高遠さんの新刊「
さよならのない国で」の感想です。
この作品はChara創刊20周年記念本。
そのため、B6版・2段組で価格も高めでしたが、
好き作家さん+好きレーターさんに釣られてついポチリ。
物語は死者に再会できるホテルの存在を信じ、
そこにたどり着いた人々の行く末を描いたものでした。
(高遠琉加/葛西リカコ)ピアノ教師の
春希は5年前に亡くなった恩師・
月彦が忘れられず、
彼の甥である
康の想いを受け入れることもできず、前に進めない日々。
が、康と出かけた小旅行で都市伝説の天国ホテルに遭遇。
月彦と再会を果たしますが、現実になかなか戻る気になれず、
そうこうしている内に康がある秘密を握り、
春希のために自分の命を犠牲にする決意をします。
この天国ホテルには春希たちの他に3人の滞在者がいて、
それぞれ違う結末を迎えるところが面白い。
で、あるべき場所にきちんと戻れたのは春希と康だけ。
命がけで春希の幸せを願った康と、
康を選んだ春希の想いが生きる力となりました。
「さよならのない国で」は
ファンタジーホラーなストーリーですが、
わりと先がよめる展開で、大きな驚きや切なさはなく、全体的に静かな雰囲気。
死んだ人を忘れていく哀しさと、康の愛の深さは心に残りましたが、
コスパを考えるとちょっと「う~ん・・」。高遠さんにはそろそろ
「世界の果てで待っていて」の
続きを書いてもらいたいです(^^;