宮崎#24 貝釧 @西都原考古博物館
こんにちは。西都原古墳群にある西都原考古博物館がいいよ!って話を書きましたけど、ここの展示の一番始めに、「なぜ、獲物を獲得するために生活の道具だった鏃を、人は人に引き絞るようになったのだろうか?」という問いが掲げれています。ここの博物館の首尾一貫して、この「なぜ」という問いが貫かれていて、単に遺物を展示しているだけの博物館とは異なっています。そこが見どころで、ぜひ宮崎を訪れる機会があるならば、ここはお勧めです!という場所です。一つ一つの言葉に力があるんだよなぁ。
見学を終えて気になったので博物館の人に聞きました。展示に書かれている言葉はどなたが書かれたのですか?と。そうしたら北郷泰道(ほんごうひろみち)さんという宮崎県埋蔵文化財センター所長だった方だそうです。後で調べたのですが、残念ながら2021年に鬼籍に入られていらっしゃいます。
写真は、宮崎県下で発見されている古墳時代中期~後期にかけての遺物で貝釧(かいくしろ)です。釧というのは腕輪のことです。写真の釧はイモガイでできています。イモガイやゴホウラなど貝釧に使われた貝は、琉球・奄美諸島、種子島・屋久島などを経由して九州へともたらされています。南海産の貝は北上し北海道伊達市の有珠モシリ遺跡でも見つかるというのですから、当時の人たちの交易が現在の日本列島全体に及んでいたことが分かりますし、南海産の貝への執着がよく伝わってきます。
人は交易の中で、物と物の「直接交換」から貨幣を発明あるいは発見し「抽象的な価値の交換」へと変化させました。そこに貝が介在したことが想起されます。例えば呪術的な意味合いや価値を共通認識とすることができたからこそ、人は貝を貨へと変化させることができたのでしょう。
あ、「交易」繋がりのentryということを書いてなかったな。アハハ。
↓前回の宮崎entry↓
宮崎#23 黒米ランチA @西都原考古博物館
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