4月以降、滋賀レイクスターズのことを書かなかったけれど、
結局西地区4位でリーグ戦を終え、5月に大阪エベッサと地区の準決勝を戦って二連敗、 という形で、このシーズンを終えました。
2試合;京都との第七戦と、大阪との地区準決勝第二戦とを見に行って、 1勝1敗。私としては、勝試合も見られたし、準決勝も、最後の最後に大阪の正五角形状の厳しいフォーメーションを突破して粘れたので、満足しています。
それにも増して、 特にこのチームのことを知らない方達へ伝えたいな、と思うことが、あります。 プロスポーツのチームが地域に根付いていく過程、とでもいうのでしょうか。 設立2年にして、応援を他チームから脅威と言われ、 一方では一説に、滋賀の応援席とベンチ(選手席)との雰囲気って、ホンワカしていておもしろいですね、とか言われたりする、 この雰囲気がどこから出てきたか、ということです。 最大の理由は、 運営会社のマーケティングの成功と、 それに顧客側の固定ファンが、その戦略に共鳴し、面白がっているという点でないかと思うのです。
マーケティングという点では、 プロスポーツチームができる可能性を、県民自体が諦めていたところへ、 ミニマムな編成での、プロチームが可能であることを、身を以て示したこと。 さらに、バスケという、どこの学校でも1度はやるスポーツを、子どもが多い地域で立ち上げた「必然性」ある選択。 ……県民側に潜在的にあった、「地域名物」への飢えを刺激し、かつ確実な顧客層をしっかりものにしたという戦略面での勝利。
そして、それにノリよくついていった皆さん(笑) ごく初期には、アリーナDJの仙石さんの神懸かり的なMCに煽られていただけだったけれど、僕らも大きくなりました。 「仙石パパ、ありがとう、僕らも大きくなりました(声が)」という面はありますが
……これもショー的なものに飢えていたところへ、見栄えがおいしそうだからと、かぶりついた。そしたら、おいしかったということに尽きるでしょうね。
興奮が、空間の狭さによっても増幅されて、ヤミツキになった、とか、 選手・スタッフにいい男がいたとか(いい男の定義が人によって違い、またそれに答えるだけの個性の豊かな選手が揃えられたという面も見逃せないですな) という、それぞれの個人史があるのだと、推測しています。 そうして、いつのまにやら、地方の公立体育館に2000人が詰めかける(しかも半年で26回も)、という小さな熱狂にまで発展してきたのです。
そんな姿を、毎日新聞のコラム「憂楽帳」が、対大阪(地区準決勝第二戦)の試合後の出来事を通して、描いてくれています。
「チームを育てる力」(毎日新聞 2010年5月22日 大阪夕刊)
試合後の「大阪エベッサ」コールをしたひとりとして、今振り返ると、万感の思いがこもったコールでした。 「悔しさ」ももちろんあるし、 「うらやましいぞ」というのもあるし、 「兄貴(エベッサ)には敵いませんわマダマダ」というのもあるし、 「ハードな試合お疲れ様でした」というのもあるし、 「今シーズン計八戦やっておもしろかったよ」、「来シーズンまでサヨウナラ~」というのもあった (当時の私の頭に浮かんだことは、この順でした)。 これは、コールする人それぞれでなかったかな、と思います。
小さなチームが発展していく過程、思えば今が最高の時期なのかもしれません。選手やコーチ(場合によっては、相手チームの選手まで巻き込む~)と観客との濃厚なやりとりは、いずれチーム組織の規模が大きくなったら消えていくかもしれませんし……。 が、そこに、愛が敬意が、そして、地域に結びつく必然性があるかぎり、 また来シーズンも、同じようにコールを続けるのだろうな、と予感、いや確信してしまうのです。
ま、つまりですな。 勝ち負けはともかく、楽しく終わりましょ、というまとめになるでしょうか。
というわけで、今夜のサッカーW杯の試合へ、マイクをお渡しします。
テーマ:バスケットボール(日本) - ジャンル:スポーツ
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