うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

本気の言葉

2024å¹´10月07æ—¥ | ã‚«ã‚ºã‚³ã•ã‚“の事

この土日は、

なかなか忙しかった。

 

おはようございます。

そして、暑かった。

こんなに暑い10月は、あっただろうか。

ああ、うんこが逝った年の10月も暑かったなぁ。

動かなくなったうんこと、

季節外れの入道雲を目指して最後のドライブをしたのだった。

あの時、私はあのまま、霊園へ行かずに、ドライブを続けたくなった。

その時、思い止まらせたのが、かずこの存在だったはずが、

今では、天気の良い日曜に限って、

かずこを車に乗せていると、あの雲を目指した時の気分が蘇る。

 

「どっか、遠くへ行っちゃおうか?」

そう言うと、かずこは

「おぉ、ええなぁ。あははは。」

と無邪気に笑うものから、私は思いとどまる。

かずこが笑って生きているのなら、何の問題もないのだ。

 

私は最近、父との関係に悩んでいた。

かずこではなく、父だ。

かずこの認知症が進行していくにつれ、父さんの性格がひん曲がって行く。

酷くひがみっぽくなり、

そのくせ、昔のことを引っ張り出しては、自画自賛して、

周囲の人間の悪口を並べて怒り、嘆いて、またひがんで、

結局、かずこがボケたことがすべて悪いかのように責める。

最低だ。

ほんと、最低。

だから私は、かずこを引き取って引っ越そうかと考え始めた。

父を捨ててやろうと思っていたのだ。

もう限界だと思った。

本気でそう考えたから、本気で宝くじを買った。

下らん。

ほんと、下らん。

 

私は金も勇気もないくせに、

まるで、宝くじが当たる夢物語を妄想しているだけの人間だ。

マアコのことだって、内心、

押し付けられたような気がしている。

そもそもボランティアさんに情報だけ求められていたはずが、

「ちょっとご飯あげてみてもらえませんか」とか

「ちょっと馴らしてみてもらえませんか」と言われ、

今じゃ、マアコやマアコのまだ見ぬ子猫らのことを

どう責任もって向き合ってやるべきか、思い悩んでいる。

マンションの自治会の運営も、実際動くのは何でもかんでも我が家だ。

そもそも、私は今季は役員でもないのに、押し付けられている。

 

目の前の現象は、全て自分のことだ。

押し付けられたと思うのは違う。

押し付けられようが、やると選択したのは自分なのだ。

 

そんな言葉を無理やり自分に張り付けていた。

そう言いながら、心の中は文句とひがみと嘆きで一杯になる。

それは、まるで今の父さんと同じだった。

実は、今の父と私は、鏡なのだと気付いた時、

私はようやく、父の苦悩が、我がことのように押し寄せてきた。

 

すると、私はハッとした。

まず、ありがとうと言おう。

言わなきゃダメだ。

なぜか、そう思えた。

謝罪でも説得でもない。ありがとうだ。

その日の夜も悪酔いしてひがんでいる父に、意を決して伝えた。

 

「今まで、頑張って生きてくれて、ありがとうございます。

辛くても生きてくれて、ありがとうございます。」

そう言うと、気丈な父が下を向いて涙を流した。

私は、逆に天井を見上げて笑顔になった。

「かずこさんも、ありがとうね。ありがとうだよ。」

こんなに、気持ちの良い思いは、久しぶりだった。

 

次の日は、また父とかずこは喧嘩をしている。

「乾いた物に湿った物を入れるなって言っただけで怒っちまう!」

「もうええ。わしは在所に帰らせてもらうで!」

豆菓子の中に、団子を混ぜて喧嘩だ。

下らん過ぎる。

ありがとうと伝えただけで、劇的に変わる訳など無い。

かずこのボケが治るはずが無いし、

父さんのヘソが今更真っすぐになったら、ノーベル賞もんだ。

ただ私が見る世界は、密かに劇的に変わった。

 

そんな我が家の光景は、まるで夏。

暑いだよね。

 

ほんと、暑いもんね。

 

で、のんちゃんは大丈夫かい?

漫画みたいな顔して寝てるけどぉ。


ねこばばぁ~計画?!

2024å¹´09月30æ—¥ | ã‚«ã‚ºã‚³ã•ã‚“の事

金を手にすれば、

人の心など容易く変わってしまうものなのです。


おはようございます。

杜撰な契約書と19,000円の代わりに、かずこのネックレスは消えた。

私は、その契約書と19,000円を封筒に入れ、急いで買い取り業者へ電話をした。

「クーリングオフします。」

そう告げると、誠実そうな話し方をする男が、

「それがですね、もう大阪の本社に送っている状態のようで、

お返しするとしても、来週か、再来週になってしまう可能性があるんですが。」

と言って来た。

「あの、お金とかどうでもいいんです。

母は認知症で、売ったことも覚えていないし、今でもネックレスを探しています。

そうなると、延々探し続ける始末で、挙句にはパニックになって、

盗まれたと暴れ出してしまう。認知症ってそういう症状が出るんです。

だから、どうしても返して欲しいんです。」

そう縋ると、男は

「はぁ、そうですか。少しお待ちください。

折り返し、お電話いたしますね。」

そう言って、電話を切った。

その後、男は本当に折り返し電話を寄こして来た。

「まだ、こちら(大阪)には送っていないようなので、

明日にでもお伺いできます。」

ということとなった。

こんなの茶番だ。そう思いつつ、私は

「あぁぁ、良かったです。では、明後日にお願いします。」

と丁重に伝えた。

この時、私は、ふと『あること』を思い立ってしまったのだ。


当日、担当者〇井がやって来た。

見れば、若すぎると思えるほどの、度が過ぎる男前だった。

「さっそくですが、こちらのネックレスでお間違いないでしょうか?

契約書に訂正印が必要なので、印鑑をお願いします。」

〇井は、爽やかな笑顔で、まっすぐ私を見て、そう言った。

この男に、後ろめたさは無いのだろうか?

いや、あるからこそ、まっすぐ見ているんだ。

母が書いた契約書は、住所も名前さえも間違えている。

しかし、〇井はそこに訂正印を押すのではなく、

買い取り物品に斜線を引いて、

「斜線の上に印鑑を押してください。」

と言うではないか。

私は、思わずツッコんでしまった。

「いや、まずそこぉ~?」

「ん?何がですか?」

〇井は、驚いて見せる。

「だって、住所も名前を間違っているのに、

そこは訂正しないんだなぁっと思っちゃって。」

すると、〇井は、

「えっ?あっ!!本当ですね。これは本当に気が付きませんでした。」

と、本気で驚いているように見えた。

ああ、この男は、若いくせに慣れているのだと、思えた。

「あとね、不実告知でもあると思うんですよ。

このネックレスは18金と、契約書に明記していながら19,000円は

有り得ないでしょ?」

そう言うと、

「お客様の仰っているのは、インゴットの場合ですよ。

加工した装飾品は、金相場でやり取りしないんですよ!」

〇井は、きっぱりとデタラメを言ってのけた。

もちろん、そんな訳はない。


※加工品の場合、購入した価格は、金に加工賃とデザイン料が上乗せされている。

買い取りの場合、その加工賃とデザイン料は引かれ、

金相場のグラム換算でのみ計算され、

そこから手数料(数千円)が引かれた金額で、売買する。


今回のかずこのネックレスの場合、現状の試算だと15万円弱だが、

「ああ、そうなんですか。知りませんでした。勉強になります。」

私は、そう言って引き下がった。

「いえいえ、普通そう思っちゃいますもんね。

だから、僕らがちゃんと、ご説明させて頂いているんですよ。」

〇井は、笑顔に戻り

「あっ、そうだ。お金をお願いします。」

と言った。


来た!

『あること』とはこのことだ。

お金とは、母に支払った、19,000円のことだ。

私は、満を持して

「ん?なにがですか?」

と言ってみた。

言ってみたら、さっき〇井が発した「ん?何がですか?」と似ていて

我ながら驚いた。

「19,000円です。あの、お母様にお渡ししたお金ですよ。」

諭すように話す〇井の眼を、

私は、あえて、しっかり見る意識に囚われた。

目の前の男のように、

やっぱり人は、後ろめいた時は、あえてまっすぐ見ようとする。

そして、困ったような顔で、

「それがね、無いんですよ。

母は認知症なので聞いても覚えていないんです。

本当に支払いましたか?」

私は、まるで幼子が始めて見た物を「母さん、これなに?」と言う時のように首を傾げた。

すると〇井は、

「いやいや、ここに書いてあるでしょ?

もちろん、支払いましたよ。書いてあるでしょ?」

と契約書を掲げる。

「でも、この凡ミスを見落としたんでしょう、貴方?

支払ったつもりで、そこも支払い忘れた可能性はないのでしょうか?」

「あるわけ、ないやん?!」

この時、〇井がなぜか関西弁になった。

「そうですよね。じゃあ、私が立て替えます。はい、これ。」

私は、そう言って封筒から金を出した。

「あぁぁ、びっくりしたぁ。」

その後、〇井は安堵したせいか、

「こういう類の業者は、まだまだ来ますよ。

僕ら、こういうのを使って高齢者を探せちゃうんです。」

と言って、何かのサイトを見せたり、

「電話は留守電にするとかせな、あかんと思いますよ。」

など、アドバイスまでして帰って行った。


無事、ネックレスは取り返せた。

けれど、『あること』は失敗したのだ。

『あること』とは、19,000円を猫糞出来ないかという企みだった。

どうあっても、しらばっくれれば、

それこそ、出るとこ出てもらっても、こっちが勝つ。

訴訟を起こされたとしても、訴えられるのは私ではなく、

認知症のかずこなのだ。

運の良い事に、契約書には「立ち合い者なし」にチェックされている。

要は、その時、在宅していた父の立ち合いも無かったことを証明している訳だ。

ちなみに、父は昼寝していたらしい。

だったら、私は〇井にこう言ってやればいい。

「訴えてもらっていいですよ。ハッキリさせましょうよ。」

そう、訴えるのは業者であり、訴えられるのは認知症の後期高齢者だ。

こんな訴訟は、成立しない。

「やってもらうしかないです。私は現場にいなかったので、何も分かりませんから。」

だって、本当に無いのだ。

19,000円は、実家のどこを探したって無い。

私が隠し持っているからだ。

ああ、イケる!

これ、イケる!!

2日間、ほとんど眠らず、調べに調べた結果だ。

イケる!!!


しかし、私は途中で止めた。

「当たり前だろうが、おかっぱめー!」っと思われるだろうが、

私は、あのペテン師と対峙して、ようやく下らないなっと気付いた。

金額の問題ではなく、腹いせのためにとか懲らしめるためとか、

イケメンの苦悩する顔をみてみたいとか、

そんなことを、こんな人間を相手に企てることが下らないのだと。

これじゃ、同じ穴の狢だ。

でも、19,000円は、欲しかったです!


皆様も万が一、同じような被害に遭われた時は、

『188』消費生活ホットラインへ電話してみてください。

とても、親身になって相談に乗ってくださいます。

私が、

「19,000円、猫糞しちゃおうかしらんと思つちゃうんです。」

と計画を告白した時も、

「おかっぱさん、それはまずいです。

それやっちゃうと、なんというか・・・えっと。

あっ、でもそのガッツがあれば、猫糞するのではなく、

お金を返す時に、二度と来ないでっと強く伝えましょう!」

と道を正してくれましたから。


さぁ、のんちゃんや?

のんちゃん、かかぁ、怖かった~。

悪徳業者と会うの、怖かった~。


のん太「のんは、ねこばばぁのかかぁが怖いら」


決戦は、午後6時

2024å¹´09月27æ—¥ | ã‚«ã‚ºã‚³ã•ã‚“の事

前回の記事に、

コメントをくださった、

かあちゃん、桜吹雪さん、ひいなさん、ポンままさん、

いつもいつも、ありがとうございます。

突然、忙しくなってしまい、

お返事が書けなくて、すみません。

忙しくなった理由を記事にして、

お返事に替えさせていただきます。

 

おはようございます。

前記事で、可愛い時計が舞い込んできたと喜んでいたのもつかの間、

気付いたら、かずこのネックレスがなくなっていた。

「かずこさん、ネックレスどこいった?」

一応、聞いてみても、かずこが分かるはずもない。

あちこちと探してみると、ネックレスの代わりに

謎の契約書と名刺を見つけた。

えぇぇ?!

ぼかしが甘くない?

大丈夫なのぉ~?

 

はい、大丈夫です。

社名は、立派なホームページも作っておられる会社だから、

別にここに載せることは問題ないでしょう?

ねえ、株式会社だもん。

〇井優〇さんは、しっかりぼかしたし。

この〇井さんが、

かずこの女性の首にはごつすぎるほどの太い18金のネックレスを、

なんと、19,000円で買い取ってくれたというのだ。

18金の金相場は、約1万円の最中で、このお値段だ。

「やす~い!お値打ち~!!」

一応、私が持っている蜘蛛の糸のように細い18金のネックレスの重さは、3グラム。

蜘蛛の糸でも3万円の時代に、

おそらく30グラムはゆうに超えるだろう、かずこのネックレスは、このお値段!

本当に、お値打ちですよね。

 

しかも、契約書(お客様控え)も驚いた。

かずこは住所も間違えて書いているし、

自分の名前さえ、旧姓で書いてしまっている。

「ああ、こんなに認知症が進行してしまったか」

 

そして、本人確認書類として、とっくに失効した

運転免許所の番号が記載されているではないか。

これは、〇井さんが書いたのだろう。

うっかりさんなのかな?

 

こんな誤りだらけの契約書は、有効でしょうか?

 

ところが、

このうっかり〇井さんは、

そのくせ、買い取りのネックレスについては、

ちゃーんと『金 750』と書いている。

ここ大事!

 

万が一、後から顧客に責められた時、

ネックレスとだけ記載しておけば、

「まさか、18金だとは思わなかったので」と、とぼけられるのだ。

「騙しました」と

「間違えました」は、全く違う。

 

今まで、この手の業者とやり取りしたのは何度かある。

その中で最もタチが悪かった業者は、

名刺も明細書も契約書も何も残さず、金品だけ持って消えた。

その点、今回は、もっとも杜撰というか、なんなの?

逆になんなの?

 

ああ、わかった。

電話、これ、出ないんだな?

と諦めムードで電話を掛けたところ、

「はい、株式会社プロフィットでございます。」

出たー!

出ちゃったやん?!

もう戸惑う。

こんなツッコミどころ満載の契約する会社が

ちゃんと対応するなんて、戸惑いしかないのだ。

 

結局、何度かやり取りをして、

今日の夕方、ネックレスを持ってくるらしいが、

私は、今も疑っている。

「ほんとに、来るだろうか?」

 

ああ、疲れる。

こういうことの対処は疲れる。

おい、おたま!

あんたも、何かに疲れているのかい?

 

ああ、この顔は・・・通常営業だ!


未来のカプセル

2024å¹´09月25æ—¥ | ã‚«ã‚ºã‚³ã•ã‚“の事

私達は、

少女みたいにはしゃいだ。


おはようございます。

土日は、カズコを連れて、どこかへ出かけるようにしている。

どこかといっても、かずこは風光明媚な行楽地へは行きたがらない。

川のせせらぎは、かずこにとっては「水がちょろちょろ流れとる」だけだし、

凛と咲く花々は、「花がぼーっと突っ立っとる」だけで、

木漏れ日は、「まっぶし!」と迷惑がる。

だからもちろん、秋の紅葉も連れては行かない。


以前は、パチンコ屋へ連れて行くのが、一番喜んだが、

今は、もう連れて行けない。

パチンコのことは忘れていないが、パチンコ台の扱い方はもう分からない。

おかげで、

買い物に連れて行くくらいしか、出かける場所が思いつからない。

車で30分圏内にある3~4軒のスーパーを日替わりで連れて行くだけ。

ワンパターンだ。

ただ、かずこは認知症だから、

同じスーパーへ何度連れて行っても、

「うわ~、わし、ここ来るの始めてやぁ。」と喜ぶものだから、

そこは非常に助かる。


かずこの眼に映る、見慣れたはんぺんと刺身とスパゲッティーサラダは、

いつだって、初めて出会うご馳走だ。

そして、どうしたって、丸くて綺麗な色の食べ物に心躍らせる。

だから実家の冷蔵庫には、いつもトマトが沢山入っている訳だが、

実は、かずこはトマトを食べない。

トマトケチャップさえ避けるくらい、トマトが嫌いらしい・・・。

なのに最近は、ゼリーにもはまっている。

「これ、綺麗やなぁ」

かずこは、ゼリーを手に持ち、まるで宝石を見つめるように

うっとりした顔をする。

周囲の買い物客から、

「このお婆さん、今までスーパーにさえ

連れて行ってもらえていなかったのかしら?気の毒に。」

と思われても仕方ないくらいの感動ぶりだ。

だけど、私はそんな時、

「うわぁ、本当に綺麗だねぇ。」

と驚いて見せるから、

「あら、娘さんもスーパーに来たこと無いのかしら?

店もない僻地から、遠路はるばる、この地へやって来たの?」

と、買い物客の想像力をさらに掻き立てているかもしれない。

ちなみに、ご想像通り、

かずこはゼリーも食べない。食感が好みではないらしい。


この日も、買い物袋にはトマトとゼリーが入っていた。

しかもなんと、ゼリーはトマトゼリー。

かずこの要望を、これ以上に叶えた逸品があるだろうか?!

しかし、

かずこは、出入り口の丸い物にも気が付いてしまった。

ガチャガチャだ。

ガチャガチャの中に入っている、青いカプセルに魅せられている。

「これ、綺麗やなぁ。どこから取ったらええんや?」

私はこの時、ドラえもんが長い年月、良い子に大人気な訳が分かった気がした。

あれは、夢を叶えてくれるロボットだから、ではない。

青くて丸いことに、人気の理由があるのだと。

もしかすると、ガチャガチャの人気を下支えしているのも、

丸いカプセルにあるのかもしれない。

だってこの時、私までもが、ガチャガチャにへばり付いていたのだから。

「ここに100円を差し込んで、ハンドルを回すんだよ。」

かずこにとって、ハンドルを回すのは、お手の物だ。

パチンコで鍛えた右手だ。

だがこの時だけは、かずこはどういう訳か、左手でハンドルを回した。

出てきた青いカプセルを手に、満足げなかずこに、

私は歓喜の追い打ちを掛けた。

「これねぇ、このカプセルを開けると、何かが入ってるんだよぉ」

「ほほぉー!なんじゃ?なにが入っとるん?」

しめしめ、喜んだ。

私は、かずこが欲しがったカプセルを握りつぶした。

そこに入っていたのは、小さな時計だった。

「うわっうわっ、時計やん?!」

「すごい、可愛い~」

スーパーの出入り口、

80代と50代の私達は、いつまでも、

少女みたいにはしゃいでいた。

楽しかったなぁ。


生きる時間が長くなるにつれ、頭ばかりがでかくなる。

まるで、この世のことが全て分かったみたいな気分になって、

そうすると、どういう訳か、不安というのは減るどころか増えていく。

私は最近、何から何まで不安で頭がパンパンだ。

どんなことも、うまく行く気がしないのだ。

それは、経験を重ねてきた証拠だ。

自分の過去の経験を引っ張り出しては、

「こうするべきか?ああするべきか?」と不安を募らせ、身動きが取れない。

大人って、つまらない。

でも実は、

これから起こるすべての出来事は、何一つ経験したことのない事だ。

どんなに経験を重ねても

未来というものは経験出来ないものだ。

同じような過去はあっても

寸分たがわぬ同じ未来なんて、きっと無い。

かずこと見た青いカプセルに、私は希望を感じた。

開けてみなければ、分からないという、曖昧で不安定な希望を。


何もかも忘れていく貴女に学ぶことは、

きっと、とても大事なことだ。


で、のんちゃんは何してるの?

のん太「ここはのんの陣地らぞ」

文句言ってる・・・・


のんちゃん、仲良くしなさい!

のん太「だって、のんの陣地らもん!」

うんちゃん、覚えるでしょ?


仲良くしなさい!

のん太「なんらよぉ。のんをみりゅな」

うんこ姉ちゃんは、とても強いことを思い出したらしい。


これぞ、絶望

2024å¹´09月06æ—¥ | ã‚«ã‚ºã‚³ã•ã‚“の事

さて、

どう言うべきか・・・。

 

おはようございます。

最近のかずこは仏だ。

仏のカズコ。

起きぬけに、

「ぶち殺したらぁ」と言ってたかずこは、鳴りを潜めている。

認知症が、中程度に進行した頃から、

仏期と悪魔期が、交代制で繰り返されている。

今は、仏期だ。

いずれ、悪魔期もやって来るが、

悪魔期のかずこも、それはそれで面白いと思えるようになってきた。

かずこが訳もなく怒り狂う姿に、

「困った、困った」と言いながら、

実は、何が困った事があるんだっけ?ということに気が付いたのだ。

この感覚は、きくと暮らした15年と重なる。

 

きくが死んだ日、苦しかった15年、

実はどこも苦しくなかったということに気付いた。

私は、あの子に多大な被害を受けたことなんてない。

何を困っていたかと言えば、私の思い通りにならなかっただけのことだった。

可愛く甘えて来なかっただけで、何が困る事があろうか。

怒ってばかりのきくを見て、

それをどうにかしてやりたくて、見ていられないから、

余計な事を勝手にしては、思うようにいかなくて、

それを「困った、困った」と言っていただけだった。

 

最近、父さんは、かなり煮詰まってきている。

暴君だったから、特にきついのだろう。

思い通りにならないことに、強いストレスを感じている。

けれど「困った」の本質が見えれば、何も絶望することなんてないんだ。

そして、煮詰まっている原因は、

かずこではなく、きっと秋のせいだ。

秋の気候は、自律神経を乱れさせる。

そう決めつければ、遥かに気持ちは楽になるだろうに。

こんな時は、何を言ってやればいいのだろう?

分かった風に言っても、諭す風に言っても、

こういう時は逆効果だ。

だから私は、バカな話で笑わせて、

父さんの愚痴を、グルグルっと誤魔化してやり過す。

その場限りの気休め程度だ。

ああ、私は無力だ。

 

でも、私は困っちゃいない。

うん、どこも困ってない。

そう、私が「困った」ら、いかんのだ。

闘病も介護も、切り離せっというのが私の鉄則だ。

苦しみ困っているのは、当事者だ。

私まで苦しみ困っていたら、当事者はもっと困ってしまうのだから。

 

でも、この子は、

本当に困っています!

のん太「なに、するら?!」

突然、おじさんに抱き上げられた、のん太。

 

のん太「なに、するら!」

白目剥いてる、のん太。

 

かかぁに抱っこをせがむ、のん太は、

こんな顔をするのに

 

おじさんに抱っこされる、のん太は

こんな顔!