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場違いですが、ポエムです

ときどきポエム
08 /16 2017
終戦の日に…。


身の上ばなし


荒々しい足音が近づいてきたと思ったら いきなり拳が振り下ろされた
一撃を食らった私のほおに ピリッと電気が走った
痛みなど感じはしなかったけれど 
不意打ちの恐怖と畳に落ちた鼻血にはうろたえた
その畳につんのめったまま見上げると
そこに仁王立ちした母がいた
母のパーマネントの髪は総毛立ち 天井いっぱいに広がっていた

そのとき私はまだ六歳で 殴られる理由など何もなかった
ただ暗い部屋のタンスの前で
紙の着せ替え人形で遊んでいただけだった
息を殺して固まっている私を母はよく光る目で一べつすると
「ああ、スッキリした」とでもいうように軽やかに立ち去っていった

本当はいらない子だったんだと母はいった
終戦間際のドサクサに妊娠してしまった五番目の娘
以来 父への嫌悪とセットにして聞かされ続けたセリフ
「あんただけが”あの”お父さんに似てるからヤなんだよ」
だからいつも五番目の娘にしか当たらなかったピンポイント爆弾

戦争が終わってもなお戦争を引きずる母がいて
その母に殴られても無視されてもヘラヘラ笑う私がいた
狂気の時代が終わってもなお狂気を増幅させる母がいて
そういう母に
「お父さんなんか死ねばいいのにね」
と媚びる私がいた

これが私の身の上ばなし
六十年たっても引き戻される色のない原風景

              (「詩人会議」掲載作品)

コメント

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バンコクからおはようございます

姫の幼少期の記憶
それぞれに脳裏に刻みつけられてきた記憶があります。
他人事とは思えぬ気持ちで読ませていただきました。

長政の故郷からこんにちは

ちい公さま、コメントありがとうございます。

かつてはこのように。
胸の内に溜まったヘドロを一人ひそかに吐き出しておりました。
今は吐き出すものがなくなりました。

江戸初期、タイへ渡った山田長政という駕籠かきがいます。鎖国で日本へ帰れなくなり、アユタヤの日本人町の頭になったそうです。
秋に長政ゆかりの商店街で「長政祭り」があります。タイからの留学生も出店を出しますので、また写真などアップしますね。

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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞