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今度はHuman Resource Technologyですか?

 平成29年8月23日付けの日本経済新聞電子版は、人事部が採用や労務に関する事務作業軽減のために、IT技術を使う顕著な動きがでてきていることについて、HRテック(Human Resource Technology???)と称して紹介記事を掲載しておりました。生産年齢人口の急速な減少傾向が顕在化してきた昨今は、慢性的な人手不足状態のようです。このような環境下、人事部における採用活動はこれまで以上に厳しい仕事になりつつあります。加えて、働き方改革が象徴するように、近年は働き方の多様化が進んで、労務に関する事務作業が複雑化する傾向にあるようです。そんな中、人事部の生産性向上のニーズが高まり、そのためのシステム投資もしっかりと行われるようになるのは、正しい流れと思われます。

 今回の記事で紹介されている会社は、以下のようなところです。

 パーソルHD:新卒・中途の採用支援システムで、サイボウズの情報共有支援ソフト「ガルーン」などと連携。企業の採用担当者は面接設定のたびに候補者と面接官の予定を調整し、会議室も予約するといった事務作業が多く、試算では月10人の内定候補者と面接を設定する作業だけで16時間かかるといわれている。新システムを使うと、これを半分以下にできる。初期費用込みで年120万円から提供し、2020年までに500社の導入をめざす。

 ビズリーチ(東京・渋谷):これまで求職者が転職サイトで入力した情報は、担当者が採用管理システムに入力し直す必要があった。同社のシステムを使うと、採用活動に進捗があったことを担当者がシステムに入力すれば、自動で同社の転職サイト側にも情報が反映される仕組み。

 ネオキャリア(東京・新宿):18年初めにクラウド上で人事情報を管理する企業向けシステムを刷新する。現在は採用、勤怠、労務を管理できるが、社員の経歴情報などを含む人事管理、給与計算、マイナンバーなども管理できるようになる。社会保険の申請作業に必要な時間を従来の10分の1にできるという。

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企業の倒産動向に人手不足の影

 ここ2、3年顕著になってきた生産年齢人口の急激な減少による労働市場の人手不足傾向ですが、これによって最近の企業の倒産動向にも変化の兆しがみられることを、16日の日本経済新聞電子版が伝えています。

 記事によれば、「2009年の中小企業金融円滑化法の施行を機に倒産は減少に転じ、同法終了後も企業の返済猶予申請に対して金融機関が柔軟に対応したため、倒産は減少が続いてきた。それが17年上半期の倒産は4247件となり、8年ぶりに前年同期を上回った。倒産をめぐる状況が変わりつつあるのではないか。タカタが6月26日東京地裁に民事再生法の適用を申請したため、上場企業の倒産が1年9カ月ぶりに発生。倒産のトレンドにも変化の兆しがみえる。」とのことです。

 一般消費者を対象にしたビジネスでの倒産で世間の耳目を集めることになったのが、3月27日に東京地裁に破産を申し立てた旅行会社、てるみくらぶ(東京・渋谷)のケースでした。また、エステサロン経営のグロワール・ブリエ東京(東京・港)が3月28日、結婚式場経営のBrillia(東京・渋谷)が3月8日、それぞれ東京地裁に自己破産を申請しています。旅行、エステ、結婚式場は、サービスの提供前に代金を受け取る「前受け金ビジネス」という点でも共通しています。

 業績拡大するなかで倒産する事例も目につくようになってきているようです。相次いで出店する一方で店長となる人材が確保できなかったほか、労働環境に不満を持つ従業員の退社もあったとされる倒産事例もあります。人手不足による倒産の増加はデータでも裏づけられ、2017年上半期は49件の人手不足倒産が発生していますが、これは4年前の2.9倍にあたり、人手不足が続くとみられる中、今後もさらに増加すると予想されます。業種別にみると、サービス業が全体の30.6%でトップで、次いで建設業となっています。

 経営者にとって、いかに良い人を採用して、会社に定着して働き続けてもらうか、「採用」と「教育研修」が絶対的に重要な時代に入りつつあるようです。

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