あーちゃんがヒロインなのかな、と思えてきました。青い花 第9話 「夏の夜の夢」 の感想です。
あーちゃんは、典型的な少女マンガのヒロインだと思うんですよね。元気で可愛くて、おっちょこちょいで、恋愛にはちょっと奥手という。今回はそんなあーちゃんを堪能できました。けっこうドロドロした展開であるこの物語にあって、彼女がメインである今回は爽やかです。
ヒロインだとしたら、ここから恋を知って悩んだりするのでしょうけれど、どうなんでしょうね。彼女はあのままでもいいような気もするし、恋する乙女のあーちゃんも見たい気もします。残り回数は少ないですが、どうなるでしょうか。
「あぶないよ」と言って手を引いて、そのままどさくさまぎれに手を握るのは常套手段ですね。うまいな、ふみ。湖畔に咲いていた百合の花は、なにかを象徴しているのでしょうか。
ポチッとして頂けると励みになります。↓
あきらは確かに「いい子」なんだけど、彼女のおかげで状況が掻き回されている感もあります。青い花 第8話 「恋は盲目」 の感想。
ふみは杉本に「つきあえない」と言われ、振られたと思ってショックを受けたのだけれど、あきらのおかげで立ち直ります。自分にはあーちゃんがいるのだから、”人気者で気分屋”の杉本に振り回されることはない、と割り切ったのでしょう。
でも逆に言えば、あきらの行動がなければ、ふみはあのまま悩み続けていて、杉本が文芸部室に来たときに仲直りできた可能性もあったと思えます。でも結果的には、二人の気持ちはすれ違ってしまいました。
それだけはなく、あきらは京子にふみのことをしゃべってしまい、さらにふみと京子を引き合わせたことで、またややこしいことに。ふみにとっては京子は自分を写す鏡のようなもので、杉本のことが好きだった気持ちがフラッシュバックしてしまい、涙があふれたのでしょう。これで先行きが混沌としてきました。
あきらは「ちょっとお花を摘みに」と言っていましたが、これは屋外(登山とか)で用を足すときの隠語ですね。あの状況でわざわざそういう妙な言い方をしたのは、「二人でじっくり話し合え」という意図なのでしょうけれど、結果的におせっかいだった気がします。
あきらはそういう「引っ掻き回す行動」を無意識にやっているのだろうけれど、無意識の底に何か意思があるでしょうか。杉本と「仲をとりもつ」方向ではなく「問い詰める」方向に行ってしまったのは、嫉妬もあったのかなと思ったり。
今回は特に演出が良くて、ふみの揺れる心が手に取るように伝わってきました。動きが多いわけじゃないけれど、クオリティの高いアニメだと思えます。
ポチッとして頂けると励みになります!↓
女子高の中では王子さまのように崇拝されている杉本先輩が、家ではワガママな末っ子扱いだったという話。青い花 第7話 「若葉のころ」 の感想です。
そういうことってありますね。『マリみて』でも、山百合会の3年生ともなると、下級生からは威厳に満ちた雲の上の存在のように見られていますが、学校の外に出れば十代の小娘にすぎないし、大学に進学すれば1年生のペーペーからやりなおしなわけです。しょせんは狭い世界でのカリスマだということで、杉本先輩はそういうことは重々承知でしょう。いつも家では末っ子扱いされているのでしょうから。これが、彼女がどこか覚めている理由の一つだと思えます。
杉本先輩としては、家族にふみを”恋人”だと紹介することで、ふみに誠意を見せるとともに、自分の退路を断つつもりだったはず。でも3女から、好きな男のことを諦めきれていないことをほのめかされてキレてしまいました。図星だったのでしょう。
次女は終始、杉本先輩のことを庇っていましたが、それに対して3女は「後ろめたいの?」と言っていました。つまり…そういうことなんでしょうね。次女が藤ヶ谷の先生だったことをふみが知っていることに、杉本先輩は驚いていましたが、あれは「どこまで知っているのか」を気にしていたんじゃないかな。
3女に指摘されたことで、杉本先輩は改めて気持ちの整理がついていないことに気づき、ふみと付き合っているのはそれを紛らわすためではないか、と気づいたのでしょう。このように弱みを見せたことで、むしろ彼女にはヒロインの資格が出たといえます。超然としているだけで、悩まないならばヒロインにはなれないですから。
あの家族のフランクな様子を描写するのに、麻雀はいい小道具でした。ここでふみちゃんが、「もいっこカン」とか恐るべき強さを見せると面白かったのですが、そういう展開にはならず。
というわけで一進一退のふみと杉本先輩ですが、ここにあーちゃんがどう絡んでくるのかがポイントです。彼女が傍観者から一歩踏み出すキッカケが必要でしょうけれど。
ランキングに参加中なので、ポチっとして頂けると励みになります!↓
杉本先輩の仮面がはがれる時。青い花 第6話 「嵐が丘(後編)」 の感想です。
月影先生によれば、演技をするということは仮面を被ることなのだそうです。杉本先輩の「女の子にモテモテのキャラ」は、どこか芝居がかっているというか、ああいうキャラの仮面を被っているように見えていました。
花束を抱えた各務先生に優しい言葉をかけられ、感激で涙を流した杉本先輩はいかにも「女の子」で、 あれがきっと彼女の素顔なのですね。ふみちゃんもそれを感じ取ったはずで、だからこそ不安なのでしょう。
キャサリンみたいな子は嫌いだ、と言いつつ、舞台の上ではキャサリンと熱愛の演技をする姿が、それを象徴していると思えます。
『在宅アニメ評論家』さんが、杉本先輩の演技があまり上手くはないのがむしろリアルで、女子高という狭い世界のアイドルであることを表現している、と書かれていますが、それは同感ですね。また、カメラワークや照明などの演出がぎこちないのも、敢えてやっているのでしょう。
ふみちゃんの恋愛も、本人は本気なんだろうけど、実際には女子高という特殊な世界での擬似恋愛であり、杉本先輩はそのことは承知の上のように見えます。「物語の主人公はいつもどこか寂しい」というのは、自分のことも言っているのでしょう。
ふみちゃんと杉本先輩の間に存在する温度差は、より広がっていくのか、それとも溶け合って薄まるのか。その行方を見守るのが、当面のドラマになるのでしょう。
ポチッとして頂けると励みになります。↓
劇中劇の『嵐が丘』と『星の王子さま』は何を象徴しているのでしょうか。青い花 第5話 「嵐が丘(前編)」 の感想です。
意味深だと思うんですよね。『嵐が丘』は、恋人に裏切られたと考えた主人公が、復讐を果たす凄絶な話です。主人公、ヒースクリフは杉本先輩だとして、恋人のキャサリンはふみなのかな。これは今後の展開を暗示しているのでしょうか。(無さそうだが…)
『星の王子さま』は、「自分にとって大切なものは何なのか」ということがテーマです。大切にしていたバラの花とケンカして、星を飛び出してきた王子さまは、地球にはバラがたくさんあるのを知り、自分のバラがつまらないものに思えてしまいます。でもやがて、「自分が手をかけて愛しんできたバラは、やはり自分にとって唯一の、大切なものなのだ」ということを悟るのでした。
これはつまり、杉本先輩には崇拝者がたくさんいるけれど、大切な恋人はふみだけなのだ、ということなのかな。世の中に人はたくさんいるけれど、その中でお互いに”特別だ”と思える存在であることが、大切なのでしょう。
今回、杉本先輩とふみのツーショットのシーンが多くあり、どれもよかったと思いますね。杉本先輩のちょっと崩れた態度(ストローをくわえていたり)と、ふみのぎこちない初々しさとの対比が良いのです。
あーちゃんは、そんなふみを応援したり、京子を案じたりする立場で、当事者にはなっていないのですが、彼女もヒロインのはずなので、ずっとこのままではないのでしょう。今のところ、あるべき場所に納まっているかに見える人間関係が、今後どう変化していくのかに注目しています。
ポチっとしていただけると励みになります。↓
「複雑に絡まった恋愛模様を描く」タイプの作品みたいですね。青い花 第4話 「青春は美わし」 の感想です。
杉本はふみと付き合っているけれど、昔恋していた各務先生への未練もある様子。それをふみは敏感に感じ取っているようです。
ふみは杉本が好きだけれど、あーちゃんのこともきっと、友達以上に思っているのでしょう。初恋の人、みたいな感じではないでしょうか。だから、杉本と付き合うことを裏切りのように感じて、カミングアウトせずにはいられなかったのでは。
サブタイトルの「青春は美わし」は、ヘルマン・ヘッセの小説の題名で、故郷に帰った青年が初恋の人に再開する話です。ふみとあーちゃんを象徴していると思ったのですが、どうでしょうか。
いまのところあーちゃんは、ふみに対して恋愛環境は無さそうですね。でも、百合に対する抵抗感も少ないようだ。あーちゃんがふみを「そういう対象」として見るようになる過程が描かれるとしたら、楽しみだなぁと思っています。
ポチッとして頂けると励みになります↓
古風なサブタイトルがいいですね。空気公団のOPもよく合ってる。青い花 第3話 『朝目覚めては』 の感想です。
青春モノは好きなので、一本はレビューしたいと思っているのですが、今期はこれとプリンセスラバーくらいしか無くてさびしいです。この作品が、典型的な青春モノと言えるのかは微妙ですが。
登場人物にそれぞれ悩みがあり、人との関わりや、友情や恋を通じて、悩みを解決しつつ成長する、というのが青春モノのフォーマットです。 ふみとあきらにはそれぞれの悩みがあり、サブの杉本先輩や京子にも裏事情があるようで、青春群像劇の形ではありますね。
ただ、恋愛描写は普通の青春モノじゃないな。キレイな映像でありながら、やってることはけっこう過激で。ふみと千津は「行くところまで行ってるんでは」と仄めかされていました。今回は女性同士のキスシーンがあり、直接写さないところがむしろ淫靡です。
杉本は、ふみが気に入ったというのも本当なのだろうけれど、ふみに”同類”の匂いを察知してアプローチした雰囲気がアリアリで、この道の手錬という感じ。大丈夫かなふみちゃんは。
恋愛ストーリーには障害が必要ですが、女子高における女同士のカップルって、障害になりえるのでしょうか? あるいは、特殊な空間での恋愛ごっこということで、普通に認められてしまうものなのかな。そのあたり興味ありますね。
見たことが無いタイプの作品で、全体のクオリティも高いので、なにげに楽しみにしています。
ランキングに参加中なので、ポチッとして頂けると励みになります!↓