NHK会長発言の波紋
従軍慰安婦問題のような歴史認識の問題は、基本的に「21世紀の価値観で過去を裁く」というのが世界の標準です。
そこで日本が侵略戦争を否定したとしても、まったく相手にされることはありません。日本の立場がますます悪くなるだけです。
「従軍慰安婦などなかった」と強弁しても、21世紀の人権感覚では、受け入れられず、野蛮で前近代的だと見られるだけです。
また「悪いのは日本だけじゃない」との主張は、銀行強盗が詐欺師を非難する程度の主張なので、客観的第三者の賛同はとても得られません。
http://blogos.com/article/78924/

>従軍慰安婦問題のような歴史認識の問題は、基本的に「21世紀の価値観で過去を裁く」というのが世界の標準です。
過去の歴史問題を現代の価値観で裁く?
これがどんなに異常な事かは、少し考えれば中学生でもわかります。
世界中の人類の圧倒的多数の善良な人々は皆現在の価値観で生きています。 つまり自分が住んでいる国や所属する民族の道徳や倫理を尊重し、自分が住んでいる国の法律を守って生きているのです。
だってそうするしかありません。 現代の日本人が江戸時代や平安時代の価値観で生きろと言われたら大変困ります。
しかし未来の価値観で生きる事は?
これはもう絶対不可能です。
なぜなら未来社会の価値観なんて、現代の人類の誰一人知らないからです。 自分の知らない社会規範や、何十年の後に成立する法律を守る事など絶対絶対不可能だからです。
未来社会の道徳や法律を予想する事が出来る人間などいないのです。

そこで我々は現在の社会規範に従い、法を守って生きるしかないのです。
そうやって現在の価値観で真面目に生きてきたら、何十年も後になってからそれを裁かれ、謝罪や賠償を要求される。
「オマイラのやっていたことは、22世紀の価値観では犯罪なんだから、謝罪と賠償をしろ!!」
これってどう考えても理不尽その物じゃないですか?
ところで現代のワタシ達に未来の価値観を予想できないなら、過去の人達だって現代の価値観を予想できたわけはありません。
だから「従軍慰安婦問題のような歴史認識の問題は、基本的に21世紀の価値観で過去を裁く」と言うのは、滅茶苦茶理不尽なのです。
勿論近代合理主義の社会では、こんな理不尽な事は認めません。 例えば未来の法律を予想してそれを守る事なんか不可能ですから、どんな法律でもその法律が制定される以前の事は、問題にしません。
また過去に無罪だったことを、事後に罪として問うような法律「遡及法」の制定は認めません。

人間には未来を予想できない。 人間の知性には限界がある。
しかしそれでも人間なら誰でも知覚出来る限りの事を、地道に積み重ね、宗教や倫理や感情を排して現実を見る努力をする。
惑星の軌道は聖書の記述によるのではなく、観測データを元に数学的に算出する事によって地動説が確立しました。
不道徳であり反宗教的であっても、現実の政治をつぶさに観察して、それを正確に記述する事によって、マッキャベリの近代政治学が生まれました。
これがルネサンス以降の人類の知性だったのではありませんか?
イヤ人類の知性と言うのは本来それ以外にあり得ないのではありませんか?
ところが「従軍慰安婦問題のような歴史認識の問題は、基本的に「21世紀の価値観で過去を裁く」というのが世界の標準です。」と言う発想は、こうした人類の知性を全否定する物です。
しかし慰安婦問題だけでなく靖国問題など、現在中国韓国が持ち出して喚く問題に関して、「日本が悪い」と喚く人間達は基本的に皆この山内康一議員と同様の発想なのです。

彼等の頭の中には「日本が悪い」と言う絶対命題があって、それ以外の物は完全に無視します。
証拠の有無も法も条約も、どうでも良いのです。
これはもう中世ヨーロッパの異端審問やユダヤ人迫害と同様なのです。
中世に生きる人々は祭日に教会のミサに参列し、そこで司祭からキリスト受難の物語を聞かされると、キリストを処刑したユダヤ人への怒りに燃えて教会を出ました。
そして手に手に棍棒を持ってユダヤ人を襲ったのです。
中世ヨーロッパの都市では何処にでも、ユダヤ人は日曜日その他キリスト教の祝祭日に外出を禁止するとか、ユダヤ人は所定されたユダヤ人地区(ゲットー)以外に居住してはならない、などの規則がありました。
しかしこれは単に差別と言うより、危険防止の意味が大きかったのです。
ユダヤ人がキリストを処刑した事は事実です。 イエス・キリストは、紀元1世紀初頭のエルサレムのユダヤ教による宗裁判の判決により処刑されました。
しかしそんな事を、13世紀のドイツで生まれたユダヤ人達にはどうしようもありません。
そんな事で殴り殺されるなんて、子供が考えても理不尽なのです。 しかし当時のキリスト教徒たちは。信仰と感情が全てで「考える事」つまり「知性」を放棄していたのです。
しかしこの知性の放棄による理不尽は近代以降も延々と引き継がれて、ヒトラーにまで至りました。

それではこのヒトラーの後継者は誰でしょうか?
ワタシは山内康一衆議院議員やその仲間ではないかと思います。
彼等は中世の異端審問官が「神の正義」を絶対命題としたように、「日本悪い」を絶対命題しています。 そして「朝鮮人カワイソウ」と言う感情がそれに加わります。
知性はドブへ捨てたのか、最初からなかったかのはわかりませんが、とにかく反知性主義者、蒙昧主義者であることは間違いなのです。
ワタシは一応在特会の会員だけれど、本性が猫的個人主義者なので、愛国心も皇室に対する尊崇の念なども至って薄い人間だと思います。
しかし慰安婦問題や靖国問題などから見える自称リベラリスト、自称国際人、自称インテリ達の反知性主義には我慢が出来ません。
しかも彼等の多くが高学歴を誇るので猶更気持ちが悪いです。
大学では知識は学べても、知性は得られないと言う事でしょうか?
しかし自称知識人達が、大挙してこのような反知性主義にハマる社会が正常だとは、どうしても思えないのです。
戦後民主主義とその教育と言うのは一体何だったのでしょうか?
人類の惨禍を産むのは戦争でも、まして軍人でもありません。 人類の惨禍は知性の放棄から生まれるのです。
人類が知性を放棄して愚昧に正義に耽溺する事こそが、人類の惨禍の根源なのです。
そして山内康一を見ればわかるけれど、戦後民主主義とはこの愚昧な正義その物ではありませんか?