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130万円の壁と106万円の壁の話

 社会保険の壁の話は、以前にも「短時間労働者への労働保険及び社会保険の適用」、「○○万円の壁の話」などの記事でたびたび触れてきたところです。令和4年10月1日から、短時間労働者への社会保険の適用拡大が予定されています。そこでもう一度、130万円の壁と106万円の壁についてもう少し掘り下げて見て行きたいと思います。

1.年収130万円の意味

 130万円の壁とは、一般に(1)1日の所定労働時間が、正規労働者に比べて概ね四分の三未満、または、(2)1箇月の所定労働時間が、正規労働者に比べて概ね四分の三未満の短時間労働者につき、その年収が130万円未満であれば、当該短時間労働者の配偶者が健康保険被保険者である場合、配偶者の被扶養者として配偶者の健康保険に入ることができ、国民年金の第3号被保険者として配偶者の厚生年金の仕組みで年金保険料が賄われているとみなされる仕組みが存在するのですが、その際の「年収が130万円未満(月収108,333円以下)」のことです。ただし、60歳以上の短時間労働者の場合は、原則として年間収入180万円未満であれば、配偶者の社会保険の扶養に入ることができますので、130万円を180万円と読み替えることができます。

 では、ここでいう年収130万円とは、何時からいつまでのことを言っているのか、この点が所得税の扶養控除などと混同されてしばしば間違って理解されているところです。社会保険の年収130万円の話をしているときは「今現在の時点から、今後1年間に得ると見込まれる収入額」のことを問題にしています。また、ここで問題にしている年収には、収入がパート先からの給与だけに限られるとすると、非課税の通勤手当も含む総支給額が想定されています。

 上記の「今現在の時点から、今後1年間に得ると見込まれる収入額」のことを問題にしているということから、逆に今現在配偶者の被扶養になっている者は、ある時点から今後1年間に得ると見込まれる収入額が130万円(月収108,333円)を超えるとなったときは、その時点から配偶者の被扶養から外れなければなりません。




2.社会保険の適用拡大と106万円の壁

 令和4年10月1日から短時間労働者への社会保険の適用拡大が予定されています。具体的には以下の通りですが、大きな改正点は、現行の厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の事業所となっているのが101人以上の企業にも適用されるようになる点です。以下の要件をすべて満たしている場合には、正規の四分の三未満の短時間労働者であろうが、年収130万円未満であろうが、須らく勤務先から社会保険の資格取得手続きを行うことになります。

(1)被保険者数が常時101人以上の事業所 (令和6年10月1日からは51人以上)
(2)1週の所定労働時間が20時間以上であること
(3)雇用期間が2箇月+1日以上見込まれること(現行1年以上)
(4)賃金の月額が88,000円以上であること
(5)学生でないこと

 ここで、「(4)の88,000円(≓106万円)」の中に通勤手当は含まないという点に注意が必要で、130万円の算定と混同しないようにしなければなりません。

 また、「(1)被保険者数が常時101人以上の事業所」というときの事業所とは、本社に75人、乙営業所に30人という会社の場合、具体的にどのように考えればよいのか疑問に思うことがあるかもしれません。社会保険における事業所の考え方は、人事管理や給与計算などの基本的な機能がその事業所に備わっているかどうかで判断されます。人事管理や給与計算などの基本的な機能を各事業所に持たせるか否かは各業態や企業によりますが、通常は本社に集められるのではないかと思われます。その場合には、本社の75人と乙営業所の30人は合算されて105人の事業所とみなされるものと考えられます。





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コメント

180万円の壁

これまでは、60歳以上の人で年金収入が無い場合は年収130万円未満であることが被扶養者になれる収入限度額でしたが、5年2月1日からは、60歳以上の人は、年金収入の有無にかかわらず、年収180万円未満であることが収入限度額となります。

2023年07月25日 22:22 from ヨコテ URL

106万の壁に賞与も通勤費も含まれない

月額換算した賃金に諸手当等を含めた報酬が8万8千円以上ということですが、この中に臨時に支払われる賃金、賞与などの1月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外手当、休日労働又は深夜労働手当、通勤手当、家族手当などはふくまれないことになっています。また、8万8千円要件は、月額のみで判定し、年収額が106万円以上であるかどうかは判定基準とはなりません。

2024年03月21日 10:57 from ヨコテ URL

100人超→50人超→全ての事業所?

パートで働く人ら短時間労働者の厚生年金の加入をめぐり、政府は現在「従業員101人以上」(10月から51人以上)としている企業規模の条件について撤廃する方針を固めた。非正規労働者の低年金問題に対応するため、給付が手厚い厚生年金の加入者を増やす。来年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。(令和6年5月29日朝日新聞電子版)

2024年05月30日 17:27 from ヨコテ URL

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