看板のLandscape 58
足立区小台 エンゼルマーク
小台二丁目の和菓子店である。昔ながらの団子や饅頭とともにシフォンケーキも販売している。
和菓子店前の道を進むと、目当てのものが見えてきた。
今回の旅の目的はこれである。森永エンゼルマークの跡である。今年の1月29日号で今まで撮りためたエンゼルマークを報告したところ、多くの方々からメールを頂戴した。そこで、改めてエンゼルマーク探しをしてみたが、思うように見つけることはできなかった。その中で痕跡があると聞き、訪ねてきたのだ。昭和61年に現行のデザインへと変更された際に撤去されたのだろうか。エンゼルマークは絶滅危惧種看板だと考えていたが、もう絶滅種とすべきかもしれない。
エンゼルマークの痕跡を確認したので、久しぶりにこの辺りを徘徊することにした。
4月に都立小台橋高校と改まった荒川商業高校の前を通り小台橋を渡る。小台橋から4月21日にリニューアルオープンしたあらかわ遊園が見える。観覧車の右側に見える森は船方神社の杜である。
小台橋を渡り、あらかわ遊園へ向かう途中では以前報告した煉瓦が健在であった。
新装なったあらかわ遊園である。入園には事前予約が必要である。
船方神社を過ぎると、堀船四丁目の路傍にも煉瓦塀がある。明治初期、この地域では煉瓦に適した土が取れることや、舟運等交通の便が良いことから4つの煉瓦工場が建ち並んでいたという。地元でも煉瓦が多く利用されたのだろう。
この煉瓦塀の道の突き当りに巨大な建物がある。日刊スポーツの印刷工場である。この工場の近くには読売新聞の印刷工場もある。
読売新聞の印刷工場の北側に白山神社がある。江戸期には梶原堀の内村と呼ばれていた当地の鎮守社であったという。
白山神社の社務所に琺瑯看板がある。新聞購読者宅へ取り付けたのだろうか。
白山神社に隣接して福性寺がある。門前の左手には延命招福地蔵尊が祀られている。
境内の本堂手前に青面金剛が祀られている。
欠けているがショケラ、剣を持つ三面八臂の像である。
邪鬼はダイナミックである。二鶏も陽刻されている。傷みが少ない素晴らしい像である。享保年間の作。
この後、梶原から都電に乗り帰途に着いた。
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看板のLandscape 57
台東区、豊島区、葛飾区、江戸川区のエンゼルマーク
浅草界隈を歩いていたら、台東区入谷二丁目、金竜小学校の向いにある建物が目に入った。パラペットにエンゼルマークが取り付けられている。
大分錆が浮いている。元は牛乳販売店だったのだろう。このエンゼルマークを見てから、路傍学会のアーカイブスを調べてみた。
これは2018年8月に撮影した豊島区駒込四丁目の牛乳販売店である。
このマークでは天使の顔が見える。
こちらは江戸川区西小岩四丁目で今も営業を続けている牛乳販売店である。
円形の枠は錆びているが、天使は綺麗である。
葛飾区高砂二丁目にある牛乳販売店である。
白色のペンキが塗られていて、細部は分かりにくくなっている。
これは2020年5月6日号で紹介した台東区台東三丁目の元牛乳販売店である。
エンゼルは全体が錆びてしまっている。
球形の乳酸菌飲料の看板の裏側には明瞭なエンゼルマークが残っていた。
森永のエンゼルマークは、明治38年の誕生以来7回変更されているという。今回報告したマークは昭和26年から昭和61年まで使われたものだ。現行のデザインへ変更された時に白く塗装されたのではないだろうか。アーカイブスの写真を改めて見ながら、牛乳販売店は随分と姿を消したなあと感じた。ガチャガチャと牛乳瓶が擦れる牛乳配達の音も聞かなくなった。
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看板のLandscape 56
港区三田界隈の看板
港区三田五丁目、魚籃坂下交差点から北東方向に伸びる小径の路傍、レトロな建物がある。元は小料理屋だったのかもしれない。味わい深い窓枠である。
この道を進むと銅板建築がある。手前は公園となっている。
公園から見た物干し台である。ペンキの色が良い。何とも言えぬ色合いである。
戸袋は、異なるパターンの意匠が組み合わされている。
「栃木屋」である。昭和50年頃まで八百屋として営業していたという。
この建物の脇の路地である。狭い空間を上手に使って植物を栽培している。家並に潤いを与えている。
銅板建築があったブロックの北側の小径である。どこか懐かしい、下町的な雰囲気である。
駐車場の「空」看板の左に紺色の看板があるではないか。
三軒長屋の手前の玄関脇に琺瑯看板がある。「芝区」とある。芝区は、明治11年から昭和22年までの期間存在していたが、おそらく戦前の街区表示板だろう。
この三軒長屋の反対側に取り付けられている街区表示板である。港区で「三田」が使われるようになるのは昭和42年からである。その頃に作られた街区表示板ではなかろうか。スポンサー名は薄れて分からなくなっている。豊岡町はほとんど空襲の影響を受けなかったので、このような建築物が残っているのだろう。
近くで見かけた看板である。芝浦に近い土地柄であることが偲ばれる。
三田五丁目で戦前の建物を見た後、三田二丁目、慶応義塾大学近くの路傍でも出桁造の店舗を見かけた。
明治26年に建てられた酒店である。130年近く前の建築物である。平成13年に居酒屋にリニューアルされたという。
軒先瓦には屋号の漢字が見える。右側の軒先にも同じ瓦が使われていた。コロナが収束したら、一献傾けに来ようと思いながら帰途に着いた。
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琺瑯看板のLandscape 45
松戸市小金原 ダガシヤダイチャン
松戸市小金原六丁目の路傍、目指す建物が見えてきた。
これは裏口だろう。ドアの右横に「ダガシヤダイチャン」とある。今回の訪問先である。
転轍標識灯が迎えてくれる。
続く板塀には年季の入ったコカ・コーラの看板がある。
コーラの隣の看板である。路傍学会は知らなかったが、三重県桑名市の飲料メーカーの商品で、今はワンウェイ瓶で販売されているという。
板張りの壁には色々な琺瑯看板が取り付けられている。
由美かおるさんと水原弘さんの揃い踏みである。
あれっ!シャッターが下りているではないか。
シャッターにはこのような貼紙がある。事前調査不足であった。このシャッターの向こう側には、小田急、相模鉄道で働き、日立電鉄で1990年代前半まで使用されていた車両がカットされ、店舗として利用されているはずなのだが・・・
駅舎を模した店構えである。小金原駅である。
庇は鎖で吊って支えられている。
日立電鉄のモハ1003を見ることはできなかったが、近くの公園でD51を見ることができた。新潟で活躍した蒸気機関車らしく、スノウプラウもある。
北小金駅近くの路傍、琺瑯看板を見つけた。
松戸市内の琺瑯看板で見かけたことのある寄贈者である。徒労感を覚えながら帰途に着いた。
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琺瑯看板のLandscape 44
久喜市 栗橋宿界隈
久喜市栗橋中央二丁目、栗橋宿の路傍、古店舗がある。文化年間に創業した薬舗である。明治40年代の建築という。
2階には細かな格子戸がはめ込まれている。
側壁はトタン張りである。塞がれた戸のようなものが見える。
軒下には薬舗の証となる琺瑯看板がある。
蕎麦店の前に猫が座っている。看板猫か。
明治中期創業の燃料店である。戦後は味噌、塩等食料品も販売したという。
ここの軒下を覗くと塩小売店の琺瑯看板がある。塩が専売制であった時代は販売許可を得る必要があった。
江戸末期の建築という建物には重厚な棟瓦が載っている。
栗橋北二丁目の路傍に古店舗がある。栗橋宿の提灯が見える。
いつ頃の玄関灯だろうか。ガラス球が付いていたのかもしれない。明治初期創業の砂糖問屋で、明治32年に建築された店舗である。
この店舗に隣接する金物センターの壁面に取り付けられている琺瑯看板である。コーキング材の宣伝看板だろうか。歴史ある宿場町で興味深い琺瑯看板を見ることができた。
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