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健康保険料 健康なら安く?

 19日の日本経済新聞電子版に、厚生労働省が特定健診の数値改善に対して健康保険の保険料を減額する施策を検討しているという記事が掲載されておりました。記事詳細は以下の通りです。

=== 日本経済新聞電子版 平成26年9月19日 ===

 厚生労働省は特定健診(メタボ健診)の数値が改善した人などを対象に公的医療保険の保険料を安くする仕組みを作る。健康づくりに励んでもらうきっかけにする。糖尿病などの生活習慣病にならない人を増やして医療費の伸びを抑えたいと同省は期待している。

 厚労省は審議会を開いて新しい制度の仕組みを19日から議論する。来年の通常国会に保険料を安くできる法案を提出する。健康保険組合側のシステム対応が必要なため、2016年度以降に実施する健保が多そうだ。対象は大企業の健康保険組合、自営業らの国民健康保険、中小企業の全国健康保険協会(協会けんぽ)で、各健保が希望すれば保険料を安くする仕組みを導入できる。今の仕組みでは、健康保険組合の加入者は健康な人もそうでない人も同じ保険料率となっている。

 メタボ健診で血圧、血糖などの数値が良くなった人が候補となる。もともと健康な人は数値の改善が難しいので、代わりにお金やスポーツクラブの利用券などの給付を検討する。例えば、1年間病院に行かなかったら1万円分を支給する方法などが考えられる。メタボ健診を受けない人の保険料は変わらない。お金や利用券の給付も受けられないようにして、メリハリをつける。

=== 転載 終わり ===

 健康保険などの社会保険の考え方は、記事も指摘しているように「健康保険組合の加入者は健康な人もそうでない人も同じ保険料率」で保険料を負担し、相互扶助の支え合いを基本にしています。ここに民間の保険会社が行っているような、一定期間保険事故を起こさなかった被保険者の保険料を割り引く仕組みを導入しようというものです。健康状態の改善又は健康の維持に積極的に努めている被保険者について、一定の金銭的な利益を享受させることを約束することによって、健康の維持及び増進の意欲を刺激し、結果として医療費を削減しようという意図を持った施策です。

 何ら対策を打たない場合、毎年1兆円程度増加していくことが予想される社会保障費(社会保障費概算要求及び新厚生労働大臣_9月3日)について、苦しい台所事情から、こういった施策が検討され、実施の運びとなることは十分に予想できます。浅草社労士自身も、公的年金について、現役世代と変わらない働きができる高齢者に対して国が認定書を発行し、この認定を受けている高齢者については、継続雇用制度ではなく、正社員として雇用しなければならないこととする一方、該当者は公的年金の受給が完全に停止するという仕組みの提案を行っています(年金与太話_2013年6月26日)。

 このような類の施策の根底にある発想は、社会保障費の急増による政府債務の増大を何とかしなければならないという思いであることは否定できません。にもかかわらず、ここで注意しなければならないことがあります。それは、財源がないのでとにかく給付を削減するという、いわば困窮に根ざした発想ではなく、国民を幸福にするためにその健康増進をはかるという豊かな発想でなければならないということです。表面的には、同じような施策をやっているようにみえて、困窮からの発想か、豊かな心から生み出された発想か、国民は容易に見破るはずです。豊かな心から発想していれば、ただ金銭的利益を享受してもらうということだけではなくて、努力して健康を改善した被保険者や年金を受給しないで現役並みに働き続ける高齢者に対して、社会全体からの感謝の氣持ちも自然と伝わって行くのではないかと思われます。制度を運営する国の側にしても、豊かな心から発想していれば、当然に感謝の氣持ちを伝える仕組みを第一に工夫しておくものではないでしょうか。

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