数年前、ユニバーサル・デザインを研究する人々の会合に参加して色々教えて頂いたことがあります。
ユニバーサル・デザインは、もともと身体障害者にも使い易いデザインを求めて提案されたのですが、それは健常者にも使い易いものと分かりました。 次に、ユニバーサル・デザインは使い易いだけでなく、同時に美しいものであるとの主張になっていきました。要するに、使い易さと美しさは共に実現できるとの主張でした。更に、使い易いものは美しくなるとの意見までありました。 しかし、ユニバーサル・デザインに限らず、デザイン一般については、実用と美を両立させることは、なかなか難しいものでして、多くの芸術家やデザイナーを悩ましてきた問題です。 嘗て、陶芸家の河井寛次郎は、暮らしの中の「用」の美に魅せられたと言い、無名の手仕事に真の美があると悟った、と語っていました。また、自分は美は追わない、美は仕事の後から従いてくるとも言っていました。 実用と美が両立するデザインは、河井寛次郎のレベルに達しないと、実現もできないし理解さえも難しいのかも知れません。 (以上) |
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