門のLandscape 28
中央区浜離宮恩賜庭園 大手門
中央区築地五丁目の路傍、筑地川を挟んで浜離宮恩賜庭園の大手門石垣が見える。
江戸時代に「浜御殿」と呼ばれた浜離宮の大手門の堂々たる石垣である。新年を迎える準備も整った。例年、正月にこの庭園で行われていた放鷹術は鳥インフルエンザのため、中止にするという。残念である。かつて、この石垣の上には重厚な渡櫓があったが、戦災によって焼失してしまった。
焼失前の大手門の姿である(宮内公文書館蔵)。東京都では庭園内にあった茶屋の復元事業に取り組んでおり、現在は鷹の茶屋の復元が進められている。大手門についても将来復元する計画があるという。白亜の大手門が復元されれば、東京の重層的な歴史を発信するランドマークとなるであろう。復元と言えば、東京都の桝添前知事は、明治時代にこの庭園にあった近代日本初の迎賓施設である延遼館を2020年のオリンピック・パラリンピック大会までに復元すると発表していた。
昨年11月の復元に向けた遺構の発掘調査の様子である。基礎などが良好な状態で確認されたが、現知事は延遼館復元構想を覆してしまった。
在りし日の延遼館の写真(英国Royal Collection Trust蔵)である。馬車が見える。米国のグラント将軍も宿泊するなど歴史的意義のある施設の復元は、離宮時代の庭園の景観を蘇らせ、首都の新たな魅力となったのではないだろうか。
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門のLandscape 27
荒川区南千住 円通寺
荒川区南千住一丁目、日光街道の路傍、円通寺である。金色の観音像が往来を見守っている。
境内に入ると黒門が見える。上野戦争で新政府軍と戦い、亡くなった彰義隊員の遺体を円通寺の住職が埋葬し供養をしたのが縁で、明治40年に移設された寛永寺の総門である。
弾痕が戦の激しさを物語る。
門内には彰義隊をはじめ、新政府軍に戦いを挑んだ旧幕臣らの墓や碑が数多く建立されている。
境内入口南側にある百観音碑である。円通寺は、秩父・坂東・西国霊場の百体の観音像を安置した堂があったことから「百観音」の通称で親しまれたという。
この碑の台石には、半分埋もれているが、几号水準点が刻まれている。
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青面金剛のLandscape 137
新宿区若葉 愛染院
新宿区若葉二丁目、東福院坂の路傍、愛染院の門前である。重厚な煉瓦塀が境内を守る。群書類従の塙保己一や内藤新宿を開いた高松喜六の墓がある寺院である。
駐車場を通り境内に入ると梵鐘の隣に二基の青面金剛が祀られている。
左が延宝年間、右が元禄年間に造立されたものである。いずれも六臂の合掌像であり、持ち物もよく似ている。邪鬼もいない。両像の大きな違いは猿。
左の猿である。一猿で御幣を手にしている。
右の三猿である。元禄年間の像らしく綺麗な菱形である。猿の表現もよく似ている。両像の造立年には9年ほどの差があるが、同じ石工の手によるものではないだろうか。路傍学会の興味は尽きない。
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青面金剛のLandscape 136
新宿区富久町 自證院
山門を通ると左手に無縁仏を積み上げた万霊塔がある。
万霊塔の後ろに庚申塔がひっそりと祀られている。ぴったりとセメントで固定されていて側面の銘文を見ることが出来ない。最右の像のみ前面に貞享の年号が読み取れる。右から2、3番目は笠が失われている。
中央の像はショケラ持ちの八臂の剣人像である。ショケラは手足を広げている。珍しいタイプである。邪鬼は動物的で猫っぽい。
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青面金剛のLandscape 135
足立区小台 珠明院
足立区小台二丁目の路傍、殊明院の山門である。
山門を通り、右手の祠内に地蔵菩薩と並んで青面金剛が祀られている。
神々しい六臂の合掌象である。
邪鬼と二鶏である。邪鬼は窮屈な姿勢である。正徳年間の作。
墓地の中の石仏群である。右から二番目が青面金剛である。
こちらも六臂の合掌象である。邪鬼は頭を踏みつけられている。三猿はざっくりとした彫りである。享保年間の作。
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界隈のLandscape 1
千代田区内神田界隈
千代田区内神田一丁目の路傍、御宿稲荷神社である。
昭和八年に建立された御宿稲荷神社縁起である。縁起によれば、徳川家康が関東移封の際に投宿した郷士の庭に祠があり、後に幕府が社地を寄進したものという。ビルの谷間にある小さな神社であるが、由緒ある神社なのである。
御宿稲荷神社の裏手のビルである。一階に銭湯が入っている。
「稲荷湯」である。名前は神社に由来するのであろう。まだ営業時間前であるが、皇居ランナーズのたまり場となっているようだ。
銭湯から神田駅に向かう途中に出世不動尊がある。こちらもビルの谷間に佇む不動尊である。一ツ橋徳川家の表鬼門除けとして祀られたものである。今でも地域の方々に大切にされている。
出世を願う絵馬である。前の道路は不動尊に因み「出世不動通り」と呼ばれている。千代田区のホームページによると、この通りは「日本居酒屋発祥の地」であるという。神田界隈に飲み処が集積し、賑わっている由縁である。
居酒屋が居並ぶ千代田区内神田三丁目の路傍に佐竹稲荷神社がある。
佐竹家の屋敷があったところで、藩邸の鬼門除けのために創建された。佐竹家の屋敷の移転後も神社は残り、信仰は今も続いている。
佐竹家の家紋「五本骨扇に月丸」を社紋としている。
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神社のLandscape 106
足立区小台 小台天祖神社
足立区小台二丁目の路傍、小台天祖神社である。端正な鳥居は明治百年を記念して建てられたものである。
手水鉢は紀元2600年を記念し、氏子が奉納したものである。
昭和12年に建てられた国旗掲揚塔である。もう使われてはいない。
拝殿前では今年の干支、申の彫物が参拝者を迎えてくれる。お勤めもあと残りわずかとなった。
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塚のLandscape 40
足立区宮城 宮城氷川神社
足立区宮城一丁目の路傍、宮城氷川神社である。
社殿の右手に富士塚がある。宮城富士である。鳥居は金属で補強されている。
裏側からみた塚である。高さは2.5m程。塚上には浅間神社が末社として祭祀されている。
宮城氏居館之址碑である。ここに宮城氏の居館があったが、秀吉の小田原攻めの際に、北条氏とともに攻め滅ぼされたという。
国旗掲揚塔である。昭和12年の建立で、現役である。
嘉永年間に奉納された手水鉢を守る手水舎には大きな龍の彫物があった。これほど立派な彫刻がある手水舎は珍しいのではないか。
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橋のLandscape 7
中央区八重洲・日本橋本石町 一石橋
中央区八重洲一丁目と日本橋本石町一丁目に架かる一石橋である。橋の北の金座には後藤庄之助が、南に呉服商後藤縫之助が住んでいて、後藤=五斗を二つ足して一石ともじった洒落から一石橋と名付けられたと云う。
大正11年に木橋からRC橋に架け替えられ、関東大震災も耐え抜いた。その後、度重なる改修を経たが、南詰の親柱が中央区の区民有形文化財に指定されている。
橋の南詰には「満よひ子の志るべ」が安政四年に建てられた。右側に「志(知)らする方」、左側に「たづぬる方」と彫られている。迷子や尋ね人の特徴を書いた紙を左側の窪みに貼ったという。こちらは東京都指定有形文化財である。この石の基部には几号水準点が刻まれている。
名所江戸百景・八つ見のはし(部分)である。一石橋は、江戸時代には橋上に立つと常盤橋や日本橋などの橋が見渡せたことから八つ見の橋と呼ばれた。居並ぶ大名屋敷の向こうに江戸城の櫓が見える。今では、常盤橋、西河岸橋が見えるのみである。
橋上から見た常盤橋である。奥に新幹線の高架橋が見える。
橋を渡ると金座の跡には日本銀行本店がある。
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- 橋
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路傍祠のLandscape 15
中野区南台 一本松庚申塚
中野区南台四丁目の路傍である。一本の松が見える。
交差点で松を回ってみると・・・ 一本松の庚申塚である。明和年間に地元の方が道祖神と地蔵尊を祀ったことに始まる塚である。
祠の扉が閉じていたので小窓から見てみると、空襲で罹災した像に代わって昭和25年に再建された六臂の合掌像が見えた。
祠の脇には石像の破片があるが、もとの姿を想像することは難しい。青面金剛か。
石像の破片の上の猿である。ひょっとしたら酒の容器だろうか。
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