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琉球弧の島唄

古典芸能
12 /02 2018
昨日は沖縄民謡をたっぷり聴いてきました。
場所は、静岡音楽館AOI。

早くから前売り券を買って楽しみにしていました。
「たっぷり聴いてきた」なんて言っちゃいましたけど、
こんな本格的なのは初めて。

出演は、
知名定男、大城美佐子、大工哲弘、仲宗根豊、西和美の各氏。
奄美、沖縄、宮古、八重山の民謡界を代表する方ばかりだそうです。

そういう方々の声量豊かな歌声が、三線、横笛、太鼓、琴の音と共に、
広いホールに響きわたります。

恋の歌、豊作を祈る歌、神歌。
歌詞は全然わかりません。
ですが、会場の客たちは切々とした歌に吸い寄せられ、
軽快なリズムの歌になると、いっせいに手拍子を打ち出しました。

客席から鋭い指笛まで飛んできて、もう沖縄どっぷり。

手さばき足さばきも軽やかな男女の舞踊がまた楽しい。

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なんか、いい雰囲気、
と思っていたとき、あらやだ! 突然、涙があふれてきた。
泣くような場面かい?と自問したけれど、自然に涙が出てきちまって。

以前、この同じ場所で、
正倉院の復元楽器による日中音楽家の演奏会があった。
あのときは突然、全身に鳥肌が立って…。
眠っていたDNAがいっせいに動き出した、そんな感覚に襲われた。

中央アジア天山南路を経て、はるばるこの日本にやってきた楽器たち。
その楽器の音色に私のDNAが反応して踊りだしたって感じでした。

で、そのとき思いました。
私の体の細胞には遠いアジアの遺伝子が確実にあるんだって。

それが今日は、あの表と裏の声が往ったり来たりする、そんな歌声を聞いて、
思わず涙が出て来てしまったのです。

あれは一体、何だったのだろう。

フィナーレは客席と一体になってのカチャーシーの総踊り。
少し泣いたけれど、楽しい楽しいひとときでした。

コメント

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No title

「あの表と裏の声が往ったり来たりするような声」、分かるなぁ~。
突然、込み上げて来るんですよね。
ひとり師走の夜なんか、なおさら。

おはようございます

山多苦労巣さま、ありがとうございます。

「表と裏を行き来する声」って、この世と神の国を行ったり来たりのような…。ちょっと考えすぎですが、心を揺さぶられました。

山深い場所で苦労の多い暮らしをされているサンタさま、ちかごろの人間界は汚れきっております。神に一番近い山の仙人は私の憧れでもあります。

よかったでしょう!!!

ワタクシが初めて聞いたのはハタチを少し過ぎた頃、オーケストラでフルートを吹いていて、西洋音楽にドップリ浸かっていた頃でした。
だがあるとき、平和運動のコンサートで沖縄から来たグループが民族衣装で歌&踊りを見せてくれました。
曲は殆ど忘れてしまったのだが、たった一つ、タンチャメの濱、という歌。
タンチャメぬはぁまぁに~、すーるぅるぅぐゎがゆてぇちゅんどぉおぉえ~…
タンチャメの濱に小さい魚が沢山集まってきて~、という歌。今でも殆ど全部覚えています。

よかったですよ~

ヨリックさま、ありがとうございます。

歌詞をすべて覚えているなんて、さすがですね。
私はさっぱりでしたが、旋律に戦慄した? というか震えました。

昔、津軽三味線の高橋竹山を聞いたときも震えましたねぇ。2代目がまだ竹与を名乗っていたときも行きましたが、やっぱり良かったです。レコードを買って毎日聞きました。民謡はあまり好きではないのに、これにははまりました。
近所の大学教授夫人から「あんな下品なもの」と蔑まれましたけど。

蔑まれるのは力石も同じです。でも最近、ご近所から話をして欲しいとの依頼があって、「面白かった」と評判も上々。やっと「あんな石っころ」から「民俗遺産」に昇格しつつあります。

伝統

昔から伝えられてきた伝統のあるもの、音楽に限らず、文芸でも絵画でも、人間が一生懸命努力して技を磨いて伝えてきたものは、人を感動させる力を持っているのですねぇ。
チャランポランに手を抜いたものは、感動することはありませんけれども、人が真剣になって努力して作り上げたものに接すると感動しますねぇ。
今まで長い間生きていて、いろんなものを、見、聞き、しているうちに、それなりにいい物を見つけることが出来る様になったような気がします。

おはようございます

年を重ねることで、いいものを見極める力がつくー。
嬉しい言葉をいただきました。年を取るのが怖くなくなりました。

門付芸や祭りや儀式の島唄が元々の場から音楽ホールに登場する。しかも大きなパイプオルガンを背にして…。でもそれが全然不自然に見えないのは、どういうことかなあと思います。

でも同じ郷土芸能でも不自然に見えてしまうものもあります。
例えば大井川中流域の町の「鹿ン舞」。祭りの日の暮れゆく家陰や木陰から笛の音と共に鹿の被り物をつけた少年たちがピョンピョン跳ねながら「ソーリャア、ウン、ハイ」と躍り出す。もうクラクラするほど魅せられました。
これをホールでも見ましたが、やはり現地での舞いには到底及びませんでした。

門付芸を強調するためか津軽じょんがら節をわざわざ乞食姿で演奏する人もいますが、かえって舞台では不自然でしたね。高橋竹山さんはきちんとした着物姿で朗々と歌い上げた。こちらは素直に感動できました。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞