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Landscapes by the roadside

路傍学会


水辺のLandscape 15

中央区日本橋室町 江戸魚河岸跡
 江戸時代に銚子や鹿島灘などで水揚げされた鮮魚が日本橋まで運ばれたルートを辿る旅は、8月4日号で、小名木川を通り隅田川まで到達した。今号では、日本橋川を遡りゴールとなる江戸魚河岸を目指す。
  240818-1 豊海橋

 江東区佐賀一丁目、隅田川河岸から見た日本橋川である。河口近くに架かる橋は、以前報告した豊海橋である。元禄年間に初めて架けられた橋で、現在の橋は関東大震災後の復興事業で架けられたものである。

  240818-2 永代橋

 永代橋で隅田川を越える。トラスが美しい。

  240818-3 湊橋

 豊海橋から見た上流方向である。湊橋が見えている。湊橋の上流から、川の上に首都高が通るようになる。画面奥に見える建設中のビルは、中央区日本橋一丁目の再開発事業によって建てられている高層ビルである。日本橋川の両岸は高い護岸に沿ってビルが建ち、川面に近づくことができない。

  240818-4 新川1丁目ウミネコ

 新川一丁目では、護岸の上にウミネコが羽を休めていた。ウミネコがビルの屋上で繁殖し、鳴き声や糞が問題となっているが、このウミネコも都会育ちなのかもしれない。

  240818-5 日本橋水門

 日本橋茅場町一丁目、日本橋川から分かれ、隅田川へ合流する亀島川の上流端に日本橋水門がある。下流端には亀島川水門があり、高潮や津波時には、亀島川流域住民の生命、財産を守るため両水門を閉鎖する。耐震補強工事が行われていた。

  240818-6 茅場橋から鎧橋

 茅場橋から見た鎧橋である。鎧橋の左手に東京証券取引所がある。江戸名所百景見ると、この辺りの川沿いには蔵が建ち並んでいた。

  240818-7 江戸橋

 江戸橋である。江戸橋の上空にも首都高が通り、その両側に出入口があった。

  240818-8 江戸橋入口

 これは20211月に撮影した首都高の江戸橋入口である。入口の左には野村證券のビルが建っている。

  240818-9 江戸橋出口

 同じ時期に撮影した首都高の江戸橋出口である。

  240818-10 江戸橋入口

 20226月に撮影したもので、首都高の入口は閉鎖され、野村證券のビルの撤去が進められている。

  240818-11 江戸橋入口

 入口のスロープの撤去が始まっていた。

   240818-12 江戸橋

 最近撮影した江戸橋である。野村證券のビルの跡地では新たなビルの建設が始まっている。

  240818-13 江戸橋

 入口のスロープはすっかり撤去され、川面を眺めることができるようになった。これは首都高都心環状線を地下化する工事の一環という。

  240818-14 日本橋から振り返る

 日本橋から下流方向を見たところである。江戸橋と日本橋の北岸に魚河岸があった。

  240818-15 日本橋魚市

 これは江戸名所図会に描かれた日本橋魚市で、さまざまな魚介が荷揚され、店頭に並び、威勢良く取引されている。利根川、江戸川を経て運ばれた千葉の鮮魚もここで取引されたのだろう。魚河岸では一日に千両の取引があったという。

  240818-16 日本橋魚河岸

 大いに繁盛した魚河岸であったが、関東大震災により焼失したため、300年の歴史を閉じて築地へ移転した。日本橋の橋詰に「日本橋魚市場発祥の地」と刻された石柱が建っている。その奥には「龍宮城の住人である海の魚が、ことごとく日本橋に集まった」という意味を込めて、乙姫をイメージした像が置かれている。

  240818-17 三越前から日本橋

 三越前から見た日本橋である。背後に見える建設中のビルは湊橋の上に見えたビルである。完成すると284mの高さになるという。日本橋の上を通る首都高速道路は、地下トンネルの工事を経て、撤去が終わるのは2040年度の予定という。その時、日本橋ではどのような景観が広がっているのだろうか、路傍学会の興味は尽きない。

  240818-18 築地市場跡地

 日本橋から移転してきた魚市場は、201810月に豊洲へ移転した。この築地市場跡地には、野球、サッカーなど各種スポーツの世界レベルの大会やコンサートの開催を想定した5万人収容の屋根付きスタジアムのほか、場外市場とも連携した日本食を提供する食のエリアや会議施設などが設けられるという。江戸時代、ここに松平定信の屋敷があり、浴恩園という名園があったのだが、そうした歴史を踏まえた街づくりはできないものだろうか。

  1. [ edit ]
  2. 水辺
  3. / trackback:0
  4. / comment:6

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  2. 2024/08/19(月) 20:38:38 |
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  4. たいやき
最後の一文が身に沁みました。
なぜ、土を残した開発ができないのでしょうかね。
東京はますますヒートアイランド化していきます。
関東はもうビルと関東山地や越後山地に囲まれた盆地になってしまいました。

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  2. 2024/08/19(月) 21:09:26 |
  3. URL |
  4. まるほ
路傍学会長さま
築地市場の跡地の整備計画は解せませんな。、歴史を踏まえた街づくりの大きなチャンスだと思うところですが・・。
猛暑のなかの徘徊、くれぐれも体調にご留意くださいませ。

Re: タイトルなし

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  2. 2024/08/19(月) 22:00:54 |
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  4. 路傍学会長
たいやき 様
コメントありがとうございます。
湾岸に立ち並ぶ高層ビルは、海風を遮り、東京のヒートアップを加速させることになりそうです。
かつての江戸をありようを今に生かす街づくりができれば、
環境の今以上の悪化を防ぐことに繋がるのではないでしょうか。
 路傍学会長拝

Re: タイトルなし

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  2. 2024/08/19(月) 22:30:04 |
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  4. 路傍学会長
まるほ 様
コメントありがとうございます。
最近の高層ビルが立ち並ぶビジネス街の写真を見ると、
その都市が、ニューヨークなのか、東京なのか、シンガポールなのか写真だけからは判断できません。
江戸の歴史を踏まえた街づくりができれば、
国際的な都市間競争の上でも東京、江戸のアイデンティティーを活かした街となるのでは、などと妄想したくなります。

酷暑の中に調査活動は、近場、短時間を心がけておりますが、
今年の暑さは応えます。ビールでも飲んで暑気を払いますか?
 路傍学会長拝

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  2. 2024/08/20(火) 18:48:40 |
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  4. kanageohis1964
日本橋川の上の高速道路を地下化するという話、そこだけを取り出すと原点回帰の様にも見えるのですが、両岸の建物が以前より遥かに高層化してしまっているのでは、東西に流れる川のことですから南側を塞がれていて相変わらず日が射さないですよね。

全く意味のない工事だなぁと思っていたら、周辺は輪を掛けた高層化で、結局この高速道路の地下化も「免罪符」に使っただけなんだな、と非常にシニカルなことしか思えなくなっています。そういう風景の中に改めて行こうとはますます思えなくなっているのが、最近の東京ですね。

Re: タイトルなし

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  2. 2024/08/20(火) 21:20:38 |
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  4. 路傍学会長
kanageohis1964 様
コメントありがとうございます。
前回の東京オリンピックの際に建設された首都高がようやく撤去され、2040年には日本橋の上に空が蘇るかと思っていたら、
日本橋のすぐ南では284mのビルが建設中です。
また、大手町では高さ385mの日本一高いビルの建設が進められています。
高速道路が無くなった川の両岸には屏風のように高僧ビルが林立することになりそうですね。
見上げて、川の幅だけ空が見える眺めというのはブラックジョークのようです。
結局、大手不動産会社の思惑通りに東京の街は形作られていくのでしょうか。
 路傍学会長拝

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