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念ずれば

栗橋八坂神社・流転の力石
03 /14 2021
栗橋八坂神社の力石5個のうち、4個まではご紹介しました。

あと1個は、というと、

これです。

IMG_8755.jpg
埼玉県久喜市栗橋北・八坂神社

この石は無刻字の石ですが、もともとこの小祠の脇にありました。

当時の宮司さんが、
「大神輿渡御の担ぎ手たちが担ぐ前の肩慣らしに使った」
とおっしゃった力石の一つです。

知らない人にはただの石ころに見えようとも、
長年、この町の若い衆たちの肩を鍛えた大切な力石だったのです。

こちらは、移転工事中の神社の様子です。

古い鳥居の台石と「享保石」です。

IMG_8871.jpg

灯ろうの足元には亀さんが2匹。

ちょっと不安げです。

「私たち、新しい神社へ行けるかしらねぇ」

栗坂5

先日、近所を散歩中にこんな案山子(かかし)に出会いました。

用済みになった「嘆きの案山子夫婦」です。

妻です。
CIMG5542 (2)

夫はというと、
がんばって起き上がりかけて、力尽きたようです。

思わず、声を掛けてしまいました。

「大丈夫、大丈夫。実りの秋には出番がやってきますから」

CIMG5543 (2)

埋もれた力石や案山子夫婦を心配そうに見ている人が、
もう一人いました。

はるか埼玉県の、とある自販機の横に立つゴミ箱くんです。

IMG_0502.jpg

ちょっと悲し気な目をしたゴミ箱くん、意を決して声をかけました。

「力石くんに案山子さん。
先代のゴミ箱じいちゃんが言ってたよ。

念ずれば花開くって。

でもぼくらは自分では動けないし。
そういうじいちゃんだって年がら年中ここに立って、空き缶ぶち込まれて。

あげくに、
コーヒーだのジュースまみれでガタが来て、最後はゴミ捨て場行きだった。

じいちゃん、
何を念じていたのかなあ。
じいちゃんの花は開いたのだろうか」


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コメント

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No title

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読者としては嬉しいですね。 
益々のご発展を祈ります。

夏目さんへ

ありがとうございます。
いつの間にか7年。

とにかく力石のことを知って欲しいと思っていました。そしたらだんだんランクが上がってきて、一番になっちゃった。上がったらあとは下がるだけですから怖いです(笑)

でも本当に皆様のおかげです。
そしてこれまで助けて下さった高島先生や大先輩の斎藤氏のおかげです。今さらながら、これは私一人ではできない共同作業だと実感しております。

今後、どこまで書き続けられるかわかりませんが、
どうぞよろしくお願いいたします。

こんにちは

「剛力を高めし力石(いし)の末哀れ」

淋しいというか悲しいお話ですが、石も役目を終えて自然へ帰るのでしょうか。
日本列島はあらゆるところで災害が発生していますので、これからも意図しないうちに埋もれゆくかもしれません。

おはようございます

老兵は死なずただ消えゆくのみ。
なんちゃって。

東北の大震災の大津波を見たとき、私、思ったんです。
不謹慎と思わずに聞いてください。
よく古刹の寺で、「昔、漁師が何か網にかかったので引き揚げてみたら、金の仏像であった」なんて由来を聞きますが、家も何もかもさらっていく津波を見たら「あり得る」と思ったのです。

力石も文字さえ刻まれていれば、そんな境遇の石も出てくるかもしれません。土に埋もれても後世の人への謎解きをプレゼントしたと思えば、気持ちも軽くなります。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞