はてなキーワード: 牛丼とは
立場というものがあるし、失うものがでかいとなれば自重するのが自然なこと。
それはそれで良いことなんだとは思う。
しかし。
メリハリに欠けていた。
ワクワクするようなことがない。
毎日、同じような業務をこなし、独身四十過ぎともなれば休日もルーティーン化してしまう。
刺激に飢えていたのかもしれない。
たいていのことは体験してきたつもりだった。
そのときふいに「あ、野ぐそしたことないな」と気がついたのだ。
ほんの冗談みたいな思い付きだったものの、翌日日曜にやることもなく、昼間から怠惰にビールを飲むよりは有意義なことなのではないか?と酔った頭でそう考えた。
何処でする?
不思議とそこでの迷いはなく、自分のイメージでは何故か野ぐそ=山と決まっていた。
ではどの山にするか?
スタイルはどうする?
ジーパンは駄目だ、脱ぎにくい等と熟考を重ね、翌日の昼過ぎには家を出た。
車で一時間ほどの距離にある登山用の山で、登山客も程々。無人の山では駄目だ。それでは野ぐそであって野ぐそでない。これは理屈でない。しかし重要な直感であった。
腹のコンディションは悪くない。事前に牛丼の大盛りを平らげ、昨日から排便はない。
幸い当日は小春日和のような陽気な暖かさのある春の日で、私は軽装で山を登り始めた。
じんわりと汗をかき、首にかけたタオルで顔と汗を拭いながら進み、登山客はたまにちらほらとすれ違う程度であった。
ちょうど30分ほど登ったところだろうか。
……きた!!
今度は運動による発汗とは別の汗がじんわりと全身から滲み、私は茂みを探すように付近へ目をやった。
道を逸れ、少し進めば適度な茂みは周りに溢れていた。近くに登山者が居ないことを確認すると私はそっと茂みに入り素早くしゃがみこんだ。
濃い草木のにおいに囲まれたまま和式便所方式に足を広げ、踏ん張った。
うん○はゆるゆると私の肛門から溢れ出る。驚くほどすんなりと排便を終えたものの、私は未だドキドキしていた。
私はそれ以来、すっかり野ぐそに嵌まってしまった。気づけば毎週末、野ぐそに出掛けるようになり、適度なスリルとそれに伴う快い解放感…!
実際、野ぐそほど犯罪ではないのにスリルを味わえる行為はないのではないか?と思っている。
私は今でも、週末が近くなると野ぐそのことばかりを考えている。
息子は箸を止め、悲しそうな顔をした。
夫も困惑している。
「私はただ、事実を述べているだけだ。見たままのことをね。猫背、メガネ、無口。しかも牛丼を好む。戦略的に考えても、これは完全にチー牛の定義に一致する」
「だからってチー牛なんて言い方……!」
「いや、これは学術的な分析だよ。たとえばこの子を一つの国家だとしよう。その国家が強くなるには、経済的にも軍事的にも自立しなければならない。ところが、彼にはその兆しが見えない。スポーツは?ない。彼女は?いない。軍備増強の意思が見えない。これでは他国に好き放題されるだけだ」
「プーチン、やめてください!」
「なぜ?弱い存在が淘汰されるのは歴史の必然だ。これは、この子の未来のための厳しい現実だよ」
「プーチン、黙ってください!!」
「この子は優しいし、勉強も頑張ってる。誰にも迷惑かけてないのに、なんでそんなこと言うんですか!」
「優しさ?それだけで世界は生き抜けると?」
「でも……」
夫もさすがに「お前、ちょっと言いすぎだよ」と庇ってくれた。
息子は黙っていたけど、少し目が潤んでいた気がする。
私はそっと息子の頭を撫でた。
その夜、息子がぽつりと言った。
「お母さん、ありがとう」
私は微笑んで「当たり前でしょ」と答えた。
「この子、完全にチー牛じゃない?」
一瞬、時が止まった。
息子は箸を止め、悲しそうな顔をした。
夫も困惑している。
「だって見てよ、この猫背、メガネ、無口な感じ。しかも牛丼好きでしょ?」
「だからってチー牛なんて言い方……!」
「え、何が悪いの?」
義母は全く悪びれた様子もなく、逆に不思議そうな顔をしている。
「ほら、反論もしない。やっぱりチー牛じゃない」
「お義母さん、やめてください!」
「……」
息子は何も言えなかった。
義母は「ほらね」と言わんばかりに腕を組んだ。
その瞬間、私は立ち上がった。
「お義母さん、黙ってください!!」
「この子は優しいし、勉強も頑張ってる。誰にも迷惑かけてないのに、なんでそんなこと言うんですか!」
「え、でも……」
「でもじゃありません!!」
義母が口ごもる。
夫も「お袋、ちょっと言いすぎだよ」と庇ってくれた。
息子は黙っていたけど、少し目が潤んでいた気がする。
私はそっと息子の頭を撫でた。
その夜、息子がぽつりと言った。
「お母さん、ありがとう」
私は微笑んで「当たり前でしょ」と答えた。
普段は田舎の方で細々と仕事をしてるんだけど先日、都会のオフィス街へと出かける機会があった。
現地でお昼を迎えたので近くの牛丼屋さんへでも行こうかと同僚と出かけたのだが、大行列が出来ていて我が眼を疑った。
都会って本当に人が多いんだね。
うちの近所とかだったら考えられない光景だったわ。
朝食の時間だった。
うちは娘が7人いる。
……だったのに。
「ねぇ、あなた。 うちの娘たちって全員チー牛よね?」
妻のその一言で、場が凍った。
「……は?」
俺は聞き間違いかと思った。
けど、妻は真顔だった。
「長女、メガネ。 次女、根暗。 三女、アニメ好き。 四女、男と話せない。 五女、ゲームばっかり。 六女、ファッション興味なし。 七女、牛丼好き」
「チー牛フルコンプじゃない!」
娘たちはポカーンとしている。
何を言われたのか分かってない様子だった。
俺も理解が追いつかない。
「……お前、何言ってんの?」
妻は呆れたように言う。
「もっとオシャレしたらいいのに。 もっと外で遊べばいいのに。 もっと女の子らしくすればいいのに」
「……」
俺は無言で妻を睨んだ。
娘たちは、何も言わなかった。
だけど、一番上の長女がポツリと呟いた。
「え? そんなわけないじゃない!」
妻は笑う。
本気で何が悪いのか分かってない顔だった。
でも、その瞬間——
ドンッ!!
長女が立ち上がった。
「そんなの……そんなの、ただの侮辱じゃん!!」
初めて見る、怒った顔だった。
妹たちも、一斉に立ち上がる。
「私たちはチー牛じゃない!」
「ママが一番チー牛っぽい!!」
7人の娘が一斉に妻を睨んだ。
「……」
妻は苦笑いした。
「何? 逆ギレ?」
次の瞬間——
バシュゥゥゥ!!!
妻の体が吹っ飛んだ。
7人の娘が、同時に殴ったからだ。
妻は壁にめり込み、そのまま倒れた。
「……お、お前ら、強くない?」
俺は呆然とした。
いつの間に、こんなに……?
「ふふっ、パパ知らないの?」
長女が笑う。
「……は?」
「……やっぱりな」
長女が呟く。
「……!!」
俺は理解が追いつかない。
でも、ひとつだけ分かった。
——こいつは、もう"人間"じゃない。
娘たちの目が真紅に輝いた。
彼女たちは全員……
"チー牛"じゃなくて、"神殺し"だった。
そして——
戦いが始まった。
子供はまだ小さいのでリフト券は買わず、キッズパークみたいな所で雪ゾリや雪だるまでも作って遊ぼうという算段だ。都心から比較的近いスキー場で、こぢんまりとした所なのでたいして人もいないだろう…と思っていたが甘かった。
楽しかったのはスキー場に着くまで。子供は初めての雪遊びに興奮しており、妻とも「スキー場なんて何年振りだろうね」と皆ワクワクしていた。
片側1車線の山道をのぼり、だんだんスキー場が見えてくると同時に不穏な気配が漂い始める。対向車線が完全に渋滞しているのだ。みな駐車場の入庫待ちだ。えんえん1kmは続いている。この列に並ぶのか…。ここまで来て引き返す訳にもいかず、車列に加わる。何時間かかるか分からないから先に遊んで来ていいよと妻と子に荷物を待たせて下ろす。遅遅として進まぬ牛歩の歩み。やる事もないしフェルミ推定でもするか。車列が1kmで車1台が5mとする。1台駐車できるのに1分かかるとすれば、200分…。その後は無心に耐え、1時間半ほどしてようやく駐車する。
妻子はもう遊んでいるかな、と思ったが己の認識の甘さを痛感する。入庫にこれだけ時間がかかるという事は、入場券を買うのもまた同様なのだ。ほぼ同タイミングで入場する。この時点で子供はかなり飽きており、妻もだっこ疲れで疲弊していた。
さあ遊ぶぞ!と思ったのも束の間、今度はレンタルの列が待ち受ける。妻にはその列に並んでもらい先に子供達を連れて遊びに向かう。しかし手袋がないとまともに雪が触れないのは自明の理だ。結局レンタル品を入手するまではその辺をうろうろする他無かった。
ようやくウェアや雪ゾリを確保して妻に一言「俺の荷物は?」「ロッカーに預けた」「えっ…どこのロッカー?とってくるよ」「女子更衣室の中だから私が行かないといけない」なんだそりゃ。
要領の悪い妻に辟易しつつも遂に雪遊びに辿り着く。しかしこれもまた当たり前なのだが場内は芋洗い状態だ。ちょろちょろと動き回る子供をなんとか宥めすかし、雪ゾリの列に並びながら気を取り直して遊ぶ。とにかく疲れる。
そして朝早くに出たもののあっという間に昼ご飯の時間だ。大人だけなら空腹を我慢してレストランが混む時間を避ける事ができるが子供はそうは行かない。お腹が減ると露骨に不機嫌になるのだ。もちんレストランは長蛇の列で、再び地獄の列に加わる。妻子には先に席を確保してもらい、おやつにと買ったチョコレートとジュースを渡して耐えしのいでもらう。1時間ほど並び、ようやく腹を満たす。もう2時過ぎだ。
雪ゾリの列に再び加わりながら、ふとムービングベルトはどこかな?と思う。キッズパークにある、斜面を登るためのエスカレーターのようなものだ。子供は大層喜ぶだろう。あたりも見回しても見つからず、近くにいたスタッフに尋ねると「今日は混んでいるので運行を停止しています」そんなの聞いてないぞ!
子供もソリに飽きたので雪だるまを作りに行く。ここも地獄の様相を呈しており、とにかく遊ぶ場所が無い。場所をなんとか確保しても今度は雪がない。人工雪なのでさして積雪していないのだ。必死に周囲から雪をかき集め、所用の目的を達成する。
また、ここまで記述していなかったがもちろんトイレも死ぬほど混んでいる。女子トイレに至ってはGWのサービスエリアを思い出すほどの列だ。男子トイレはまだマシだったためよかったが妻はかなり辛かっただろう。
さて、ろくに遊んでないがもう4時だ。帰り支度を始めるがもちろんレンタル品の返却にも長蛇の列が待ち受ける。ただ返すだけなのになぜここまで混む…
心を無にして並び、ようやく車に乗り込む。帰り道は意外にも空いていた。
ここで最悪の選択をしてしまう。せっかくだから帰りにスーパー銭湯に寄って疲れを癒そうと考えてしまった。郊外の人の少なそうな所を選んだつもりだったが、地獄が再び待ち受ける。鬼混みなのだ。駐車場への列に並び、意識をようやっと保ちながら入場。あっ、ごはんは?もちろんスーパー銭湯内のレストランも長蛇の列。その辺の牛丼屋などで済ましてくれば良かった…かなしいかな精神を削り取られた我々にはそんな事も思いつかなかったのだ。
腹を満たし、風呂に入る。さして遊べず体力の有り余っている子供を御しながら帰路に着く。なお子供はすぐに寝た。
家に着き、妻は後片付けも早々に寝る。私は?もちろんまだ寝れない。せまいガレージに車を押し込み、濡れてしまったものはベランダに干し、洗濯物をカゴに入れ、ようやく晩酌にありつく。妻は運転ができないので家に帰るまで酒は飲めないのだ。
とにかく疲れた……。精神的に。妻とはストレスによりかなりギスギスしてしまった。遊びに行ったはずがただただストレスを感じるだけだった。
・有給を取って平日に行く事。
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誤字脱字を訂正しました。