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幽冥の境を行く桜花
モンタージュ:桜-02P 92q

宗教を信じる人々は、死ねば幽冥の世界へ旅立つと信じています。この世に妖精が存在する信じる人々は、草木もこの世とあの世を往来していると考えます。嘗て地上に生育した草木が、枯死してのち幽冥に生き続ける霊的存在が妖精たちと見るのです。そして、妖精たちは地上の草木を守護する霊的存在と見るのです。

欧州の先住民族ケルト族は妖精の存在を信じていました。キリスト教では妖精の存在を否定します。幼いラフカディオ・ハーンは屡々妖精を見てそれを語ると伯母から厳しく叱責されて、以後キリスト教が嫌いになったと言います。今では妖精神話はキリスト教によって矮小化され、妖精達はハローウィンの化け物にされました。

しかし、万物に神宿るという日本の伝統的思想では、人間も草木もこの世で同じ次元に生きる存在であり、死後も霊的存在として共に生き続けると考えます。更には、日本では自然物だけでなく人工物にも霊的存在を認めて供養する習慣があります。針供養は折れた縫い針に、筆塚には使い古した筆に感謝を込めて、その霊魂を祭り上げる行事です。

このように万物に霊的存在を信じるようになれば、美しく咲いたあの桜の花びらにも霊的存在を感じても不思議ではありません。今、お濠の水面に散りつつある桜の花びらは、幽冥の世界に行く途中なのです。
(以上)
【2024/04/20 12:49】 | 風景 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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