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GPIF7-9月の運用動向

 10月末日に運用資産の構成を変更し、株式などリスク資産の割合を増やして行く(GPIF国内株式割合25%に引上げ)ことを発表した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ですが、25日報道によれば、運用資産に占める国内債券の割合が9月末に初めて50%を下回っった一方、国内株式は株価の上昇を主因に同月末時点での上限18%を超え、8年半ぶりの高水準を記録したとのことです。

=== 11月25日 Bloombergより一部転載 ===

GPIF:国内債初の50%割れ、日本株8年ぶり水準-7~9月

 GPIFが25日午後に公表した今年度第2四半期(7-9月)の運用状況で明らかになった。9月末の国内債残高は64兆9282億円で、構成比は49.61%と前身の年金資金運用基金として積立金の自主運用を始めた2001年度以降で最低。過去最高だった08年12月末の75.90%から26ポイント超も下げた。国内株は過去最高の23兆8635億円。構成比は18.23%と06年3月末以来の高水準となった。

 外国債券の残高は15兆8863億円。構成比は12.14%に上昇した。外国株式は22兆7828億円で17.41%。外債と外株は残高、構成比がともに最高を更新した。運用資産額は130兆8846億円。昨年末の128兆5790億円を上回り、比較可能な01年度以降で最高を更新した。自主運用開始以来の累積収益額は41兆2860億円に達した。

 政府と日本銀行が経済活性化と2%インフレを目指す中、GPIFは将来の金利上昇で評価損が生じる恐れのある国内債偏重の見直しやリスク資産拡大で収益向上を求める圧力に直面。10月末には基本ポートフォリオを内外の株式と債券が半分ずつで、国内資産が6割・外貨建て資産が4割という分散型に変えた。7-9月の運用状況はGPIFが新資産構成に向け、発表前から動き出していたことを示している。

 7-9月期の運用収益は3兆6223億円で収益率は2.87%。国内外での株高や円安を背景に2四半期連続で増え、08年度以降の四半期ベースでは6番目の高水準となった。国内株の収益額は1兆2892億円で、収益率は5.78%。外債は8108億円で5.51%、外株は1兆1779億円で5.64%。国内債は3152億円で、収益率は0.53%にとどまった。

 GPIFは10月末の基本ポートフォリオの見直しで、国内債の構成比を従来の60%から35%に下げる一方、内外の株式は12%ずつから25%ずつに、外債も11%から15%へ引き上げた。5%だった短期資産の区分は廃止。まだ実績公表のないインフラ投資やプライベートエクイティ(PE)、不動産をオルタナティブ(代替)投資と定義し、案件の特性に応じて各資産に区分し、全体の5%を上限とした。

=== 一部転載 終わり ===

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逆境と胆力

 我が国の誇る自動車産業が再びリコール問題に揺れているようです。発端は、タカタが製造しているエアバッグに欠陥があったことが分かり、米国を中心に相次ぐ死傷事故と大規模なリコール(回収・無償修理)を引き起こしている問題です(タカタのエアバッグ問題で米議会公聴会、幹部に厳しい追及_11月21日)。タカタが生産するエアバックは、本田技研で約5割の車に使用されているそうで、ここのところ相次ぐリコールが指摘されていた同社の経営にも追打ちをかけることになりました(焦点:リコールの嵐に揺れるホンダ、役員OBも社長に苦言_11月17日)。

 そんな報道があったなと思っていたところ、月刊社労士の2012年9月号に掲載されていた作家の守屋淳氏が「胆力」という標題で書かれた記事を再読して考えさせられるところがありました。

 古典に詳しい守屋氏によれば、現代の経営者等は、一般的に「子供の頃から一生懸命勉強して、一流の大学から一流の会社に入り、そのまま経営者になる、というパターンを踏んだ人ばかり」です。こういう人は、平時ならば問題はないのですが、東日本大震災やその後の原発事故に象徴される胸突き三寸の局面で「まともな判断が出来ないし、体も動かない」のではないかと思わざるを得ないようなことがよく見られます。これとは正反対だったのが、明治維新を生き残った明治時代の政財界の指導者たちでした。

 要は、「胆力」の問題なのですが、「胆力」は、明治維新のような逆境や危機の経験によって大いに養われるようです。そして、そのような経験を得にくい現代において、「胆力」はいかにして養われるものなのか。守屋氏によれば、後継経営者の場合、それは会社が潰れない程度の新規事業などに手を出しての手痛い失敗の経験なのだそうです。また、個人の場合、お勧めではないがとの前置き付きで、一つの考え方として「ギャンブル」の効用を上げています。その心は、「庶民がギャンブルをすると勝とうと思ってしまいます。しかし、紳士のギャンブルは、負けるためにするのです。(中略) 負けるためにギャンブルをするなんて、そんな馬鹿なことがあるものか、と思われるかもしれませんが、けれども紳士たちは、負けることによって、負けても平気でいられるだけの胆力を養っているのです。」

 本田技研やタカタの経営者にとって、今回のリコール問題がそのような「胆力」を養う機会で収束してくれることを祈りたいものです。既にトヨタ自動車の豊田章男社長は、同様の逆境を乗り越えられて、常人を超える胆力の持ち主であることは疑いようのないところでしょう。今月は衆議院の解散が決まり、来月には選挙が予定されていますが、逆境を乗り越えた経験を持つ政治家に我が国の将来を託したいものです。

 そして、もう一つ氣になっている点が、日本企業の海外直接投資の問題です。これは、市場が世界に拡がる中で、自動車産業などの場合には、止むを得ない「必要悪」という側面があることを承知の上で敢えて管見を申し述べるとすれば、「物に魂が宿ると考える日本的物づくり」を外国人に修得させることは、至難の業であり、ほとんど不可能に近いと思い知ることです。対米国ドル最高値75円32銭まで行った極端な円高が、製造業に国内生産の縮小と現地生産の促進を余儀なくさせたこの10年余り、その成否について十分検討してみる時期に来ているように思えます(特別リポート:タカタ欠陥エアバッグ、尾を引く「メキシコの誤算」_11月22日)。

=== 「焦点:リコールの嵐に揺れるホンダ」 より一部転載 ===

 元役員の1人は、相次ぐリコールは2009年の就任後に伊東社長が決断した新たな部品調達戦略に一部、起因しているのではないか、ともみている。世界中に工場を持つメガサプライヤーから部品を大量かつ安価で調達しコスト削減を目指すというもので、系列サプライヤーから調達する、長年続けてきた従来の方法とは対極にある。これまでなら阿吽(あうん)の呼吸でできたことが、メガサプライヤーとの新たな取り組みが増え、「エンジニアたちが、あまりにも多くの仕事を抱え込み過ぎたのではないか」(元役員)と指摘する。

=== 転載 終わり ===

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第8次社会保険労務士法改正法案可決、成立

 社会保険労務士にとってここ数年の懸案でありました第8次社会保険労務士法改正法案が、11月14日の衆議院本会議に上程され、可決、成立しました。第8次社会保険労務士法改正法の主な内容は、次の通りです。

1.第2条第1項1号の6 個別労働紛争における紛争の目的の価額の上限が120万円まで引上げられました。

2.第2条の2として次の条文が追加されました。「社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。」 同2項は、この陳述が当事者又は訴訟代理人が行ったものとみなすとしています。

3.第25条の6 条文中の「組織的に」及び「共同して」を削るなど「1人法人」を認めるための条文の改正が行われています。

 また、今回の改正法を成立させたことについて、「最近における社会保険労務士制度を取り巻く状況の変化に鑑み、厚生労働大臣が指定する団体が行う個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続において特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理することができる紛争の目的の価額の上限を引き上げ、社会保険労務士が裁判所において補佐人となる制度を創設し、及び社員が一人の社会保険労務士法人を設立することができることとする必要がある。」との理由がされており、改正法の施行は、公布の日から9月を超えない範囲内において政令で定める日、25条の6等については、2年を超えない範囲内において政令の定める日となっています。

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GPIF 国内株割合25%に引き上げへ

 10月末日となった金曜日、黒田バズーカⅡとも俗称される日銀の追加金融緩和が発表されたのを受けて、株式市場は急騰し、大幅な円安となりました。日経平均が755円56銭高の16413円76銭で引け、円はニューヨーク市場で112円台に到達しています。黒田バズーカⅡの衝撃が、余りにも強烈だったために合わせ技程度に軽く見られることになってしまった感があるのが、同日伝えられた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオの新たな運用方針です(財政検証結果の発表とGPIF運用見直し)。報道機関が伝えるところによれば、国内株式と外国株式の割合を現在の「12%」から「25%」に引き上げるというもので、塩崎厚生労働大臣は、この新運用方針を認可しました。

=== NHK HP 10月31日 ===

 120兆円を超える公的年金の積立金を運用している独立行政法人は、収益性をより高めるため、国債など国内債券の運用比率を引き下げる一方、国内株式と外国株式の割合を現在の「12%」から「25%」に引き上げるなどとした、新たな運用方針を決めました。公的年金の運用の在り方などを検討する政府の有識者会議は去年11月、収益性をより高めるため資金の多くを国債に投資する今の運用方針を見直してリスクのある金融商品にも投資することなどを求める報告書をまとめました。これを受けて、GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人は31日、新たな運用方針を決め、塩崎厚生労働大臣がこれを認可しました。それによりますと、国債などの国内債券の割合を「60%」から「35%」に引き下げる一方、国内株式を「12%」から「25%」に、外国債券を「11%」から「15%」、外国株式を「12%」から「25%」に、それぞれ引き上げるとしています。

 一方で、GPIFは、株式への投資の割合を増やす運用方針の見直しにあわせ、リスクを適切に管理する体制が必要だとして、運用委員会の下に、投資先を選ぶ基準や職員の行動規範の策定などにあたる「ガバナンス会議」を設置するほか、専門知識を持つ人材を確保するため、経済動向の分析や市場の予測に当たるコンサルタントを新たに採用するなどの対策を取るとしています。

<世界最大級の機関投資家>
 GPIFは、国民年金と厚生年金の積立金の運用を行っている独立行政法人です。運用資産の総額は、ことし3月末でおよそ126兆6000億円に上る、世界最大級の機関投資家です。年金積立金は、将来の年金給付の貴重な財源だけに、法律で、運用は「長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」ことが求められています。年金の積立金をどの金融商品に、どの程度の割合で投資するかという運用方針は、金融や経済の専門家で作る運用委員会の審議を経たうえで決定され、厚生労働大臣の認可を得ることになっています。現在の割合は、基本的に、国債などの「国内債券」が中心で、「60%」となっているほか、「国内株式」と「外国株式」がそれぞれ「12%」、「外国債券」が「11%」などとなっていて、資産の大半は、民間の信託銀行や投資顧問会社に運用を委託しています。

 独立行政法人として、自主運用を開始した平成13年度以降の運用実績は、平成20年度は、いわゆるリーマンショックの影響を受けて、およそ9兆3000億円の損失が出た一方、昨年度・平成25年度は、株価が堅調に推移したことなどから、およそ10兆2000億円の収益が出ています。平成13年度以降の収益の累積は、およそ35兆4000億円となっています。GPIFは現在、70人余りの職員が業務に当たっていて、塩崎厚生労働大臣は、運用方針の見直しを踏まえて、運用リスクを適切に管理するため、体制強化に向けた法案を準備する考えを示しています。

<塩崎厚労相「ガバナンス強化を」>
 塩崎厚生労働大臣はNHKなどの取材に対し、「GPIFに対し、リスクを最小化し、将来、国民が約束どおりの年金額を確実に受け取れるような運用を行うことを確認したうえで運用方針を認可した。見直しによって日本経済のプラスになればいいが、いちばん大事なことは、国民が将来、年金を約束どおりもらって、負担も約束以上に重くならないことであり、その実現に向けてしっかり対応したい」と述べました。そのうえで塩崎大臣は、「ずいぶん大きな分散投資の変化なので、ガバナンスを強化しなければならない。GPIFにも、今できる最大限のガバナンス強化策を示してもらった」と述べました。

=== 転載 終わり (下線は浅草社労士) ===

201410_上野不忍池秋日