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力石クン、晴れやかにデビュー

斎藤ワールド
09 /05 2018
埼玉の研究者・斎藤氏から新情報をいただきました。

御影石の台石に保存処理された力石です。
場所は千葉県松戸市の高龗(たかお)神社
  ※龗は雨冠に龍

この力石、もとは高龗神社の東西にある
東の六実稲荷神社と西の五香稲荷神社に放置されていたものとか。
宮司さんの話では、
「この石の大切さに気付いた氏子さんからの依頼で、
二つの稲荷神社のちょうど真ん中に位置する当神社に保存した」とのこと。

IMG_2571.jpg
千葉県松戸市六高台1-15  高龗神社

神社が建つ地区は、
明治維新で職を失った人たちが開墾したところだそうです。
ご神体は出雲大社から勧請した雨乞いの神・龍神さま。

入植された方たち、さぞご苦労されたことと思います。
でも仕事が終わった晩などにみんなで神社に集まって
ワイワイ言いながら石担ぎを楽しんだはず。

もしかしたら、東西の稲荷神社の氏子さんたちが力くらべ合戦をしたのかも。

ともあれ、真新しい本殿と社務所の前という、またとない好環境に、
晴れやかにデビューした力石クン、
「こんなにしていただいて恐縮です」と言いたげですね。

台石にはちゃんと「力石」と刻まれていますから、もう大丈夫。

IMG_2569.jpg
①「三十メ」57×42×33 ②52×43×38

この力石クン、いつしかパワースポットとして知られるようになり、
今では参拝者さんたちから触られたり、
一緒に写真に撮られたりしているそうです。

で、実はこの石には不思議なことがあるのです。
一枚目と2枚目の写真を見くらべてみてください。

なんか変だと思いませんか?

石を乗せた台石が片方は四角形、もう片方は多角形に見えませんか?
こんな感じ(下の写真)。

撮影者の斎藤氏にお聞きしたら、
「実は両方とも五角形ですが、見る角度によって変わるんです」

これぞまさしく、ミラクル! 神がかり! パワー全開!
絵本作家・安野光雅さんのふしぎえの世界です。

制作者の石屋さんの芸術的センスに拍手。

IMG_2570.jpg IMG_2576.jpg

で、実は同じようなものが当地にもあるんです。

こちらの宮司さんも、
「以前はただ境内に転がしてあったのですが、
こんなふうに粗末にしているのはどうかと思いまして、
社殿前にきちんと設置いたしました」とおっしゃっておりました。

CIMG0070_201809031910403d8.jpg
静岡県沼津市市場町3-11 八幡神社

ただこちらのは説明板もなく石に刻字もないため、
参拝者は「ハテ、こりゃなんじゃ?」となっています。

「これは力石です。
さわって石からパワーをもらってください」

なんて書いてくださったら、
力石クン、すっごく張り切っちゃうと思うんですけどね。


       ーーーーー◇ーーーーー

※先日急逝した当地出身の漫画家・さくらももこさんの献花台が
市役所に設けられていました。
ご冥福をお祈りいたします。

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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞