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公開:2012-12月
更新:2022-07/09 情報更新のために全体的に書き直し
関連:初心者600点 / 700~800点 / 900点 / おすすめTOEIC本 / Part 1・2 / Part 3・4 / Part 5・6 / Part 7 / スコアが伸びない / 最後まで解けない / アビメL - アビメR
2012年にTOEIC 910点が取れた後、勉強のやり方をこのブログで公開してきて、ありがたいことに多くの読者さんから600~900点達成報告をいただいてきました(*_ _)人
この記事は2012年に公開し、不定期的に更新してきましたが、久しぶりにアナリティクスをチェックしてみたら、2022年07月現在で360万回読まれていました。ありがとうございます!
今回の更新では、この数年間自分が学んできた脳科学、心理学、第二言語習得の知見を自分でも実践してみて、効果があると感じたものを踏まえて書き直しました。
ただ、かなり詳細に書いてあるので長いです。お気に入りに追加して適宜読み返していただくのがいいかもしれません。
700点~900点をめざしている方は、700~800点/900点勉強法も参考にしてみて下さい。
それではいってみましょー!
600点を取るための5つの戦略&心構え
600点を超えたときに自分がやっていたこと、600点を突破した学習者さんを見ていて気づいたこと、また、成長が早い人の習慣などを5つの戦略としてまとめてみました。
(1) 1日2時間勉強する
2010年以降、僕が600~700点台にするようになったのは、1日2~3時間勉強するようになってからです。
また、当ブログを参考に勉強して、600点台に到達される読者さんの多くは、1日1.5~2時間、900点台に到達される読者さんの多くは、1日2~3時間は勉強されています。
なぜ時間が大事なのか?
ジェット機の離陸時の速度は時速約300キロだそうです。つまり、時速約300キロ出してようやく、飛行機にかかる「揚力」が「重力」を超える→飛行機が上昇していくわけです。
英語力もこれと似ていて、1日2~3時間勉強してようやく、「単語を覚えるスピード」が「忘れるスピード」を超える→英語力が上昇していく。
研究によると「ある語が定着するのに5~16回あまり間隔を空けずに出会わなければならない(Nation, 1990)(PDF)」そうです。
なので、語彙力を維持向上していくためには、毎日一定量の英語に触れる習慣を作らないといけないんですよね。
勉強時間が少ないと……
→ 1日に出会える単語数が少ない
→ 単語を覚えるスピードよりも忘れるスピードのほうが速い
→ 英語力が伸びにくい・上達を感じにくい
→ モチベーションが下がる
→ 勉強をサボる
→ 英語力が下がる
2008年から2010年までの2年間でたった60点しか上がらなかった頃の僕はこの悪循環でした(笑)。
「1日2~3時間は勉強する必要がある」ということは、本気にならないといけないということでもあります。
また、毎日2時間ただ闇雲に勉強すればTOEICスコアが上がるかというと、そう簡単ではありません。2年間しても60点しか上がらなかった僕が生き証人です。
英語を1万時間勉強した結果、「英語は量(時間)だけでなく、質(教材や勉強のやり方)も重要」だと感じています。
では、勉強の質を高めるためにはどうしたらいいか?
(2) 公式問題集やTOEIC対策本で勉強する
英語学習の質を高める方法の1つめは、目的に合った勉強・教材を使うことです。
「TOEICスコアを上げる」ことが現在の最優先事項なのであれば、公式問題集や信頼できる(≒毎回TOEICを受けている講師の)TOEIC本を使うことです。
僕は2012年に910点を取得した後、英検準1級を取り、オンライン英会話も3000回超えましたが、どれもそれぞれ身につく語彙はけっこう異なると感じています。
TOEICには
というものがあるなと。
僕が2008年~2010年で60点しか伸びなかったのは、TOEICに関係ないテキストで勉強していたというのも大きな原因です。DUOもそうですが、TOEICに出ない語彙やフレーズがたくさん載っています。
また、読者さんから「英会話やTOEICに関係ない教材で勉強していた頃はスコアが伸び悩んでました」という報告を何度もいただいてます。
(3) 1冊1冊を徹底的にやり込む
英語学習の質を高める方法の2つめは、同じテキストで繰り返しトレーニングすることです。2007年にやり直し英語を始めた頃の僕は、次から次へといろんなテキストを買っていました。テキスト浮気性。
脳研究者の池谷裕二さんが、著書で次のように仰ってます。
書店にはすぐれたテキストがあふれています。アプリや動画なんかもあるかもしれません。そのなかから自分に合うものを選ぶだけでも大仕事。なかには、いろいろなものを試したり、コロコロと変えたりしている人も、いるでしょう。
でも、同じ内容でもテキストを変えて復習すると、海馬が「新しい情報」だと認識し、復習にはならなくなってしまうのです。
……それにテキストを変えるたびに、その使い方や内容を理解し直さなくてはなりません。……最初にコレと決めたテキストで繰り返し勉強し、効果の高い復習をすることのほうが、ずっと大切なのです。(P. 44)
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もうホント仰る通りだなと。TOEICも英検も復習が9割だと感じています。
スコアアップが早い人は、英語の勉強・トレーニング時間の9割は、同じTOEIC本の音声で何度もシャドウイングしたり、英文を繰り返し読む時間に費やしている。
僕は今でもテキスト1冊を仕上げるのに2~3ヶ月費やしてます。
「公式問題集は解いて予想スコア確認したら終わり、次の問題集に進む」という方が多いのですが、公式問題集はむしろ解き終わってからがメインディッシュであり、勉強の始まりなのです。
また、同時並行でやるテキストは、目安としては「1時間当たり1冊」がいいかなと。1日に勉強に費やせる時間が2~3時間であれば、テキストは2~3冊に抑えたほうがいいです。
「公式TOEIC L&R問題集1冊」もしくは「リスニングとリーディングの対策本各1冊ずつ」。あとやりたい人は「単語集1冊」。同時並行するテキストが多いほど1冊にかけられる時間は減る → それぞれの上達速度は下がる。
【参考】TOEIC参考書多すぎ!僕が900点獲るのに役立った参考書まとめ
(4) Part 1・2・5を重視する
「Part 3・4が楽しい」「Part 7が得意」などの特別な理由がなければ、Part 1・2とPart 5に多めに時間を割くことをお勧めします。どのパートを勉強しようか迷ったらPart 1・2・5。なぜなら、「Part 3・4・6・7」と比べて、目標達成に必要な語彙と問題数が少ない ≒ より少ない勉強時間でスコアが上がりやすい ≒ 時間対効果の高いパートだからです。
ちなみに、僕の最初の得意パートはPart 5でした。学生時代からリスニングもリーディングも苦手だったのですが、文法だけは好きだったんです。
「文法特急・単語特急シリーズ」でひたすらトレーニングしたことで、Part 5はいち早く900点レベル(アビメの「R4(語彙が理解できる)」「R5(文法が理解できる」が90%)に到達しました。
Part 1・2で聞き取れる割合が増えると、Part 3・4で聞き取れる割合も増えてきますし、Part 5の英文が読めるようになると、Part 6・7の英文も読みやすくなります。
→ TOEICの勉強が楽しくなる
→ もっと勉強する
→ さらにスコアが上がる
という好循環が生まれます(`・ω・´)b
(5) 全200問中の3~4割は捨てていい
僕が信頼しているTOEIC講師・ヒロ前田先生が「プロに聞くTOEIC勉強法 敵を知ればおのずと方法は見えてくる」で、600点を目標とするのであれば、各セクション100問のうち、それぞれを62%以上を取っている状態であればいいわけです。
であれば、3割、4割は捨てていいのだから、自分がエネルギーを集中するのはココだと狙いを定めてその練習ばかりする。
と仰ってます。つまり、当然ですが全問正解する必要はないということです。
試験中、Part 3・4は「なんか…英語音声が流れてる…」となったり、リーディングでは「あー全然最後までたどり着けない…」と不安になりますが、それでも毎日勉強を継続して、試験中には解ける問題に集中できれば、600点は超えてきます。
勉強の進め方 & おすすめ参考書
TOEIC初心者の方のための、勉強の進め方とおすすめの参考書をまとめてみました。
Step 2:文法を復習する
Step 3:精読(英文の読み方)を学ぶ
Step 4:テクニック本で解き方を学ぶ
Step 5:公式問題集でトレーニング
元々の英語力が高い方はStep 1~4だけで600点を、Step 5までやるだけで730~800点を超える方もおられます。詳しく解説していきますね。
Step 1:発音と音変化を学ぶ
「TOEIC高得点に発音練習は不要」という意見があります。確かに、900点を獲るのに発音練習は必ずしもやる必要はないです。
ですが、TOEICのときから発音を意識しておいたほうがいい理由が2つあります。
【理由1】一度間違って身につけた発音は矯正が困難
通訳者の鳥飼玖美子さんが、著書で次のエピソードを紹介されていました。
iPS細胞で知られる山中伸弥教授は、ノーベル賞の受賞スピーチで、てらいのない分かりやすい英語を話されていたので感心しましたが、以前は国際学会で苦い体験があったとのことです。
「骨」と言っているつもりで"bone"という単語を発音したところ、理解してもらえなかったというのです。どうやら"born"と誤解されたらしい。恐らく日本語的に「ボーン」とゆるく発音したので、"born"に聞こえたのでしょう。[ b ]の後に続く[ ou ]を意識して強くはっきり発音すれば、「骨」だと分かってもらえたはずです。(P.22)
【出典】本物の英語力(Amazon)
現在オンライン英会話をやっていて痛感しているのですが、発音が間違っていると、相手に聞き取ってもらえないという症状が発生します。
幸い、僕は「英語耳」という発音練習本から入ったので、まだマシな発音ができているようですが、それでもTOEIC時代にいい加減に音読して身についてしまった発音はそのまま残ってます……
そして、一度身についてしまった、間違った発音を矯正するのはかなり大変なんですよね(;´∀`)
【理由2】発音が良くなる → リスニング力が向上する
「音声知覚の運動理論」によると、英語を聞いているとき、読んでいるとき、脳内でも発音が再生されるそうです。そしてリスニング時は、脳内で再生される音声と聞こえてきた音声で照合作業が行われるそうです。
言い換えれば、発音が間違っている → 脳内の照合作業でエラーが出やすくなる → 正確に聞き取れないということにつながります。
【参考】科学研究「リスニングで聞き取れない音 ≒ 自分が発音し慣れていない音」
なので、スコアを急いでない方、将来英会話をやる予定の方、上級者をめざしている方は、発音練習をしておくのを激しくお勧めします。
また、リスニング中に、「put on a request」が「プット・オン・ア・リクエスト」ではなく「プロナリクエスト」と連結して聞こえたり、「definitely」の途中の「t」が消失して「デフィナリー」のように聞こえる場合が頻繁にあると思います。
こういった「音変化」にはパターンがあるので、「初心者必見!リスニングのコツがつかめる7つの音変化のルール」をぜひ。
パターンをあらかじめインストールしておけば
なんでこんな発音になるねん!(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
と、怒りにまかせてちゃぶ台をひっくり返してしまう回数を減らせます。
Step 2:文法を復習する
学生時代にそこそこ英語を勉強していて「文法はまぁ、だいたいは理解できるかな」という方は、この項目は飛ばしてもOKです。
ですが、「学生時代、英語はサボり倒した」「文法は苦手!」「自動詞?他動詞?動名詞?養命酒?」という方は、次の問題集がお勧めです。
TOEICのPart 5の問題を解きながら、中学文法も復習できる一石二鳥な問題集です。
旧形式のときに発売された本にはなりますが、基本が学べる本なので今でも十分現役でいけるかと。
● すべての英文に文構造の解説がある
● 二色刷りなので重要なところが分かりやすい
● 新書サイズ→出先でもパッと取り出して勉強しやすい
ので、勉強に慣れていない方でも取り組みやすいです。
特に、全文に文構造の解説がある&文法項目別に学べるという点で、問題がランダムに配列されている「文法特急」よりも英語初心者に優しいので、先にやったほうがいいです。
勉強のやり方は「TOEIC スコアもリーディング力も向上する勉強法 Part 5・6編」をご覧下さい。
また、スコアを急いでない方は文法書を1冊やるのもアリです。
Step 3:精読(英文の読み方)を学ぶ
「英文はそこそこ読める」「精読のやり方は知っている」「普段、辞書や文法書をよく使っている」という方は、この項目も飛ばしていただいてOKです。
一方、「英文を読むのが苦手」という方は、精読(英文解釈/英文の読み方)を学んでおくことをお勧めします。
僕は高校時代、英文を読むのはすごく苦手で、返り読みのプロでしたが、最終的にリーディングで400点台後半が取れるようになりました。
その秘訣が、「精読」と「再読」です。
この精読&再読の最大のメリットは、少ない問題集で900点が獲れる ≒ お財布に優しい点です。
そして、精読を学ぶのにお勧めなのが次の本です。
この本は、
● Part 7の英文を使って精読(英文の読み方)が学べる
● Part 7によく出る文書別の解き方も学べる
という一石二鳥本です。公式サイトの「ためし読み(PDF)」で中身が51ページも閲覧できます。太っ腹。
精読が学べる本(英文解釈本)って受験英語系ばかりなんですよね。TOEICの英文で精読が学べる本ってこの本くらいしかないような気がします。
さらに、リーディング対策本なのにMP3音声(CD)も付いているので、シャドウイングもできます。
上述した脳研究者の池谷裕二さんによると、「脳は目から入った情報よりも、耳から入った情報を覚えておくほうが得意」なので、ただ音読するだけでなく、シャドウイングもしていったほうが長期記憶に残りやすいかと。
また、Part 7の語彙や話の流れのパターンはPart 3・4にも出てきやすいので、Part 3・4の聞き取りにも役立ちます。
この本で精読した上で20日間毎日再読し、上述した「600点英文法集中講義」も10周回し、公式TOEIC L&R問題集を1冊やり込めば、リーディングは300点を超えてくるはずです。
さわぞうさん、新版の情報ありがとうございました!
Step 4:テクニック本で解き方を学ぶ
TOEICも結局、人間が作った試験なので「よく出る問題パターン」があります。そしてその問題の解き方のコツを知っているかどうかで100点くらい変わるんですよね。「大阪人はよく話を盛る」と言われますが、安心して下さい、盛ってません。
2022年07月現在お勧めの「テクニック本」はこれです。
● 問題の解き方が図解で分かりやすい
● スコアを上げるテクニックも学べる
● 講義動画が観られる
● リーディングパートも音声がある
というのがお勧めポイントです。
著者の塚田幸光先生のTOEIC本は過去に数冊トライしたことがありますが、信頼できる方だと感じています。
僕がテキストを選ぶときは「分かりやすさ」はもちろんですが、「使い勝手」を重視します。そして、塚田先生のこの本は使い勝手が類書より頭一つ抜けているんですよね。2017年に出た前作よりも、さらにパワーアップしてるなと。
Step 5:公式問題集でトレーニング
僕は2010年に「公式問題集」2冊分(テスト4回分)の音声と英文を使ってひたすらトレーニングしたことで、700点台に到達しました。公式TOEIC
Listening & Reading 問題集 8
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公式TOEIC
Listening & Reading 問題集 7
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基本的に、新しい問題集のほうが最新の公開テストの問題に近いので、まずは「公式 TOEIC Listening & Reading 問題集 8」を徹底的にやり込むことをお勧めします。
公式問題集や他の模試のレビューや使い方は、次の記事を参考にしてみて下さい。
【参考】新形式TOEIC おすすめ公式問題集・模試と効果的な使い方
【補足】単語集はやってもやらなくてもOK
Step 4の後に、やりたい方は単語集をやっていってもOKです。
TOEIC講師・TEX加藤先生の「銀フレ」など、信頼できる(≒TOEICを毎回受け続けておられる講師の)単語集をやって、TOEICによく出る単語やフレーズをあらかじめインストールしておくというのは効果的な戦略の1つです。
単語集をやるのが好きな方にはお勧め。好きな勉強は続けられる → 継続は力なり!
【参考】TOEIC おすすめ単語帳4選と効果的な勉強法
ただ、僕は基本的に「単語帳をやり込む」ということをしませんでした。なんか苦手だったんです(;´∀`)
また、公開テストによく出る単語というのは、「公式問題集や信頼できる模試」をやっているとよく出てくるので、それらをやり込めば、TOEICによく出る語彙は自動的に身についてくるんですよね。
というわけで、「仕事や子育てで忙しいのでorお小遣いがあまりないので、勉強する本はなるべく減らしたい」「単語集での勉強は苦手」という方は、単語集をやらなくても950点までいけるということをお伝えしておきます。
パート別勉強法
まずは「公式問題集や信頼できる模試」を時間を測って、マークシートも使って解き終わったら、この項目を参照して勉強&トレーニングを始めていきましょう!
繰り返しますが、解き終わってから本当の勉強の始まりです。
1日2時間勉強できるのであれば、1時間はリスニングパートに、もう1時間はリーディングパートに充てて下さい。
Part 1・2
Step 1: ディクテーション
「ディクテーション」というのは、英文スクリプトを一切見ずに、音声だけを聴いて、紙に書き取る or メモ帳などにタイピングして英文を書き取るトレーニングで、応用言語学者も同時通訳者も勧めています。
ディクテは骨の折れるトレーニングではありますが、自分が聞き取れない原因が分かるようになります。初心者やリスニングが苦手な方にお勧め。
リスニング上達の秘訣は、ディクテで聞き取れなかった原因をふるい分けし、それに合ったトレーニングをすることです。
個人的にはまず、「音的に聞き取れない」を減らすことに注力したほうが時間対効果は高いと考えています。
「意味的に理解できない」を減らすのは歳月がかかるからです。加えて、音的に聞き取れる割合が増えると、結果的にスコアも上がってきます。
ディクテの詳しいやり方については、「聞き取れない原因が分かるディクテーション!やり方・注意点」を参照して下さい。
Step 2: オーバーラッピング&シャドウイング
次は、ディクテで聞き取れなかった音声を中心に、「オーバーラッピング&シャドウイング」をやっていきます。「オーバーラッピング」はというのは、英文スクリプトを見ながら、英語音声通りに発話するトレーニングです。
一方、「シャドウイング」は、英文スクリプトを見ずに、聞こえてきた音声に少し(0.5秒くらい)遅れて発話するトレーニングです。
基本的に、リスニングで聞き取れない音 ≒ 自分が発音し慣れていない音なので、オーバーラッピング&シャドウイングでスラスラ言えないところをつぶしていくだけで「聞き取れない音」は徐々に減ってきます。
また、僕は分散学習を考慮して、20日間毎日連続でシャドウイングしています。10日間に減らしたこともありますが、やはり定着度が弱いんですよね。
「スピードが速い」「スラスラ言えない箇所がたくさんある」場合は、語学プレーヤーやICレコーダーで0.5~0.9倍速に速度を落として練習しましょう。練習は”速さ”よりも”正確さ”が大事。
オーバーラッピング&シャドウイングについては「シャドウイングとオーバーラッピングの違い、効果的な学習方法と注意点」をご覧下さい。
Step 3: リピーティング
このブログで言う「リピーティング」とは、シャドウイング中などにスラスラと言えない箇所にぶち当たったときに、音声を止めて、英文スクリプトを見ずに、自分で音声を思い出してリピートするトレーニングです。
自分で思い出して発話しないといけないので、ある意味、シャドウイングよりも負荷は高いのですが、その分、効果も高いです。
なぜなら、思い出すことで記憶力は強化されるからです。心理学では「検索練習(テスト効果)」と呼ばれています。
僕は2020年頃から始めたのですが、もっと早くにやっていればよかったと心底後悔しているくらいです。
シャドウイングをただ闇雲に何十回も繰り返すよりも、「スラスラと言えない箇所はリピーティング」も取り入れたほうが確実に時間対効果は高いです。
詳しいやり方は「リスニング上達速度を加速するリピーティングのコツ・効果・やり方」を参照して下さい。
【補足】苦手な英文→瞬間英作文
Part 1・2に限らずですが、「シャドウイングやリピーティングでスラスラ言えるようになったけど、意味的に理解できるようになった気がしない」
「いつも瞬時に理解できない、どうしても苦手な疑問文・文法・構文がある」
という英文は、瞬間英作文的にトレーニングすることをお勧めします。
ある英文を”しおり”などで隠して、和文を見て瞬時に英訳できるまで繰り返すトレーニングで、数をこなせばこなすほど、文頭から聞こえてきた瞬間に意味がつかめるようになります。
瞬間英作文は、応用言語学者の中田達也教授や新多了教授も勧めておられます。
【参考】言語学者「瞬間英作文は"使える文法"と"決まり文句"の習得に効果的だよ」
ちなみに僕は本ではなく、フラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki」にカード登録して瞬間英作文で回してます。苦手なものを集中して練習できるので効率的ですよ。
また、Part 1・2については「TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 1・2編」も参考になるかと。
Part 3・4
公式問題集1冊分のPart 3・4を暗唱
「公式問題集や信頼できる模試」1冊分のPart 3・4(会話26セット・トーク20セット)の問題音声と英文を使って、Step 2: シャドウイング&リピーティング → 聞き取れる発音と音変化が増える
Step 3: 暗唱 → 文頭から意味がつかめるようになる&予測文法が身につく(話の展開を予測できる)
でトレーニングしていきます。基本的にはPart 1・2と同じですが、Part 3・4では最終的に暗唱をやります。
TOEIC講師の神崎正哉先生のブログ記事「「リスニングが上がらない」「暗唱でしょう」」より。
(リスニング300点前半になったら)会話20、トーク20暗唱できたら、リスニングのスコアはおそらく400点以上になるでしょう
実際、2014年に暗唱の効果とやり方の記事を公開したところ、暗唱にトライされた読者さんから、「リスニングで400点を超えました」というご報告をいただいてます。
この4年で多くの読者さんのお話をお伺いしてきましたが、暗唱は再現性が高く(誰がやっても効果があり)、しかも即効性のあるトレーニングだなと。
暗唱は骨が折れるので二の足を踏む方が多いのですが、早くトライした人ほどスコアアップが早いと感じています。英語学習に魔法の杖はないですが、暗唱はちょっとズルいくらい即効性があるなと。
【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!
【Part 3・4 おすすめ関連記事】
リーディングパート
受験された方はご存知だと思いますが、TOEICのリーディングパートは時間との戦いです。特に新形式に変わってから、Part 7の問題数が増え、英文も長くなったんですよね。つまり、Part 7により多くの時間をかけないといけなくなった = Part 5に割り当てられる時間が減った。
個人的には、最後まで解き終わる(≒900点を超える)ためには、
● Part 5:8分(1問約15秒以内)
● Part 6:8分(1文書2分以内)
で終わらせるのを最終目標にする必要があります。
【参考】TOEIC リーディングで時間が足りない!対策と勉強法 Part 5・6編 / Part 7編
Part 5・6
「問題を解く→音読」を10周
Part 5・6の勉強の進め方です。
公式問題集1冊分のPart 5・6の問題(46問×テスト2回分)を
というのを10周やることを目標にして下さい。ちなみに、2周目以降は精読は不要です。
5周だけだと間違えることはなくなりますが、速さが足りません。「10周」やることで、正確に&速く解けるようになります。
詳しい勉強のやり方については「TOEIC スコアもリーディング力も向上する勉強法 Part 5・6編」をご覧下さい。
Part 7
公式問題集1冊を精読→20回再読
上述したように、学生時代、僕は英文を読むのがすごく苦手でした。
転機が訪れたのは、2010年の秋。
あるTOEIC満点ホルダーの方に公式問題集のリーディングパートを毎日繰り返し読むことを勧められたんです。
そこで、公式問題集2冊分(テスト4回分)のリーディングパートの英文を徹底的に「精読(辞書・文法書で調べる)」した上で、20日間毎日連続で、「再読(繰り返し読む)」しました。結果、リーディングは300点台後半に届くようになりました。
最終的にトータル5冊分(テスト10回分)で同じトレーニングをやり、2012年10月にはリーディングは465点が取れ、900点を超えました。
リーディングパート(Part 5・6も含む)の英文を「精読→再読」したセットが増えてくるにつれて、
● 英文のパターン
● Part 6・7の文書の流れのパターン
● 問題パターン
● 言い換え・キーワード
のストックが徐々に増えてきます。そして少しずつ、読む&解くスピードが速くなり、最後まで解けるようになってきます。詳しいやり方については次の記事で。
【Part 7 おすすめ関連記事】
【参考】TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法
【参考】TOEIC リーディング465点が獲れたPart 7勉強法「再読トレーニング」
試験前は模試を解き直そう
テスト前は、可能な限り本番と同様の環境下で、今までやり込んだ公式問題集や模試を再度解き直します。
できれば前日と前々日に模試1回ずつ。時間的に厳しければ、リスニングかリーディングを1日1セットずつ。
というのも、Part 3・4の先読みのリズムや、リーディングセクションのタイムマネジメントは、テスト前にやって慣れておかないと本番でうまくいきません。
また、「可能な限り本番と同様の環境下で解く」というのは、「時間を測って解く」「マークシートを使って解く」ということです。
さなパパさんが作成された「新形式TOEIC対応マークシート(PDF)」をダウンロードして印刷するといいですよ。
普段からマークシートに慣れておかないと、公開テストで数行単位でマークミスをして全滅する可能性もあります。
試験前の準備・流れについては、次の記事を参考にしてみて下さい。
【参考】TOEIC 本番で実力を発揮する!前日・当日の準備と流れ
【参考】TOEIC 本番に弱い!克服するために僕がやった4つのこと
● 初心者~600点/700~800点
● 900点/990点満点
【 おすすめ参考書・問題集 】
● 参考書の選び方 8つの注意点
● 900点獲るのに役立った参考書まとめ
● 公式問題集・模試/単語帳/文法書
● Part 1~4/Part 5・6/Part 7
【 リスニング対策 】
● 新形式リスニング対策
● 勉強法:Part 1・2編/Part 3・4編
● Part 2:間接応答・距離が遠い問題
● Part 3・4:先読み/キーワード400
● 発音/音の連結・消失/ディクテーション
● オーバーラッピング&シャドウイング
● 瞬間英作文/暗唱/速聴
【 リーディング対策 】
● 新形式リーディング対策
● 勉強法:Part 5・6編/Part 7編
● 精読(英文解釈)/再読/速音読
● キーワード400/言い換え
【 問題解決 】
● 英語学習の継続のコツ
● 各スコアに必要な勉強時間&問題数
● スコアが伸びないパターン - 2年で10点
● 時間が足りない対策:Part 5・6編/Part 7編
● アビメの見方:リスニング/リーディング
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