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デザインの伝統に学ぼう

人々は昔からデザインを考案して使用してきました。過去に作られた建築物や工芸品には、多くの優れたデザインがちりばめられています。建築物には様々な優れた様式がありましたし、そこには彫刻などの装飾が施されていました。身の回りの工芸品には様々な細工と技巧がこらされて、人々に愛用されていました。

デザインも日々改良され洗練されているから、過去のものより現在のものが優れていると云う人がいますが、果たしてそうでしょうか?

何千年も前の建築物を見て、現代の私達がこれを再現できるだろうかと疑うことがあります。古代の遺跡からの出土した工芸品を見て、こんなにモダンなデザインがあったのか、と驚くことがあります。

時代と民族が生み出した諸々のデザインを、私達は伝統的遺産として受け継いでいます。その伝統的デザインから学ぶことは大事だと思います。

文学の世界では、古典を大事にします。文学者が古典に学ぶとき、古典をそのまま全体として受入れることではなく、古い形の中に埋もれた真実を拾い出すのだと云います。その真実が現代の文学に溢れている虚飾を暴くのに役立つからだと云います。

同じ事は、デザインの世界でも云えます。昔のデザイン表現は、素朴で単純ですが、その奥に真の美が隠れています。日々生み出されている現代のデザインの美は虚飾であると暴く真の美が隠れています。

伝統的デザインの中には、磨けば輝く宝石の原石が密かに潜んでいます。それを発見し、磨き上げることがデザイン創作の原点となります。
(以上)


(旅行のため暫く日記を書くのを休ませて頂きます。
一ヶ月後に日記の掲載を再開しますので、その時は、
どうぞご訪問下さるようお願い致します。)
【2006/10/10 12:06】 | デザインする | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ビルの中のビルの街
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                         ビル反映-17P 02tc



ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデに「鏡の中の鏡」という作品があります。合わせ鏡で眺めると、映像は無限に続きます。果てしない映像の連鎖には神秘な世界を感じます。

ビルに映ったビルの映像を見ていると、実像と虚像の合わせ鏡を見るようで、何か神秘的な感じになります。高層ビルは確固不動のものではなく、揺らぐ蜃気楼のように見えます。ビルに映った映像が本物であり、実物は影であるとの錯覚に陥ります。

高層ビル街の谷間を歩きながら互いに映し合うビルの映像を見ていると、もう一つの高層ビル街が存在するように感じます。それは揺らぎながらも美しい光景です。街路に人一人無く、車一台もなければ、これは異次元の世界です。

耳を塞いで、上を向いて、高層ビル群の谷間を一人歩いてみませんか。
(以上)


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【2006/10/08 10:30】 | 発見する | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
土地への執着が美を壊す
看板などの構築物のため街路の面が不揃いになって、街の美観を損なうことは前回述べました。それではビルの面を揃えれば良いかというと、それだけでも不十分です。ビルの面の広さの不揃いも美観を損ないます。写真のペンシルビルはその一例です。

日本人の土地への執着は異常です。土地所有への欲望は度を超しています。司馬遼太郎氏は、土地バブル発生前に、土地への日本人の異常な執着心を痛烈に批判し、土地は私物ではなく公共物であると主張していました。

土地を国有化せよとの司馬遼太郎氏の主張は、社会主義の主張ではなく、健全な資本主義のための主張であったことは、バブル崩壊後の10年間の日本経済が証明しました。何故なら、それだけでは価値を生まない土地を投機の対象にして、かりそめの繁栄に酔いしれた日本経済には膨大な不良債権が発生し、資本主義経済の機能を長いこと麻痺させてしまったからです。

土地私有化の害毒を抽象的に論じてもピンと来ない人には、街に出てビルを見ることをお勧めします。写真のペンシルビルは銀座近くの大通りに建っています。このようなペンシルビルについて、かつてイーデス・ハンソン女史は、周囲と調和しようとしない醜悪な我欲を形にして見せる行為だと云っていました。

日本人の土地への執着心が強いのは、鎌倉時代に論功行賞として武士に土地を与えた頃に始まるとの説を聞いたことがあります。一生懸命とは、一所懸命の意味で、一つの土地に命を賭けて戦った武士達の怨念が込められていると云うのです。

そろそろ土地制度の改革で、日本人はこの遺伝子から脱却しなければなりません。
(以上)


                    外堀通-01D 0702q


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【2006/10/03 10:08】 | デザインする | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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