今回の判例で
過少申告と見なされた不動産が
タワーマンションかどうかは
明らかにされていません。
しかしながら
購入価格が8億円と5億円の
マンションであることから
タワーマンションの高層階であることは
間違いないでしょう。
節税効果をウリ文句にした
タワーマンションを利用した相続が
過少申告と見なされた事例は
今回が初めてではありません。
国税不服審判所での裁決ですが
平成23年7月に
やはりタワーマンションを利用して行なった相続が
過少申告とみなされた例があります。
世の中には
タワーマンションを超える
節税効果のある不動産が存在します。
それは
沖縄の軍用地です。
沖縄の軍用地は
不動産の種別で言うと
文字通り土地ですが、
軍や国という公的機関に賃貸している
借地扱いになります。
ですので
相続税の評価にあたっては
地上権割合というボーナスポイント(×0.6)が付き
評価額はかなり低く見積もられます。
にもかかわらず
沖縄の軍用地は
賃借人に対しての手間と費用掛からず
また、基本的に借地契約の解約が存在しない
長期安定の収益物件として
ウナギ登りの価格で取引されています。
ですので
軍用地は
タワーマンションと同様に
高額で売買されている割には
相続税の評価額が低く
相続税対策にはうってつけな
プレミア不動産なのです。
軍用地を利用した相続が
過少申告とみなされた事例は
これまで未だ聞いていません。
しかしながら
先程の国税不服審判所の事例でも
タワーマンションだから
過少申告とみなされた訳ではなく
そのウラがあります。
この事例では
もうすぐ死にそうな認知の入ったオジーに
タワーマンションを購入させ
実際にこのオジーは
マンションを購入の1ヶ月後に死亡し
相続が行なわれたという
経緯があります。
死にそうなオジーが
高額なマンションを購入する理由もなく
意図的かつ露骨に節税が行なわれたところに
国税庁が目を付けたのです。
また
今回の東京地裁での判例も
タワーマンションを購入したのは
90歳のオジーだそうです。
そして
タワーマンションの購入が
銀行からの提案によるもので
自分の意思ではなかったそうです。
これもヤリ過ぎですね。
このように
相続時の節税も
度が過ぎると
国税庁に目を付けられてしまいます。
相続税に限らず
いま話題の「桜を見る会」についても
目立たないように
細々と楽しんでおけば
おそらく指摘もされなかったのでしょうが
参加者が1万人を超える会ともなれば
呼ばれる人・呼ばれない人で
ネタミややっかみ等も出てくることでしょう。
いずれにしても
ヤリ過ぎでしょう。
ですので
軍用地を利用した相続も
ヤリ過ぎると
国税庁に目を付けられるかも知れません。
さらに
タワーマンションに限らず
不動産を利用して
相続税の節税に成功したあと
サッサと高値で売却したりするのも
国政庁のお眼鏡にかなうかも知れません。(笑)
何事も
ホドホドがちょうど良いのです。
今回の判例はいくつかのポイントがあります。
まず
国税庁が”過少申告”と見なした
不動産の評価についてです。
今回、相続税を申告した人は
相続の対象となった不動産を
”(相続税)路線価”を利用して
評価を行なったと主張しています。
相続税路線価とは
文字通り相続税を徴収する際に
根拠として使用する価格で、
土地取引の目安となる
”地価公示価格”の8割(×0.8)となるよう
設定されています。
国税庁の主張は
この「路線価」による評価が著しく安く
「過少申告に当たる」と言うものです。
つまり
国税庁は「相続税の評価に
路線価を使用するのはNGです」
と言っているようなものです。
しかしながら
この相続税路線価は
そもそも国税庁が公表しているものです。(笑)
ですので
国税庁は
自らが公表している相続税路線価を
自ら否定している
という矛盾が発生しているのです。(苦笑)
この話の根源は
そもそも不動産には
1物4価と言われる
複数の価格があるところにあります。
相続税路線価、固定資産税路線価、
公示価格、実勢価格。
景品表示法や
公正取引委員会で禁止されている
二重価格どころではありません。(笑)
また
先程書きましたように
路線価は便宜上
公示価格に対し一定の割合となるように
設定されています。
(相続税路線価は8割、固定資産税路線価は7割)
つまり、
路線価が意味を果たさないのは
公示価格が実態とかけ離れている
と言うことでもあります。
不動産業者は
マンションを販売する際に
相続税の節税効果を
うたい文句にすることがあります。
このとき
低層階も高層階も
相続税の評価上はほぼ同じですので
低層階よりも高層階の方が
節税効果は大きく
タワーマンションの高層階は
その効果が絶大です。
「タワマンで節税」
聞いたことがありますよね。(笑)
しかしながら
実は、不動産にはタワマン以上に
相続税対策で
絶大な効果を持つものがあります。
それは・・・・
おっと
続きはまた明日。おいしいネタはしっかり引っ張ります(笑)
沖縄の外人住宅の売買で
注意が必要な点の一つに
土地の形態があります。
一般の住宅と同様に
土地と建物の両方が
自分のものとして
所有権登記されている形態のものと、
建物は自分のものだけど
土地は借地という形態のものがあります。
そして
この借地についても
地主さんとの借地契約が
大きく二通りに分かれます。
一つは
いわゆる”旧借地法”と呼ばれるものです
このタイプの契約は
いったん土地を借りると
半永久的に土地を借りることが出来る
という内容のものです。
具体的には
沖縄のほとんどの外人住宅である
鉄筋コンクリート造の契約期間でみると
初回の契約期間は30年以上、
以降の更新期間も30年と定められ
これが継続していきます。
つまり
土地を借りている立場からすると
安心して土地を借り続けることができるという
好条件な契約です。
ちなみに
借地である外人住宅を購入し
オーナーチェンジする場合
地主との借地契約は
名義変更という扱いとなります。
そして、その際には
地主に対し”名義変更料”という
手数料の支払いが発生します。
もう一つの
借地契約の形態は
借地借家法による借地です。
先程の旧借地法の規定は
土地を借りている側の権利が強すぎ
地主からすると
「自分の土地なのに
一生自由に使えない・・・」
という不公平感もありました。
そこで、平成4年
新しい借地の契約形態として
借地借家法が施行されました。
この借地借家法は
その土地の上に
建物を建てる利用することを前提としたもので
大きく2種類に分かれます。
普通借地権とは
契約期間が満了した際にも
契約更新することができるタイプの借地権です。
最初の契約期間は20年で
以降は10年の更新が継続しますが
これ以上の年数であれば
契約期間を長く設定することも可能です。
なお、
契約の更新の際
地主が契約更新を拒否するには
”正当事由”という
かなり高いハードルの制約があります。
また、
契約を終了する際に
借主の建物が残っている場合は
地主に対し、その建物を買い取るよう請求する
建物買取請求権があります。
定期借地権とは
契約期間が満了した際は
更新をしないタイプの借地権です。
契約期間については
2つのパターンが有り
一般の住宅や外準住宅を建てる土地の場合、
契約期間は50年以上となります。
また、
店舗などの事業用の建物を建てる土地の場合、
契約期間は10年以上50年未満となります。
どちらも契約期間は
それなりに長期間とはなりますが
地主からすると
将来は土地が返還され
自分や子供の代で土地を使用することが出来る
というメリットがあります。