メルクマール

映像描写は素晴らしいですよね。　船団の錆びて古びた表現がリアルで、異質なテクノロジーの産物であるチェインバーとの対比を際立たせています。　以前に横田基地で、F-22を見たときを思い出しました。

戦闘機って、遠目で見るとスマートでも、近くで見ると意外と無骨なものです。　外板は痛んだら交換できるようにリベット止めになっていて、アルミなどの板を曲げて張り合わせて作られていることがわかります。　一方でF-22は、全体が複合素材で作られていて継ぎ目がなく、ヌルっとした形状や艶消しの塗装と相まって、他の戦闘機とは明らかに違う、なんというか「異質感」を放っていました。　実物というよりは映画のセットみたいな。

ガルガンティア船団の中のチェインバーも、そういう雰囲気を持っています。　錆びて古びた船を描くのはとても労力が必要だと思いますが、そのこだわりは素晴らしいですね。

ストーリーのほうも、異質な文化に放り込まれた主人公が、カルチャーギャップに悩む様子を描いているわけですが、ふつうはこのような場合、”主人公”か”環境”かのどちらかが異質であって、もう一方は視聴者にとって馴染みがあるものにすると思います。　現代の少年が異世界に行くか、逆に異世界の住人が現代に来るか。

でもこの作品は、異世界の主人公が異世界に行く話なので、視聴者としては軸足が取りにくいものがありますね。　もう少しすれば、この世界の様子がわかってきて、落ち着いて見られるようになるかもしれません。　

レド君は、就職に悩む現代の若者を象徴しているのでしょうか。　それにしては、レド君は現代の若者とはずいぶん違うし、ガルガニティアも共産主義的な社会に見えるので、現代日本とは違う気がします。　まぁ、もう少し見ないとわからないですね。

どちらかといえば、ラブストーリーがメインなのでしょうか。　軍人が南の島に行き、現地の健康的な娘と恋に落ちるというのは定番のストーリーで、『南太平洋』とか『コレリ大尉のマンドリン』などありますが、男が夢みるシチュエーションの一つと言えるでしょう。　この作品は、女の子たちは健康的すぎて、かつレド君は色恋どころではないので、まだ色っぽいことにはならないようですが。



このところややインパクトには欠けていますが、まさに今回は『凪』の描写なのでしょうし、素材は良いと思うので、今後盛り上がることを期待しています。　

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