宙では若年労働力が不足していて、なるべく早く社会人を育てたいという要請もあると思えます。だとしたら秋葉のモラトリアム期間は残り1年とかであり、焦るのも無理は無いのかもしれません。
秋葉は「ベッドで寝るのは久しぶり」と言ってましたし、月に行くために学校を休むしで、たいした放蕩娘ぶりですが、あの年頃はもう大人と見なされて、自分の責任で行動しろと放任されているのかも。獅子堂家の教育方針というのもあるでしょうけど。
獅子堂といえば、スタッフロールに"獅子堂珠玉"という名前がありましたが、これは誰でしょうか。消去法では、夢に出てくる謎の女性になりますが…。
レオパルドと”謎の女性”は関係があることが暗示されていて、レオパルドの言う”あいつ”とはこの女性を指しているのでしょうね。先代のクイーンなのでしょうか。
女性の部屋のレコードと、EDで秋葉が聴いているポータブルプレイヤーとは関係あるのかな、と思ったり。ポータブルプレイヤー懐かしです。コロンビア GP-3がモデルでしょう。EDの絵と比較したいけど自粛。
ピチカートファイヴの小西さんが使っていたことでも有名で、ピチカートの曲、『ベイビィ・ポータブル・ロック』で歌われているのはこの機種なのだろうなぁと想像してます。いいデザインだから欲しいんですよね。
学園祭の脱衣騒動は、ストリーキング呼ばわりされていました。前回の感想で「もっと脱がないとおかしい」ってことを書いたのですが、やはりあれは本来はスッポンポンに脱がされていたのが、テレビ局の規制でああいう中途半端な絵になってたのでしょうね。DVDのお楽しみ?
サブタイトルの『鋼鉄の乙女』とは、高嶺が戦っていたエクスQTのことでしょう。『タキオンソード』なるものを使っていましたが、タキオンって久しぶりに聞きましたよ。その昔、宇宙戦艦ヤマトの動力?として有名になりました。
タキオンは光よりも速い粒子で、質量が虚数であり、時間を遡るとも言われます。あまりにとんでもなく、かえっていじりにくいので、最近のSFではあまり使われないのでしょう。QTがタキオンも操るとすれば大したもので、タイムマシンも作れてしまいそうですが、どうなのでしょうか。ちょっと楽しみにしています。
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サブタイトルの”まつろはぬ”の”まつらう”とは、”服従する”という意味の古い言葉ですね。 秋葉はクイーンだそうですし、レオパルドに”まつらう”宿命があるのでしょうか。宇宙をかける少女 第4話 『まつろはぬ者達』 の感想です。
QTとは、公式サイトによると"Quantum Technoroty"の意味らしく、直訳すると『量子工学』です。『電子工学』(エレクトロニクス)に対する言葉でしょうか。電子工学は電子を扱う工学の総称で、ラジオの設計から半導体の物性まで幅広いですが、QTも、量子を扱う工学一般の、幅広い概念なのかな。もちろん”cutie”(可愛いコ)も掛けてるでしょうけど。
ほのかの力を見て、いつきが”エクスQT”と言っていたので、何か”超能力のようなもの”でもあるようです。いつきは”フラットレベルのQT”だそうなので、エクスQTは”エクストリーム(強烈・過激)なQT” くらいの意味でしょうか。
超能力者が社会から排斥・迫害されるというのは、SFの『超能力テーマ』の重要な要素ですが、そういう話になるのかな。「エクスQTが野放しになっている」といつきが行っていましたが、「野放し」という表現は差別を感じさせます。 箱をかぶった男は、排斥された超能力者なのでしょうか。ほのかは自分が倒した箱を見つめて、涙を流していましたが…。
レオパルドは秋葉の端末でインターネット(未来でもインターネットなんだ)に接続していましたが、キーボード叩いて画面を見てましたね。実にまわりくどいですが、外部のネットと物理的に切り離されているようで、これもAIに対する規制なのでしょうか。AIを野放しにすると、ネットをハッキングで侵食されかねないとか。
『二式空艇』と言ってましたが、正しくは『二式大艇』もしくは『二式飛行艇』です。(わざと変えているのかも)
飛行艇は日本のお家芸(MAKOさん風に言えば”おうちげい”)で、圧倒的に世界最高性能だった名機ですよ。
それはともかく、全体としてはドタバタのサービス回ですね。これはこれで楽しんでいます。アバンと本編がどうつながるのかは、よく分かりませんでしたが、あまり気にしないほうがいいのでしょう。サービスサービス。
ただ、レオパルドの”脱がせ”が甘いのはいかがなものかと。あれは単なるサービスシーンではなく、いつきたちの注意を逸らすための陽動という、立派な必然性があるので、作品性のためには脱ぐべき!
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スペオペ(宇宙活劇)かと思ったら学園バトルものに。あいかわらずのジェットコースターで、話は広がる一方です。宇宙をかける少女 第3話 『黄金のソウルシャウツ』 の感想。
レオパルドの主砲のトリガーは、やはりAIの制御から切り離されているみたいですね。いわゆるマン・イン・ザ・ループのシステムでしょう。
近年、無人兵器は急速に普及していて、米空軍ではもうすぐ、有人機より無人機の調達数のほうが多くなるそうです。無人機は基本的には自動制御で飛びますが、武器のトリガーは自動制御から切り離されていて、トリガーを引くのは人間の役目になっています。人間が自動制御のループに介在するという意味で『マン・イン・ザ・ループ』と呼ばれますが、人殺しの責任は人間が負うべきで、妥当なシステムでしょう。
レオパルドにはクイーンが必要だそうで、それはつまりトリガーを引いてくれる人間が必要ということなのでしょう。秋葉がクイーンになったとして、彼女は巨大な破壊力を行使する責任に悩むことになるのでしょうか。今のところは何も気にしていないようですが。
ほのかはクイーンにはなれないようで、ということは彼女は人間ではないのですかね? ニーナがラストで(さらっと)言っていた『エクスQT』とは何だろう。QTアームズというのもありますが、QTとはガンダム00での"GN"みたいな、架空の物理現象のことなのかな。
『クイーン』とは、チェスのクイーンも意味しているのでしょうね。チェスではクイーンは最強のコマで、将棋の飛車と角を合わせた動きができます。レオパルドの代理として縦横無尽に動き回ることも期待されているのでしょう。
『ネルガル』というのも登場しました。レオパルドの宿敵っぽいですが、これも前大戦の遺物なのでしょうか。憑依とか言ってましたが、禁制のAIはウイルスのようにシステムを乗っ取る能力がある?
仮面の殺し屋ペアが登場。宇宙空間に放り出されても生きていましたが、宇宙で暮らしていると減圧の危険とは隣り合わせであり、ああいう場合の非常システムはいろいろあるのでしょう。宇宙に生身で放り出されても1,2分なら耐えられるので、その間に救助がくれば大丈夫です。(このネタはマクロスFの2話の感想でもやりました)
「女子学生の行動については、十分研究してきたつもりなんですが…」
ニーナさんが何を教科書に研究したのかが気になる! あの古風なセンスは『女学生の友』とかだと予想します。女学生ニーナさん、可愛いですな。ほのかも帽子を脱ぐと感じが変わるし、妹子もドロイド形態があるし、一粒で二度美味しいキャラが多いようです。ギャップを演出しているのでしょう。
OPを見た感じでは、重要そうなキャラがまだ多数いるので、話は当面広がり続けるのでしょう。話が広がる過程はたいてい面白いわけで、ちゃんと収拾つけてくれることも期待してますよ。
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めまぐるしいジェットコースター展開で、美麗な映像のおかげもあって楽しかったですよ。宇宙をかける少女 第2話 「異界からの使者」 の感想です。
場面転換の多くが唐突ですからね。穴から落ちるとか、銃で倒されるとか。もっぱら、ほのかの強引さに引っ張りまわされているわけですが、そうやって巻き込まれつつも、なんとなくその状況に馴染んでしまう秋葉を描きたいのでしょう。これといったとりえも無いし、やりたいこともないけれど、怖いもの知らずでノリノリなのが彼女の強さです。つまり幼いということなんですけどね。
情報量が多くて、ついていくのが大変ですが、情報の洪水を浴びせて異世界に浸ってもらおうという意図でしょう。SFではよくある手法です。伏線っぽいものはたくさん出てきました。冒頭の謎の女性の「あの子が気に入るのも無理はない」の”あの子”とは誰かとか。「宇宙(そら)をかける少女」とは何かとか。
「50年も前に禁止されたはずの人工知能」と言っていましたが、禁制なのはブレインコロニーなのか、それとも人工知能全般なのか。後者だとしたら、妹子のような自律的に動いているロボット(?)とレオパルドとは、本質的な違いがあることになります。
可能性としては、「意識があるかどうか」でしょうか。人工知能は既に実用化されていますが、プログラムされたパターンのうち、状況に照らして最適なものを計算して実行しているだけであり、意識とは無縁です。妹子たちナビも、本質的にはそういうプログラムにすぎないのかもしれません。
一方で、意識もプログラムできるはず、という考え方があります。脳が電気仕掛けのシステムだとしたら、同じことがコンピュータプログラムでできるはずだと。イーガンの『ディアスポラ』というSF小説では、コンピュータプログラムから意識が発生する描写があります。最初は、「自分」のアバターは他人のアバターと区別がつかず、客観的に見ているだけなのですが、あるキッカケで「自分と考えている自分は自分だ」ということに気づき、その瞬間に意識の発生が認定されて、人権も与えられる、という設定でした。
ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)そう、プログラムで意識が作れるのであれば、それに人権はあるのかというのは難しい問題です。また、意識はコントロールできないので、人間への憎悪が生まれて、人間に逆らう行動をするかもしれません。そういった問題を回避するために、『人工意識』が禁制になったとしても不思議はないでしょう。そういう話なのかなと想像しています。 「お前たち人間こそ、自分が何者なのか分かっているのか」という哲学的な問いかけは、レオパルドに意識があることを示唆しているのでしょう。
SFだけでなく女の子もウリであるようで、女の子のアップが多く、どの子も可愛く印象的に描かれていました。スタッフロールに注目していたのですが、演出・絵コンテなどがスタッフロールの最後に出るのは珍しい気がします。主要スタッフは”スタジオライブ”とクレジットされていて、いわゆるグロス請けみたいですね。いいクオリティだったと思いますけど。
今のところ、今期モノで一番楽しみにしている作品です。宇宙と女の子、最高じゃないですか。ただ、ジェットコースター展開はいずれ終わってストーリーは落ち着くので、その段階でも面白いかどうかが勝負でしょうね。期待しています。
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「この世界はどんなところなんだろう!」というSFのワクワク感を満喫しました。宇宙をかける少女 第1話 「孤高の魂」 の感想です。
秋葉の乗った車が高速道路を降りて、宇宙に飛び出すシーンは大興奮でした。こういう絵はいいな!
意思を持つスペースコロニーといえば、サイバーパンクの元祖、ブルース・スターリングの『スキズマトリックス』を思わせます。あちらは人工知能では無いのですが、レオパルドは人工知能、つまりロボットなのでしょうね。なんらかの安全装置があるようで、キャノンを撃つには人間の操作が必要らしい。「握れ!」とか言って秋葉にトリガー(のようなもの)を握らせたのは、そういうことでしょう。『ハイテンションレバー』とやらも、そういう安全装置の一種なのかな。
『ハイテンションレバー』について、解釈を思いついたので追記。(注:こじつけです)
あれは、コロニーの太陽電池パネル(と思われる構造物)を、レオパルド(AI)の制御下に置くための非常スイッチだと考えられます。電力系は生命線ですから、通常は自律制御されていてAIからは切り離されている、というのはありえる話でしょう。発電所などの制御系は、外部のネットからは必ず隔離されていますし。
ハイテンションレバーを動かしたことで、レオパルド(AI)は太陽電池パネルをコントロールすることが可能になり、パネルを翼のかわりに使って空力で大気圏から脱出した、と考えることができます。空力制御によって大気圏の淵でサーフィンするのは、アポロ時代からある技術です。竹とんぼのように回る必要は無い気がしますが、熱を分散させるためかもしれません。。
世界観は、劇中ではまだあまり語られていませんが、OHPに少し解説がありました。これを読んでおけということでしょう。コロニーの位置を考察しようと張り切っていたのですが、ばっちり書かれちゃってますね。ラグランジュ点のL5だそうですが、地球の見かけの大きさからして、そんなところでしょう。
人類は、地球環境の保全のためにコロニーに住むことになり、地球にはヒッピーみたいな人たち(妹子談)しか残っていないらしい。”宇宙に住む人”と”地球に住む人”との軋轢がテーマになるのでしょうか。
”時をかける少女”の翻案なのかなとも思っていたのですが、筒井康隆さんの名前がクレジットされていないので、タイトルをもじっただけのようですね。
警察に『怪奇課』なる部署があるということは、オカルトもありの世界観なのでしょうか。せっかくなのでファンタジーではなくSFで行ききって欲しいと思うのですが。
ただ、宇宙に住む人が迷信深いというのはありそうな気がします。船員やパイロットは、機械を操るエンジニアであるにも関わらず、迷信深かったり縁起を担いだりします。僕の親戚のエアラインパイロットも、しょっちゅうお宮参りなどに行って御札とか買ってますね。人の力ではどうにもならない自然の猛威や、偶発的な事故の危険を身近に感じているので、神頼みもしたくなるのでしょう。
宇宙空間も、隔壁の外は”人間を殺す自然”であり、その危険に常に晒されている環境ですから、人々は迷信深くなりそうです。ラストに出てきた獅子堂高嶺(CV ゆかなさん)は巫女さんを思わせる装束でしたが、神職だったりするのでしょうか。
ややハチャメチャ成分が強いのが気がかりですが、全体として、SF(スペオペ)として楽しめそうな作品だと思いました。映像も素晴らしいですし。もちろん視聴継続で、感想も書くつもりです。
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