橋のLandscape 39
文京区後楽二丁目、神田川に沿ってバリケードフェンスが設置されている。
さらに進むと、白鳥橋の袂に白鳥橋通行止の標示がある。
その先の信号の下に「都電遺構公開会場」の立て看板がある。通行止めになっている白鳥橋では、都電の遺構が公開されているのだ。
白鳥橋の架け替え工事で舗装を撤去したところ、都電の遺構である敷石と複線のレールが発見されたのだ。平日の午前中の公開であるが、関心を持つ多くの人が集まっていた。
会場では、白鳥橋を渡るかつての都電の写真も掲示されていた。写っているのは早稲田~厩橋間を結んだ39系統である。
レールの南端部では穴が掘られ、レールの断面形状が見られた。
敷石の寸法を測っている人がいた。
こちらは複線レールの間隔を確認しているようだ。ちなみに都電の線路幅は4フィート6インチ(1367㎜)である。
都電レールの橋上遺構は、以前お茶の水橋でも見たことがある。東京都千代田、文京区境の神田川にかかるお茶の水橋の補修工事現場で戦時中に廃止された都電の遺構が見つかったのだ。
2020年2月に撮影したものだが、白鳥橋と同様に敷石の中にレールが敷設されている。
当たり前だが、レールも同一の形状である。
今のお茶の水橋である。都電のレールは撤去されたが、一部は日大の船橋キャンパスに保存されている。
都電レールが再び姿を現した時の御茶ノ水駅である。改良工事が進められていた。
現在の御茶ノ水駅である。ホームの延伸工事は終わり12両編成の快速電車が停車できるようになった。
お茶の水橋の袂から御茶ノ水駅の南方向を見ると建設中のビルがある。
かつてこの場所には名曲喫茶があった。これは2021年9月に撮影したものだが、お茶の水の風景として古くから親しんでいた建物が姿を消すのは寂しいものだ。
個性的な建物であった。ここにどのようなビルが現れ、お茶の水の景観はどのように変化していくのだろう。
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橋のLandscape 38
ファミレスは昨年1月に閉店し、歩道橋より一足早く姿を消している。跡地ではセットバックして15階建てのマンションの建設が始まっている。
これは今年1月、撤去前の金町4丁目歩道橋から北東方向を見たところである。もう、このような風景を見ることは出来なくなってしまった。
これは昨年12月に撮影した新宿4丁目歩道橋である。画面左下にネットフェンスで囲われた土地があるが、これは道路を拡幅するために買収された用地である。
新宿4丁目歩道橋は、今年の1月に撤去され、空が広くなった。この度の金町、新宿の歩道橋は水戸街道の6車線化拡幅整備のために行われたものである。
これは常磐線と総武線とをつなぐ貨物線「新金線」の踏切である。国道6号の新宿地区の拡幅は、まず6車線に拡幅したのち、中川から新宿地区にかけて本線の高架橋を構築する予定で、その高架橋の終端部で、高架化された新金線をくぐることになっているという。葛飾区は新金線の旅客化を検討しているが、どの区間を高架化するのかはまだ検討段階であるという。
国道6号を中川方向へ歩くと、かつての宿場新宿(にいじゅく)である。左のガードレールの影には以前報告した「水戸街道石橋供養道標」がある。
新宿の街並みである。新宿に来たのは2021年8月以来である。千住で日光街道から分かれた水戸街道の一つ目の宿場であるが、宿場の面影を見出すことは難しい。
旧宿場を歩いていると新宿二丁目に西念寺がある。
左側の二つの石塔は、将軍が鷹狩にきた際には、この地にあった生簀から魚を献上したのだが、その生簀を守った一族の墓である。台石に「池須守」と刻されている。
街道は宿場の外れで左へ曲がり、千住へ向かうがその近くに宝蓮寺がある。
本堂の右手、塀近くの植込みの中に青面金剛が祀られている。剣、ショケラを持つ六臂の青面金剛である。近づけず、造立年は確認できなかった。
宝蓮寺の前の道を東へ歩くと、小径の先に石塔が見える。行ってみよう。
画面右の石塔に「馬頭観世音」と刻されている。側面に刻まれた説明文によると、この地は宿場時代の馬捨場で、死亡した牛馬を供養するための馬頭観音が正面に見える堂の中に祀られているという。
今回は、今も拡幅整備が続いている水戸街道(国道6号)と、かつての水戸街道の宿場を訪ねる旅となった。
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橋のLandscape 37
猿沢池の池から望む興福寺の五重塔である。
猿沢池から「ならまち」へ向かうと小さな石橋がある。「嶋嘉橋」と名付けられている。
近くに「率川地蔵尊、上ツ道 伊勢街道」と記された行灯サインがある。奈良から伊勢へ向かう伊勢街道は、古代から続く上ツ道が元になっているようだ。
嶋嘉橋から下を見ると舟形に地蔵尊が並んでいる。率川と刻された石柱が建っている。この川の名が率川(いさがわ)である。石段を伝って下りてみた。
水量が少なく歩行が可能であった。
橋脚に明和七庚寅年五月吉日」と刻されている。
年号の左側面には、下の部分は埋もれてしまっているが「椿井町施主嶋屋嘉兵衛」と刻され、施主の名前から橋名が付けられたことが分かる。
下から見た橋である。250年以上に渡って伊勢街道を通る人々を支えてきた橋である。
ここに集められた地蔵尊や石塔は、廃仏毀釈によって率川に捨てられたもののようで、護岸工事の度に地蔵尊の数が増えているという。
地蔵尊の中には双体地蔵尊もある。願主は夫婦だったのだろうか。
猿沢池を回って五重塔へやって来ると塔の下部が単管パイプに囲まれているではないか。
五重塔の保存修理工事が行われており、スケジュールを見ると、来年7月には素屋根が完成し、令和12年に素屋根の解体工事が終了予定とある。奈良を象徴する塔の姿をしばらくの間見ることが出来なくなる。
興福寺から東大寺戒壇堂へ向かう道の途中に写真家入江泰吉の旧居がある。入江泰吉の写真集は路傍学会も何冊か所蔵している。
大和路の風物を撮り続けた入江泰吉の住まいである。
写真家の庭の隅には石仏や小さな石塔があった。
大仏殿の鴟尾に見送られて今宵の宿へ向かった。
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橋のLandscape 36
船橋市山手三丁目の路傍に諏訪稲荷合殿神社が鎮座している。鳥居の右手に石塔が並んでいる。
左から庚申、庚申塔、青面金剛王、青面金剛である。
右端の青面金剛は、六臂の合掌像である。
邪鬼と三猿である。邪鬼は主尊に踏み付けられ這いつくばっているものが多いが、この力強い邪鬼は立ち上がっているように見える。宝暦年間の造立。
右から2番の青面金剛王碑の下部である。不見猿は一匹だけで、両側に二鶏がいる。猿は何かを手にしているようだ。天明年間の造立。
鳥居の左側にも青面金剛王、庚申塔が並んでいる。
庚申塔の三猿は、必死に言わず、聞かず、見ずの姿勢である。不見猿が愛らしい。文政年間の造立。
境内には廿三夜塔が祀られているが、文字が陽刻されている。凝った造りである。このように文字が浮き出ている二十三夜塔は初めて見た。
この神社の西側には直径800mに及ぶ円形の海軍無線電信所船橋送信所跡がある。
送信所跡地の中央部には千葉県立行田公園が開設されている。11.9ヘクタールに及ぶ大規模な公園である。
行田公園内に船橋無線塔記念碑がある。「ニイタカヤマノボレ一二〇八」の電文を発した高さ200mに及ぶ鉄塔はここに建てられていた。
送信所の外周を回る道路を歩き、行田町で狭い坂道を下りると武蔵野線が見えてくる。
武蔵野線はここだけ橋梁形式になっている。
橋台のプレートである。「小金線中山架道橋橋台」とある。昭和51年の竣工である。新松戸駅~西船橋駅間は建設時には小金線と呼ばれていた。
この中山架道橋の下は地肌がむき出しで中途半端な感じである。前後はコンクリートの高架構造なのにここだけ橋梁形式なのは何故?
ここは東京駅と成田空港を結ぶ成田新幹線が通過する予定の場所だったのだ。西船橋方向からやってくる新幹線はこの辺りでトンネルを抜ける予定であったらしい。当時は成田空港そのものへの反対や新幹線が通過するエリアでの新幹線反対運動が激しく、混沌とした状況であったことを記憶している。
その後、成田新幹線の計画は頓挫し、架道橋付近の新幹線予定地は緑地となっている。ここに新幹線が通っていたなら環境は一変していただろう。
この後、武蔵野線沿いの道を歩いた。
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橋のLandscape 35
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