Book#36 「魯肉飯のさえずり」温又柔 著(中公文庫)
こんばんは。体調の悪いのはピークを過ぎたように思います。日曜日は午前は終日苦しみつつ本を読んだり寝たりを繰り返し、午後は病院。月曜日も午前は自宅でいさせていただき、出る予定だった会議は音声だけで出席となりました。午後も体調が回復はせず、、、もう少しかかりそうですね。
さて、今回は温又柔さんの「魯肉飯のさえずり」。この夏に文庫本が出たので買ったもの。単行本は2020年に出ています。小説は主人公・桃嘉と母・雪穂とその家族の物語なのですが、時系列の中で第2章で1993年の母の物語が入ることで、世代を超えての家族愛の物語が立体的に立ち上がってくるようになっています。
書評で栩木伸明氏が「試されるのは小説ではなく、読者のほうだ。」と書かれていましたが、その通りだと思います。読者も同様にもつ「ふつう」という感覚が自縄自縛であり、そして無自覚に相手をも縛ってしまう。「ふつうである」ということの生きづらさから自分を見つけていく物語です。台湾と日本を舞台としていて、香り立つ魯肉飯(ロバプン)とそれを囲んでの会話が宝物ですね。何語という分類のこだわりを解き放って、流れるように読んでほしい作品です。
表紙の山本真澄さんの絵もいいよねえ。
↓この記事を書いたころに読んでました↓
大阪#118 難波で焼小籠包&魯肉飯
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