Korea#23 「僕のルーマニア語の授業」チャン・ウンジン著 を読んだ
こんにちは。この本は図書館で借りて読みました。外国文学では米国のものだったりは翻訳されるものもたくさんありますけど、韓国語のものはそれほど多くないので、韓国文学ショートショートシリーズも結構気に入っています。何せ短編なのでさっと読めるのがいいです。最近、韓国出張がないので、Koreaの感性を肌で感じたい時に、翻訳小説を読んだりするのが気に入っています。どんな時にKoreaの感性に触れたくなるのか?それは私の中でも謎ではあるのですが、隣国故の不穏当で感情的なnewsが流され勝ちだけど、そんなnewsを見ると、違うよなぁって思いながら触れたくなっているんじゃないかな。newsの言説にはそんなことはないよなぁってことを思ったり、でも地政的で歴史の中ではぐくまれてきた土地の感性はやっぱり私のそれとも違うと思ったりと、、、。こんなことを書いているとやっぱり韓国の友人に会って話をしたくなります。
この作品は、公共機関で働く主人公が、大学時代の知人との話をする中でルーマニア文学の教授になるという夢をもっていた学生時代の恋を想い出します。兵役を終え大学に戻った主人公は、秋をそっくりそのまま鏡に映したような瞳を持つ女性ウンギョンと出会い、そして主人公が惹かれていく様子と季節の移ろいの心象が描かれています。とても寂しくて最後まで繋がりたいという気持ちが強く感じられる作品です。大学時代の知人というのも世間的には恵まれた環境に育ったように思えて辛さを抱えていて、生き方が傍らから見て「普通」と思われること自体が違っているっていうことなんだけどね。
兵役を知らない私にとっては小説の中でしか疑似体験のできない疎外感であると思います。一方、寄り添いたい人ができる、繋がりたい人ができることはどこにでもあって、それだから身近に感じるんでしょうね。
知りませんでしたけどチャン・ウンジン/章恩珍(1976-)さんの初の邦訳作品だそうです。