ブログ版/不動産業界の歩き方
「不動産業界の歩き方」管理人によるブログ版の業界解説書。不動産仲介業の現状と動向を解説します。不動産業界への就職や転職を目指す方、新人の方、必見の不動産ブログ!

フルコミッションの不動産仲介営業職を募集!
改悪効果
〇民法改正で瑕疵担保責任から契約不適合責任にかわり、もうすぐ1年ですか。ま、実務を無視して理想だけ語れば、こんな改正になるのだろうな・・とは思います。理想は言葉では正しく美しいしね。 結果的に内乱屋の仕事を増やすためだけの改悪でした。

わからない事や不明な事でも免責できた「瑕疵担保責任」から、ハッキリ明記しなければ免責できない「契約不適合責任」へ・・しかし、内乱屋(内覧屋)に金を払い調査させて間違いがあっても内乱屋は責任を取りません。

その間違いの調査結果を信じて説明した売主と仲介業者が責任を取る・・それが、「契約不適合責任」の現実です。新築ならともかく、古い物件の取引で、完璧な調査や完璧な説明は不可能・・安全かつ完璧な取引を目指すなら、「免責」は必要です。

瑕疵担保責任の免責でリスク回避をしてきた仲介業者は当然、「契約不適合責任の免責方法」について研究し、新たなる免責条項を作成して重説や契約書に使っています。ただ・・業界で問題となっているケースを憶測でお話しますが・・

現在の仲介会社は・・契約不適合責任について勉強して、「瑕疵担保責任の免責」レベルで取引の安全確保を目指す会社と・・改正による対策をしない会社と、改正すら知らない情報弱者のバカ会社との・・大雑把に3つのグループに分かれます。

「売主責任の免責を目指す仲介会社」と、そうでない会社が、お互い相手のスタンスを知らずに共同仲介の商談を進め、重説や契約書の特約について話し合う段階で、そのスタンスの差が発覚します。それで・・

不勉強な会社側は、「えーっ!これ、おかしいんじゃないですか?」と言い出し、免責を目指す会社は、「改正により、このような書き方でないとリスク回避できず、契約できません。」となり、商談は白紙となる・・ま、そんなケースが多いでしょう。

今後は、物件を商談する前・・できれば紹介する段階で、共同仲介予定の相手業者の「契約不適合責任」に関する理解について探る必要があるってこと。で、考え方にズレがあったら、先に話し合うか・・切り捨てるべきですね。そのまま商談を続けても、どうせ壊れるから。(笑) ま、ご用心。
〇賃貸の苦情でカッタルイのが「小さな音」の苦情です。付帯設備(エアコン・換気扇・他)が原因の場合・・管理会社やオーナーの対応となります。設備の小さい音や振動の場合・・素人では判断できないので、電気屋さん等のプロを呼ぶ流れです。設備の故障であれば、設備の所有者が費用を負担して直せば解決です。

しかし・・小さな音のクレームの多くは、いわゆる「気のせい」や「気にしすぎ」・・もしくは、心の病系の幻聴か、老化による聴覚の異常です。現実的には音なんかしないか、音がしても一般人は気にしないレベルです。ですから問題は解決しないし・・

立ち合いで呼んだ専門業者の出張料は誰が払うのか?・・という問題も発生します。借主の立場では、「苦情の連絡はしたけれど、出張料や修理費の負担があるとは聞いていないし、そんな依頼はしていない」と主張できます。

貸主側も、「結局、なにも壊れていなかったのだから、お金なんか払いません。」・・となりますよ。・・結局、調査の手配をした不動産屋が板挟みにあい、場合によっては調査費(出張料)を負担するケースもありえます。

ま、「とりあえず見ましょう!」と気軽に現場へ来てくれて、問題なければ出張料は請求しない工事屋さんもいますよ。でも、そんなケースが何回か重なると、次に工事を発注した際に、少し割高になります。工事屋さんも何処かで元は取りますよ。

不動産屋としては、どのように対応すべきだったか?

①借主に対して・・「もしも専門業者に現場を見させて、何も問題がなかった場合、その出張料は借主さんの負担になりますよ。」と事前に承諾をとる。

②貸主に対して・・「こんなクレームがありました。専門業者を向かわせますが、もしも何も問題がなかった場合でも出張料がかかります。貸主さんの負担でよろしいですか?」と確認しておく。

③専門業者に調査を依頼する際・・「なにも問題がなかった場合、出張料は支払えませんがよろしいですか?」と確認しておく。

ま、こんなかんじで、①②③のどれかで成功すれば、最悪でも不動産屋が負担するケースを回避できます。・・というか、そもそも不動産屋が自腹を切る事案じゃないしね。(笑)


〇問題が起こってからの対応も大事ですが、未然に防ぐのも大事です。老人、もしくは心の病系の入居者に対しては、契約時にキッチリ警告すべきです。たとえば・・

「お年寄り、もしくは心の病の方で、【音】に関する苦情を言う人がいます。ご本人には聞こえる【音】でも、聴覚の異常や幻聴の場合があります。そのような場合は、親族や保証人、役所を交えて話し合いの末、解決策がない場合は、親族が引き取る、もしくは専門病院への入院を前提として退去してもらう方針です。」

「音のクレームでは我々不動産屋も現地へ行くし、専門家も立ち合います。貸主にも報告します。それで幻聴や聴覚異常によるものであれば、多くの人が大迷惑します。たとえ社会的弱者による罪なき行為でも迷惑行為は放置しません。容認も黙認もしません。今、警告しました事を忘れないでくださいね。」と警告します。

ちなみに・・社会的弱者と対決する場合、社会的正義の立場は常に弱者側です。不動産屋は悪役で非難される側です。それでも、言うべき事はキッチリ言うべきです。言った効果はあります。遠慮して言わずにいると・・エンドレスで同じ苦情の繰り返しになります。ご用心。


仲介依頼の前
〇先週だったか?仲介手数料に関する裁判のニュースを見ました。概略は、「賃貸仲介で借主が賃料1カ月分の手数料を払ったけど、仲介依頼前に1カ月分となる説明がなかったから0.5ヵ月分を返還せよ」・・て話。

その前提となる正規報酬ですが、基本的には貸主と借主がそれぞれ0.5ヵ月分の手数料で合計1カ月分・・だけど、仲介依頼の成立までに借主から承諾を得ている場合は、貸主は0円で借主だけから1カ月分の手数料を受領するケースもOK・・で、

現実的には借主から1カ月分をもらうのが一般的というか普通というか・・ま、そんな流れで、いつのまにか「事前に承諾を得ている場合」という条件を忘れがちですが・・こういったニュースがあると思い出す・・そんな業者も多いのでは?

現実的には口頭(言葉・会話)で事前に説明しているケースがほとんどですが、1000人に1人くらいは後日の証拠が必要となります。今回の争点は「仲介依頼の成立はいつ?」です。今回の判例だけで判断すると・・

1.来店時(初)・・(この段階で承諾書をもらえば 1カ月分OK)
2.物件紹介、案内時・・(この時点でもOK)
3.契約したいとの申し出・・(この時点でもOK)
4.契約と契約日時の決定・・★この時点で仲介依頼の成立!
                   (今回の判例ではそうらしい)

5.賃貸清算書を渡す・・(もう遅い!0.5ヵ月分)
6.契約日・・(もう遅い!0.5ヵ月分)
・・てことかな。

ま、確実なのは初の来店時(初回面談)で説明して書面で承諾をもらう事です。書類の名前は「お取引前の基本的な説明書」とでも書いて、アレコレと注意書きを記載して、最後に、「成約の際は仲介手数料として賃料の1カ月相当分(税別)を支払うことに同意します。」と記載してサインさせるとかね。

手数料の額については、それで解決ですが、このようなトラブル(紛争)って・・別のところに原因があるものです。態度や言動に失礼があったとか、何か顧客を怒らせることがあったはずです。そのような不愉快な気持ちの相手が何か文句をいえるネタを発見した時、攻撃態勢に入るのでは?

逆にいえば・・好かれている担当者なら、多少の間違いがあっても紛争にはならず、クリアできるものです。紛争の多くが感情の問題ですよ。賃貸の手数料で裁判なんて普通に考えて労力に見合いません。それでも突き進むエネルギーは「怒り」とか「恨み」と思います。ま、皆様も、ご用心。
タイムカプセル
〇大手系不動産仲介会社では、契約および決済を終えた際、関係書類を1つの封筒へ入れた後、会社が保管します。契約書や重説・付帯設備表・現況確認書・取引完了の確認書類や、登記事項証明・公図・測量図等です。その封筒の表には、売主名・買主名・物件名・価格・日付等を記入する決まりです。

それらの書類を入れた封筒は、その後・・なにもなければ開封されることはありません。しかし・・なにか?たとえば取引関係者からの問い合わせやトラブル等があった際に、当時の契約内容を確認するために必要となれば、その封筒から中の書類が出され、誰かが見ます。

誰が見るか?・・まずは社員ですが、契約担当者とは限りません。よほど温い会社でない限り、契約担当者(営業マン)なんか3年もすれば退社しています。(笑) 5年で支店長から事務員まで、支店の全員が入れ替わっているケースもあるくらいです。(笑)

ですから、取引完了後・・数年してから、取引関係者から取引について問い合わせがあった場合、対応するのは、その店を引き継いだ責任者です。店長とか所長とかね。

多くの場合、当時の担当者不在(退社後)の対応となり、現在に対応する責任者としては残された書類だけが味方です。書類が完璧でも当時の担当者がいないと、そこに付け込まれます。「あの時、担当者が言った!」とか「言わなかった!」とか・・ま、いろいろです。しかし、担当者が辞めた後では確認のしようがありません。

〇私は大手系の会社に在籍していた時・・取引の経緯経過を書いた書類をね、取引関係書類の中に残しました。契約になった経緯とか、問題点について説明した事や、相手の発言とか・・いつ?誰が?誰に?何を?どうしたか・・そんなかんじの事です。全ての取引が対象ではありません。

将来のトラブルを予感した取引・・問題のある取引・・契約書類には書けない内容の事実がある取引(取引関係者は納得しているケース)等です。(いつの日か、この紙が役立つ時がくるかも・・)と思いながら書いた書類です。

たとえば・・契約者の息子が、「先日に母が亡くなり、相続手続き中に物件の問題を知ったのですが、騙されたのでは?」・・との問い合わせに対して・・

「問題点については契約書類に記載されております。また、当時の契約担当者のメモが残っており、それらの問題について、お母様に何回も説明して、お母様も納得をされたようです。娘様も同席されたと書いてあります。その日時と場所も記録されています。」・・て対応ができるわけです。

ちなみに・・上司や本社の意向で急いで契約した取引のことも、取引の経緯で上司から指示された内容なども、自分を守るために書いてあります。ま、ご用心。(笑)

大手企業の求人に直接応募するならDODA
copyright © 2005 ブログ版/不動産業界の歩き方 all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.