先々月、近江八幡市内でのヴォーリズ展に行ったときのこと。
建物も沢山公開されていたのだけど、私の印象に残ったのは、作りつけの家具だった。とりわけ、 自宅(通称「ヴォーリズ邸」)玄関の、普通なら靴箱がある位置に作りつけの長椅子 アンドリュース会館(旧YMCA会館)内の彼の書斎にある暖炉端の椅子……これも、壁に作りつけになっている。
それらの椅子は、腰掛けまでの高さが50cm程度、椅子の幅も1mあるかなしかだ。 そして、玄関の椅子の足元には靴箱が、書斎の椅子の頭上には本棚(1段)がしつらえてあって、コンパクトに整理できる構成になっている。 もともと、ヴォーリズさんが小柄だったせいもあるのだろう。そんな小物に、生活感が今なお残っていて、彼らしい味わいを感じた。
面白いことに、建築の専門家の方たちの間でも、彼の建築がコンパクトであることが指摘されている。一番判りやすいのは、「天井の高さ」。たしかに昭和初期に至るまで、洋風建築は天井をかなり高く取っている。特に公共建築で顕著ですね。東京駅の丸の内側が良い例だろう。(また、古い大学を出た方だったら「旧館」の天井の高さに驚いた経験をお持ちの人が多いのでは?昭和初期築の私の母校の1号館も、1階の天井までの高さは3.5mくらいあった……) が、彼の事務所が設計した建築物では、ヒューマンスケールに合わせた大きさにしてある、といわれている。典型例は、先ほど挙げたアンドリュース会館でしょうか。たぶん天井までの高さは2.5mを切っていると思う。
起きて半畳、寝て一畳 とまではいいませんが、空間をコンパクトに仕上げる そんな姿勢で、小さな幸せ、てのを目指すのもよろしいかと。
2009年聖夜、静かに更けていってます。
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